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食べ蒔き二期生レポート 10月下旬・作物の底力

先日の台風により被害を被りつつ、辛くも生育を続ける二期生。
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とは言え、実質的には前回のゴーヤを最後に、収穫物は終わりを迎えているのが実情でもある。


そんな中ではあるが、まだ生育を続けている作物が存在している以上、最後まで経過の観察だけは継続して行きたい。

何故ならば、もしかすると、そこから新たな事実が浮かび上がって来るかも知れないから。
いや、あるいは、これが新たな農法の糧になるとかならないとか…。



などとカッコつけたりなんかしてみましたが、果たして如何なる状況なのか。


では、いざ。


🌑10月下旬・作物の底力🌑

先ず畑の状況としては、完全に終了。

既に分かりきっていた事ではあるが、何ら作物など存在しておらず、今は雑草だけが生い茂るのみとなっている。


強いて何かあるとすれば、直播きしていた「観賞用のカボチャ」が開花している程度。
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ご覧の通り、株としては数十センチ程度の大きさしか無く、本当に花が咲いたと言うだけの話である。
いや、今は咲いただけでも奇跡に近く、寂しかった空間に彩りを添えているとは言える。



他に何か存在しているとすれば、今期で唯一、まともに結実していたメロンが残されていたはず。


が、思い出した時には既に株はカピカピに枯れていて、今は面影すら残っていない。
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で、その果実はと言えば、いつの間にか落果していた様で、付近を探してみると地面に腐り落ちている所を発見。
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上の画像は、試しに切開してみた時のもの。

その表皮は既に黒ずんでいた上、無数のダンゴムシやワラジムシが群がりボロクソに食い散らかしていたのだが、あまりにグロかったので画像は自粛した次第。


もう少し詳しく観察してみると、それなりにタネは発達している様子。
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しかし、実際に触ってみると潰れやすい感触で、どうやら中身がスカスカな模様。
これでは次期に蒔いても意味が無さそうである。



それでも少し意外だったのは、なにげにメロン特有の香りが強かった点である。

この果実自体はソフトボール大のミニサイズであり、しかも未熟気味であったので食用には適さないだろうと思い放置していた経緯があった。


しかし今回、やけに中身がジューシーで香りも立っていた事を思えば、案外、食べられない事も無かったのかも知れない。
その意味では、やはりメロンは果実のサイズよりも「熟成期間」の方にウェイトを置いた方が、食味のクオリティが確保出来る様になるのだろう。

この観測結果は昨年度のメロンでも確認済みではあるが、改めて栽培時の重要ポイントとして押さえておきたい部分である。



いずれにせよ、これにてメロンは終了。


今期は最初から最後まで上手く行かず、良いところを見せれず仕舞いに終わってしまったが、それとて「タネの鮮度が重要」と言うフィードバックを得る事だけは出来た。

この結果を糧に、次回に活かしたい所。
本当にお疲れ様でした。



その一方、健気に生育を続けているのが、この「直播きトマト」。
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気候的にも夜間の冷え込みが進み、株の根本あたりから幾分か変色や枯れが出始めてはいるが、開花と結実だけは続いている。


とは言え、通常より樹勢が足りない点については如何ともし難いのが実情。
こうして脇芽も生えては来るが、昨年度に比べれば些か短く小さい。
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また、今期の果実はミニトマトより更に小さい小粒サイズが中心で、いわば「ミニプチトマト」みたいな状態。
この時点で、一定より大きくなる個体では無い事がハッキリする。


まぁ、それでも実らないよりは遥かにマシなのが切ない所。
今期の貧果を思えば、よく出来ている方である。



課題としては今後、どれだけ成熟させられるか。

昨年度は11月中旬~下旬頃に最後のピークを迎えたが、それも全ては天気や気候次第と言った感じになるだろう。



ちなみに、初期に育苗していた「貧弱な株」の方も、台風で倒されてから生育が続いていた。
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だが、ご覧の通り既に自立する力は無く、今は「地這い」みたいな状態。
と言うか、そもそも背丈が低いし柔らかいしで、支柱を立てる意味が殆ど無いのだ。


それでも一応は開花し結実までするのだけど、それら全てが小さく、仮に赤く成熟したとしても結果的に落果している。
何でか分からないが、まるで干しブドウみたいに表皮がシワシワである。
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この果実は上の「直播きトマト」より更に小さく、まさにブドウのデラウェアみたいなサイズ。
正直、あまり食べられそうな気がせず、やはり今では「飾り」みたいな存在である。



このトマトで改めて興味深い点があるとすれば、いくら背丈が低く虚弱体質であったとしても、一応は開花し結実する点だろう。
その意味ではゴーヤと同じく、トマトも「原始的な性質」を種の根源に備えているものと考えられる。

