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2020年は植物の生え方にサッパリ元気が無かった事と、その要因として考えられる仮説 その②「雷による刺激が少なかった」

前回、2020年は近隣の雑草の成長率が低く、家庭菜園でも発芽に手間取った要因として、2019年末からの暖冬により「冬越しが上手く行かなかった」のではないか。

そして、そのせいでタネの休眠期間も中途半端に終わってしまい、いざ発芽から成長の時になって「正常に生体機能が切り替わらなくなってしまった」のではないかと考察しました。
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しかし、植物の生命力や成長率を決定付ける要因は多様なはずで、上記が全ての答えであると断定する事は出来ないだろう。

ここでは更にもう1つ、植物に元気が無かった大きな理由として、2020年は「雷」が少なかった事も影響していたのではないかと考えられるのだ。


前回までの仮説①と併せて、以下に仮説②を記して行きましょう。



仮説②[2020年は例年と比べ雷の回数が少なく、成長のスイッチが入力され難い状況になっていた]
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雷は別名「稲光り」や「稲妻」と呼ばれている様に、古来より雷が多い年はコメが豊作になると言われているそうだ。

これを有り体に言えば、雷雨が発生し、初夏に植えた稲田へ大量の水が注がれる事で成長を促す作用がある以上、しごく当然の話にも思える。
つまり、初夏の田植えシーズンと夏の雨季を告げる雷雲はセットだからこそ、「稲の妻(夫)」なる漢字があてられたのだろう。


しかし、大量の「水だけ」が必要なのであれば、単純に近隣の河川から引けば良いし、梅雨時から夏場の雨量でも賄えそうな気もする。
にも関わらず、2020年6月に入ってからの天気は梅雨らしい雨天が続いてたのに、周辺の雑草帯がサッパリ伸びていなかった。

と言う事は、イネ科を始めとした様々な植物が生育するにあたって、水だけが問題なのでは無く「別の要因」が絡んでいる可能性についても考慮するのが自然だろう。


そこで浮上するのが、「雷の作用」である。



では何故、水だけではなく「雷まで必要」なのかを考えるに、どうやらそこに含まれる「電気的な刺激」や、雷鳴による「空気の振動」などがセットになる事で、本格的に生命力・免疫力のスイッチが入力されているからなのではないか?との仮説に思い至る。


前回において、「2020年はススキなどイネ科植物が少なかった」と記していたが、いわゆるコメ以外のイネ科でも共通した性質を備えているとした場合、これらも電気的な刺激によって成長を促されるであろう点については同じはずだ。

だとすれば、確か2020年度は雷が少なく、例年に比べ「今年は来るのが遅いなぁ」などと思っていた記憶があるので、それとリンクする様に個体数が少なく成長率が低かった事とも符号する。


また近年の研究報告によると、「植物(作物)に振動を与えると害虫が寄りつき難くなる」と言う現象も確認されているそうだ。


この理由について、一説では「虫が振動を忌諱しているのではないか?」と考えられており、これを技術的に応用する事で農薬を減らせるのでは無いかとも期待されているとの話であった。
確かに、植物が振動する事で虫が定位しづらくなったり、あるいは産卵しにくくなるなどの効果がありそうな点については納得出来るところ。

ただ、個人的な見解としてもう一点付け加えるとすれば、その「振動によって植物自体の免疫力が強化されている面があるのではないか?」とも考えている。


そこでスイッチとなるのが、まさに雷鳴から発せられる電気や微振動であり、これが刺激となって体内のホルモンバランス等へ影響を与える事で、より丈夫に成長する為の必須条件を満たせる様になる。

と言う訳だ。
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さて、一連の仮説を通して解ってくるのは、植物が育つ為の必須条件、すなわち成長のスイッチは「シーズンごとに色々なパターンがあるらしい」と言う事。


それは前回の「冬越し」以外にも、ここで述べている雷も要素の1つ。
つまり、それらスイッチが季節ごとに、順番に、全ての入力が揃う事で、初めて本当の意味で生命力が目覚める事になるのでは無いのか。

そして2020年は、これら2つの要因が足りなかったが故に、植物の成長率が低かったのではないかと考えられるのです。



この「シーズンごとに色々なパターン」としては、例えば常緑多年草の様に年間を通して青々とした品種ならば、いわゆる「成長のスイッチの種類や回数」などは少ないと考えられ、安定した気候や一定量の水分さえ確保出来ていれば生存に足りうるだろうし、実際、そうやって常態的に生育している様子も確認出来る。

これは砂漠やジャングルなど、単純に雨期と乾期だけで分かれていたり、四季による気候差が大きくない土地の樹木が代表例だろう。


それに対し、季節性の植物や作物は春から夏にかけて成長し、秋に成熟、そして冬に枯れてシーズンを終えるサイクルなので、少し条件が異なってくる。
特に日本は四季のメリハリがハッキリしているので、それに合わせてスイッチ入力の条件が少し厳密化されているのではないかとも考えられる。

これにより、各シーズンの気候状況に合わせて生育する事で、ムダな体力を消耗せずに済んだり、一度枯れる事で病害虫の発生が抑制されたりと、生存戦略的にも効率的な面があるに違いない。
ある意味では、その様な植物にとって冬はリセットのシーズンとも言える。

故に、一年を通して青々と繁る植物は少数派となるため、大半の作物はビニールハウスで温めたりなどで強制的にスイッチを入力する必要があるのだ。


この項目における雷も、そう言った「季節を知らせるスイッチ」の1つである以上、雷鳴がないと季節感が感知出来なくなるであろう事は想像に難くない。

そもそも、この日本では一年の内に必ず冬が来る事も夏前に必ず雷雨がある事も前提でシーズンが回っているので、植物もそれに合わせた体質である方が好都合なはず。
だとすれば、電気的な刺激や振動によって初めて目覚める生体機能があって、それが発動するか否かで以後の成長に影響を及ぼす事だってあるかも知れない。

そう考えるとやはり、暖冬で、なおかつ雷が少ないといったイレギュラーな気候が続いた2020年において、雑草の成長率が低かった事にも辻褄が合ってくるのだった。
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では、ここで述べている「様々なスイッチ」とは一体何なのかと言うと、個人的な仮説ではあるが、いわば「決められた順番に入力しないと始動しないシステム」みたいなものだと考えている。

例えるなら、航空機や宇宙船の発進シークエンスで、幾つかのスイッチを順に入力する事で初めて点火されるのと同じ意味あいだ。


これを具体的に表すと、「冬の寒さスイッチ(電源OFF)」、「春の暖かさスイッチ(起動ON)」、「初夏の水分スイッチ(暖気運転)」、「梅雨の雷スイッチ(燃料点火)」、「盛夏の太陽スイッチ(発進オーライ)」といった様々なスイッチを季節ごとに用意する事で、成長ホルモンの増加などエネルギー配分を適切に行ない、適切なタイミングで生体機能を起動する事が可能になる。

またそれだけでなく、仮に「真冬に夏日」みたいなシチュエーションに晒された時など、「間違ったシーズンに目覚める」のを未然に防ごうとしていたり。
もし目覚めた場合でも、これら別のスイッチを幾つか担保する事で必要のない機能まで誤作動を起さない様にして、ムダな体力消費を抑えているのではなかろうか。


