CULrides カルライズ

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超自己流メンテナンス術・作業用グローブを廃材のスニーカーで補強してみた話

出れぬなら、出れるまで待とう、自粛期間。



などと戯れ言を宣いたくもなる情勢でありますが、家で過ごす時間が長くなった分、この機に片付けを進めている方や、日曜大工などで家のメンテに着手している方も居られる事でしょう。

その中には、電動ドリルを始めとした工具から、スコップやらクワやら、あるいは庭木の剪定にノコギリやハサミなど、ハードなアイテムが使われるシーンも多いはず。



そんな作業を行う時に重宝するのが、革手袋などグローブの類いな訳ですが、これがDIYにハマるうち段々と拘りが出てくる所でもあります。


僕も例に漏れず、過去にバイクを嗜んでいた事もあって、かれこれ十数年ほどメカニクスのグローブを愛用していたりする。
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これはツーリングや整備はもちろん、各種工作の時に欠かせない愛用品として、これまで幾つか使い潰したりで随分お世話になってきた。
しなやかで手の馴染みが良く、力加減に微調整が利くのが特徴である。



しかし、このグローブには一つ弱点があって、それは「摩擦により手の平の革に穴が開きやすい」事だったりする。
しかも、ノコギリみたいに強く握って反復運動させたりすると結構に消耗が早くなり、気付くと擦り切れているパターンが度々である。


それが発生しそうな兆候があれば、下記画像の様に指先や接触面を接着剤でコーティングして補強を加えている。
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だが、それでも完全に防ぎきれる訳ではなく、同じく画像の小指周りなど思わぬ所からホツレて来たり、コーティングした所が薄くなってしまう事もある。



まぁ、所詮グローブなんてのは消耗品な訳で、破れたら捨てれば良いだけの話ではあるが、個人的には何度でも洗濯して長く使いたいと考えているし、そうやって持たせてきたアイテムも多い。
ましてや、お気に入りだったり、ちょっと珍しいモデルなんかだと勿体無く感じるもの。

となれば、やはり実用強度を高める補強を、今風に横文字で言うところのリインフォースメント(reinforcement)が必要となろう。



そこで今回は、長持ちさせる為に試してみた手法と、その実践例を記してみようかなと。

前置きはここまでにして、さっそく作業手順を説明して行きしょう。



先ず事前準備として、グローブの「補強材」を確保するにあたり用意したのは使用済みのスニーカー。
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ご存じVANSのオールドスクールであるが、もはや何で家にあるのか謎のズタボロ加減。
ハッキリ言えばゴミ同然、いや既に破棄済みであって当然の姿である。


実はコレ、だいぶ以前にも紹介した事がある。
culrides.hatenablog.com

まだ持ってたんかい!?と言ったツッコミは無きにしもあらずだが、今この時になって再び出番が回って来るのだから捨てたもんじゃない。

とりあえず保管中のホコリを落とすため、改めて作業前に丸洗いして乾かしておく事に。



でもって、使う部分は爪先とカカトのスエード。
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まさに、革には革を。
つまり、ここを切り出して使っちゃおうって話なんですよ奥さん。


まぁ、補強材にするだけならキャンバス地でも何でもいいんでしょうが、たまたまグローブと似たような素材のスニーカーが手近にあっただけの事。
しかもクタクタに履き潰したお陰で、程よくしなやかな質感になっているのも好材料である。
逆に、綺麗すぎると硬くて加工が難しいかも知れません。



ここから補強材に使うスエードを取り出す。
カカトはハサミが入らないので、カッターを使って縫い目から切除する。
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コツとしては、スエードと下地(裏地)の隙間に刃を滑り込ませる様に、縫い目を一つ一つ丁寧に削ぐ感じで、ゆっくり急がず切り離す。
切りにくい時も力を込めすぎず、勢い余って手指を切らない様に注意。

