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食べ蒔き二期生レポート 11月中旬・生育限界はどこだ

前回10下旬から飛んで、今回は11月中旬の様子。
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何故飛ばしたかと言えば、例のごとく特にトピックらしい出来事が無かったからであります。



まぁ、何ら派手な動きなど無かったとしても、それとて全くの無意味では無く、観察をして行く間にも些細な変化を感じるし、そこから新たな閃きだって得るもの。

いわば生えているうちは全てが勉強みたいなもので、何も無いなら何も無いなりに何かを得ておきたいからこそ、何は無くとも記録だけはつけておこうかなと。
そんなスタンスで記しているので御座います。



さて、この文中で何回「何」と「無」と言う漢字が出て来たでしょうか?


などと無駄な脳トレを挟みつつ、如何なる状況なのか。


では、いざ。


🌑11月中旬・生育限界はどこだ🌑

既に畑のウリ科は終了しており、現段階では雑草が繁るのみ。
強いて言えば、それら作物の根が植わっているだけで、株の名残りが地表に顔を出している程度である。



その様な現状で生育を続けているのが、例のトマトたち。
昨年度と全く同じく、この時期まで生き残る展開となった。
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とりあえず「直播きトマト」の方は開花を継続していて、一定の結実率を維持している。
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昨年度と比較すれば数量的に及ぶべくも無いにせよ、こうして実りを迎えた姿を間近に感じられるのは、まさしく家庭菜園の醍醐味と言えましょう。
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相変わらずヒョロ長い株なので頼り無さげではあるが、それでも生命力を発揮せんとする姿に妙なガッツと言うか、作物の潜在力を感じるところ。
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脇芽も青く、まだ元気そうだ。
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一応、「初期にポットで育苗していた方」も、辛うじて生存している。
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ただ、コチラはもはや自立するほどの力は残されておらず、また支柱立てした所で焼け石に水
前回の時点で、まともに実を付ける個体でない事は確定している。

そんな今は余計な手を加えず、静かな余生を過ごさせている状況である。



しかしながら、生育しているとは言え、既にかなり時期遅れ感は否めないのが実情。
仮に株は元気だとしても、このまま低気温に晒されていては果実の成熟など難しいものとなろう。

事実、昨年度は12月下旬で実質的な生育限界を迎えており、それまでに結実していた果実の成熟に間に合わなかった経緯がある。

この前例を鑑みれば、ハッキリ言って今後の収穫には期待を持てそうにない。



ちなみに、この果実の成熟に関して、昨年度のメロンとスイカにおいて「積算温度」が重要になると記した事がある。


例えばメロン・スイカの場合、結実(受粉)してからの気温が「およそ合計1000℃前後」に達する頃合いが成熟の目安とされているそうで、これは即ち、収穫するまでに相応の日照時間を必要とする事も意味している。

要するに、陽射しを沢山浴びて暖かさを規定水準まで「チャージ」しないと、果実は成熟しきらないのだ。


個人的には、同じ夏野菜であるトマトにも同様の生育条件が適用されると考えていて、こと路地栽培においては長い日照時間と適度な気温が重要になると結論づけている。

実際、トマトの成熟期間は長く、赤く色付くまで相当待たされる印象が強い。
特に昨年度の晩秋以降は成熟が一気に遅まり、せっかく結実した大量の果実もボトボト落果して行き、結局収穫出来ずじまいに終わっていた。

また、前途した成熟までの積算温度「合計1000℃」を適用した場合、秋の日中平均気温が20℃前後と仮定するとして、最低でも50日以上は必要となる計算となり、この時期における成熟スピードの遅さとも符合してくる。



上記を参考とするに、やはり早い時期から開花する様に生育させておき、結実したら出来うる限り長く日照時間を確保する事が必須なのだと再認識するところ。


言えば当たり前の話であるが、自然の気候に依存する栽培では、この影響が殊更に強く出てしまうからこそ、余計に「雑草のごとく生命力溢れるヤツ」が必要なのではないかなぁと思う部分ではある。
何しろ「ビニールハウスでしか育たないデリケートなヤツ」ばかりでは、ますます生育条件がシビアに狭まる事になりますからね。


