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食べ蒔き三期生ダイジェスト 10月上旬・作物の生命力から解るウドン粉病とウリバエとの相関性

前回9月までは、気温の落ち着きと同時に全盛期を迎えていた三期生。
culrides.hatenablog.com


しかし、その9月下旬頃に、そしてこの10月に入るなり台風が通過した辺りから、更なる気温低下が進む事となる。
それは例年にない急低下で、こんなに寒かったっけ?と思わせるほど劇的なものであった。

いや、少なくとも昨年や一昨年までは、あるいはここ数年来に無かったほど日中も涼しい日が続いていたのである。



その低温化が与えた影響は殊のほか大きく、一気に作物の劣化をもたらしていた。
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上の画像は、お馴染み「ゴーヤ三世」のヤグラであるが、前回までと比較して幾分か全体のボリュームが薄くなっている。


また、葉の変色も始まっており、気温が低い時に現れる黒いシミが斑模様に広がり始めている。
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その地表にしても、植物の姿そのものが消えつつあり、茶色い面積が広くなった。
もちろん、除草した雑草を地表に敷き詰めているので余計に茶色いのもあるが、それでも新たに雑草が生えるスピードは落ちている。



それぞれの作物にフォーカスすると、更に劣化の様子が判りやすく表れている。



これは地這いのメロンだが、もともと成長率の低い個体であった所に、寒気がトドメを刺す形で枯れていった。
せっかく結実していても株としては完全終了、これ以上の見込みは一切あり得ない状態。
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他のメロンも軒並み同様の状況である。
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確かに9月には全盛期を迎えてはいたし、開花と結実のラッシュにあったのも間違いない。
だが、迫る季節の変化、そして気温低下には抗えなかったのだろう。
まさに一網打尽である。



唯一の救いと言えば、ゴーヤと共にヤグラ立てしていたメロンが成熟しつつある事か。
サイズはソフトボール位。
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このメロンは今期で最も成長率が高い個体なので、それなりに順当な経過とは言える。
ただ、この大きさに達してからはサッパリ変化が無く、これ以上の増大は望めない様子。

最大の課題は食味なのだが…そこはまぁ、あまり期待せずにおいておこう。



トマトについては、他の作物に比べて寒さには強いので、いまだ新芽が出ていたり、開花している箇所もある。
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ま、これも今は「ただ生えてるだけ」みたいな状態なんだけどね。




ちなみに、今まで殆ど触れていなかったが、実は地味にスイカの株も現存していたりする。
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これは6月に直播きして、9月頃に一気に伸び出したもの。


なぜ触れなかったのかと言えば、7~8月まで全く変化らしい動きが無く、あまりに成長率が低すぎた為である。
それが今になって開花と相成る。
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もっとも、生育はしても今さら感は否めないし、まず結実するはずも無い状態である。
だけど、こうして気候の変化を察知して復活したり、他が枯れかかっている中でも青々としているころからして、本質的にはタフな植物だったりするのかも知れない。



そんな中、カボチャは寒さの影響か、ここへ来て急にウドン粉病が発生。
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この短期間で全体に広がっており、だいぶ枯れが進んでいる。
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同じく、先述したヤグラのメロンにも発生していて、やはり既に全体へ蔓延。
もはや、これによって枯れる事は不可避である。
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今期は現在に至るまでウドン粉病の症状は殆ど顕れておらず、強いて言えばカボチャで僅かにポツポツ出ていた程度で、他のメロンなどのウリ科では皆無であった。
なのに、気候が暖かく元気だった頃には症状が出ていなかったのが、この9~10月に寒気が降りてからカボチャとメロンで一気に症状が顕れている。

これは即ち、気温低下によって体力も低下した事で、免疫力による抵抗力を失ったために発症したものと考えられる。



そう言えば以前にも、このウドン粉に纏わる記事を書いた事がある。
culrides.hatenablog.com

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記事の内容を要約すると、「色々と有機物を投入して様々な生物が連鎖的に生息すれば、それらがウドン粉を食べて消化したり競合したりして蔓延を防げるかも知れない」と言った話になる。