もっとも、実際は季節外れに生えるシーンなど度々ある事だし、ハウス栽培では強制的にシーズンを作り出していたりするので、必ずしも絶対的に機能する訳ではないらしい。

数ある中には、スイッチを飛ばして入力しても何とかなる品種があるはずで、むしろシーズン問わず売られている観葉植物などは厳密な条件を除外していたり、そういった元の性質から離れている場合も多いはずだ。



ただし、一つ懸念材料として、実は「いつもと違う条件で生える事で起こりうるデメリット」も存在する。

と言うのも、本来入力されるはずのスイッチが入力されないまま育った場合、その影響が後々に生成されるタネ、そして次世代へと残る可能性が否めないからだ。


具体的には例えば、前回の「冬越ししなかったせいで生命力が目覚めていない」事や、あるいは「雷が鳴らなくて刺激が足りず免疫機能が目覚めていない」事により、そこで発生した生体機能の乱れがタネに記憶されてしまう可能性がありうる。

となると、その記憶を引き継いだ次世代においては、成長ホルモンの生成が阻害されたり、本来なら発揮されたはずの免疫力が機能しなかったりで、まともに生き残れるタネを残せなくなるかも知れないのだ。


それを突き詰めれば、先々の世代で更なる歪みが広がるリスクまで残ってしまうばかりか、いずれかの代で「その種は終わり」と言った事態をも招きかねなくなってしまう。

以下のリンクは、その一例である。
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もっとも、基本的に生物には「種の保存の本能」が備わっている。

なので、仮に生命力がスポイルされてしまったタネであっても、再び「冬越しスイッチ」から「雷スイッチ」といったサイクルで育てる事によって、正常な機能を取り戻せる可能性はある。
また、もし異常気象や気候変動などが騒ぎになっていたとしても、いずれ適応する個体が出現するはずなので殊更に警戒する必要はないかなとも思う。


無論、そんな最悪の事態を避ける為には、まず気候が安定しているのが理想ではある。

しかしながら、ここ数年の気候を鑑みれば、やはり変化が起きる事を前提に据えながら、より環境に適応した品種を増やすべく、実生で生存パターンのバリエーションを広げてみたりなどで、色々とリスクヘッジする事も重要になってくるのではないかなと。

なんだかんだ、結局は「タネで世代を重ねられる種」が一番強いと思うんですよ。
それだけ子孫を残せる力があるって事ですからね。
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さて、前後編つづけて「2020年に植物の成長度合いが弱かった原因」について考察してきた訳ですが、いかが思われたでしょうか。


いずれも科学的根拠よりは個人的な経験則に基づく部分が多いので、必ずしも正しいとは断言出来ないのが実際のところではあります。
しかし、例年との差異であるとか、状況証拠をかき集めると、どうにも「そう考えざるを得ない状況」が浮上するのも確かです。



その上で、ここまでの仮説を踏まえて今年2021年を予測するとすれば、恐らく「2020年度よりは植物の生育が良くなるのではないか」と考えていたりもする。

その根拠として、昨年末から今年始めにかけては強めの寒波が押し寄せていた事と、2019~2020年の冬季に比べて平均気温も低めに推移しているのが一つ(っても数年前の平均に比べれば暖かい方ではあるが)。
つまり、とりあえず冬らしい気候ではあるので、その分だけ「成長のスイッチ」も強く作用すると考えられるのだ。


ただし、この2月中旬・下旬現在は少し暖冬傾向な部分も残っており、日中が春並みに暖かくなる日もしばしば。
また、桜の開花も3月中旬から下旬が見込まれるなど、今後は例年より気温が上昇するとの予測がなされているので、断定するには難しい状況ではある。

今のところ、夜は真冬の寒さに戻ったりなどで安定感には足りない面もあるものの、少なくとも昨年度より寒さがチャージされているのは確かだと思う。


そして初夏以降に、雷が適切なタイミングで到来するかどうかも重要なファクターとなりうる。

この記事の仮説に倣えば、ただ近くを通過しただけで中途半端に終わったり、はたまた全く鳴らなかった場合に植物の反応も変化し、やはり例年と違ったイレギュラーな生育パターンとなる可能性があるからだ。


とどのつまり、要するに、これら全部の条件が例年通りちゃんと揃えば、「植物が元気に育ち緑溢れる大地になる」と言う話なのであります。



いずれにせよ、全ては予測に過ぎないし、夏になれば答えが出てくる事でしょう。

果たして今年はどうなるやら。




では、また、CUL。

2020年は植物の生え方にサッパリ元気が無かった事と、その要因として考えられる仮説 その①「暖冬で冬越しが足りなかった」

2018年に家庭菜園(食べ蒔きプロジェクト)を開始して以降、育てている作物のみならず、周辺の植物にも関心が向くシーンが多くなった。

それは自宅近辺の雑草を含めて、その種類や分布のほか日々の成長度合いに気付いたりと、興味深い発見に至る事もしばしばである。



そんな中、昨年2020年の夏ごろになって、妙に違和感を覚える現象が続いていた。

と言うのも、当時は何故だか近隣の雑草や植物の成長が異様に遅く、例年と比べ明らかに元気が無さそうな印象を受けたからだ。


具体的には、例年の梅雨時期、いつもならボーボーに雑草が生い茂っているはずの場所がスカスカで、やけに短いまま成長が遅れている様な。
あるいは成長に「必須な要素」が足りていない様な、とにかく全体的な伸び率や勢いが足りていない様子であった。

本来なら、春に芽吹いて5月頃に初夏の暖かさで一気に生え揃い、そして6月の雨で溢れんばかりの成長を遂げるものだが、それでも一向に伸びる気配が無く、やけに短い個体が目立ってもいた。
特に、ススキなどのイネ科植物が圧倒的に少なくなっていたゾーンもある事から、例年との差異は明らかである。


実際、この時期にはボーボーになり過ぎた雑草帯を造園業者が刈りに来るのだが、あまり出動している形跡も無かった。
普段なら出ずっぱりで、あちこち連日の如く草刈り機の音が聞こえるのに、当時は殆ど作業している姿もなく、年間を通してもほんの1~2回ほどしか確認していない。
それはまるで、やる必要すら無さそうな印象でもあったくらいである。

もしかして読者の中にも、この変化を実感していた造園業の方がいらっしゃるのではなかろうか。



で、この成長率が低かった要因とは何なのかを考察するうちに、幾つかの可能性が浮上。
その可能性を二種類に分類して仮説立ててみたので、まずは順を追って説明してみよう。



仮説①[2019年暮れから2020年にかけて冬の気温が高くて寒くなりきらず、植物のタネが休眠状態にならなかった]
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ご存じの通り、基本的に植物は暖かいシーズンに全盛を迎え、寒くなり枯れる前にタネを付け、やがて土に撒かれる事で一つのサイクルを終える。
そして、次期に再び芽吹く為には一度「冬越し」が必要で、そこで寒に晒す事により「発芽スイッチ」の準備が完了する。

この現象は「休眠打破」と呼ばれていて、例えば桜の場合、冬の間に寒さがチャージされる事で、春に開花を迎えるスイッチが入力されている。
更に、この冬越しを推奨されている品種は多く、当プロジェクトでのトマトを始め、メロンやゴーヤ、カボチャなどのウリ科作物なども代表例として知られるところ。

これら作物は「収穫直後に採種したタネ」を蒔いても生育不良を起こしたり、まずまともな実をつける事も出来ないとされている。
そして実際、この「冬越しさせていないタネを蒔いても正常に生育しない」現象については、上記の品種を使って過去に行った実験でも確認済みである。


この発芽スイッチを入力するにあたりなぜ冬越しが必要かと言うと、どうやら一度「生存に厳しいシーズン」を過ごす事によって、来るべき成長時に生命力をフルに発揮させる為だと言われている。
それは即ち、時に起きるイレギュラーな気候変動や厳しい環境下に置かれても、乗り越えられるだけのタフなタネと次世代を残す為に備わった、生存戦略の一つでもあるのだろう。

つまり植物は、ただ単に暖かいから目覚めるのでは無く、その前に「準備段階を一定期間のあいだ」経る必要がある。
でなければ、本来の意味での生命力が発揮できにくくなっている様なのだ。

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では、ここで「冬越しが上手く行かなかった」と言うパターンを仮定した場合、植物の生育にどの様な影響があるのだろうか?


