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食べ蒔き二期生レポート 8月下旬・ゴーヤの初収穫と個性

前回の8月上旬から飛んで、今回は下旬。
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何故いきなり飛ばしたかと言うと、単純に大した変化が無かったからである。

とは言え、実際は「それなりに」あったのだけど、それは本文にて触れて行きましょう。


では、いざ。


🌑8月下旬・ゴーヤの個性🌑

梅雨明けして以降は、それまでの日照不足を取り戻すかの様に高い気温が続いている。

ずっと雨模様なのは嫌だが、かと言って極度な高温多湿でも生物には厳しいものがある。



そんな日々であるが、畑の状況はと言えば以下の具合いである。
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何かもう雑草やらでゴチャゴチャ。
画像では上にトマト、下の方にはメロンが折り重なっています。


ハッキリ言って、今期は生育の見込みが薄すぎて殆ど手入れをしておらず、文字通りの「完全放置プレイ」状態。
それでもまぁ、作物だけでは「間」が多かったのに比べて生命感が溢れると言うか、賑やかな光景ではある。



一応、メロンに関しては花が咲き乱れ、傍目には元気そのもの。
開花率だけは良好である。
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しかし、よく観察してみると株自体のサイズや全長は非常に短く、何だか「成長が止まったまま生育を続けている」みたいな外観である。



その証拠に、実際は結実している部分もあるのだけど、大抵が着果不良を起こし腐り落ちるか、一向に大きくなる様子が無いものが目立つ。
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この未熟果も、その一つ。
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何だかヒョウタンみたいな形だが、概ね直径5cmあたりから成長が止まったまま。
残念ながらこれ以上の見込みが無いので、とりあず摘果しておく事に。



ちなみに、今期は昨年ほどウリバエが発生していない。

正確に言えば、ほぼ毎日どこかしらには居るのだけど、その数自体が少なく、あまり駆除の手間がかからない状況である。

これは考えれば当然の話であるが、そもそも殆どウリ科の作物が育っていない上、畑に占める面積も小さい。
つまり、昨年度に比べ圧倒的に彼らの食料が少ないが故に、飛来する個体も少なくなったのだろう。

作物が生育していないのと連動する形で害虫が減ったと言うのであれば、何だか皮肉な話である。



この一方を取れば一方が足りなくなる矛盾が、植物の栽培で非常に悩ましいところ。

無論、ムダにウリバエが発生するのもカンベンなのだが、それでも本来であれば豊作になって、多少の被害が出ても帳消しに出来るほどの成績を出せる方が理想的ではある。


とりあえず参考資料として、ウリバエにまつわる記事も貼っておきましょうかね。

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一方、前回8月上旬で背丈の低かったトマトは、この一ヶ月弱の間に急成長し、次々に開花するまでに至る。

またしても背景がゴチャついているが、画像中央に纏まっているのが判る。
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しかし、やはりと言うか無事とは行かず、これも極端なほど着果不良が多発。

試しに人工受粉を試みようと花を摘まんだり、あるいは指先で軽く叩いてみるだけで、何故かポロポロと次々に落花してしまう症状が出る様に。


この現象は果房と花(ヘタ)との間にある「離層」と言う組織で起きており、基本的に果実が赤く成熟しきって初めて剥離しやすくなる部分なのだが、今のままでは受粉のしようがない。

本当に、それほどのソフトタッチでポロリしてしまうのだ。



上記の要因としては、主に「日中の暑さ」が関係しているものと考えられる。

何故なら、昨年度も似たような症状に見舞われており、それは記録的猛暑が続いた7月~8月をピークにして、徐々に気温が下がり10月に入る辺りで症状が和らいでいたからだ。

つまり、この高温が収まれば徐々に回復する可能性が高いので、あまり焦る必要も無いと言う訳である。
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ただ、この暑さに弱いと言うデメリットについては、いわゆる「実生」であるが故に劣化したり先祖返りしたが為に、それら作物の弱い部分までも顕在化した部分はあろう。