いずれにせよ、あとはどれだけ日照時間を稼げるかが焦点になるのだが、既に冬の気配も漂う最中だけに、かなり厳しい展開が予想される昨今である。



その一方、前回までに終了しているはずのゴーヤであるが、まだ経過観察だけは継続していた。


が、当然のごとく更に枯れが進行しており、現状では全体の8~9割がた枯れている状態。
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強いて言えば、根回りから数十センチの範囲だけ青味が残されていて、「生命活動は完全には停止していない」と表現しうる様相である。



でもって、この時点までに残されていた、と言うか残していた果実がコレだったりして。
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と言っても、全長10cm強なので収穫するにも食用にも向かないサイズ感なのだけど、今時期まで果実が残されているのは、案外記録モノと考えられなくもなく。

その実の張り具合いからして、ここまで全体が枯れていても果実だけは限界まで養分を供給していたであろう様子が伺える。



実のところ、この果実は10月中旬に行った最後の収穫の直後(と言うか前後)に結実を確認したもの。
しかし、今の気候からして恐らくこれ以上の成長は望めそうにないのも現実。
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その意味で、本来ならコレも「優先順位の高い果実」だったと考えられるし、それこそ全盛期や10月までであれば再び成熟するまでイケた可能性は高い。

あともう一歩、結実が早ければなぁ~。


まぁ、せっかく残っているのだし、何となく勿体ない気がしたので、このまま最期まで切り取らずに放置してみる事に。



ただ、この様に青味を残した果実はコレ1個のみであり、前回までに載せた他の「小さい未熟果」は軒並み乾燥しきっていた。
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うーん、もはやドライフルーツを越えて、ドライフラワーの如くパリパリ。
あるいは、インスタントラーメンのフリーズドライされた野菜みたいな質感である。


まぁ、本来なら、これが「時期相応」の姿なのだろう。
昨年度との結果とも併せて考えれば、ゴーヤの実質的な生育限界と言うか収穫可能ラインとしては「10月中旬~ギリギリ下旬まで」と言った所になる様だ。

無論、このラインは品種ごとに、そして時々の気候により前後するであろう事は言うまでもない。



ちなみに下の画像は、先述した10月中旬の記事でも触れた「今期もっとも遅く発芽した直播きの株」。
あれから地味に生育を続け、辛うじて水分も残していた。
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ただ、まだ青みが残されている状態とは言え、日ごとに枝葉も落ちて来て、だいぶハゲてしまっている。
さすがに限界は間近となろう。

まぁ、元々が貧弱な個体だった事を鑑みれば、むしろこの時期までよく頑張ってくれた方である事は間違いない。



かくして全体像を俯瞰すれば、その「根回りには青味が残されている」と先述した様に、いまだ水分を保持している部分がある事は特筆すべきポイントかも知れない。

もしや上手く行けば、その根だけを暖かな場所に移植すれば、また生えてくるんじゃないか。
そう思わせるほどの生命力だけは感じられるからだ。


実際、昨年度を例にすると、他の夏野菜であるカボチャやメロンは10月ごろまでに「根を含めて完全終了」を迎えていたが、ゴーヤだけは11月中旬まで根が生きていた。
しかも、何ら病害虫の被害も受けずに、である。

その意味で、これまで何度も述べている様に、ゴーヤは野性的な性質を色濃く残していて、他のウリ科作物より圧倒的に「生存する為の機能」が強く働いているのだろうと推察される所。


この事から前出のトマト同様、どんな作物も本来ならこれ位のタフさと言うか、限界まで生存する為の底力を持っていて然るべきなんじゃないかなぁと思わずにはいられない。
だって、その方が栽培に関する無駄に神経質な管理や手間だって少なくて済むし、更に言えば、その分だけ場所や時期にも対応の幅が広くもなる訳ですからね。

今期にしても、それら元々強い品種であれば成長率、結実率、そして収穫量と、結果そのものが変わっていたのかも知れないですし。


そんな当プロジェクトでの栽培を通じて、現代の作物が抱えているであろう生育限界の課題、そして原種との対比構造が浮き彫りとなるのでした。



てな具合いで、本格的な終了体制に入りつつある二期生。


果たしてどこまで続くやら、観察を続けて参ります。



では、また、CUL。