この仮定を踏まえて考えてみると、2020年度の食べ蒔きプロジェクトで発芽が遅れていたり、シーズン序盤では成長率が低い状況が続いていた事に関して、いくつか思い当たる点が浮上してくる。
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上記リンク記事にも記しているが、この時に発芽しにくかった要因の一つとして「冬の気温」が関係していたものと考えている。


冒頭でも延べた様に、2019年から2020年にかけての冬季は記録的な暖冬であったし、昼夜の平均気温も例年より明らかに高い日が多かった。

事実あの当時、天気予報では「気温が高い」と何度も触れられていたし、桜も3月中旬から全国的に開花していたほど。
首都圏の場合、例年であれば4月に入るあたりで本格的に開花するのが通常なので、いかに昨年の気温が高かったかが解る。


また余談ではあるが、2020年は「季節の匂い」も特殊で、確か2月頃に何故か「夏の匂い」が空気中に漂っていた日があり、今までそんな事など無かっただけに妙な感覚となったものだ。

通常、この夏の匂いは4月~5月あたりから濃厚となるのだが、昨年に限っては大きくパターンから外れた事になる。
この「季節の匂い」は秋や冬の場合でも存在し、概ねその数ヵ月から数週間前に漂っていた空気感次第で、その年の気候もある程度は予測可能であったりする。

つまり、2020年は夏よりもっと前に、既に冬の段階からして異変の兆候が顕れていた訳だ。


更に、この季節の匂いの正体とは恐らく「気温」、「湿度」、「風向き」、「植物の放つ香り」などの要素により発生していると考えられるのだが、これが人間にも感じられている以上、植物はなおさら敏感にキャッチしているはずである。

先述した2020年2月に、例年と違い「冬なのに夏の様な匂いが漂っていた」と言う事は、「土壌が暖かく保たれる時間が長くなっていた」であろう可能性をも意味する。
そのため、気温だけが微妙な上下を繰り返したり、夜間も寒くなりきらない日が続いた事で、土壌内の季節の変わり目にもメリハリが無くなり、植物のタネは「休眠期間に入りにくい状況」に陥っていたのではなかろうか?

となれば、この気候に晒されたタネや根は、「アレ?今まだ冬じゃないの?」とか、「エッ、もう春?夏?」みたいな具合いで混乱していたり、あるいは「なぁ、生えていいの?ダメなの?もうよくワカンネーから寝とこ」なんてなったりで生活リズムが狂ったり、目覚めのタイミングを失ったままの状態が続いていたとも考えられるのだ。



以上の流れにより、周辺の雑草がサッパリ伸びていなかったり、食べ蒔きプロジェクトで発芽に手間取った理由として。


「冬が暖かかった為に冬越しが上手く行かず、植物の生体機能が正常に切り替わっていなかった」


との結論に達するのです。

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そんな訳で、次回は後編。


仮説②「雷による刺激が少なかった」と言う点について触れて行きましょう。




では、また、CUL。

食べ蒔き三期生ダイジェスト 1月中旬・シーズン終了のお知らせ&根っ子から解る作物の成長率

前回となる2020年12月下旬までに、何とかミニトマトの収穫に成功。
ただ、迫り来る寒波の影響は大きく、この時点で既に作物全体が枯れている状況でもあった。
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そこから暫く経って、今回は2021年1月中旬の様子となる。


基本的に年末以降は大きな変化も無く、ただ経過観察するに留まっていた。

しかしながら、年明けから更なる寒波が押し寄せていた事もあり、症状は確実に進んでいるし、回復の見込みが無い状況で放置し続けていても、何も起こらないままとなるだろう。


然るに、ここが潮時と判断し、ついに三期生の終了を決定。
それにあたり、様々な部位の状態確認や、恒例の「根チェック」などを施してみる事に。



さて、コチラは今期最も結実率が高く、前回でも収穫に成功した株である。
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ご覧の通り、茎や枝葉は芯までカピカピに乾燥し、全身が茶色く変色。
まさに、霜枯れといった風情。

昨年12月下旬まではギリギリ青味を残していたが、今年1月に入ってからの寒波によってトドメを刺され、この中旬までに一気に終了へと突き進んだのだった。



そんな中にあって興味深いのが、今期は例年に比べ落果が少なかった事。
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この株では、まだまだ果房と果実を繋ぐ「離層」に保持力が残されており、ギリギリ成熟するまで頑張っていたであろう様子が伺える。


これまでの一期生と二期生では、寒波に見舞われたり土に霜柱が立つようになると、急激に落果数が増えて歯止めがかからなくなるシーンが多かった。
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正確には、当時もシーズン終了まで保持されている果房はあったが、落果する割合やパーセンテージに大きな違いがある。
年毎に結実率が違うので単純比較は出来ないのだが、解りやすく数値的に表すと、例年なら多くて8割~9割はポロリしていたのに対し今年は1割行くかどうか。

それはまるで、コンプライアンス重視によりエンタメ業界でポロリが規制強化された事と軌を一にするかの様でもある。


いや、何の話だ、つまり要するに、それだけ微少で済んでいるのだ。



この要因について、ハッキリとした理由は解らないままである。

しかし、強いて挙げるとすれば、2020年末は全国的に雨が少なく晴れの日が多かったので、気候や環境的にも安定していたからではないかと考えている。
多分、それにより日照時間が増えたり、土壌の地温が保たれるなどで「果実を成熟させるための必須条件」が揃っていた。
そして、その間にトマトもギリギリまで粘ろうとした結果、ここまで保持されたと推察されるのだ。


実際、落果が多かったシチュエーションで思い返すと、2018年や2019年などは年末まで雨の日が多かったりと、あまり天気に恵まれない状況が続いていた記憶がある。
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更に、もともとトマトは暖かく乾燥した土地に適応している植物と言われているので、そりゃ雨ばかり続いては生育も不順となろうものだし、環境的に合わない中では落果しまくって当然だったとも言える。

この仮説が正しいとすれば、やはり今期は日照時間が長かったぶん、果房が長持ちした事にも納得が行く。
あともう少しシーズン的に粘れていれば、これらも成熟する所まで持ったのかも知れないなぁ。



でもって、その根回りには若干水分が残されている様子。
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むしろ暖かいビニールハウスなどに移植すれば、また再生するんじゃないかと思える質感。
引っ張ってみても、なかなかキッチリ土に定着していて、強い手応えが感じられる。



