CULrides カルライズ

発見と探究そして文化。そんな諸々の話。

食べ蒔きゴーヤのフィードバック

さて、当プロジェクトのフィードバックは今回で最終回。
そして、食べ蒔き作物の記録としてもオーラスとなります。


🌑食べ蒔きトマトのフィードバック🌑

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🌑食べ蒔きカボチャのフィードバック🌑

🌑食べ蒔きメロンのフィードバック🌑

🌑食べ蒔きスイカのフィードバック🌑

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これまでの詳細な状況や経過などは、各記事のリンクからも辿れる様にしていますので、ご興味がありましたら併せてご覧頂ければと思います。

そんな今回は、ゴーヤのフィードバックをもって〆と致しましょう。

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🌑ゴーヤ🌑

結論から先に述べると、食べ蒔きでのゴーヤ栽培は「可能」。


結果的にミニサイズ主体ながら、一定量の収穫に成功した形となります。
その食味は非常に良好で、まさにゴーヤの旨味を存分に楽しめる仕上りとなっていました。

🌑ゴーヤと疑惑のミニトマトのレビュー🌑

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🌑ゴーヤのレビュー その2🌑

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ゴーヤの栽培は比較的容易と言われている通り、当プロジェクトでも一株から計3個、しかも夏と秋の「二期作」みたいなスパンで収穫出来ていたので、ある程度は通説を実証する結果となりました。

しかし、それでも問題は起こりうるもので、栽培にあたり注意点が幾つか挙がるのも事実。

今回のフィードバックは、あくまで当プロジェクトでの出来事が基なので必ずしも全てのゴーヤに適用される訳では無いにせよ、とりあえず参考になりそうな実例を中心に記述して参ります。

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先ず、発芽から苗の段階においては、やけに貧弱な体質である点に注意が必要。

その行程自体は、紙コップにラップを被せて温室状態を作るだけなので特別難しくありません。
むしろ、当プロジェクトでは一番簡単に発芽したくらいで、その発芽スピードも2~3日ほどと早いものでした。

ですが、そこでカビが生えたり、また植え替え時の急激な環境変化が加わると、一気に枯れてしまう可能性があります。

今回はタネを2個使用して両方とも発芽したが、それから数日経過した頃に紙コップ内部でカビが発生。
結局、その内の1個は体力を奪われてしまったせいか、初夏に苗を定植して間もなく枯れてしまっています。

従って、その初期段階での育成では、発芽したらカビが生えない内にポットへ移し替えたり、枯れない様に保温と栄養剤入りの水を与えたりと、マメなケアが求められます。

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また、外気温が夏の気候になるまでは殆ど成長が見られず、時に「本当に大丈夫か?」と心配になるシーンも多くありました。

なので、夜間気温が不安定な春までは室内に置いたり、あるいは野外ならホットキャップを被せたりビニール立てを施すなどの継続的な保温が必須。
日中の外気温が夏になるまでは定植に向かないので、焦らずジックリ生命維持を優先すべきでしょう。

ちなみに、ゴーヤは他のウリ科と違い温度管理が簡単らしく、保温期間中は殆どビニールを被せっぱなしの状態でも大丈夫な様子でした。

これは沖縄などの亜熱帯地域が原産地なので、そもそも暑さに強い為だと考えられます。

🌑発芽行程 スイカ・カボチャ・ゴーヤ編🌑

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そして、このタネの選定基準に関しても、1つ補足せねばなりません。

当プロジェクトのゴーヤはスーパーで買った品種から採種した、いわゆる「未熟果」のタネ。
則ち、「タネも未熟」であったが故に、苗も貧弱であった可能性が非常に高い事となります。

基本的にゴーヤから採種する場合、「黄色く成熟した果実から赤いゼリー状の被膜に包まれたタネ」を選ぶ事がセオリーとされています。

何故なら、この成熟したタネの方が中身がミッチリ詰まっている率が高く、なおかつ殻も固く発達していて冬場の乾燥に強いからです。

対して、未熟果のタネは中身がスカスカである場合が多く、殻も乾燥させると簡単に指先でパリっと潰せてしまうほどで、使い物にならないものが目立ってくる。

下は参考画像ですが、やけに殻と中身の隙間が広い事が判ります。

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これは当然、前者の成熟したタネを選ぶのがベストとなり、逆に後者では冬場を越したとしても、発芽率が圧倒的に低いであろう事は言うまでもありません。


