CULrides カルライズ

発見と探究そして文化。そんな諸々の話。

メリケン道中記 Garage Company

遡る事、6年前。

2008年に自分は、予てより計画していた初渡米を果たす。
主な目的はメタル、ハードコアの本場でライブ観賞する事。

更にもう1つ。

それは、バイクでアメリカをツーリングして、あわよくば大陸横断してみようなんて大袈裟な目標。

結論から言えば、買ったバイクが小さすぎて、ユタ州からネバダ州に向かっている途中でエンジンが焼き付いてしまい、大陸横断は出来ず。
原因は色々あれど、一重に自分自身の判断ミスに由来するのだが、今にして思えば当たり前の結果ではあった。

しかしながら、Pacific Cost Highway(通称PCH)をサンフランシスコ、所謂フリスコに向かい海沿いを、時に山道を北上しながら見た景色。
そしてグレートソルトレイクの広大さなどは、一生忘れる事の出来ない体験となり、今でも脳裏に焼き付いている。


そんな当時、お世話になっていたのが今回、再び訪れたのこのGarage Company。

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ここはヨシさんとキョウコさんという日本人夫妻が経営しており、この地でバイク屋を始めて20年以上経つ老舗でもあります。

また現在、この西海岸で隆盛を極める日本車の旧車をベースにしたカフェレーサーの発信源の一つでもあり、いつかのHot Bike誌(だったと思う)でも、この件に関するカラー記事が掲載されていました。

そんなお二人の人柄を一言で表すとすれば、[オーラが凄い]であろうか。

ヨシさんは非常にジェントルな物腰でありながら、同時に並々ならぬ自信を感じさせる人物。
そして奥さんであるキョウコさんもまた同じく、強烈な明るさと包容力も兼ね備えた女性。
そして、何よりお二人に共通して感じるのが[人間力]と[若々しさ]。
もはや年齢がどうのでは無く、常に若くそして強いのである。

そんな全ての[成るべくして成った]要素を持つお二人が切り盛りする故、ひっきりなしにお客さんが訪れ、電話もよく鳴る繁盛店であるのもまた必然的と言えるだろう。


そんなお二人に圧倒された事もあり、更にあの当時、大分お手を煩わせたとの思いから勝手に引け目を感じてしまい、今回行くかどうか迷っていた。
今更、どの面下げて行けばいいやらと。

だが、またこうしてアメリカに来たのも何かの縁であろうと独り合点し、やはり挨拶に向かう事としたのである。


さて、以前とはお店の場所が移動しており、当時はMarina Del Ray近辺のWashington Blvd沿いであったのだが、2010年頃に現在のInglewoodに移転したとの事。

ただ、このエリアは悪名高いサウスセントラルと呼ばれる地区の一部である為、治安は悪いと言わざるを得ず、やはり訪れる際は日の高い時間にすべきでしょう。
余談ではありますが、先日も早朝に現地在住の日本人が何者かに射殺される事件が起きたばかりでもあり、いずれも気は抜けない場所である事だけは確かです。


そんなメインストリートから少し外れた、サンディエゴフリーウェイ付近に新しい店舗を発見。

店先には、お客さんかクルーの物らしきバイクが並んでいる。

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中に入ると、以前とは幾らか雰囲気が変わったものの、更に広くなった店内には相変わらず珍しいバイクやパーツが沢山。

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正直、旧車に関する知識はサッパリなのだが、一目でそれが価値のある物である、と判るに十分過ぎる程のコレクションの数々。

基本的にはイタリア車や英車、そして日本メーカーの旧車などのクラシックなバイクが中心で、また、カスタムハーレーやレプリカもウリの1つ。

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更に、壁いっぱいに年代物のヘルメットが陳列されたラック(画像撮り忘れた)を始め、同じくバイク映画のポスター、雑誌にステッカー等の雑貨や小物も非常に多く、その為か店内は古き良き時代のノスタルジーも漂う。

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その中にあって、CBR900RRやビューエル等の一般車?の中古車も販売していたりと、店自体のスタイルはハッキリしているのに、かと言って縛られ過ぎてもいないので、敷居の高さは一切感じられない。
その為か、来店するお客さんも実に様々。