だが、今回の経過から言えば、いくら土作りをしたとて必ずしも「根絶」には至らないし、基本的に薬剤などを使わず自然任せである以上、土壌に残り続けるのは必定。

結局のところ、土壌に細菌類が居るのは普通な事であって、発症する時は発症する。
身も蓋も無いが、自然が自然である限り、本質的に避けようも無いのが現実なのだろう。



ちなみに、もともとカボチャがウドン粉を発症しやすいのに対して、その他のウリ科は何故か発症しにくい様子であった。


この現象については一期生でも既に判明していて、やはり以前に軽く触れた事がある。
culrides.hatenablog.com

上の記事から解るのが、このウドン粉病の発症とウリバエの被害の遭いやすさには相関性があって、ズバリ「作物の免疫力が高ければ病害虫にも強くなる」と言う事実である。


いや、超当たり前過ぎて何を今さらな話ではあるが、「それが出来なくなっているらしい」のが今の作物の最大のデメリットとなっている。
これを拡大解釈すれば、自らの子孫を残せなくなり絶滅するリスクと表裏一体の危うさをも孕んでいたりする。

つまる所、本質的な意味でカボチャやメロンをウドン粉病やウリバエの被害に遭い難くする為には、ゴーヤやスイカ並みの免疫力が必要なのではないか。
その力を目覚めさせられるか否かで、今後の自然派農法の正否をも左右する事になるやも知れない。

この様に考えられるのだ。


個人的には、これらの現象が今後の人類と世界を予測する上でも、かなり示唆的なものになると思っているので、また改めて記事化する予定である。



さて、そんなパッとしない話ばかり続く中、ここに来て計3本のゴーヤの収穫に成功。
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それぞれ1ヶあたり平均50~70gほどで、計170gくらい。
これら全部合わせて普通の一本分といったボリューム。

しかし、たかが小さいの3本と言えど、今期の厳しい状況を思えば御の字の成績である。


して、そのルックスこそ小さいが、相変わらず食味はグッド。
安定と安心のクオリティを実現しておりました。

ごちそうさまであります。



さて、例年に無い気温変化により、急激に厳しさを増している今期。
メロンなんかは、もうちょい先まで粘れそうかと思ったが、結果的に終了確定。

これがもう少し、昨年度くらいに気温が高めに安定していれば経過が変わっていた可能性は無きにしもあらずだが、それもタラレバ。

今はただ、この気候の中で何が起きていて、何が出来て、そしてどうなって行くのか、観察を続けて行くだけなのです。




おまけシリーズ。




気温が落ち着いた頃合いから勢いを増しているのが、皆様ご存じウリ映えである。
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盛夏まではチラホラ程度であったが、先月9月に入るなり急に個体数が増加。
特にカボチャの花がお気に入りな様で、群がって食している。

まぁ、この期に及んで作物に与える影響も無さそうなので、今は放置している。



更に、今期はクロウリハムシも頻繁に現れる。
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基本的に普通のウリバエより遥かに個体数は少なく、ある意味で少数派みたいな存在なのだが、今年はあちこちで飛んでいる姿を確認している。
もしかしたら当たり年みたいな感じなのか。



そしてトドメに、クロウリバエの画像の左上に、何やら緑に輝く生き物が…。


と思えば、アオドウガネだったりで。
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彼らがカボチャの花を食べてる所なんて初めて見たよ。
体に花粉が付着している所からして、相当奥まで体を突っ込んでいたであろう様子が伺われる。
食いしん坊万歳。

しかしウリバエといい、毎度ズタボロになるまで食われるカボチャの花って、かなり栄養価が高いのかも知れない。


と思って調べたら、カボチャの花を使った料理のレシピやレビューが多数存在する事が判明。
皆考える事は同じと言うか、行き着く所は同じなのか。

結局、人間が美味いと思うものは他の生物にとっても美味く、逆もまた然り。
これ全く不変の真理なのでありましょう。




では、また、CUL。