CULrides カルライズ

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食べ蒔き番外編 ゴーヤとメロンの挿し木

前回までの通り、サッパリサエないサマの二期生ですが、その間にチョイと実験していた事が一つ。
culrides.hatenablog.com


その実験とは、6月下旬の定植時に摘芯した「ゴーヤの先端部分を挿し木にする」と言うもの。


かくして、7月下旬に入り一端の決着を迎えるに相成り、ここで番外編として経過報告を記してみたいと思います。


果たしてどうなったやら。


では、いざ。


🌑ゴーヤの挿し木🌑

さて、6月下旬に挿し木をした時点のものが、以下の画像。
やり方は、土と水で満たされた卵パックへ「田植え」の要領で挿しただけの、ごくシンプルな手法である。
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そこから暫くの間、毎日水を与え続けていた訳だが、この間に大した変化は無く、強いて言えば「枯れずに生きている」と言った状況。
一応のところ水を吸い上げているし、生命も維持出来ているのは確かな様子であった。


それから二週間ほど経過した辺りで一度抜き取ってみた所、切り口から白いヒゲの様な根がピョコッと、小さく出ているのを確認。

そう、トマトの「気根」の様に、ちゃんと新しい根が生えていたのだ。



こうして挿し木の開始から約一ヶ月の間、長雨の低温から守るべく蓋を閉めて保温したりを続けていると、この7月下旬に入る辺りで以下の様な姿に変貌を遂げる事となる。
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ご覧の通り、挿し木でも苗木らしく成長していた。
単に思い付きで先端部を植えただけなのに、何だか嬉しい発見でもした様な気分である。


その根を確認すると、摘芯時の切り口のほか、幹からも幾つか発生している様子で、割りとシッカリ生えて来ている事が判る。
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この挿し木の成長率に関しては、やはり「元々の株の成長率」に依存する傾向が見られ、生育状況の良い株の挿し木は根の密度が濃いし、そうでない株のものでは薄い。
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実際、これら成長率が低い方の先端部は、更に1週間ほど生育を継続しても一定以上から根が伸びず、小さいままであった。
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つまり、成長率の高い株の枝葉を挿し木に使う方が効率的だし、回復力も高い訳である。



しかし、この時点で既に季節は夏。
梅雨明け間もない頃である。


ポットに移植してからも順調に生育を継続していたのだが、早めに地植えに移行しないと収穫が難しくなってしまう。

なので移植後の育成期間を1週間ほどに留め、根が馴染んだ頃合いで試しに定植してみる事に。
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が、これら挿し木株は植えて1週間も経たずしてダンゴムシ&ワラジムシに食われ尽くされ、全滅してしまった。


特に、前途の様な「成長率が低い先端部」は、ものの数日も持たない有様である。
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この要因は一重に生命力が足りなかった為だと考えられ、恐らくは挿し木のままだと、根本的に抵抗力や免疫力などが不足してしまうのかも知れない。


となると、もっと早期に挿し木を行ない、一つの株として「完成」させていれば、本当はもっと成長していた可能性もある。
今となってはタラレバだが、これは検証の余地がありそうだ。


今回に関しては結果的に失敗となったが、ゴーヤも挿し木が可能であると判明したのは「収穫」である。



そして、この挿し木に関してはメロンも試していた。



して、育苗後の姿が以下の画像である。
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これも摘芯した先端部をポットへ「直植え」しただけとなり、ゴーヤと全く同じ方法で生命を維持出来ている。


やはり根の密度は薄いが、地表からチョロッとハミ出る程度には生えてきている。
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試しにポットから抜いて確認すると、ゴーヤ同様に切り口のほか幹からも再生している様子が判る。
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もっとも、このメロンも挿し木にすると途端に成長が遅くなり、あまり生育には適していない様子が伺えた。

実際、この確認時点で定植したものの、それ以降は殆ど成長しないまま。
結論として、全くと言って良いほど伸びてくれなかったのである。


この理由には、恐らくは文字通り根本となる「根」の力が不足していたか、あるいは「根の役割り」そのものの違いが顕れた為だと考えられる。

いわば、発芽時点から備わる「成長用の根」と、枝葉がダメージを受けた際など緊急時に発生させる「回復用の根」による違いがあって、この回復用には「補修」するだけの力しか無いのではないか。
となれば、先端部だけで独立させたとしても「回復用の根」しか出せない以上、成長が遅いなど当然の成り行きである。

つまる所、挿し木では「元々の成長力がある根が失われた」だけでなく、「回復させる為に生やした根では成長まで賄いきれなかった」、と言う事なのかも知れない。



上記の結果から、トマトは株分けしてもグングン成長していたが、どうやらウリ科では上手く行かない様である。

確かに、このウリ科の苗は「接ぎ木株」として売られるパターンが多い事実を考えれば、やはり成長に必須な生命力を供給する為にも「台木」となる存在が必要なのだろう。

今回の実験により、ゴーヤもメロンも単体での挿し木が可能である事が証明された形とはなったが、逆説的に言えば、「なぜ接ぎ木する必要があるか」の理由を説明する結果ともなった。

ただし、ゴーヤ単体では比較的伸び率が高かった点を踏まえれば、いわゆる「原種」に違い姿の作物の方が全体的な回復力が高く生育を維持しやすい傾向が伺えるなど、同じウリ科でも生育のプロセスには微妙な違いもある事が解る。


そう考えると、この摘芯で出た「強い株の先端部」と、間引きする様な「貧弱な株の根」を使って接ぎ木した場合、もしかすると強い方の先端部に引き上げられる形で収穫率が向上する可能性も有り得る。

実際、市販の苗も概ね「新しい品種の枝」を「旧型の品種(別の品種)」に接ぎ木してクローン化していると言うし、強ち間違ってはいないはず。
無論、逆に生命力がスポイルされるリスクも起こりうる訳だが、もし成功すれば先端部も間引き株も処分せず「最期まで活かせる」事になる。

これは一度、試す価値はありそうだ。



そんな訳で、今回を総合して導かれる結論としては以下になろうかと思う。


・ゴーヤもメロンも挿し木に出来るが、やるなら早めに開始した方が良い。

・ゴーヤは単体でも生育するが、害虫に食われやすくなるので、生命力が担保されるサイズになるまでは保温を維持し成長を促しておく。

・メロンは単体での生育が難しく、台木を用意し接ぎ木にした方が良い。

・「生命力の強い先端部+間引き相当の貧弱な株」で接ぎ木した場合、先端部の勢いに引き上げられる形で収穫率がアップする可能性がある。

・いずれも破棄せず「活かす」手段を構築出来れば、更なる充実した菜園になるかも知れない。



とまぁ、これらが何の参考になるかは謎であるが、何かしらお役立て出来ましたら幸いであります。


次回、また二期生の記録へ続きます。



では、また、CUL。