CULrides カルライズ

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食べ蒔き三期生ダイジェスト 8月上旬後編・再生ジャガイモ収穫

前編に引き続き、8月上旬の話。
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この後編では、今期の初収穫物となったジャガイモに触れて参りましょう。



さて、遡ること数か月前。


今年2020年の初頭に生ゴミとして出た「ジャガイモの皮」を土に埋めたら、それが知らぬ間に発芽していた事を5月の記事に記していた。
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その後、地味に生育を続け、6月頃には立派な葉が出て作物らしい姿に。
※この時の画像は昆虫のみだが、スクスクと成長していました。
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やがて7月には青々と枝葉が繁り、外観上では結構な大きさに変貌を遂げる。
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それを経て、この8月に入り新たな変化が。



梅雨明けから急激に日照時間が伸びたのと連動して、土壌の乾燥が一気に進行。
これが影響してか、今度は枯れた部分が出始める。
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それは日を追う毎に進行し、8月も一週間が経つ頃には全体が枯れ模様に。
本当に、あっと言う間の出来事である。
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もしやと思い調べてみると、ジャガイモ収穫の目安として「株の全体が枯れる頃」と言うのが一般的らしい事が判明。
と言う訳で、その内の一本を試しに掘り出してみる事に。



ほんで先ず出て来たのが、この2個。
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大きい方のサイズは概ね全長10cmくらい。

元々の品種より随分と矮小化している為、その小粒感は否めないものの、外観上は至って綺麗な形のジャガイモであり、売っているものと差異は感じられない。


ただ、その内の一個には虫食いらしき痕があり、ちと残念。
もうちょい早く収穫しておけば良かったかな。
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試しに割って、断面を観察してみる。
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中身に空洞やシミなどは無く、ミッチリ詰まっているし水分も浮き出て来る。
とても綺麗で滑らかな肉質だ。

また、「新ジャガは皮が柔らかい」と言われている通り、ちょっと力を込めて割っただけで皮ごとズル剥けた。
取り扱いは優しくジェントルにって感じ。


ちなみに、同じ株にウズラの卵くらいの極小サイズも混じっていたが、これは食用には小さすぎてノーカンとした。
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虫食いイモについても、何となく食用や種イモに向かなそうな気がしたので今回は埋め戻してある。



この後日、更にパサパサに乾燥が進んだ残りの株も引き抜いてみた。
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して、出て来たのがコチラの4個。
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サイズ自体は先述のと大差ないが、思いのほか数が纏まった。


と言うか、最初は表土を払いつつゆっくり引き抜いたつもりが、その時は2個しか付いていなかった。
しかし、引き抜く途中で「ブチブチッ」と何かが千切れる感触があったので、もしやと思い周辺の土をホジくってみたら、もう2つ出て来たみたいな。
危うく土中に放置する所であった。



これらも全体的に良好な質感をしており、何ら異常も無い。
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強いて言えば、何故かコレだけ先端がクビレていてアレっぽいと言うか、一体、土の中で何があってこの形になったのだろうか。

太さや長さ、硬さ、そして反り具合いも似ている。

そうショウガに。



そして最後に、この「再生ジャガイモの脇芽を挿し木にした株」も現在まで生存している。
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コチラは単純に、「芽かきした脇芽」をそのまま土へ直接挿しただけなのだが、それでも生育している点からして、思いのほか生命力が強い様子である。



とりあえず引き抜いてみると。
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な、なんじゃコリャ。
まるでBB弾サイズだ。


多分、コレが恐らくは文字通り「種イモ」と言うか、ここから膨らんで来るであろう事は想像がつく。
だが、どちらにせよ食用に出来るほどの大きさまで成熟しそうかと問われれば、否であろう。



試しにネットで調べてみると、「ジャガイモの脇芽も挿し木には出来るし収穫まで可能」ではあるらしいのだけど、今回の結果では上手く成熟まで行かず失敗した事になる。

ただ、実際は上手く行った事例がある以上、結局は「やり方次第」であるとか、「季節」などとの兼合いなんかで成否が分れてくるものなのかも知れない。


何にせよ、トマトと同じく脇芽にも実は役割りみたいのがあって、一見ムダそうでも「それが生える理由」があるはず。

たとえ芽かきされた要らない部位であろうと、そこから更に成長させ収量アップも望めるのだとすれば、やる価値はあるし、棄てずに活かすのも選択肢としてはアリかなと思います。



さて、今回収穫された再生ジャガイモ達は、それぞれカレーやスープの具材として食される事となる。

特に画像は無いけど、 いずれもネットリかつホックリとした食感と甘さがあり、元のジャガイモと何ら遜色の無い食味を実現。
それこそ、何も言われなければ「皮から再生したヤツ」とは気付かれないクオリティであった。



この一連の検証から、ジャガイモは「皮から再生させて、育てて、収穫して、食べる所まで可能」である事が明らかとなった。

ただし、皮から再生する確率は低い傾向にあり、結構な量を使った中で、やっと今回の結果があるのも事実。
上手く条件が噛み合わないと、むしろ失敗する方が多いくらいである。


また、単に「皮だけの皮」よりも、表面がポチッと盛り上がっている様な「やや芽が出かけの皮」を厚めに切って使う方が成功率は高い傾向にあり、今回で収穫されたジャガイモも、軽く芽が出かかっていた皮が元ネタである。

それ以外の「皮だけの皮」で埋めた方については、これまで何度かチャレンジしたものの、いつの間にか消失している場合が殆どで、かなり成功率は低い様子であった。



今回の事例から成功パターンを挙げるとすれば、「芽が出かけの部分」を中心に、「やや厚めにカットされた皮」を土へ埋める方が、より確率がアップするのではないかと思われます。

これ以外にも、様々な検証結果が集まれば更に効率的な再生方法が発見されるかも知れないので、気になる方はダメモトで試しては如何かなと。




おまけシリーズ。



思いのほか成長が続いているアボカドの苗木。
コレもタネから生えた実生である。
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そんな8月上旬、葉の裏にセミの脱け殻が。
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多分、この近くの土中から這い出したのだろうけど、わざわざ植木鉢を乗り越えてアボカドに辿り着くとは。
こんな細い木でも無事に羽化できたのなら何よりである。



で、更にその下の幹にも何やら別の生命反応が…。
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と思えば、アオバハゴロモが居たりして。
セミの親戚筋が一堂に会する。
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確か春頃には、同じ苗木の新芽にアブラムシが居た記憶があるのだけど、実は彼らも分類上ではセミと近いグループなのだと言う。
※調べてみた所、正確にはカメムシ目と言う大枠の中で、セミやアブラムシ等のグループに枝分かれしているとの事。カメムシセミとアブラムシが同じ分類と言うのも驚きである。


とすると、このアボカドには何かセミの仲間を惹き付ける様な匂いが、思わずルーシーをチューチュー吸いたくなるほどの魅力があると言うの事なのだろうか。
その嗜好には謎が多いが、たった一つの苗木でも、様々な生物を養える力があるのだなぁと妙に感心したりして。


しかし、今までのところ特に被害に及びそうな変化は一切なく、虫も苗も元気にやっているので、駆除などの処置は一切施していないし、その必要も無いものと考えている。
むしろ健康な植物ならば、多少の虫が集ったくらいで簡単に枯れたりはしないだろう。



「汁を吸われた所で痛くも痒くもない」


サウイフヒトニワタシハナリタヒみたいな。



この小さな植木鉢に、生命の持つ逞しさを見た夏の一コマなのでした。




では、また、CUL。