一度、完全なアウトローイカー系の店に入った時は、場違い感が凄かったものです。
店の人(どう見てもバイカーギャング)は普通に対応してはくれたけど、あれは違う意味で緊張したなぁ。客層も完全にアレだったし。


このガレージカンパニーは元々、趣味が高じて集めていたらこうなっていた。
と、ヨシさんは仰っていたが、しかし、その域を超越した空間を見るにつけ、改めてそのスケール感に圧倒される。

久しぶりに店内を伺っていると、キョウコさんがピットから現れ、久しぶりの挨拶を交わす。
そこで以前、お世話になった事、また、その件について申し訳なさを感じていた事などを話すと、

「そうだったのー!そんな事気にしないでいいのよー!同じ日本人じゃない!力になれそうな事があれば言ってよ!」

と仰って下さり、更に「喉乾いたでしょ?コレ飲んで!あと、このお菓子も食べてね!いつまでアメリカいるの?」と、相変わらずのハツラツとしたキャラクターとホスピタリティに緊張がほぐれる。

ヨシさんは外出中との事で、戻ってくる迄の間に色々とお話させて頂く事に。


ここへ移転した理由を伺うと、以前の店舗があまりに手狭となってしまい、もっと広い場所を探していた所で、この物件を見つけたそう。

それにより、作業ピットは格段の広さとなり、中を覗くと多数の整備待ち又はカスタム中のバイク達が見え、数名のクルーが手を動かしている。
確か以前は一部、屋根の無い屋外のバックヤードでも作業をしていたはずだが、今は完全に室内で出来る様に。

その以前のバックヤードでも、他の日本人バイカーの方々とタバコを吸いながら談笑した記憶があるのだけど、皆さんイカツくて雰囲気タップリだった事を思い出す。
その完成されたキャラクターを見て、「やっぱりバイカーはこれだよなぁ」などと妙に感じ入ったものです。


そして増設したジャンク?パーツ置き場にも、パイプやエンジン等、とにかく大量の部品が所狭しと置かれており、その中から好みのパーツを見つけたらしいお客さんが、値段を聞いたり買ったりなどしていた。
また、これらのパーツを求めてユーロから来るお客さんも多いと聞き、至極納得。

更に、お店の前で開催したパーティの様子を動画で見せて頂くと、かなりの盛況ぶり。
集まった人々はこの店の出身者達とその仲間が中心で、今はかなり有名な人もいるとか。
その中にはLooser Machineの面々もおり、やはり昔からここに常連として出入りしていたそうだ。
そして、このパーティ自体がそんな彼らによって運営されているとの事で、尚更このお店に対する支持の厚さが伺えた。

もう一つ、以前は日本人メカニックの方が数名居たのに、全員入れ替わっている事について触れると、今は皆さん独立して日本で開業されているとの事。
あまり詳しくは伺ってないけど、何処のお店なんだろうか。


そうしている間に、ヨシさんがバイクに乗って戻ってきたので、挨拶をしに行く。
同じく過去の経緯をお話すると、

「あぁーそうだったっけ!?あれ壊れたんだっけ?横断してないんだっけ?似たような出来事が多すぎてねぇハハハッ」

と、あっけらかんとしたご様子。

そう、この底抜けな大らかさこそが、このお二人の器量なのだ。
そして改めて、昔の事を気にしていた僕の自意識なんてちっぽけだなと認識する。

しかしそれでも、ヨシさん達の持つ強烈な自信と強さに裏打ちされた堂々たる佇まいを感じるにつけ、こんな人達には生きている間にそうそう会う事は無いだろうな、と思うのであった。


もし、クラシックなバイク、あるいはリアルなアメリカンバイクカルチャーを知りたい方にとって、このガレージカンパニーはとても良い入口となるはず。
日本人のお店だが、[日本には無いセンス]と、現地のバイクシーンを[自然体でリード]するその空気感に、きっとどこか懐かしさや新たな発見があると思う。

[温故知新]

そんな言葉が浮かぶ素敵な空間でした。






って、何か村上龍っぽい事言ってみたり。
こんなガラじゃないよね、うん。


とりあえず以下、番外編。


その2008年に買ったRGM-230F陸戦型ジム、もといCRF-230L。

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似てない?