CULrides カルライズ

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食べ蒔き作物プロジェクト報告書 12月中旬~下旬の様子

キンと冴える寒空の下、健気に成育を続けるトマト達。

前回は、裂果などの細かなトラブルに見舞われつつも、何とか収穫に成功。
引き続き、残りの果実が成熟するのを待っていました。

12月上旬~中旬の様子

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そして季節柄、冬型の気圧配置へと変化するにつれ、いよいよ寒さも本格化。
夜間には霜が降りるのでは無いかとすら思える日も、しばしばである。


そんな12月中旬からの様子ですが、一体、どうなっているのか記して参りましょう。



🌑12月中旬~下旬頃🌑

さて、前回の上旬から既に兆候が現れていたが、この中旬から急激な冷え込みが続いたせいか、一気に開花率が下がる。

11月の下旬までは連日満開だったのが嘘の様に、現在はごく僅かな数のみが時々咲くだけ。

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そもそも花房が殆ど発達しなくなっており、最早まともに着果するのは難しいだろう。

時期的に言えば、もはや成育限界が近いのかも知れない。
そんな予感を覚える変化が、あちこちに現れ始めている昨今である。


これと同時に、何とか果房は残されているものの、成熟のスピードが急に遅くなり収穫にブレーキがかかる。

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特に「普通のトマト」に関しては、結実して暫く経つが未だ成熟する兆候さえ現れていない。

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これはやはり、「温チャージ」が効かなくなっているのだろうか?
外気温が足りないせいか、全く色付きが進まない様子だ。

※「温チャージ」とは、(株)ヤマリヤのエギに搭載されている機能の一つ。
手の平などで温めてイカを寄せるのですが、釣りをしている人しか解らないネタ乙ではあります。


まともに赤く成熟した果実も、軽く雨が降るだけで裂果してしまう状況も相変わらずである。

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この寒さでも生育するタフネスを発揮しつつ、外的な環境変化には敏感。
11月には上がり調子かと思いきや一転、そこは一筋縄では行かず、改めて栽培の難しさを実感させられます。


そんな中、12月上旬~中旬の報告書の最後にて、また前回のレビュー記事でも、強風で振り落とされたと思われる果実、いわゆる「落果」について触れました。

それで、この中旬に入ったと同時に、何故か急に落果が目立ち始める様になる。
それはもう、ほんの少し触れただけで、次々にポロポロと外れて落ちてしまうのだ。

下の画像は、そのごく一部。

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これらの様に、色付いてから落果するのはマシな方で、その大半は緑色の未熟果のまま。
それこそ、前回の最後で載せた画像を見ての通りである。


どうでも良い事だけど、その内の一つに謎のキズが。

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この形が、何だか一昔前の漫画に出てくるザーヤクを彷彿とさせなくもなく。
途中でキズが入ってから、また回復した痕なんだろうか?

ちなみに、上の画像で落果した果実の一部は、下記の記事にて食味をレビューしているので、ご興味のある方は併せてお読み下さいな。

晩秋トマトのレビュー

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そして、この症状は日を追う毎に進行し、下旬に入る頃には相当な数が地面に落ちる事となってしまう。
そりゃもう確認する度に増えてゆき、成熟まで持たないほどなのだ。

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試しに拾い集めてみると結構な量に。
しかも、約1週間ほどの間で立て続けに発生。
この画像で、如何に症状が急激か伝わるかと思います。


個々の違いとしては、「ミニトマト的な株」より「普通のトマト」の方が保持力が高い様だが、結果的には落果してしまう。

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その劇的な変化の影響は大きく、この12月下旬には、最終的に全ての果実が落果してしまった「ハゲちゃびん」な株まで出てくる有様。
冒頭の画像にある「鈴なり房」も、やはり下旬には大半が落果してしまう事に。

流石にポロリし過ぎである。


これらの患部を接写してみると、ちょうど果房とヘタの繋ぎ目から外れている。
この繋ぎ目を「離層」と言うらしい。

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基本的に、本来ならば成熟するにつれ、果房とヘタを仕切る壁みたいに発達。
やがて成熟の完了と共に剥離し易くなるのだが、これは軽い衝撃でも落果する事で、次の繁殖へと繋げる為の仕組みだそうだ。

実際、これまでの未熟果はキッチリ固定されており、赤く成熟すれば外れるのが通常であった。
しかし、今は未熟果でもポロリしてしまう。


この原因について調べてみると、主に「肥料(窒素)過多」、「着果し過ぎ」、「受粉不良」などが考えられるらしい。

これら要因と当プロジェクトでの状況と照らし合わせると、先ずは「着果し過ぎ」が該当。
もう1つあるとすれば、「窒素過多」だろうか。

着果し過ぎな件については、この秋に本格化した開花率の上昇と合わせて、手当たり次第に人工受粉させていたので間違いなさそう。
全体的には相当な量が結実しているので、株には負担大である可能性が有り得る。