ズボッと引っこ抜いてみると、根の発達具合いは良さげ。
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画像右上に向けてゴボウみたいな「太く長い根」が一本伸びていて、周囲には「細かいヒゲ」がバランスよく混在している事から、枝葉への養分供給も上手く行っていたであろう様子が伺える。
故に、収穫までイケたのも必然と言えましょう。



更に、他の個体も抜き取ってみた。
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これらは先のものより成長率が低かった個体群なのだが、何となく気持ち、全体的に根が細い様に感じられる。
そして実際、結実はしても成熟まで持つ事は無かった。



実は、これまでの観測から、どうにもこの「太く長い根」が発達しているほど、その成長率・結実率ともに高くなる傾向が確認されている。
それは、一期生の最期で初めて理解された部分でもある。
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つまり恐らくは、この太く長い根こそが文字通り「幹」の根幹となり、生物で例えるところの背骨として機能している。
あるいは、車の電源で言うメインハーネスとして全体を支えているとも言えようか。

そして、その他の細かな根やヒゲは、脇芽や枝葉を形成していたり、また各部位にエネルギーを供給するなどの役割りがあるのだろう。


とにもかくにも、ぶっとい根っ子を成長させる事さえ出来れば、それに比例して自動的にイケてる個体へと育ってくれる確率も高くなる。

その辺は、作物も人間も共通した原理が貫かれている様に思えてならない昨今なのであります。



トマトシリーズの最後に、コチラは今期唯一の大玉・中玉トマト、いわゆる「普通のトマト」として生育していた個体。
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根の発達には問題無さそうだし、とりあえず結実から成熟までは行けたものの、結果的に様々なトラブルにより収穫まで至らなかった点には課題が残る。


と言うか毎シーズンの事だが、この「普通のトマト」を実生で栽培するのは難しく、今まで何度も惜しいところで野生鳥獣に噛られたり、病気に見舞われたりなどで失敗を繰り返している。
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しかも、蒔いたタネの大半は「ミニトマトに先祖返り」してしまうので、狙って大玉・中玉を発生させる事自体が難しい。
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なので、結局これまで一度も成功(可食する)に至っていない事もあってか、今となっては期待しなくなっている節さえある。

いつの日か、無事に完成する日がくるやら否や。
とりあえず次期もまた蒔いてみる予定ではある。



ついでに、既に引退済みだったけど植わったままにしていた、「ゴーヤ三世」も引き抜いてみた。
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横に広く長く根が伸びていて、なかなかの成長率と言えそう。
引き抜く時もガッチリとした手応えで、かなり強く根を張っている様子だった。



今期のゴーヤに関しては、基本的に「耕していない土に直播き」していた訳だが、なかなかどうして耕さずとも定着しているのが印象的。
しかも、そんな固い土壌でも発芽~収穫まで成功した訳で、改めてゴーヤって雑草だった頃の生命力とかタフネスを色濃く残した作物なんだろなぁと実感する。
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実は最近になって、これを「不耕起栽培(ふこうきさいばい)」と呼ぶ事を知った次第。

それはズバリ、まさしく「土を耕さずに栽培する農法」を指す用語で、主に穀物類などで実践されているらしい。
今期の当プロジェクトではカボチャ、メロン、トマト、ゴーヤ、そしてちょっと例外的に(やや土が柔らかいゾーンで育てた)ジャガイモの生育を確認出来ていたので、あんがい色々な作物で通じる手法なのかも知れない。


しかし通常、作物や観葉植物などを育てる場合、土を耕して柔かくしないと根が伸びにくくなるとされているが、それも品種によりけりなのか。
あるいは耕していれば、今期のゴーヤも更に成長していたのだろうか?

いずれにせよ、そういった一般論やセオリー無視でも何とかなってくれるパターンもある、と言う事なのだろう。

だって元を辿れば、今ある作物も観葉植物もかつては雑草だったはずで、しかも人為的に整地されていない土壌でも世代を重ねていたのだから、本来なら何の問題も無いはずだし。
と言うか、そうじゃないと生き残れないからね。



その意味では、今回のケースからは「タネの生命力が強ければ土壌を選ばず成長できる」可能性が高く、また「環境変化にも強くなる」であろう事が解ってきた。

今後の世界においては、そういった作物の特性や底力を如何にして引き出せるかが重要になってくるかも知れない。
それが、これまでの当プロジェクトを通して導き出された回答でもあります。



そんなこんなで、根チェックは完了。
今期の作業も全て終了となった。

この結果を新たなフィードバックとして、次期に活かして行きたいところ。

トマトもゴーヤも、ここまでよく頑張ってくれたものです。
本当にお疲れ様でした。




おまけシリーズ。




この2月上旬に、抜き取ったトマトを何となく確認してみたら、まだ果実が保持されていた。
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果房との接続部も、まだまだシッカリしていて実のハリツヤも充分残されている。
これも昨年度末まで天候が安定していた影響だろうか?
最近まで寒かったお陰で鮮度が保たれた面はあるにせよ、ここまで質感が良いままなのは初めてのパターンかも。


かくして、作物の生育はタネの性質だけにあらず、その環境にも強く左右されるんだろうなぁと思った、立春過ぎの昼下がりなのでありました。




では、また、CUL。

食べ蒔き三期生ダイジェスト 12月下旬・今期初のミニトマト収穫&プチレビュー

前回に引き続き、今回は2020年12月下旬の話。
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その前回となる12月中旬までにゴーヤが終了。
そして残ったトマトも生育限界直前になってから、ようやく収穫ラインに到達していた。


しかし、この時点での取り込みはせず、他にも色付いていた果実の成熟を待ちながら、一挙に纏めて収穫する方向に。
それらを野生鳥獣から守るため、ミカン袋を再利用した防除ネットを被せておき、来るべきタイミングを伺っていた。




それから暫し、12月下旬の大晦日になって遂に、果房に残されていた2個を収穫。
この時点で既にヘタがパサパサに乾燥していたので、果実の保持力も限界に近かったものと思われる。
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これらは前回のヤツより一回り小さく、全体的に色味も薄い。
やはり、深まる寒さと短くなった日照時間では成熟にムラが出るのは致し方なしか。


トマトって「先に結実した順」で大きくなるし成熟のスピードも早くなる傾向があって、後になるほど小さくなったり成熟が極端に遅れたりする。
書けば当たり前の様なハナシだが、こうして同じ株で同時期に実っていながらサイズと数量、そして収穫期を合わせるのが難しいところ。

こうして成熟がバラつくメカニズムや理由については以前、タネの生存率を上げる意味で「果実ごとにタイミングをズラす事で、野生鳥獣や悪天候による一網打尽を回避しているのではないか?」と考察していた。
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更に拡大解釈すれば、そのバラつきによって「次世代の性質も多様化(早生・晩成などに分化)」する可能性まで考えられるのだが、本当の理由については解らないままである。



しかしながら、今回において「露地栽培でも12月中旬~下旬にトマトが収穫できた」と言う事実は、なかなか面白いトピックかなと思う。


通常ならば、冬の前に抜き取って強制終了させているか、寒さに耐えられず成熟前に落果したりで、まともに収穫まで行かないはず。
実際、2018年の一期生でも12月中旬に収穫されていた事はあるが、それでも下旬に入ると殆どの果実が落果してしまっていた。
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だが、今期は寒波の中でも持ちこたえてくれたし、この下旬時点でのポロリも最少に抑えられている。
さらに、単純に収穫された日付けの遅さで言えば、過去最高記録でもあるのだ。


