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食べ蒔き三期生ダイジェスト 9月中旬~下旬・短い全盛期

9月に入って以降、やっと昼夜の気温も本格的な落ち着きを取り戻し始め、作物たちも夏バテから元気を回復させつつあった。
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そこから時間を経るにつれ、気温はさらに低下して行く事となる。
特に今回の9月中旬~下旬にかけての変化は急激で、先の台風10号が列島を掠めてからは、全国的に涼しく乾燥した気候に。


前回でも軽く触れたが、何だか今年は季節の変わり目が急すぎと言うか、いきなり前触れもなく別のシーズンに入っているかの様。
台風も殆ど接近しないし上陸もしないし、一体どうなってるやら。

ま、そのお陰で作物のダメージが少なく済むとは言えるが。



さて、肝心の作物達はと言えば、この中旬~下旬に入る頃の気温低下により「適温」へと変化した事で、全体的に今期一番の盛り上りを見せている。
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背景の雑草と同化しているが、明らかに生育のピークを迎えており、次々に枝葉が成長を続けている。
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盛夏まではショボさ極まったメロンも、一気に急成長。
今、まさに花盛りだ。
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もっとも、2018年の一期生に比べれば随分と不作であるのも事実なのだが、少なくともシーズン初期のタネ蒔き~育苗期の低迷を思えば、ここまで生育しているのは奇跡と言えよう。
それを今になって挽回しようとしているのだから、植物の持つ底力は侮れないし、諦めずに世話を続けてみるものである。



とは言え、やはり全てが順調とは行かず、中には明らかに諦めざるを得ない品種や個体が幾つも散見される。


このカボチャに関しては今期で最も成長率の高い個体で、やっとこ着果が確認されるまでに至る。
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が、しかし、この果実は僅か数日で腐り落ちてしまい、結実には失敗。
この他にも細かな雌花が現れはするものの、いずれも知らぬ間に消失して行くばかりだ。



更に、上記以外の個体は、根本的に無かったも同然みたいな株ばかりで、むしろ生えている事すら不思議な状態。
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せっかく生えて来たのはいいが、そもそも矮小気味で生育にムラのある個体ばかりである。

仮に結実するとしても、受粉における「雌花・雄花ともに咲きたてフレッシュ」と言う必要条件を満たす確率が低く、タイミングがシビア過ぎて成功するのは困難。

とにかく、これまでのカボチャ以上に結実する力が弱く、正直この時点で今期は終了したも同然なのである。



更に、カボチャと同じく諦めムードなのがトマトである。
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この通り、ギリギリ何とか結実しても結果的に病気や実割れが発生してしまう。
今期で最も成長率の高い個体でコレなのだから、先が知れると言うもの。

この他にも、生育している個体数は5本ほど存在しているのに、そのいずれも開花しなかったり、開花しても着果しなかったりを繰り返している。

こうなると、もはや何の手立ても無いし、なすがままの状況である。



勿論、これらが実生であるが故に生命力も劣化している事は間違いなく、今までも生育不良にある個体を幾つか確認してきたつもりだし、この流れも想定の上ではあった。

しかし、かと言って2018年の一期生では一定量の収穫まで達成出来ていたし、外見上では自立不能なほど貧弱な個体でも幾つか結実まで成功していた。
そう振り返るに、以前と現在で一体何が違うのか判然としないし、いまだ納得が行かない部分もある。


他に濃厚な線としては、やはり連作障害が疑われる。

ただ、昨年度2019年の二期生では最初の発芽時点からして不調であった。
また、その不作な中でも今よりは遥かに成長率は高く、結実数も多かった点を踏まえれば、決定的な要因とは断定しにくい。

ましてや、今期のトマトに関してはウドン粉病も一切発生しておらず、健康状態に問題がある様でもない。
なのに、開花と結実ばかりが不調なのだ。



何故こんな事になっているのか、そのハッキリとした原因は不明であるし、あるとして様々な要因が挙がるだろう。
しかし、幾つかの品種を蒔いている中で、その全てが生育不良である事を考えると、何かしらタネの性質そのものや、気候に問題が起きていたのでは無いかと推察せざるを得ない部分もある。

この「推察される要因」については長くなるので、今後改めて考察を記事化してみる予定であります。



そんな中、生育の安定感に定評のあるゴーヤは順調。
このタイミングで、一本の収穫に成功していた。
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その食味は当然ながらウマウマ。

手前味噌かも知れないけど、何故か当プロジェクトのゴーヤは買ってきた物より美味なパターンが多い印象。
単に苦いだけでなく、何だか味の奥の方に、甘味と言うか旨味を感じられるのが特徴なのだ。


もっとも、そもそもゴーヤ自体が「簡単に栽培出来る」と評されているだけに、そんな特別な現象では無いのだろうとも思う。

殊更に、これが栽培方法や土壌環境によるものなのか、はたまたタネの性質に依存するものなのかを推察したところで、大体は上手く行くのだろうし、難しく考える程の違いも無かったりするのかも知れない。


だけど、仮に「普通の品種」よりサイズが矮小化していても味そのものには影響が無く、表面上の色ツヤと張りの質感さえ良ければ、充分なクオリティとなれるのがゴーヤの良いところ。

毎年、先述のカボチャやトマトなど他の作物が不作である中でも、この点に関しては驚くべき再現性の高さである。



その意味では、南国育ちの印象が強いゴーヤであるが、実際は様々な土地に適応する力が強い植物ではないかと考えている。

何せ、きちんとした土壌さえ整えてあげれば、何処の土地でも一定の成長率を発揮する可能性が高く、そして何より自主的に生育し結実までする。
昨今、発芽から受粉まで人手を介さないと生育しない作物が多い中で、これは特筆すべき特徴と言えるだろう。