しかし、少しややこしいのが、仮に果実が成熟してるからと言って必ずしも「イケてるタネ」ばかりでは無く、案外スカスカが多いパターンもあるし、逆に未熟果なのにミッチリしたタネを沢山含んだ品種もあるなど、必ずしも外見だけで見分けがつかない事。

ちなみに、当プロジェクトのタネは後者で、「未熟果なのにタネがミッチリ発達している品種」であったが故に、発芽から収穫まで成功したものと思われます。

従って、食べ蒔きで採種を行う場合、先ずは「使えるタネを持っていそうな品種探し」から始まる事になり、更にその中から「イケてるタネ」を選別する作業が必要となるでしょう。

これの成功率に関してはもう、手当り次第食べて手当り次第採種しまくるしか手段が無いかも知れません。

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かくして、イケてるタネならば一定の生命力を維持出来るので、そのまま苗が初夏の定植まで無事に生き延びてくれれば、梅雨明け頃から急成長を見せてくれるはず。

後は、ハチ等の昆虫が生息していれば殆ど放置プレイで開花から結実、そして成熟までオートマチックに進んでくれるかと思います。

🌑定植🌑

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🌑 7月上旬~中旬の様子🌑

※初期の記事では、ご近所との兼合いで画像が殆どありません。
伝わり難いかも知れませんが、文章を基に脳内で補完して頂ければと。


さて、お次はデメリットの話。

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基本的にゴーヤは病害虫に強いらしく、この点に関しても一般的な解説通り特に不安要素無く生育していました。

その最たる例として、他の作物では頻発していたウドン粉病は一切発生せず、そしてウリバエの被害にも殆ど遇わずにいるほど。
強いて実害と言えば、地面に接地していた果実が軽くワラジムシに噛られた程度で、そのキズさえ暫く経つと回復している様子でもありました(上の画像)。

この現象を鑑みるに、どこか「野性的な本能」と言うか、いわば原始的な意味での生命力や免疫力を色濃く残している作物なんだろなぁと言った印象すらあります。

それは他のウリ科作物と比較して行く中で、「原種に近い=免疫力が強い」との結論を導き出すに至りました。

🌑9月下旬の様子後編 スイカとゴーヤと昆虫と🌑

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🌑10月中旬~下旬の様子🌑

🌑ウリバエの防除に関する仮説3・作物の生命力よ、再び。~愛を取り戻せ~🌑

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ただし、果実自体は例に漏れず矮小化してしまう傾向が強く出ていたので、いわゆる「完全な再現」は難しいものと思われます。

無論、これは採種した品種にもよるだろうし、また栄養状態や土壌などの環境的な面にも左右されるので一概には断じれないが、身も蓋もない言い方をしてしまえば、食べ蒔き故の宿命として妥協せざるを得ない部分があります。

とは言え、小さくとも味には変化が無く、サイズとの相関性は殆ど感じられなかったのは意外でした。

概ね「色艷が濃く、実に張りがあり、香りが強い」の三拍子が揃えばクオリティとして十分な水準を満たせる様なので、さほど大きさに囚われる必要も無いでしょう。

🌑8月上旬~中旬頃の様子と初収穫🌑

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🌑10月上旬の様子とゴーヤの収穫🌑

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次に挙がるリスクとしては、株の枝葉が急激に枯れ出す現象。

これは過去の記事でも度々触れており、ことある毎に対処してきた部分だったりします。


この枝葉の枯れが発生した場合の対処法としては、迷わず全ての患部を剪定し、余計な栄養を使わせない様に仕向ける方法を採用。

こうする事で、回復する方へと集中的に養分が流れて行く様になり、ほどなく新芽が芽吹いて光合成を再開し、やがて株全体の元気が戻るのではないかと予想。
結果、この通りに回復していたので一応の効果は確認済みとなります。

無論、これは荒療治なので必ずしも成功するとは限らないのですが、もし枯れが発生した場合はイチかバチかで試すのはアリかと思います。

当時のビフォー・アフターの話は以下に。

ビフォー。
🌑8月中旬~下旬頃の様子🌑

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アフター。
🌑8月下旬の様子🌑

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アフターのアフター。
🌑9月中旬の様子後編 メロンの収穫ファイナル🌑

