CULrides カルライズ

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食べ蒔き2021年5月下旬・色々な品種を直播きで試してみた感想と失敗談

前回までに、「皮から再生したジャガイモ」をタネイモにした苗が完成し、定植するところまで完了。
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特に画像は無いのだけど、その後も順調に成長しており、更なる生育を待っている状況であります。



それから5月に突入すると、この時期にしては珍しく日中の気温が30℃に達するなど、例年以上に暖かい日も多かった。

そこで、この機に乗じて他の作物も発芽させるべくチャレンジ開始。
今期も直播き、すなわち単純に畑へ直接埋める方式を採用してみた。
現在の気温と地熱の高さを利用し、一気に生育を促す作戦である。


ちなみに、昨年度は保温パック(卵パック)での発芽が上手く行かなくて半ばヤケクソで直播きしていたのだけど、その方が結果的に発芽率が高かった。
もし今回も気候的に近いシチュエーションだとすれば、最初から直播きした方が早いはず。
そんな推測のもと、夏野菜のタネを中心に手当たり次第埋めて行く事に。
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やり方は上記リンクに準ずるが、工程は至ってシンプル。
耕した土にタネを埋めたのち、その表土をオガクズでしっかりと覆い、水を与えるだけ。
更に、その上を除草した雑草の束で覆えばパーペキ。
これにより、土壌の保温と保湿を維持する事で、ビニール・マルチと同様の効果が期待できる。
特にオガクズの量は多い方が発芽率も高まる印象であった。


ただし注意点としては、オガクズが多いせいでダンゴムシ等も発生しやすくなり、芽を食い荒らされる場面も多くなってしまう点である。

この場合、貧弱な個体ほど食害に遭う率が高く、苗を丸ハゲにされた事例も何度か起きている。
逆に、健康な個体は免疫力が強いので弾き返す事が出来るし回復力も高いのだが、それでも噛りまくられる時があり油断は出来ない。
あまりに酷い様なら、何らかの防除手段を講じる必要があるでしょう。
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かくして、以下が試したタネの結果と、その感想であります。



まずは定番のゴーヤから。
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これは昨年度に黄色く成熟した果実から取り出したタネを、実験的に「野外で完全放置」していたもの。
まさしく、土の上で数ヶ月のあいだ風雨に晒され、冬越ししていたタネである。
その外観は野外で放置プレイされていただけあって、やや黒っぽくススけた感じになっている。

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野外で放置していた理由は、そうした方が雑草と同じくらいタフに育つ個体になる様な気がしたから。
つまり、室内保管より厳しい環境を生き抜けば、より病害虫にも強くなり、栽培の手間も少なくなるのではないかと考えたのだ。


だが、さすがに土の上では環境が厳しすぎたのか、その中身は通常より少し茶色くくすんだ色あいをしている。
そして実際の発芽率、成長率ともに低い印象であった。
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う~ん、さすがに雑草ほど上手くは行かないか。
でも、シソなんて野外で放置してようが雑草並みにタフで、タネを野晒しにしてようが一年後にはワサワサ生えてくるんだよなぁ。
実生で世代を繋げるゴーヤでも、出来ない事なさそうに思うんだが…。

この「野外で何をせずとも世代が生え代われるかどうか」の違いこそ、恐らく「雑草」と「作物」を分かつ明確な違いなんだろなと思う結果であった。



次もゴーヤだが、こちらも同じく野外で完全放置していたもの。
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しかも黄色く変色した果実が破裂した当時の姿のままドライフルーツ化し、数ヶ月のあいだ放置され続けていた強者である。
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放置された頃まではカビやらコケようなものが表面に纏わりついていていたのだが、それらも冬を越した今はカッピカピに乾燥しきっている。


ただ、前出のものと少し違うのが、同じ野外でも「直接風雨に当たらない家の軒下」で保管していた点である。
その分、タネの外観は綺麗な感じがするし、質感も良好だ。
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中身を確認してみると、先ほどのタネより青っぽさが残っていて健康そうな印象。
そして、今期で最も発芽率・成長率ともに高かったのがこのタネである。
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考えれば当たり前だが、土に直接触れるとバクテリアに分解されたり紫外線などによって劣化してしまう率も高くなるのだろう。
となれば、野外で放置するにしても風雨に直接晒される場所よりは、軒下に置くなり何かしら容器に入れた方が風化が防げるのかも知れない。

