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食べ蒔き三期生ダイジェスト 11月下旬・粘るゴーヤと色付くトマト

前回の11月上旬から間があき、今回は下旬の話。
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寒気が降りていた上旬頃とは少し変わって、この数週間は平年より暖かな日が続いており、大きな変化があった訳では無い。
実際、この時の天気予報でも、「今冬は暖冬の傾向ではないか」との予測が出ていたほどである。



しかし、緩かでも気温が低下しているのは事実。
枯れるペースも徐々に、そして確かに進行していた。
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上の画像は、毎度お馴染み「ゴーヤ三世」のヤグラであるが、11月の最終週には全体の90%以上が枯れてスッカスカ。
地表も随分とスペースが広くなっていたりと、植物そのものにとって厳しいシーズンの到来である。



そんな中にあっても、まだまだゴーヤは生きていた。


先端部だけ青味を残しながらも、ツルは支柱に巻き付いているし、蕾も出ている。
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しかも、株によっては新芽が伸びていたり、雌花が着果していたりもする。
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当然ながら、仮に結実はしていても、既に生育限界を越えている現状では収穫ラインまで達する事は有り得ず、今は単なる飾りものとしてブラ下がっているだけである。
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だが、ここで冷静に考えてみると、今期のゴーヤ三世は当プロジェクトで栽培したゴーヤの中で一番長持ちしている事に気付く。

これまでの一期生と二期生では、概ね10月中旬~下旬には全ての株が枯れ尽くして終了を迎えていた。
他の農園などでも、通常は10月中には抜き取って処理してしまうか、残っていてもカピカピに乾いて実質的には終わっている事が通常であろう。

それを大幅に越えて、今期は11月下旬まで生き残るド根性のクソ粘りっぷり。
これは結構、特筆してもよい現象なのではなかろうか。


このゴーヤ三世が長寿化した理由としては、かねてより「同じ土地で世代を重ねた事によって、その土壌に馴染んだ性質になったからではないか?」と推察していた。

ここで言う土壌とは他にも気候的な要素も含むのだが、もし本当に今の場所に適応しているのだとすれば、他のゴーヤ二世に比べて遥かに樹勢が強かったり、ここまで持った事にも納得がいく。

さらに、冒頭で述べた様に11月中旬~下旬あたりは比較的暖かな日が続いていたのだが、それでも夜間は平年並みに寒かった。
また、昨年度は昼夜を通して平均気温が高かった記憶があるのだが、それに比べれば今年の方が低い印象である。
つまり、今までより厳しい環境下で、更にライフサイクルが延びている訳だ。



だとすれば、今回の現象を拡大解釈してみた場合、「更に世代を重ねて更に適応した品種」となる可能性がある、と言う事でもある。

しかも、それによって耐寒性をもつ個体が現れたりすれば、今より季節が深まったシーズンでも収穫できたり、露地栽培のシーズンが延長されたりなどで、ビニールハウスのコスト削減にも繋がるかも知れない。
あるいは、「早生」と「晩生」で使い分けて収量アップを図る、なんて事も不可能では無いだろう。


まぁ、上記は単なる予測の域を出ない話ではあるが、一応、今期に収穫された果実のタネで実験しようとしている所なので、いつの日か結果が出るや否や期待せず待つ事にしよう。
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しつこい様だが、現状のゴーヤ三世は生えているだけに過ぎず、収穫など望むべくもないのが現実。

ただ、少なくとも「11月下旬までは生育していた」と言う点に関しては、今後の食べ蒔きや実生栽培における新たな希望を示しているんでは無いかなぁ、などと思ったりなんかするのでした。



そんなゴーヤ三世に続いて、コチラのミニトマトマンも見事な粘りっぷりを発揮中。


この下旬に入り、じんわり赤く色付いて来ていた。
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まだ色味は薄いが、久々に成熟しそうな姿に感動。
実のハリツヤもパツンパツンのピッチピチである。


昨年度の二期生では実質的に1個しか収穫されなかったが、今回は複数イケるかどうか。
もうすぐ12月に入るタイミングであるし、これから更なる気温低下に晒されれば、一気に連鎖的に落果してしまうリスクが増してしまう。

今まさに正念場と言った所なのだ。



更に、他の株にも幾つか結実していて、その成熟を待っている最中である。
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振り返れば、これらトマトは10~11月の初旬頃からポツポツ結実を確認してはいたが、その時点ではどれも小さすぎて心許ない状況であった。
それが、この下旬になって数が纏まるのだから、どうあれ生育を継続してみるもんです。
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こうした環境変化や季節の進行によって、急に事態が好転するなどの反応が現れるところが面白い。
だからこそ、当プロジェクトでは貧弱そうな個体でも間引きせずに、枯れてなくなる最後の時まで検証しようと試みている訳なのです。



などと宣ったものの、上記した様な纏まって結実した株は少数派であるのが実情。


その他の大半は、極端に矮小化した個体であったり、脇芽がチョボチョボ出るだけで生きてるとも枯れてるともつかない個体だったり、はたまた茎が弱過ぎて倒れ込んだまま生育していたりと、なかなかのテイスト・オブ・ケイオスっぷり。

それらの生命力は切なく儚い、これぞスクリーモ、エモメタル、エモコアの祭典みたいな状態。
まさしく激EMOキッズ慟哭の調べである。


背景が雑草マルチでゴチャついてるので判りづらいが、下の株は、その「茎が弱過ぎて倒れ込んだまま生育」している個体。
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これは初期から成長率が低かったので、特に支柱立てする事なく現在に至っていた。
そもそも自立する力が弱く、先端部が枯れていたり、落葉してハゲ気味だったりと、通常では「無し」の扱いを受けるであろう容姿である。

なのに、何故か結実だけはしていて、数は少ないながら形が整っていたりするのが興味深い。


これまでの一期生と二期生でも似た現象を確認しているが、トマトって個体の成長率などとは関係なしに、生育の適期が来たら自動的に子孫を残すスイッチが入るし、一定以上のクオリティを兼ね備えた果実となるべくエネルギーを注げる様に出来ているのだろう。
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その意味では、やはり極力間引きせずに、生えたヤツは全部育てるつもりで栽培するのはアリだと思います。

たとえ一本あたりの結実数は少なくても、それら全てを合算すれば一定の収量になるだろうし、収穫期がバラついて数が纏まらなくても、料理の付け合せくらいにはなりますからね。


とは言え、今後トマトが如何なる結末を迎えるかは予断を許さないし、気温も厳しい状況になりつつある。

しかし、それでも、一個でも良いから収穫まで漕ぎ着けてみたい。
まだ見ぬ今期初トマトまでの挑戦が続くのでした。



さて、今年も最後の記事となりました。
ここまでお付き合い下さいまして、誠に有り難う御座いまする。

皆様ご自愛の上、よいお年を。




では、また、CUL。