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食べ蒔き作物プロジェクト報告書 11月上旬~中旬の様子

月日は光陰矢のごとしで、当プロジェクトは遂に11月へ突入。


前回となる10月の半ばまでに、残る作物はトマトのみとなり、その生育を見守っていました。

詳細については下の記事で記した通り、盛夏の頃は萎れ気味だった姿から見事に復活を遂げ、続々と開花と着果、そして結実から収穫まで至る事となります。

10月中旬~下旬の様子

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この要因としては、外気温や湿度などの環境的要因が「符号」したが故かと思われるのですが、何れにせよ元気である事だけは間違いなく、大きな不安要素も見当たりありません。
以降は、如何に成熟させられるかが焦点となっていました。


ただ、変化のペースは非常に遅いので、当プロジェクトの報告書も更新頻度が抑え気味に。
まぁ、単純に作物が減った分、纏めて書く方が効率的な訳であります。


そんな今回は、11月上旬~中旬にかけての変化を記して参りましょう。
果たして如何なる状況なのか。


では、いざ。



🌑11月上旬~中旬頃🌑

🌑トマト🌑

さて、前回は何とか1個だけ、赤く成熟した果実の収穫に成功。

株自体も元気そのもので、その後も続々と結実を続けている。

イメージ 1


特に、この画像元である一株だけ、異常なほど大量に花房(果房)が発達。
当プロジェクトの中では、最も成長率の高い株となっていて、他を圧倒する結実率を誇る。

その中でも、主枝から側枝に比較的大きな果実が実っている状況。
また、9月頃から半ば放置気味で生育したお陰か、脇芽から発生した果房や蕾も多数ある。
これら主枝と側枝、そして脇芽の房を全て合計すると、現状までに約10箇所以上は発生しており、果実の数が半端では無い。

実は前回に収穫した果実も、この株に実っていたものだったりするのですが、詳しくは前回の記事を参照して頂きたい。


更に、同じ株で前回の10月上旬頃までに結実した果実は、再び色付き始めている。

イメージ 2


収穫までもう少しと言った所。
これら青かった果実も、徐々に大きくなるにつれ重量が増加。
キッチリ支柱などに固定しないと、幹ごと折れてしまいかねない程である。

これらが摘芯と人工受粉の効果も手伝っての事だとしても、まさかこれ程まで大量に実るとは、春の栽培初期から夏場までは想像すら出来なかった光景。

今頃になって全盛期が訪れた様な遅咲きトマト?ではあるが、その遅れを取り戻すかの如く、まさしく「鈴なり」の様相である。


それに対し、ヒョロりとした株や細い則枝などから出た果実は、その重みで地面スレスレに垂れ下がっている為、虫に食われない様に引き上げたりで整枝する必要もある。

イメージ 3


本来ならば、こういった「余分な果実」も切除するなりで、養分を調整するのがセオリーなんだろうとは思う。

いわゆるハウツー的なサイトを拝見してみると、脇芽や生育の弱い部位の果房などは必要無く、早めに除去した方が良いと言う扱いが殆どである。
そして実際、これら細い枝の果実は、主枝の物と比べ矮小な傾向にある。


しかし、大きかろうが小さかろうが実っている事実には変わりなく、今この時に生命力を爆発させている姿は、それはそれで頼もしいとは言えなくもない。
故に、当プロジェクトでは大きな支障が発見されない限り、これらイレギュラーそうな果実が如何に成長するのか、限界まで見守る方向で進めるつもりでいる。

何より、沢山実っている所を見てるだけで気分が良いではないか(ここ大事)。


これら活性化の理由としては、それだけ今時期の気候が適していた事が挙げられる。
逆にこれが真夏だったら一気にヘバっていた可能性が非常に高く、実際、当時は少し結実しただけで株が枯れ出していたほど。

トマトの旬は夏のイメージが強いが、それはあくまで収穫が暑い季節に重なりがちなだけであって、開花から結実にはもっと低い方が適温となるのだろう。


ただし、時期的には寒さが増し続ける頃合いでもあるので、この「外気温不足」が果実の成熟を遅らせる可能性は否定し難い部分でもある。

確かスイカやメロンは、受粉から収穫までに必要な「気温の積算温度(例えば合計1000℃など)」が決まっているとされていた。
これに倣えば、トマトの成熟も似た原理が適用されると考えるのが自然である。