結局、雑草並みに植物本来の生存能力を引き出すにも、外的環境とのバランスが重要なんですな。



次に、こちらも恒例のトマトである。
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これは確か、画像の左が新規で採種したタネで、右が昨年度の収穫物から採種したタネである。
結論から言えば、今年は一定量の収穫に恵まれる事となる。


しかしながら正直なところ、どちらの発芽率が高かったかについては記憶が定かでなかったりする。
確かだが、新規の方が高く、収穫物由来の方は殆ど生えなかった様な。
実際、採種した当時も「期待が持てない質感」だと記していたけども。
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なので、その生えなかったスペースに間延びさせる形で、次々に苗を植え替えてるうちにどっちだか判らなくなったと言う。

いやはや、当方の管理不足ゆえ曖昧で申し訳ありませぬ。
ここから先の記事では、シンプルに「実生でも育った」とだけお読み下さいまし。



でもって、ここから先は上手く行かなかったシリーズ。


まずはメロンとスイカである。
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かつて一期生の時(2018年度)では、どのタネも発芽率が高く、そして実際に収穫量としても成績が伴っていた。
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しかし、以降の年からは殆ど成長しないパターンや、極端に矮小化したりなどで不作が続いている。
この要因も様々であるが、今のところ連作障害が最も有力で、他にも肥料不足やタネ自体の生命力低下などが関係しているものと考えられる。
それゆえ、ハナから期待出来ない状況であった。

そして、結論から言って今期もメロンとスイカともに生えたのだが、殆どが貧弱な個体ばかりで、やはり生育途中で枯れたり着果しないパターンを繰り返す事に。
ちなみに、スイカに関しては以降の記事でも登場するが、どちらにせよ上手く行かなかったのが現実である。


こうなると、もはや当プロジェクトの菜園でメロンやスイカ、カボチャなどを作るのは難しいのかも知れない。
それとも、もしや普通のタネなら問題なく育つのだろうか。
疑問は尽きないが、仮に次期があるとしても、まるっきり別の作物に変える必要はありそうだ。



更に、今度は発芽そのものに失敗したシリーズである。


まずは古いキュウリとナスのタネで、ちゃんとしたメーカーの未開封品。
これらはリサイクルショップにて無料で入手したもの。
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なのだが、採種年月が昭和62年つまり1987年。
実に数十年の時を経て、再び蒔いてみたのだ。


して、結論を言えば全く一粒として生えて来なかった。
そりゃもう、ウンともスンとも言わず何も起きなかった。
もっとも半ば冗談半分ではあったし、これまでも何度か古いタネを試しては失敗しまくっているので、分かりきった結果ではある。


ただ、そうまでして試した理由を述べるとすれば、希に古代の遺跡やら土器なんかから発見された昔のタネが、奇跡的に発芽したとのニュースを耳にしていたからでもある。
ならば、十数年~数十年程度の経過ならイケるんじゃないか、なんて思ったのだ。

無論、そんな浅はかな狙いがそうそう当たるハズも無く、やはりタネは新しいに越した事は無いと再認識。
上記画像のパッケージに表記されている発芽率の欄には「現在80%」とあるが、一定期間を過ぎてしまうと一気に劣化してしまう様だ。


当プロジェクトでも過去に「二年越しのタネでは一気に発芽率や生命力が落ちる」との観測結果を得ているし、基本的に一年で生え代わる作物は、その生命サイクルを前提にタネも設計されているのだろう。
この様な実験を菜園でやる意味は無いし、せめて空いたスペースに留めておくのが賢明である。

でも、やっぱり、数射ちゃ当たる気がするんだよな~(まだ言うか)。



そんな訳で、試した品種は幾つかあれど、結果的にゴーヤとトマトを中心とした馴染みのメンツで行く事となる。

その経過も、追って観察して行きましょう。




では、また、CUL。