かねがね当プロジェクトでは、「原種に近い性質を備えている作物ほど生命力や免疫力が強く」、そして「人工受粉に頼らず自ら交配し子孫を残す能力が高い」のではないかと記して来ている。
つまり、このゴーヤとは雑草だった頃の名残りであったり、原始的な性質を色濃く残しているからこそ、「生命としての基礎能力が高い作物」と言う事でもある。

そう考えれば、連作障害に強く毎年同じ場所で同じ様な樹勢で生えてくるのも、味に安定感があるのも納得の成り行きなのだ。



話を元に戻しまして、今回は他にも成熟が進んでいるゴーヤの果実があったので、初めて「摘果」を施してみた。
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上の画像にある左右の果実は同じ株に結実したものであるが、それぞれ微妙な質感の違いがある。

右の果実は普通のゴーヤらしいハリツヤがあるが、何故か左のは些か細身で 、表面の質感もパサついて色ツヤが足りない。


この違いは恐らくだが、右の方が優先的に結実した「本命」で、左のが後続で「予備」的に発生したものと考えられる。
が、とりあえず両方には養分を均等に分配出来ないので、結果的に左の予備は中途半端に成熟したままなのだろう。

要するに、この予備に養分が回っていると、本命の養分も幾らか抑えられてしまう事となる。
なので、コレはプチっともぎ取り、土へ戻す事に。



そう言えば、昨年度の二期生でも「ゴーヤが一時に養える果実の数は決まっているらしい」と記した事がある。
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ただし、それにあたり本命の果実だけでは外敵に害されたりなどで子孫を残せないリスクがある為、あえて予備を作り出しているものと推察している。
これが未熟果のまま残ったものが、間引きや摘果される訳だ。



そして上記を証明すると考えられる現象が、先の画像の中央に写っている青白く小さな果実。
これらは全て、同じ株に着果したものである。
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この様なシチュエーションで着果したての未熟果は、いつの間にか消失している事ばかりで、これまで成熟や収穫レベルにまで達する事は一度も無かった。
しかし、それを翻せば、既に本命や予備が確定的な状況でも、それらの「予備の予備」も常に作られている事を意味している。

仮に結果として使われ無かったとしても、備えあれば憂いなし。
まさにゴーヤ等の植物も様々なアプローチで、不測の事態に向けてリスクヘッジしているのかも知れない。



ちなみに、着果不良を起こす原因は他にもあり、この様な黄色く変色した果実も頻繁に観察されている。
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これまでの観測結果から、この黄色い未熟果は多分、恐らくだが「高温障害」や「体力(栄養)不足」などが考えられ、またこの二つの要因は相関関係にもある。

特に、貧弱気味な個体は外気温などの環境変化にも弱い傾向にあるため、余計に結実率が低くなる現象が確認されている。
具体的に言えば、たとえ着果してはいても、結実から成熟させるまでの体力が足りなかったり、また少し気温が上下したりなどで体調も不安定になる事で、果実も途中で生育がストップしてしまう。

つまり、根本的に虚弱体質なので暑さも苦手だし、子孫を残す力も不足しやすいのだ。



更に興味深い現象としては、今期のメインとなっているゴーヤは「実生の三世」で、これらの個体も丁度3株存在しているのだが、これらは全て同じ果実のタネから育ったのに、それぞれ微妙な個性の違いがある事。


その例として、①「成長率も結実率も高い個体」、②「成長率は高いが結実率が低い個体」、③「成長率・結実率ともに低い個体」と言った具合いで、当然ながら②と③の順番で「着果しても成熟しない」パターンや「体力不足で黄色く変色する」パターンが多くなって行く傾向にある。


上記を鑑みるに、もし「雌花が沢山あって着果するのにサッパリ成熟まで行かない」と言った症状が出ている場合、先ずゴーヤの「株ごとの個性」と、外気温や日当たりなどの「環境的な相性」を照らし合わせた上で、追肥したり保温したりで対応して行くのがベターと考えられます。


かつて2018年の一期生でも、一度枯れかかった所から、栄養補給したり余分な枝葉を剪定した結果、再び結実するまでに回復させる事が出来ましたからね。
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従って、仮に貧弱だったり、結実率が低い株であっても、その生育条件が噛み合えば復活したり化ける可能性はあるので、急いで間引きせずにジックリ世話をしてみては如何かなぁと思う次第であります。




おまけシリーズ。



この画像に写っている白っぽい葉は、「トウモロコシの皮と茎」。
これらはスーパーから貰ってきたもので、もちろん店員さんの許可を取ってから譲り受けている。
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要するに剥いた後の残骸なのだが、何となく養分を溜め込んでいそうな気がしたので肥料として利用。

よくトウモロコシのシーズンになると、皮専用のゴミ箱がパンパンに詰まっている時があるけど、アレを棄てずに再利用出来るんじゃないかと思い、過去にも投入していた事がある。


と言うか、個人的には小売店から出る野菜の皮とか鮮魚の内臓とかを集めれば、相当濃厚な肥料が出来ると思うんだが。
何で活用する方法が無いのか、いつも不思議である。
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まぁ、単なる皮ではあるし実際の効果については謎なんだけども、少なくとも「足し」にはなっているはず。

だってチリも積れば何とかって、昔誰かが言ってたもん。




では、また、CUL。