逆に言えば、それだけ不利な状況でも遺伝子を残そうとする力が種族として備わっていている以上、本来は雑草並の生命力を持っていると言う事でもある。


だとすれば、その生育環境さえ合っていれば、あとは勝手に生えて勝手に繁殖する事も不可能ではないはず。
大体、元を辿れば「雑草みたいなもの」だったからこそ、生き残って来た訳ですからね。


これまで何度も述べている事だが、その生命力を「高い精度で再現出来るタネを持つ品種」が判るか現れさえすれば、誰でも簡単に手間が少なく育てられる可能性も高まる。

希望的観測としては、これら食べ蒔きや実生栽培を続けるうちに、その再現力を持つ品種が現れるのでは無いかと考えている。
いわば「種の保存」と言う生命の原理に従うならば、数多のタネを試行して行く中から「それが可能になるヤツ」が出てくるはずなのだ。

これもまだまだ、検証の価値がありそうだ。



ほんで最後は当然、ゴーヤの話に。


こちらは10月中旬の収穫を最後に終了を迎えて以降、更に枯れが進み、大分部の枝葉が変色して来ている。
※ゴーヤは御近所との兼合いで全体を写せないので、部分的に撮影しております。
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青々と繁り、芳しさを放っていた頃はいずこ。


ツルによっては、だいぶ乾燥している。
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前回となる10月中旬までは新芽が出て開花もしていたが、流石に下旬ともなるとパタリと停止。
夜間気温が一気に下がり寒さが増すにつれ、その生命活動も終わりを迎えつつある事が解る。



その前回の最後で紹介した「直播きゴーヤ」の方も、いつの間にか地面に垂れ下がっていた。
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前回まではトマトに絡んで生育していたが、一番遅く発芽した分だけ青みを残しているとは言え、さすがにコチラも体力的に厳しくなりつつある様だ。



そんな最中でも、ギリギリ結実していた果実がチラホラ。
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とは言え、その全てはミニマムサイズで成長を停止しており、今は飾りとしてブラ下がっているのみ。


また、一番大きいサイズであっても、せいぜい十数センチで「オクラ」に毛が生えた程度。
当然、収穫した所でどうしよ…と言った具合。
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中には、既に「機能停止」した果実もあり、日毎にダンゴムシ達に噛られてはボロボロになり、乾燥が進んでいたりする。
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このゴーヤの食害に関しては、「株の生命力」と「昆虫」との間で密接なパワーバランスが存在する事が、これまでの観察により判明している。


簡単に当プロジェクト内で例示すると、まず苗の頃や定植したての段階では枝葉が若すぎて「抵抗力」が足りず、ダンゴムシなどに食べられ放題となってしまい、最悪は丸ハゲにされてしまう事さえあった。

だが、このゴーヤが「旬」を迎え、その樹勢が「全盛期」に達し、そして「開花と結実」のラッシュにある様な段階に際しては、全くと言って良いほど被害を受けていなかった。
即ち、病害虫を寄せ付けないほどの生命力と免疫力が、それだけ発揮される状態となったのだ。


逆に、全盛期が過ぎた頃の余韻にある時、例えばこの記事中では再びダンゴムシに果実や枝葉を噛られたり。
あるいは、一度収穫が終わり一段落している時などでは、一時的な栄養不足で急に枯れが発生したりする様になる。


この現象を鑑みるに、如何に「全盛期」に合わせて結実させ、その勢いを収穫期まで維持出来るかが非常に重要なポイントとなるかが解る。
また当然、栽培にあたり「適切な時期と環境」に合わせなければ本来のパフォーマンスが発揮されない事も、これまでに述べた通り。

でなければ、成熟する前に病害虫にボロクソにされかねないし、そうなると連動して果実のクオリティも下がる事に繋がってしまう。

この「気候と環境」、「生育と旬」、そして「タネの生命力」などが複合的に合わさる事で、本当の意味で作物は育つ事が可能になるのだ。


言えば当たり前の話だが、これが思いのほか難しい事であるのも、当プロジェクトを通して実感される部分。
やはり農業ってゴイスーである。



しかしながら、だからこそ、やはり作物と言うのは本来、その防衛力を「自主的に発揮する能力」が備わっているのだと理解できる所。
そう、何かしらブレイクスルー出来れば、「それを再現」出来るはずなのだ。

あえて言えば、農家の高齢化、後継者不足が話題となる昨今にあっては、何かと「丸投げ」にばかりしていられないだろうし、これまで責任転嫁し過ぎていた部分は否めない。
それを補う意味で、どうにかアイデアやフィードバックだけでも皆でカバーし合える形があって良いはず。


その解決策の一つとして、やはり、これからの時代には「自主的に育つ力」のある品種、あるいは上で触れた「それが可能なヤツ」が現れる事こそ、先の農業のカギを握る事になるのかも知れない。



などと偉そうなゴタクを並べてみましたが、何にせよ今期の成績ではイマイチ説得力を欠く。

そんな自分の事は棚の上のポニョ状態である当プロジェクトですが、もう暫くは経過観察を続けて参ります。



では、また、CUL。