この11月時点で実っている果実も、夏場と比較すれば赤くなる速度が遅くなっている様子だし、まだまだ収穫には程遠い物が大半。
そう考えるとトマトのハウス栽培などは、このデメリットを解消する意味合いも大きいのだろう。

従って、この秋から冬にかけて結実した場合においては、如何に日照時間と高い温度を「チャージ」出来るかが成熟のカギを握ると言えそうである。


ついでに、相変わらず株によって果実の形状にはバラツキがあり、ある株は「大きいミニトマト」、またある株は「小さいトマト」みたいな特徴が発現している。

イメージ 4


その中には、僅かに「トマトとミニトマトの中間」みたいな果実もあったりと、なかなかカオスな状態。


元々は全て大玉種(中玉)のタネを蒔いたはずなのに、一体何故この様な違いが出るのかは判然としない。
無論、「食べ蒔き(実生)」であるが故に、タネの持つ性質も大きく作用しているのだろうし、単純にどちらかの親に「先祖返り」しただけとも言える。

一応、ざっくり比率を言うに、「大きいミニトマト的な株」が8、「小さいトマト的な株」が2の割合となっている様だ。
つまり、現状の大半が「大きいミニトマト」みたいな果実として生育している事から、何かしらの要因によってミニトマト的な特性の方が「優位」に発現している事になる。

いずれも元の品種とは似つかないが、案外、これも環境に適応して行く為に必要な「行程」の一つなのかも知れない。


所で何故、先祖返りの様な行程が発生するかについては以前、実は遺伝子に仕組まれた「リセット・スイッチ」ではないかとの仮説を展開している。
ご興味のある方は、下記も併せてご覧下さればと。

関連記事
メロンとスイカのレビュー 第2弾

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尤も、どんな果実が成熟するにせよ、結果的に重要なのは食味

それに関しては、これまで僅かながら収穫したトマトでは実証済みとなり、いずれも安心して楽しめる味覚が再現出来ていたので大きな違いは出ない様に思われる。

ちなみに、前回10月の記事にて収穫した「大きなミニトマト」も、非常に良く仕上がっていた事を付け加えておきたい。

これ迄の収穫物については別記事にてレビューしていたのだけど、何せたった一個だけであり、しかもサラダにパパッと混ぜただけなので、あえて記事にはしなかった。
仮に現状の果実が纏まって収穫出来た際は、改めて別記事にしてみたい所ではあります。


しかし、そんな中、少しだけ問題も発生していた。


画像を見ての通り、一部の株が白い「うどん粉病」らしき症状に見舞われ、その部位が枯れたり、あるいは変型したりなどの症状が現れ出す。

イメージ 5


これまでの当プロジェクト内で、トマトに関しては一切見られなかったのに何故なのか。

イメージ 6



この原因について当初は、株の回復に伴う枝葉の「繁り過ぎ」と、過密に植えすぎた事による「通気性の悪さ」が考えられた。
しかも、株の根元周りは「雑草マルチ」を敷いているので、なおさら湿度が溜まりやすい。


しかし、このトマトのうどん粉について調べてみると、加湿が直接的な要因では無く、実際は「乾燥」する事で発生しがちなのだと言う。
端的に言えば、土壌が乾燥した時に発生し、雨などの水分を得て周囲へ伝染する様なのだ。

当プロジェクトで言えば、8月までは乾燥するシーンが多かったが、9月から10月は秋の長雨と日照不足による加湿が重なっていた。

つまり、夏場の高気温による土壌の乾燥で発生した後、多量の雨による水分が断続的に注いだ事によって加湿状態が続き、病原菌となるカビが広がってしまったのではないかと推測される。