この要因については、もしかすると数あるタネの中に「耐寒性の個体」が混じっていたからでは無いか。
あるいは、2020年の後半は雨が少なく天候が安定していたので、変に刺激を受けずに済んだからこそ今まで持ったなど、様々に考えられる。

いずれのパターンにせよ、冬でも生育期間が延長出来る可能性が示唆された様でもあり、ちょいと嬉しくもある。



とりあえず、中旬からネットに入れっぱなしにしていた果実と合わせて集合写真みたいな。
これで計5個と、ある程度の数が纏まった形になる。
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所で、これら果実は全て「ミニトマト」と評すべきサイズ感となっているのだが、もともとは「大玉・中玉」にあたる果実のタネから生えてきたものである。
つまり、大玉トマトからミニトマトに先祖返りしているのだ。


この話は過去に何度も触れているのだけど、こうして大玉トマトを実生で栽培したら「それに交配されていたミニトマトの特性」が発現したパターンが、これまでに数多く観察されている。
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もっとも、だからといって味に影響がある訳では無く、むしろミニトマトになった方が生命力も強く収量が安定する傾向にあるなど好都合な事も多い印象だった。
故に、「蒔いたはずのタネと違うヤツが生えた」としても、大して気にする必要も無いかなといった所ではあります。



そんな収穫の喜びもつかの間、先の画像下段右端の果実に違和感が。


よく観察してみると、何だか表面に黒い点々模様が発生していた。
Oh…。
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触ってみても、何だか皮に張りが無くなりプヨッとした質感に。


この原因を探るべく[トマト 果実 黒い斑点]等のワードで軽く検索してみると、黒斑病や汚染果病なる病変、あるいはカメムシやコナジラミによる食害の痕など様々な症例がヒットするのだが、どれも似たりよったりで決め手に欠く。
また、株には特に病変等の症状が出ていなかった事から、健康上の理由でも無さそうな様子。

この果実は中旬に収穫してからネットに入れたままにしてたものの一つだが、その時点では特に問題無かったので、どうやら保存期間中に何かしら変化があったのかも知れない。
そりゃ、赤く熟してから10日以上も野晒しでいれば変質くらいしてもおかしくないわな。



調べた限りでは「食べても問題ない」との意見もあったのだが、何となく食べる気がしなくなってしまったので、ならばと中身チェックだけしてみた。
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ご覧の通り、内部は至って普通のミニトマトであり、コレと言った異常も無い。

試しに軽く舐めてみると、やはり普通のトマトの風味。
やや酸味が出てるかなぁと言った感じで、特に食べても問題なさそうな印象ではある。

若干、果汁に粘り気が出ている様な感じもしたが、通常なら誰も気付かない程度だし、単に寒いから粘度が上がっただけの事だろう。



そんで更に、ここからタネも採種してみた。
これらは、二日間ほど寒空に晒して乾燥させた後のものである。
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意外と、タネはマトモな粒が多い印象。

ただ、実際の発芽率については不明なままだし、ハッキリ言えば心許ない質感のものも多く、あまり期待できる気がしないのが正直なところ。

まぁ、その検証も含めて、次期に改めて蒔いてみようか思案中である。



さて、残る4個については、結果的にサラダの付け合せとして食される事となる。

軽く味の感想を言えば、確かに普通のミニトマトの食味であったし、何ら問題ないクオリティを確保していた。

強いて言えば、やや風味が薄く感じられたので、もう少し成長率の高い株であれば、もっと甘味や酸味にメリハリがついて、ハッキリとした味になったかなぁという感じであった。



とは言え先述した様に、この時期に収穫されただけでもサプライズ的な出来事であるのは確かだし、賞味出来ただけ有り難い話である。

ましてや、今期の初期から夏までは成長率が低過ぎて、果たして収穫まで行けるか怪しかったし、半ば諦めムードも漂っていた事を思えば、まさか今回の様にだいぶ遅くなってから好転するなどとは想像だにしていなかったですからね。
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その意味では、仮に生育不良に見舞われていたとしても、その後の環境次第で好転したり回復する事を示す、一種の参考資料にはなるかなと。

これすなわち、「今はイマイチでも諦めずに栽培を継続する価値はある」。

と言うのが、当プロジェクトを通し一貫して主張している結論でもあります。



そんなこんなで、トマトも終了間近な今日この頃。

果たして三期生の最終回なるか、次回に続きます。




では、また、CUL。

食べ蒔き三期生ダイジェスト 12月中旬・ゴーヤ終了からの初冬トマトが収穫ラインに達する

明けましておめでとう御座いまする。


色々と変節やら曲折ありつつ、当ブログも7年目に突入。
本年も色々と更新出来ればなぁと思っておりますゆえ、ご都合の許す限りお付き合い願えましたら幸いであります。



そんな新年一発目は、昨年度から引き続き「食べ蒔き三期生」のレポートになります。


前回となる11月下旬ではトマトが色づき始め、収穫を待つ状況でありました。
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そこから暫く間が空き、今回は昨年末となる2020年12月中旬の話となります。
果たして如何なる展開を迎えていたのか、早速記して参りましょう。



さて、前回の11月中旬~下旬あたりまでは比較的暖かな日が続いていた事もあり、生き残った作物もギリギリ生育を維持している状態であった。

しかし、この12月に入るや急に気温が下り、特に中旬からは強い寒波が列島を覆うシーンもあるなど、一気に厳冬期へと突入したかのよう。


つい先日である11月下旬頃の天気予報では暖冬になるのではないかとの話をしていた記憶があるが、まるで真逆の状況。
このまま推移するとなれば、久しぶりに「冬らしい冬」となりそうな雰囲気でもある。



その寒さによる影響は大きく、例の「ゴーヤ三世」もトドメを刺される形で完全終了。
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正確に言えば、12月上旬時点で枯れが加速化していて、それまで青みを残していたはずの枝葉は一気に茶色くなり、新芽も出なくなったりで終了が確定している状態だった。



ご覧の通り、どれもこれもパサパサのカピカピ。
先月まで青みが残っていたが、既に見る影もなし。
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何となく残していたマイクロゴーヤも、今はドライゴーヤといった佇まい。
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コチラの果実は10月から残していたものだが、この短期間で随分と変貌したものである。
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その根本あたりを観察すると、辛うじて青みが残されており、まだ水分が保たれている様子。
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試しに引っ張ってみると、思いのほかキッチリ根を張っていて強い抵抗を感じられる。
今期は思い付きで「耕していない土壌に直播き」していた訳だが、それでも結構上手く定着していたらしい。
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これがもし、耕した柔らかい土壌であったら、更に成長したのだろうか?