いずれにせよ、この段階で出来る事と言えば、長い目で見守りつつ気温が下がるのを待つだけである。



そんな最中、今回もっとも良好な生育を維持していたのがゴーヤ。


発芽時点では一定数の苗を確保していたものの、定植して以降、実質的に生き残ったのは2本のみである。
この2本については、長梅雨の低温、そしてダンゴムシの猛攻にも耐え、7月の後半には何とか開花まで漕ぎ着けていた。


実際のところ梅雨明けから本格的な成長を開始し、現状では「それなり」の成長率を実現するに至っている。

その甲斐あって、この8月に入った頃から続々と着果を確認。
後は成熟を待っていた状況なのであった。



して、結果が以下である。

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とりあえず今期初となる、1本の収穫に成功。
そんなに大きくはないけど、何とか出来ました。


ちなみに、このゴーヤは見た目通りの色艶で、軽く持つだけで濃厚なゴーヤフレーバーが手に残り、いや応なしに期待をそそる仕上り具合い。

して当然ながら、その香り、そして味としても非常に良好で、食べ物としても一定水準を越えるクオリティを実現。
今回、個別のレビューは無いけども、これは「かなり美味」な方でありました。



だが、その最中にあって一つ問題も発生している。


それが、この着果不良。
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ご覧の様に、着果してもすぐに黄色く変色してしまい、やがて茶色く萎んで落果してしまうシーンが頻発する。


これほど雌花が開花しているにも関わらず、その殆どが成熟には至らず。
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何とか是正すべく試しに朝方に人工受粉を試みても、結果は同じだった。


正確には、現時点で無事に結実した果実が数個ほど存在していて、それらは順調に成熟しつつある。
この現象からして、いわゆる「優先順位の高い果実」に養分を集中させているが為に、新しい雌花が着果不良を起こしていると考えるのが筋ではありそうだ。



ちなみに、今回の収穫で判った事としては、ゴーヤにも「個性」があり、株ごとに着果率も違うと言う点である。


この二期生で定植に耐えたのは2株ほどと述べたが、その品種と発芽時期や管理方法は同じであり、またどちらも摘芯している。

だが、双方には以下の様な相違点が顕れている。


・片方(A)は、「成長率は高くないが、続々と雌花が咲く株」。

・もう片方(B)は、「成長率は高いのに、あまり雌花が咲いていない株」。


と言う違いがある。

パッと見では成長率の高い(B)が段違いに枝葉に勢いがあるし開花数も多いのだが、それらは何故か「雄花」ばかりであり、着果率には比例しない様子であった。


この要因について考察するに、恐らく前者の(A)は元々成長率が高くは無かったので、「生きている今の内に果実を残す」方を選択した。

片や後者(B)のタネは元々成長率が高いので、「果実に余計な養分を取られない様に枝葉を限界まで伸ばす」方に偏ったのではないか。
あるいは別の見方をすれば、「高い成長率の遺伝子を別の個体に託す為に雄花ばかり咲かせた」とも考えられる。

つまり、この元々のタネの性質により「生き方の方向性が変化した」事と、それにより「果実の優先順位も変化した」と言う複合的な要因が絡んでいるが故に、現在の生育状況や着果率にも差が出た。

そんな経緯が明らかとなるのです。


ただし、現時点では双方とも着果不良を起こしているので、基本的な「体質」には違いが無い様である。
そこもきっと「同じ親」の兄弟であるが故、単に生き方のアプローチが変わっただけで実際は似た者どうしと言う事なのだろう。


また更に着果不良の要因を挙げるとすれば、前途のトマト同様に「暑さ」が関係しているものと考えられ、いずれ気温が落ち着けば好転するはず。
そもそも「沖縄の夏の気温」を鑑みれば、「ゴーヤの適温」ってそんな極端に高いワケでもないでしょうからね。

人間がバテる様な暑さは作物もバテる、それもまた共通した原理と言えそうです。



そんな、ゴーヤの個性に思いを馳せつつも、重要なのは収穫出来るか否か。

毎度、一筋縄では行かない状況が続くが、果たしてドコまで行けるやら。

今は何とか出来る事を試すほか無いのであった。



では、また、CUL。