更に同じ頃、別の問題も発見。


細かく果実を確認してみると、「普通のトマト」に該当する果実の尻が、茶色く腐っているではないか。

イメージ 7


画像では解りにくいが、左隣の果実の表皮から内側の果肉も、やはり黒ずんでいる。


これは、いつぞや見覚えのある症状で、一見だけでは「スイカ褐色腐敗病」を彷彿とさせた。

関連記事
9月上旬の様子後編 スイカの症例とゴーヤの環境

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しかし、コレもよくよく調べてみると、今回のトマトはズバリ「尻腐れ病」なる症状の様で、特徴も一致している。

これは上記のスイカとは違い、いわゆるウイルス性の病気では無く、単純に「栄養面」や「生理面」での問題に由来するとの事。

簡単にその原因を記すと、主に「カルシウム不足」が挙げられ、これに「チッ素肥料の過多」、そして「極端な注水または渇水」が重なる事で発生しやすくなるのだそうだ。
葉の変型も恐らく、これらの要素が作用しているものと考えられる。


上記の原因と当プロジェクトの現状とを照らし合わせれば、確かにカルシウムの含まれた肥料(苦土石灰など)は散布しておらず、基本的に雑草マルチと生ゴミが養分の中心。

これ以外には、「バラ用の有機肥料」を追肥でパラパラ程度に蒔いただけ。
仮にカルシウムが不足しているとしても、チッ素だけが極端に偏る要素は無さそうに思われる。

ただ、例の長雨による影響は間違いなく、うどん粉病の遠因となる状況が続いてもいた。
要するに、今回は「カルシウム不足」+「水分過多」と言う要因が二つ重なり、尻腐れ病に見舞われたのだと推測出来る状況となる。


と言うか、毎度毎度ナゾなのだが、何故、「普通のトマト」でばかり問題が起こるのか。
野性動物だの害虫だの病気だのと、いまだ収穫まで成功した試しがない。

有り体に言えば、ミニトマトより栄養価が高いから外敵に狙われ易いとか、あるいは免疫力が弱いなどと、様々な理由が挙がる。
だが、これだけ何度も結実しているのだし、そろそろ収穫してみたいのが正直な話。
うーん、何か妙案は無いものか…。


とまぁ、ブツクサ言っても仕方無い。

とにもかくにも、これら上記の症状を回復させるべく緊急オペを開始。
当プロジェクトのコンセプトに倣い、極力薬剤の類いは使用せず、現在の環境を手直しする事で解決を図ってみる事にしました。


先ずは、うどん粉の患部となっていた枝葉を一気に剪定。
これで密集していた場所のスペースを広げ、通気性の確保を行う。

あまり一気に剪定し過ぎてもストレス要因となるらしいが、今のところ株は元気なので耐えてくれるはず。
この通気によって乾燥が進み、土壌の水分量も調整されるだろう。


次に、尻腐れの対策。

主な原因がカルシウム不足とは言え、これまで全く出なかった症状ではある。
そもそも卵の殻や昆虫の亡骸も株周りの土壌に混ぜているので、決定的に不足しているとは考え難い。

状況から推察するに、沢山結実した事で栄養が「分散」している可能性が高く、また過密気味に植えてしまった事で更に配分が薄まっている可能性もある。
ただ、ここで焦って追肥し過ぎても逆効果となりかねないので、特に栄養剤や培養土は施さない方向を選択。


その代わり、うどん粉病対策ついでではあるが、通気性確保の意味を兼ねて、更に果房周辺の繁り過ぎた葉を落とす。
同時に、変色したり変型していた部位も全て切除。
これで、本来行くべき部位に栄養を回しやすくなるだけでなく、太陽光も入り易くなるはず。

実際、この尻腐れ病対策の一つとして、花房の近くに生えている余分な枝葉を剪定するのが効果的との言説を拝見している。

もう少し具体的な手法としては、花房の「反対側」にある葉を落とす事で、より果実へ栄養が回りやすくなるのだそう。
正直、初めて試した手法なので正確かどうかは自信が無いのだけど、参考までに画像で表すと以下の様なイメージとなります。