勿論、耕した方が根も広がりやすく効率的には違いないが、いずれにせよ「耕さなくてもイケた」と言うのは興味深いフィードバックである。



そんな訳で、これにて今期のゴーヤはお役御免。

過去最長に遅いシーズンまで持った点を含めて、ここまでよく頑張ってくれたものです。

お疲れ様、そしてごちそうさまでした。



その一方、残されたトマトはと言えば、こちらも12月に入ってからの寒波によって一気に劣化が始まっていた。


相変わらず背景がゴチャついて判別しづらいのが申し訳ないが、ここにきて全てのトマトにおいて開花が停止。
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新芽も出ないし、先端にあたる枝葉から順次枯れが進んでいる。
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以前触れた、「一度枯れかけた幹の途中から出た脇芽(側枝?)が主枝になり替わって生育している個体」も、何とか結実まで行った所で限界を迎えた様子。
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いやしかし、一度は枯れかけた所から、ここまで回復したってのもスゴい事ではある。
まいど同じ感想を抱くが、トマトって根本的には生命力が強いし、わりとタフな環境でも生育できる植物なんだろなぁと思う。



このほか、今期で最も「結実数の多い株」についても幹の水分が抜け始めていて、もはや虫の息。
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枝葉の枯れ具合からして、既に果実への栄養供給は停止しているものと考えられる。
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ここから成熟させるのは流石に無理があるだろうし、普通なら抜き取って処分しているレベルのはず。
残念ながら、この株については現状までで諦めざるを得なさそうだ。



そんなシーズン終盤戦にあって、前回の11月下旬に赤く色づいていたトマトが、ようやく収穫ラインに達する。
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ちなみに、このオレンジ色のネットはズバリ、ミカンが入ってたネットである。
いわゆる「野生鳥獣から果実を守る袋」の代用品として、12月上旬に入ってから試験的に導入。
果房全体を包む様に被せていたんだけど、これが意外と効果アリな印象であった。

一応、日の光も通すので成熟も阻害しないっぽいし、オレンジ色で果実の色もカモフラージュされるっぽいのがイイ感じ。
絶対的な効果は保証出来ないけど、こうして捨てずに再利用する価値はあるかもです。



ほんで、この中旬に収穫された果実が3個。
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画像右から左の順に質感が良く、特に一番左は売り物のよう。
前回までは寒さによって落果してしまうのではないかと危ぶまれたが、ここまでよく耐えられたものである。


いや正直に言うと、一番左の果実は上旬にミカンのネットを被せる際に軽く触れてしまい、誤ってポロリさせてしまったのだが、何となく再びネットに入れたまま中旬まで残していたと言う。
だってほら、どうせなら纏まった数で合わせて収穫したかったし。

まぁ、その意味では案外、追熟によってより赤くなった部分もあるとは言えそうだけど。



当然ながら、この株の枝葉もパサパサに乾燥しており、これ以上の生育は難しいものとなろう。
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だが、この株には、他にも微妙に赤く色付いている果実が若干残っている。

そこで、更なる限界を探ってみるべく、この時の3つもネットに入れたままにしておき、もう少し期間を置いてから一挙に纏めて収穫を狙う事にしてみた。



ちなみに、今回で収穫ラインに達した株は、実は前出の「結実数の多い株」と元は同じタネから派生した同士で、外見上は別々に育ったように見えて根本が繋がっている。
つまり、どちらかが主枝と脇芽(側枝)と言う関係になり、厳密には一本のままなのだ。
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その根本付近から分岐する形で「果実が赤く成熟した枝」、片や「青いまま停止した枝」で分かれているのだが、どちらも同じ様な結実率なのに、それぞれで成熟スピードが違うのが興味深い。

観察した限りでは、どうやら主枝にあたる枝の方が成熟スピードが早く、脇芽にあたる枝の方が未熟に終わっている様子だった。


となれば恐らくは単純に、先に生えてきた主枝の方が開花や結実が早かっただけの話なのだろうけど、逆に言えば、もう暫くシーズンが延びていれば脇芽の方も収穫までイケた可能性は無きにしもあらず。
しかも、結実率や果実サイズは双方で大差なかったので、そのぶん収量も上げられたはずだ。


無論、早い段階で脇芽の方を除去していれば、主枝に栄養が回って更に充実した収穫物を得られただろうし、その除去した脇芽を挿し木する事で、より栽培効率もアップさせられたとは言える。
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ただ、そのまま伸ばしっぱなしでも、「枝ごとにタイミングをズラしながら収穫を続けられる可能性がある」事だけは、覚えていて損は無いかも知れません。



と言う訳で、続きは次回にて。




では、また、CUL。

食べ蒔き三期生ダイジェスト 11月下旬・粘るゴーヤと色付くトマト

前回の11月上旬から間があき、今回は下旬の話。
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寒気が降りていた上旬頃とは少し変わって、この数週間は平年より暖かな日が続いており、大きな変化があった訳では無い。
実際、この時の天気予報でも、「今冬は暖冬の傾向ではないか」との予測が出ていたほどである。



しかし、緩かでも気温が低下しているのは事実。
枯れるペースも徐々に、そして確かに進行していた。
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上の画像は、毎度お馴染み「ゴーヤ三世」のヤグラであるが、11月の最終週には全体の90%以上が枯れてスッカスカ。
地表も随分とスペースが広くなっていたりと、植物そのものにとって厳しいシーズンの到来である。



そんな中にあっても、まだまだゴーヤは生きていた。


先端部だけ青味を残しながらも、ツルは支柱に巻き付いているし、蕾も出ている。
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しかも、株によっては新芽が伸びていたり、雌花が着果していたりもする。
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当然ながら、仮に結実はしていても、既に生育限界を越えている現状では収穫ラインまで達する事は有り得ず、今は単なる飾りものとしてブラ下がっているだけである。
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だが、ここで冷静に考えてみると、今期のゴーヤ三世は当プロジェクトで栽培したゴーヤの中で一番長持ちしている事に気付く。

これまでの一期生と二期生では、概ね10月中旬~下旬には全ての株が枯れ尽くして終了を迎えていた。
他の農園などでも、通常は10月中には抜き取って処理してしまうか、残っていてもカピカピに乾いて実質的には終わっている事が通常であろう。

それを大幅に越えて、今期は11月下旬まで生き残るド根性のクソ粘りっぷり。
これは結構、特筆してもよい現象なのではなかろうか。


このゴーヤ三世が長寿化した理由としては、かねてより「同じ土地で世代を重ねた事によって、その土壌に馴染んだ性質になったからではないか?」と推察していた。

ここで言う土壌とは他にも気候的な要素も含むのだが、もし本当に今の場所に適応しているのだとすれば、他のゴーヤ二世に比べて遥かに樹勢が強かったり、ここまで持った事にも納得がいく。

さらに、冒頭で述べた様に11月中旬~下旬あたりは比較的暖かな日が続いていたのだが、それでも夜間は平年並みに寒かった。
また、昨年度は昼夜を通して平均気温が高かった記憶があるのだが、それに比べれば今年の方が低い印象である。
つまり、今までより厳しい環境下で、更にライフサイクルが延びている訳だ。



だとすれば、今回の現象を拡大解釈してみた場合、「更に世代を重ねて更に適応した品種」となる可能性がある、と言う事でもある。

しかも、それによって耐寒性をもつ個体が現れたりすれば、今より季節が深まったシーズンでも収穫できたり、露地栽培のシーズンが延長されたりなどで、ビニールハウスのコスト削減にも繋がるかも知れない。
あるいは、「早生」と「晩生」で使い分けて収量アップを図る、なんて事も不可能では無いだろう。


まぁ、上記は単なる予測の域を出ない話ではあるが、一応、今期に収穫された果実のタネで実験しようとしている所なので、いつの日か結果が出るや否や期待せず待つ事にしよう。
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しつこい様だが、現状のゴーヤ三世は生えているだけに過ぎず、収穫など望むべくもないのが現実。