もし仮に上記パターンである場合、「これ以上の果実は不要」と株が判断し、自動的に「余分」な落果を促しているとすれば、まさに状況と符号する。
つまり、株の生命力と果実の成長とのバランスを、「最適化」しているとも考えられるのだ。


一方の窒素過多について、基本的に肥料は「雑草」「生ゴミ」「落葉」などの有機物を中心としており、いわゆる市販の肥料を殆ど使用していないので何とも断定出来ない。

正確には、追肥で薔薇の肥料を大さじ一杯ぶん、全ての株に分散させる様にパラパラ程度に撒いただけなので、この量で窒素過多になるとは考え難い。

まぁ、有機物と合算した総量で見れば、それなりに栄養物を与えていると言えなくもないが、それでも普通の畑や菜園ほどの使用量には満たないのではないかと思われる。

となると、もしや前々回のスポーツドリンクが浮上するけど…。

うーん、要因ではあるかもだが、今一つハッキリとしない。
ましてや、今までに無い症状であるし、本当に肥料過多であれば以前から落果しててもおかしくは無いはずで、決め手にはならなそう。


これの対策に関しては現状、有効な手立てが見当たらない。

なので、暫くは余分そうな果実だけ摘果しておき、後は株まかせで落果するだけさせてみる事に。
いわば、自動的に「最適化」するか観察する訳だけど、上手く行けば途中で落果が一段落するのでは無いかと期待したい所だが…。


更に落果と同時に、もう1つ問題を発見。


この12月中旬に入る頃から急に、それぞれの株の先端が萎れ出して、ほぼ枯れる一歩手前な様子。

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やはり、この症状も日毎に進行している。

そして年末に入る頃には果房の周囲まで進行し、枝そのものが撓垂れてグニャリと曲がったり、中には完全に枯れた箇所すら現れ出す。

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実の所、この症状は大半のトマトで発生しており、先端から徐々に下りて来ている状況。
このまま進行すれば、いずれ株全体に及ぶ懸念が出てくる。

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何れにせよ、これまでには一切無かった症状である。
もし仮に、上記の要因が該当しないのだとすれば、最後に行き着く答えは。


「寒すぎて成育の限界に達した」か、あるいは「結実に力を使い果たし株の寿命が来た」


などの状況が推測される事となる。

と言うか、現在の季節と気温からして、これらが原因と考えるのが自然の成り行きではある。
大体、真冬に野外で育つトマトなんて聞いた事が無いし、また、成功例も見受けられなかった(あったら教えて下さいな)。

そして、結実させていた数量も、これまでで最大値である。
夏場の親株(オリジナル)が少量だけ結実してヘバっていた点から言えば、そこから株分けしたクローンも親株の性質を受け継いでいるはず。

つまり、今回の落果と萎れの主な原因は、「寒さ」と「体力の限界」が絡んで起きていると推察される訳です。

結局の所、旬を大きく過ぎてしまった冬場に至るに、もはや先述の「着果し過ぎ」や「窒素過多」などは副次的な要素に過ぎないのかも知れません。


まぁ、生物学的な観点では、至極当然の成り行きではありましょう。
人間だって、クソ寒い中で重労働を繰り返せば消耗が激しくなるのは自明の理。

それは作物とて同じ事であり、沢山の果実を実らせるには先ず健康と体力ありき。
そして、適切な気温下であればこそ、パフォーマンスが最大に発揮される事となります。
ましてや、夏野菜など言うに及ばずであろう。

その意味では、当プロジェクトのトマトが、露地栽培で年末まで生育していた事の方が奇跡的と言えなくもなく、本来なら実っているだけ良い方だと考えるべきなのでしょう。


従って、現状では収穫の見通しが立たず、再びトマトに受難が訪れた感は否めない。
残された果実にしても、成熟のスピードが遅くなっている事を考えれば、収穫まで持たない可能性すら漂っている。

幸い年を越せるのは確かだが、果たしてここから如何なる展開を迎えるのか。
その限界が訪れる時まで、来年度も見守りを継続して行きます。



と言う訳で、今回にて今年の記事は終了となります。

振り返れば案外、アレコレと色々な話題を記事にして参りましたが、如何だったでしょうか。

毎度散らかり放題の当ブログですが、本年度もお付き合い下さり、誠に有り難う御座いました。
お越し頂いた皆様へ感謝申し上げます。

それでは良いお年を。


では、また、CUL。