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それで、この急激な枯れの原因についてネットで調べると、主に「栄養不足」との解説が中心。

もし、これが前出の未熟なタネを植えていた場合、元々体力が無い貧弱な株となるだろうし、その分だけ成長エネルギーが不足がちな体質となってしまうのは間違いありません。

当プロジェクトの症例にしても、基本的に果実が結実したタイミングか収穫後に発生していたので、恐らくは「体力の消耗」と「栄養不足」のダブルパンチが絡んでいるものと推測されます。

となれば必然的に、回復する為には相応な量の追肥が必要になります。
また、根本的にゴーヤ栽培には養分となる肥料が大量に必要だそうで、先ずは肥沃な土壌である事が大前提でもあるらしい。

この理由としては、元々ゴーヤは沖縄など温暖な地域で海と山が近く、多種多様な動植物が集中的に集まる土地がルーツである事と深く関係しているものと考えられます。

つまり簡単に言えば、「そもそも豊かな土壌で生まれた植物」だからこそ、肥沃な場所で栽培すべきなのでしょう。

🌑9月上旬の様子後編 スイカの症例とゴーヤの環境🌑

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その意味で、当プロジェクトは基本的に「生ゴミ」や「落ち葉」などの有機物に頼っていたが、何せ急ごしらえで分解が追い付かず、余計に栄養供給が追い付かなかった部分が否めませんでした。

実際、株まで枯れそうになった時の回復処置では、通常以上の量の有機物を埋設したり、更に顆粒の有機肥料追肥したのだが、直後から劇的に復活していたので、これらの効果は明らか。
しかも、この回復後の果実は、枯れる前の果実より数も大きさも増えていました。

となると、果実の矮小化なる現象は、土壌次第で大幅な改善を果たせる可能性も大いに有り得る事になります。

そこから導かれる結論としては、花壇や庭先などの「広くて深い」場所に植えた方が根を伸ばせるし、より自然に近い環境なら多様な養分を吸収出来るので、それだけ成長に有利だと考えられるのです。

もっと言えば、プランターなどの狭いスペースで育てたゴーヤほど株が貧弱な傾向にあったり、果実も矮小化している事例を何度か発見しているので、その意味では環境的にデリケートだったりセレクティブな植物なのかも知れません。

いずれにせよ、あまり肥料はケチらず、積極的に与えた方が良い結果に繋りやすくなると言えるでしょう。

🌑土作り🌑

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🌑肥料と薬剤🌑

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そんな訳で、当プロジェクトでの状況証拠を総合すると、食べ蒔きでのゴーヤ栽培における要諦は以下になります。


・イケてるタネを持つ品種を探し当て、イケてるタネを確保する。

・未熟果のタネでは苗も貧弱な場合があるので、定植適期までは保温と栄養剤入りの水で生命維持に努めよう。

・肥料は栽培前の施肥は勿論、有機物なら大量に埋めておいたり、更に結実したら追肥するなどで土壌を肥沃に保ち、栄養不足とならない様に気をつけよう。

・枝葉に枯れが発生した場合、患部を剪定して新芽が出る様に仕向けてあげよう。

・出来る限り広いスペースに定植して根を伸ばせる様にすれば、より大きな果実が実る可能性がある。

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さて、以上でフィードバックも全て終了となりますが、「食べ蒔き作物プロジェクト」のシリーズは如何だったでしょうか?

当プロジェクトの一連を総合すれば、いずれも完全再現とはならなかったのは事実ですし、確かに「普通のタネを買った方が良い」と言う結論が出て致し方なくもあります。

大体、同じ労力をかけるなら、実入りが良い方を選ぶに決まってますからね。


しかしながら、当プロジェクト自体、「本当に実生で育って食べられるのか?」を確認する為に挑戦していた側面があっただけに、その意味では確かに実証出来たものと自負していたりします。

また、何度か述べている様に、この「記録全てが収穫物」である事を思えば、まるっきりムダとも言い難いはずですし、これら記事が1つの参考資料としてもお役立て出来るのではないかと考えています。

いや、そう信じたいだけなんですが、とにかく、皆様も試しに食べ蒔きに挑戦してみれば意外な発見があるかも知れませんよ。


先ずは先入観抜きにして、実際にやってみるのをオススメしておきます。


明日のイノベーターは、貴方かも知れない!



では、また、CUL。