ただ、少なくとも「11月下旬までは生育していた」と言う点に関しては、今後の食べ蒔きや実生栽培における新たな希望を示しているんでは無いかなぁ、などと思ったりなんかするのでした。



そんなゴーヤ三世に続いて、コチラのミニトマトマンも見事な粘りっぷりを発揮中。


この下旬に入り、じんわり赤く色付いて来ていた。
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まだ色味は薄いが、久々に成熟しそうな姿に感動。
実のハリツヤもパツンパツンのピッチピチである。


昨年度の二期生では実質的に1個しか収穫されなかったが、今回は複数イケるかどうか。
もうすぐ12月に入るタイミングであるし、これから更なる気温低下に晒されれば、一気に連鎖的に落果してしまうリスクが増してしまう。

今まさに正念場と言った所なのだ。



更に、他の株にも幾つか結実していて、その成熟を待っている最中である。
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振り返れば、これらトマトは10~11月の初旬頃からポツポツ結実を確認してはいたが、その時点ではどれも小さすぎて心許ない状況であった。
それが、この下旬になって数が纏まるのだから、どうあれ生育を継続してみるもんです。
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こうした環境変化や季節の進行によって、急に事態が好転するなどの反応が現れるところが面白い。
だからこそ、当プロジェクトでは貧弱そうな個体でも間引きせずに、枯れてなくなる最後の時まで検証しようと試みている訳なのです。



などと宣ったものの、上記した様な纏まって結実した株は少数派であるのが実情。


その他の大半は、極端に矮小化した個体であったり、脇芽がチョボチョボ出るだけで生きてるとも枯れてるともつかない個体だったり、はたまた茎が弱過ぎて倒れ込んだまま生育していたりと、なかなかのテイスト・オブ・ケイオスっぷり。

それらの生命力は切なく儚い、これぞスクリーモ、エモメタル、エモコアの祭典みたいな状態。
まさしく激EMOキッズ慟哭の調べである。


背景が雑草マルチでゴチャついてるので判りづらいが、下の株は、その「茎が弱過ぎて倒れ込んだまま生育」している個体。
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これは初期から成長率が低かったので、特に支柱立てする事なく現在に至っていた。
そもそも自立する力が弱く、先端部が枯れていたり、落葉してハゲ気味だったりと、通常では「無し」の扱いを受けるであろう容姿である。

なのに、何故か結実だけはしていて、数は少ないながら形が整っていたりするのが興味深い。


これまでの一期生と二期生でも似た現象を確認しているが、トマトって個体の成長率などとは関係なしに、生育の適期が来たら自動的に子孫を残すスイッチが入るし、一定以上のクオリティを兼ね備えた果実となるべくエネルギーを注げる様に出来ているのだろう。
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その意味では、やはり極力間引きせずに、生えたヤツは全部育てるつもりで栽培するのはアリだと思います。

たとえ一本あたりの結実数は少なくても、それら全てを合算すれば一定の収量になるだろうし、収穫期がバラついて数が纏まらなくても、料理の付け合せくらいにはなりますからね。


とは言え、今後トマトが如何なる結末を迎えるかは予断を許さないし、気温も厳しい状況になりつつある。

しかし、それでも、一個でも良いから収穫まで漕ぎ着けてみたい。
まだ見ぬ今期初トマトまでの挑戦が続くのでした。



さて、今年も最後の記事となりました。
ここまでお付き合い下さいまして、誠に有り難う御座いまする。

皆様ご自愛の上、よいお年を。




では、また、CUL。

食べ蒔き番外編 追熟メロンをレビューするも残念な結果になったばかりか、それが種の危機を知らせるサインであるらしい事に思い至った話

今回は番外編として、10月中旬に収穫したメロンのレビューをば。
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さて、そのルックスは「マクワウ似」と言った佇まいで、元々のタネであるネットメロンから何かしら先祖返りした様子でもある。
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収穫時点では、まだ実が堅く食べるには厳しそうな予感がしたので、約3週間ほどかけて常温で追熟。
この11月上旬になり触ってみると、表面が全体的に柔らかくなっており、しかもヘタ周りから少し水っぽいシミが広がり始めていた為、これが潮時と判断。

今回、やっとご開帳と相成る。



なのだが、包丁を入れて二つに割った瞬間、悲劇的事実が発覚。



何と、果実の下部が腐敗していた様で、そこから黒ずんだ箇所が内部に広がっていた。
アチャー!
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しかし、特にこれといった腐敗臭などは一切感じられず、むしろ普通にメロン特有の良い匂いが香ってくる。
外観上でもキズの形跡や臭いは無かったが、腐ってる訳では無いのかな?

いや、そもそも一体なぜ、こんな事に?
何か虫にでも食われたせいなのか?
その原因は全く不明である。



当然ながら、これを見た瞬間に「ダメだ、止めとこう」と直感するのだが、「いやいや、折角ここまで来たからには食味チェックせねば」と言う、ムダな義務感も芽生え始める。

そこで、黒ずんだ箇所と、そこから更に侵食していた部分をバッサリ切除し、食べられそうな所だけ切り出してみる事に。


ほんで残ったのが、こんな感じのが数切れ。
侵食が広範囲に及んでいた為、大部分を失う事となった。
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でもって、一口食べてみると…。



む…。



うん…。



味、薄…。



その食味は、超薄味のメロン。
単純に、殆ど味がしないのだ。

もし甘味があるとすれば、タネ周辺の一部のみ。
いや、それですら味は薄く、どう考えても美味くないのが正直な感想。
何なら、ゴーヤのタネを包んでいた赤いゼリーの方が遥かに甘かったくらいである。
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ただし、一応フォローしておくと、追熟のお陰で「食感」自体は素晴らしく変化していた。

ジューシーな果汁が溢れる果肉は、とても滑らかな口当りで、紛れもないメロン感を楽しめる。
それは包丁を入れた瞬間に果汁がボタボタ垂れる程であり、まるで完熟した桃を切っているかのな柔らかさでもあった。



それを踏まえ、仮に市場にある一般的なネットメロンの甘味や食感を総合して「10満点」と評価した場合、今回のマクワウ似は食感が「9~10点」のほぼパーフェクト。
しかし、食味については「2点」あたりのスコアになり、かなり変則的な評価をせざるを得ないものとなる。

余談だが、この味見で体の変調などは起きておらず、まったく普通に過ごせている。
特に苦味などの雑味も感じなかったので、見た目ほどのダメージでは無かった様だ。



しかし毎回の事だが、この食べ蒔きメロンでは香りまでは何とかなるのに、甘味が全くと言ってよいほど再現されないのは何故なのか。
ここだけ元ネタのネットメロンとは似ても似つかない部分である。


まず考えられる原因としては、肥料不足が考えられる。
確かに、当プロジェクトでは「生ゴミ」や「枯れ草」などの天然素材を堆肥にしている為、一般的な肥料よりは栄養価が低いものとなっているはずだ。

ただし、過去のメロンでは一定以上の成長率に達していた個体は幾つも存在していて、今期より遥かに大きく育っていたのに、やはり甘味が全く足りない果実ばかりであった。
その一方、ほぼ同じ環境と土壌で育てているトマトやゴーヤでは、収穫された果実の大半で元ネタの品種と遜色ない味を実現していた。


