CULrides カルライズ

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食べ蒔き三期生ダイジェスト 12月下旬・今期初のミニトマト収穫&プチレビュー

前回に引き続き、今回は2020年12月下旬の話。
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その前回となる12月中旬までにゴーヤが終了。
そして残ったトマトも生育限界直前になってから、ようやく収穫ラインに到達していた。


しかし、この時点での取り込みはせず、他にも色付いていた果実の成熟を待ちながら、一挙に纏めて収穫する方向に。
それらを野生鳥獣から守るため、ミカン袋を再利用した防除ネットを被せておき、来るべきタイミングを伺っていた。




それから暫し、12月下旬の大晦日になって遂に、果房に残されていた2個を収穫。
この時点で既にヘタがパサパサに乾燥していたので、果実の保持力も限界に近かったものと思われる。
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これらは前回のヤツより一回り小さく、全体的に色味も薄い。
やはり、深まる寒さと短くなった日照時間では成熟にムラが出るのは致し方なしか。


トマトって「先に結実した順」で大きくなるし成熟のスピードも早くなる傾向があって、後になるほど小さくなったり成熟が極端に遅れたりする。
書けば当たり前の様なハナシだが、こうして同じ株で同時期に実っていながらサイズと数量、そして収穫期を合わせるのが難しいところ。

こうして成熟がバラつくメカニズムや理由については以前、タネの生存率を上げる意味で「果実ごとにタイミングをズラす事で、野生鳥獣や悪天候による一網打尽を回避しているのではないか?」と考察していた。
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更に拡大解釈すれば、そのバラつきによって「次世代の性質も多様化(早生・晩成などに分化)」する可能性まで考えられるのだが、本当の理由については解らないままである。



しかしながら、今回において「露地栽培でも12月中旬~下旬にトマトが収穫できた」と言う事実は、なかなか面白いトピックかなと思う。


通常ならば、冬の前に抜き取って強制終了させているか、寒さに耐えられず成熟前に落果したりで、まともに収穫まで行かないはず。
実際、2018年の一期生でも12月中旬に収穫されていた事はあるが、それでも下旬に入ると殆どの果実が落果してしまっていた。
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だが、今期は寒波の中でも持ちこたえてくれたし、この下旬時点でのポロリも最少に抑えられている。
さらに、単純に収穫された日付けの遅さで言えば、過去最高記録でもあるのだ。


この要因については、もしかすると数あるタネの中に「耐寒性の個体」が混じっていたからでは無いか。
あるいは、2020年の後半は雨が少なく天候が安定していたので、変に刺激を受けずに済んだからこそ今まで持ったなど、様々に考えられる。

いずれのパターンにせよ、冬でも生育期間が延長出来る可能性が示唆された様でもあり、ちょいと嬉しくもある。



とりあえず、中旬からネットに入れっぱなしにしていた果実と合わせて集合写真みたいな。
これで計5個と、ある程度の数が纏まった形になる。
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所で、これら果実は全て「ミニトマト」と評すべきサイズ感となっているのだが、もともとは「大玉・中玉」にあたる果実のタネから生えてきたものである。
つまり、大玉トマトからミニトマトに先祖返りしているのだ。


この話は過去に何度も触れているのだけど、こうして大玉トマトを実生で栽培したら「それに交配されていたミニトマトの特性」が発現したパターンが、これまでに数多く観察されている。
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もっとも、だからといって味に影響がある訳では無く、むしろミニトマトになった方が生命力も強く収量が安定する傾向にあるなど好都合な事も多い印象だった。
故に、「蒔いたはずのタネと違うヤツが生えた」としても、大して気にする必要も無いかなといった所ではあります。



そんな収穫の喜びもつかの間、先の画像下段右端の果実に違和感が。


よく観察してみると、何だか表面に黒い点々模様が発生していた。
Oh…。
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触ってみても、何だか皮に張りが無くなりプヨッとした質感に。


この原因を探るべく[トマト 果実 黒い斑点]等のワードで軽く検索してみると、黒斑病や汚染果病なる病変、あるいはカメムシやコナジラミによる食害の痕など様々な症例がヒットするのだが、どれも似たりよったりで決め手に欠く。
また、株には特に病変等の症状が出ていなかった事から、健康上の理由でも無さそうな様子。

この果実は中旬に収穫してからネットに入れたままにしてたものの一つだが、その時点では特に問題無かったので、どうやら保存期間中に何かしら変化があったのかも知れない。
そりゃ、赤く熟してから10日以上も野晒しでいれば変質くらいしてもおかしくないわな。



調べた限りでは「食べても問題ない」との意見もあったのだが、何となく食べる気がしなくなってしまったので、ならばと中身チェックだけしてみた。
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ご覧の通り、内部は至って普通のミニトマトであり、コレと言った異常も無い。

試しに軽く舐めてみると、やはり普通のトマトの風味。
やや酸味が出てるかなぁと言った感じで、特に食べても問題なさそうな印象ではある。

若干、果汁に粘り気が出ている様な感じもしたが、通常なら誰も気付かない程度だし、単に寒いから粘度が上がっただけの事だろう。



そんで更に、ここからタネも採種してみた。
これらは、二日間ほど寒空に晒して乾燥させた後のものである。
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意外と、タネはマトモな粒が多い印象。

ただ、実際の発芽率については不明なままだし、ハッキリ言えば心許ない質感のものも多く、あまり期待できる気がしないのが正直なところ。

まぁ、その検証も含めて、次期に改めて蒔いてみようか思案中である。



さて、残る4個については、結果的にサラダの付け合せとして食される事となる。

軽く味の感想を言えば、確かに普通のミニトマトの食味であったし、何ら問題ないクオリティを確保していた。

強いて言えば、やや風味が薄く感じられたので、もう少し成長率の高い株であれば、もっと甘味や酸味にメリハリがついて、ハッキリとした味になったかなぁという感じであった。



とは言え先述した様に、この時期に収穫されただけでもサプライズ的な出来事であるのは確かだし、賞味出来ただけ有り難い話である。

ましてや、今期の初期から夏までは成長率が低過ぎて、果たして収穫まで行けるか怪しかったし、半ば諦めムードも漂っていた事を思えば、まさか今回の様にだいぶ遅くなってから好転するなどとは想像だにしていなかったですからね。
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その意味では、仮に生育不良に見舞われていたとしても、その後の環境次第で好転したり回復する事を示す、一種の参考資料にはなるかなと。

これすなわち、「今はイマイチでも諦めずに栽培を継続する価値はある」。

と言うのが、当プロジェクトを通し一貫して主張している結論でもあります。



そんなこんなで、トマトも終了間近な今日この頃。

果たして三期生の最終回なるか、次回に続きます。




では、また、CUL。