ビフォー。

イメージ 8


右に花房、反対側となる左に葉。
この左の葉に余計な栄養が回ってしまうらしい。


アフター。

イメージ 9


左の葉を切除した様子。
これにより、栄養は右の花房へ優先される事となる。

こちらは、果房の反対側をチョッキリ。

イメージ 10



ご覧の様な具合いとなりますが、多分これで合っているかと。
間違っていましたら、ご指摘下さいな。


そんなこんなで、一先ず応急処置は完了。

何だか急ごしらえ感が無くもないですが、これら剪定による「養分の整理」は、これまでのトマトの脇芽かき、そしてゴーヤの回復処置でも効果を確認済みの手法ではあります。

とどのつまり、適切な枝葉の数と水分量を微調整するのが要点と言えましょう。


果たして、ここから如何に成熟を進められるのか。

以後の経過は次回にて。



🌑ゴーヤ🌑

もう栽培は終了しているが、株の根元は生きていたので残していたのは、前回に記した通り。

しかし当然ながら、枯れは徐々に進行し続け、もはや根元以外に残った部位など無いに等しく、いつかは全てが枯れ切るのを待つのみの状況でもあった。


それでも、当初は最後の最後まで残すつもりでいたが、ここに来て予定を変更。
本格的に寒くなる前に土を休めて新たな土壌作りをしないと、来期に響く可能性に思い至る。

そこで、根の状態を確認する意味も含めて、抜き取りを実施する事としたのだった。


さて、抜いた株がコチラの画像。

イメージ 11


根元以外はカラカラに乾燥しきっており、もはや回復の見込みは無い状態だ。


その根を確認すると、これがまだまだ頑丈でビッシリ細かなヒゲが生えているのが判る。

イメージ 12


実際、この株を抜こうとした所、土中にガッチリと固く根を張っており、これまで栽培した作物では最も手応えがシッカリしていた。
つまり、11月の野外でも、まだまだ根は健康な状態なのだ。


この様子から、実はゴーヤって「越冬」出来るのではないかと考えていた折、更に調べてみると非常に興味深い話を幾つか発見。

それらを要約して述べるに、ハワイなど温暖な地域では一年中生育する多年草であるので、本州でも室内であれば越冬する事も不可能では無いらしいのだ。
ただ今の所、越冬後に再び夏場まで生育し、収穫まで至った例までは発見していない。

その理由があるとすれば、シーズン的に親ヅルが枯れた段階で栽培が終了してしてしまう為、ある意味では慣例として、あるいは条件反射的に抜き取るなど「強制終了」を加えてしまい、これまで正確な検証がなされて来なかったのだと考えられる。

要は、まだ根が「生きている」のにも関わらず、一方的に植物自体まで終わったものだと決めつけていただけなのでは無いだろうか。


しかしながら、越冬する可能性が判明した今、もしかすると一年中温暖なビニールハウス内や、熱帯植物園ならば通年栽培も夢では無い事になる。

また、野外の環境であっても、根さえ残せば次年度に復活する可能性だってゼロでは無いはず。
仮に全部生き残らなくとも、外気温が低い冬にマルチシートで根を保温しておいたり、場所によっては地熱を利用したりすれば、その中から寒さに強い「突然変異」が現れる事も考えられる。

そんな品種が発見されれば、現在より更に収量が増え、栽培もイージーとなろう。
そう、やがては本州全域で通年ハウス栽培される日が来る事も有り得るのだ。

その内、「温泉ゴーヤ」とか、はたまた「バナナ園で育ったゴーヤ」みたいに、ブランドも細分化されたりするかも知れない。


何やら計らずも革命的な発見をした様な雰囲気になって来たと言いますか、何処までが限界かを観察する内、意外すぎる解答を導き出す事になってしまいました。
でも、まるっきり荒唐無稽な話では無いはず。


このせいか内心、抜いたのを失敗に感じてしまい、この後に改めて根元だけを再び埋め戻し、上から落ち葉と雑草マルチで覆っていたりなどしている。

まぁ、完全に野晒しであるし、一度抜いてしまっている以上は来年また生えるとは思えないのだけど、少なくとも可能性だけは残してみようか。


そんな淡い希望含みで、このまま残しておく事とした、晩秋の一時なのでありました。


果たしてこの仮説が現実のものとなるかどうか、信じるか信じないかは皆さん次第です。m9( ゚д゚)ビシィッ



では、また、CUL。