CULrides カルライズ

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食べ蒔き番外編・インスタントコーヒーと根昆布粉末を肥料にした際の注意点や有効性から思い付いた食品廃棄物をフリーズドライ化させる案

当プロジェクトでは毎年、トリッキーな肥料を使用している。


家庭菜園を始めた当初や、シーズン初期の育苗期こそ普通の化成肥料などを使ってはいるが、時に有機物なら何でも投入して肥料になりうるか実験することも度々。
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それらは多分、おおよそ普通の菜園では使わないであろう一般論を逸脱したアイテムばかり。
かの雲のジュウザも「我が農法は我流、我流は荒唐無稽!」などと、言ったとか言わないとか。



そんな戯れ言は置くとして、今期の変態的な肥料と感想を綴って行きましょう。



先ずは5月上旬頃に撒いた元肥
ズバリ、粉末のインスタントコーヒーである。
※銘柄は伏せますので察して下さいまし。
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これはリサイクルショップの無料品の中から入手した未開封のもの。
賞味期限は何と1994年8月、製造年にいたっては91年と実に30年程の月日が経過している、ある意味伝説のヴィンテージアイテムである。
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ほんで、おそるおそる中蓋の銀紙を剥がしてオイニーをスンスンしてみた所、これが実に豊かなアロマ漂うコーヒーではありませんか。
その香りまさにユーロ・コーヒーネス(90年代当時のCMのキャッチコピー)。
正直、このまま飲んでも問題なさそうなほどフレッシュな印象すらある。


しかしながら、いくら未開封とは言えど、普通に考えればウン十年も前のコーヒーを飲む気にはなれない。
だが、きっと厳選された豆だけに栄養価も高いだろうし、ちゃんと土壌に分解された後ならば肥料としても有効なはず。
そう思い込み、耕したばかりの表土にまんべんなくバラ撒いたのだが…。


しかし実は最近になって調べてみたところ、コーヒーには発芽抑制物質が含まれていて、そのままでは肥料には向かないとの話を多数発見。
本来なら「発酵させて堆肥化していないものでは生育が阻害される」とまで言うではないか。

なんたる迂闊…!

よくよく考れば、いくら有機成分であろうと本当に肥料に向くかどうかは別問題だし、ましてや逆効果では意味が無くなってしまうではないか。
よもや、いつものノリで撒いたのが裏目に出てしまった。

ただ幸いだったのは、その量自体が菜園の面積に対して少なかったからなのか、結果的には発芽から収穫まで行く事も出来ていたので、影響は少なく済んだ方なのかも知れない。
また、撒いた後にオガクズや雑草を敷いた事で、辛うじて発酵が促進された可能性もあるが、何にせよ、事前に調べておくのは大事だと再認識した次第であります。


ちなみに、撒いて暫くのあいだは畑からコーヒーの香りが漂う事となる。
思いのほか強い匂いを放っていたので、なんとなく喫茶店みたいな気分が味わえる。
考えようによってはオシャレな畑だと言えなくもないし、フツーの堆肥よりご近所さんの印象も良くなったりして。

更に調べてみると、既に発酵肥料として製品化されている例もある様で、もし先の発芽抑制物質が本格的に無害化されれば更なる可能性が広がるように思われる。
コーヒーブームの昨今、廃棄される出ガラシも大量にあるだろうし、何かしら活用の手段があっても良いはず。
チャレンジ精神溢れる事業者の方、これはチャンスかも知れませんよ。



では次に、生育期間中に追肥したのが「粉末根昆布」である。
これもリサイクルショップにて入手。
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ご覧の通り、前出のコーヒーと同じく賞味期限が2016年と随分時間が経っていて、もはや食用に向く品質では無いはずだ。
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それでも、海藻を肥料に使う農法が存在する以上は利用価値があるに違いない。
試しにネットで調べてみると、海藻を粉末化した肥料が売られており、普通に撒くだけでも使える様である。


これならば土壌への分解と還元も早いはず。
そう考えて、これを成長期の7月頃に作物の株元へ散布し、水を撒いて浸透させる事に。
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ここへ来て思ったのが、コーヒーにしろ昆布にしろ、粉末にした方が肥料として使い勝手が良いんじゃないかと言う点である。

その方が水に溶けやすく植物への吸収率も上がるだろうし、保存性も高くなりそうな気がする。
また、土壌への浸透も早いぶん病害虫が湧くリスクの軽減も期待出来る。
実際、カキ殻などを粉末化させた土壌改良剤があるくらいだし、有効性はあるはずだ。


となれば、食品廃棄物を処理する際に生じる臭いや雑菌を抑制する解決策として、「フリーズドライ」にすると言うのも一手かも知れない。

その機械をスーパーや飲食店などの事業者で導入して独自に製品化するか、あるいは処理場で粉末化させた後に、肥料法などの基準をクリアさせて流通すれば相当な需要が見込めるのではなかろうか。

特に、魚なら昔から魚粉が存在するのだし、肥料のみならず配合エサやコマセとしても使い勝手良さそうに思われる。
その他の野菜や肉類にしても、余った部位や残骸は間違いなく栄養価が高いのだから、利活用しない手はないはず。

そう考えると、生ゴミの可能性は広がりますな。
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さて、以上が今期の変態的肥料シリーズでありますが、その効果については「謎」であるのが正直なところ。
これまで色々と使ってきた割には、劇的に生育が良くなったとか、収量が上がったとか、そういった判りやすい現象が顕れた訳では無いのが実情だったりします。

しかしながら、何故こういったアイテムばかりを使うかについて述べるとすれば、幾ら賞味期限切れの食品であろうとペットフードであろうと、それが有機物として形が残っている限り、活かせる余地があると考えているからです。

もっとも、半分はジョークみたいな感覚で使っているだけの話ではありますが、少なくとも肥料として「足し」ににはなっているだろうし、全く何もしないよりはマシかなぁと。
ましてや、未開封で使われず捨てられるなんて切ないじゃないですか。

勿論、そういった中には上記した「コーヒーそのまま」の様に、植物にとって問題となるパターンもありえます。
したがって、成分が如何に影響するのか未知数なうちは迂闊に使わず、重ねて本当に大丈夫なのかどうか事前に調べておく事をお勧めします。


と、自分にも言い聞かせるのでありました。




では、また、CUL。