つま先側はハサミを使って切除したが、結構固く切りにくい箇所もあるので頑丈な洋裁用がお勧め。
また、端っこはソールと接着(溶着)されているので、剥がせなければ放置で。

切除に成功したら、縫い目に残った糸クズや接着剤を除去しておこう。



かくして、左右からスエードのみ大まかに取り出したものがコチラ。
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いささか絵面がプリングルズ風ですが、ここから更に細かくパーツ毎に補強材を切り出して行きます。



お次はグローブの手の平や指の腹など、実際にグリップする箇所を割り出し、その部分の面積に合わせてスエードを切り分ける。
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この時、グローブを装着した状態で指の曲げ具合を観察し、補強材を合わせたい位置と範囲をペンなどで囲い印を付けておくと、大きさや形の見当がつきやすくなり、貼り付ける際の目安にもなります。

また、切り出したパーツは、それぞれマスキングテープでなどで軽く仮止め(剥がす時に革まで剥げるのでベッタリ貼らないよう注意)しつつ、握り心地を確認しながら大きさを微調整して行けば完成度が高まるでしょう。


ちなみに、間接部に干渉すると指が曲げ伸ばしし難くなるので、貼り付け位置は慎重に決めよう。
もし補強材に使う革が厚い場合や、道具の操作性を重視する場合は、若干小さめに切った方が良いかと思います。



パーツの切り出しと大きさの調整、位置決めが完了したら、補強材の接着作業に移行。


今回、用意した接着剤はセメダインスーパーXと速乾ボンドGクリヤーの二種類。
これらを部位ごとに使い分けてみた。
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本来、接着からコーティングまでの全てをスーパーXで賄う方が接着後の柔軟性や耐久性も高いのだが、使用量を節約したいのでGクリヤーを併用。

その主な使い分けとしては、Gクリヤーを「革同士の接着」に、スーパーXは「革表面や手の平の滑り止めコーティング」にと言う具合である。


一つ注意点として、Gクリヤーを革表面のコーティングに使用した場合、例えば塗布した手の平同士を合わせた状態で保管したり、あるいは接着面がプラスチック製品(布などの繊維でも)に触れた状態で長時間置いてしまうと、化学反応?でガチガチに溶着してしまう事があります。

そうなると簡単には剥がせなくなり、下手するとビリビリに破けてしまうので、補強した意味が無くなってしまう。
とにかく、極力表面への塗布は避けた方が無難。

実際に補強材を貼り付ける際も、接着剤がハミ出ない様に量を調節しながら、薄くムラ無く素早く塗布するのがコツです。



でもって、全ての補強材を貼り付けた完成図がコチラである。
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この最終的な仕上げとして、例えばグリップ力を増したい場合は革の表面に、また補強材の接着が甘く隙間が開いた箇所などにスーパーXを塗布すればパーフェクト。
スーパーXは溶着が発生しにくいので、こういった「外側」に出てる面の補強に最適です。



ここまですれば、耐久性が格段に上がるはず。


試しに竹ボウキや雪かき用のスコップを握ってみた所、スエードが厚手なので多少ゴワついているが、接触面の「守られてる感」は上々。
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長く使える分だけ、更に愛着も湧く事でしょう。



さて、簡単に日用品をロングライフ化させるアイデアと方法を綴って参りましたが、その材料として身の回りにある不要品が思わぬ形で活用出来ました。

その意味では案外、ゴミとされている物は工夫次第で何かしら使える資源になるし、組み合わせ次第でモノの耐用期間が飛躍的にアップする可能性が示唆された様でもあります。


これ以外にも様々な方法が考えられますので、この自粛期間中に色々とアイデアや構想を練ってみては如何でしょう。

整理が捗る勢いで断捨離する前に、一度「もしやコレはアレに転用出来るのでは?」と検証してみる価値はアリですよ。





で、補強材の提供を終えたオールドスクールは…。


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捨てずに取っとくべきか否か、まだ手元にあると言う。


VANSさん、そろそろ何か下さ(略




では、また、CUL。