この点を考えるに、「肥料の多少」と「果実の味」とでは相関性が低く、そもそも「美味しく育つタネ」であるかどうかが味の決め手に関して占めるウェイトが大きいのだろう。

この他にも、親ヅルか子ヅルのどちらで結実させるかでも味が変わるし、様々な要因がありうる。
ちなみに、今回は親ヅルでの結実であったので、余計に甘味が薄かったのかも知れない。



そう言えば、2018年の一期生でも今回と似た果実が収穫されていたが、いずれも追熟が足りず、薄味な上に果肉が堅くて随分と食べ難かった記憶がある。
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上記の結果から解るのは、今回の様に先祖返りすると食味がスポイルされるばかりか、その先代が「薄味な品種」であった場合、そこが余計に強調されてしまう可能性もあると言う事。

それこそが、食べ蒔きメロンの最大のデメリットなのだ。



それを改善すべく、その後日に収穫されたメロンについては「限界まで株に接続したまま外に放置して熟成」と言う手段を取り、追熟と同じ効果を与える事で果肉のジューシーさを実現。

これにより、薄味と言うデメリットを随分フォロー出来ていたし、前期に収穫したものと後期に収穫したもので比較すれば、圧倒的な食感の違いが生まれていた。
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今回の結果から言っても、やはりメロンは「限界まで熟成させる」方が、明らかに食味の向上に有効である。
更に、出来れば「株そのもの」が枯れる限界まで放置しておき、ギリギリまで栄養供給を受けられる様にしておく方が、より熟成具合が高まるのでは無いかと考えられる。

これは食べ蒔きに限らず、他の「普通の品種」でも応用可能であると思われるので、試してみて損は無いかなと。

ただし、外に放置するにせよ追熟するにせよ、その間に虫に噛られたり、どこかキズが入っていた場合、保管中にイキナリ変色したり腐ったりしてしまう点には要注意であります。



ちなみに、今回の果実に入っていたタネは、外見上では成熟しているにも関わらず、全て中身がスカスカのハズレであった。
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そう、すなわち、このタネでは次世代が生まれて来ないし、世代を重ねる事も叶わない。
言ってしまえば、「ここで終わり」なのだ。


そう言えば以前にも、一期生で収穫したメロンのタネでは発芽率が極端に低かったり、あるいは生命力が弱く枯れやすいと言った現象が起きていた。
「自分のタネ」で三世まで続いているゴーヤと比べて、そこが同じウリ科でありながら大きく違う点である。
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では今回の様に、なぜ作物は先祖返りして、あまつさえタネの中身が機能不全を起こすのかについて端的に解答を述べるとすれば、「今の姿(品種)のままでは周りの環境との調和を乱す恐れがあるから」ではないかと考えている。


その理由として、大きく育ち過ぎれば土地を広く占有するし、甘く美味しくなり過ぎれば土壌の養分を使い果たしてしまうなど、それによって「他の生命が使おうとしていた分」まで奪う事になるだけでなく、最悪は自分達まで生存出来なくなる事態をも発生させかねない。
更に、大きく美味しくなるぶん昆虫や野生鳥獣などの外敵にも狙われ易くなるほか、それらの食料が増える事で余計に勢いづかせるリスクすら発生する。

要するに、「資源の独り占め」を起こさせない様に、あるいは「生態系のバランスを保つ」意味で、一定水準まで進化(交配)した段階から、強制的に遺伝子がリミッターやストッパーをかけたり、あるいは一度リセットしようとしているらしいのだ。

別の言い方をすれば、そういった極度にエネルギーを収集しまくる様な姿形と性質のまま世代を重ねたり、ましてや更に資源を求めようと進化するのは、「自然界としてはダメ」と判定されてしまう訳である。



以上の観点で考えた時、今回のメロンや他の作物なども含めて、食べ蒔き(実生)では生育が安定しない事や、その果実の食味が再現されない事にも理解が及んでくる。

だがしかし、大きく美味しくなる様に進化した代償として、まさか「次世代が劣化する事で自然界のバランスの歪みを解消する役目」を負うことになろうとは、何たる不条理だろう。

それはまるで、その種の終焉を表しているかの様でもあり、一種の侘しさを覚えなくもない。



せっかく今期初のブツ撮りだったのに、図らずも重いテーマを突き付けられたかの様な気分。

しかし、そこから現代の作物が抱える重大な課題が露となるのでありました。




では、また、CUL。

食べ蒔き三期生ダイジェスト 11月上旬後編・トマトの経過観察

前編ではゴーヤの連作障害と、そこに寄生していたワタヘリクロノメイガa.k.a.ウリノメイガ、略してメイガーの話でボリュームを割いてしまった。
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この後編ではトマトの様子を記して参りましょう。



さて、寒さが本格化して行く中にあって、毎年一定の生育を維持しているのがトマトである。
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意外にも、今期の序盤から夏までは成長率が低く、開花してもサッパリ結実する気配が無かったので半ば諦めムードであったのが、結果的に最後まで生き残る事に。
この展開は予想していなかったので、うれしい誤算ではある。


ただ、果実については10月上旬の記事で記して以降、気温の低い日が続いているので殆ど変化が無いままだったりする。
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果たして本当に収穫まで行けるのか、毎年この時期は余談を許さない状況が続く。
とにかく、ひたすら「待つ」しか出来る事が無いので、なおさらヤッキー&モッキーさせられるのだ。



基本的にトマトは夏野菜のイメージが強いし、通常の農園などでも、特に露地では夏を中心に栽培されているシーンが多いはずだ。
実際、梅雨から盛夏にかけて成長率が上がるし、気温の高さと相まって果実の成熟も早くなるので、収穫にも有利である。

しかし、当プロジェクトでは8月の収穫後に一度小休止を挟んで、9月から再び結実して11月から12月にまた収穫すると言う、いわば「二期作」みたいなサイクルで栽培出来るらしい現象を確認している。
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また同様に、芽かきされた脇芽を挿し木にしてクローン株を作る事で、更に収穫量をアップさせる事にも成功していた。
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このクローン株のメリットは、概ね7月中までに用意しておけば秋の収穫にも合わせやすくなり、さらにシーズン中に継続して予備を作っておく事で、常に若くフレッシュな株で栽培を継続できる事。
かなり簡単な方で株分け出来るので、やってみて損はありません。



ちなみに、クローンの元になる「親株」については、盛夏に収穫した後で、体力の回復が遅れる現象も確認されている。
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この原因は恐らく、「夏の暑さ」と「結実のエネルギー消費」が重なる事で起きているものと考えられる。
それ故、盛夏に収穫した後ではバテ過ぎてしまい、再び結実するのが遅れて秋からの収穫に間に合わなかったり、最悪はそのまま枯れてしまうパターンもある。


一方、クローンは盛夏に成長しながら、その暑さが一段落した頃から結実するので、体力消費を抑えながらの生育が可能。
これにより、親株より寿命が長く、結実数も多くなりやすい傾向にあったりする。

つまり、これら「適度な気温」と「挿し木のクローン」と言う条件を揃えて栽培すれば、今の手持ち株を最大限に活かしながら収量を上げられる可能性がある。

と言う訳なのだ。



上記から考えると、どうやらトマトの旬とは盛夏と言うよりも、その前後の「気温が落ち着いたシーズン」が最も高活性らしい事が解ってくる。
更に、挿し木に対する回復力が高い点からして、本来なら雑草並の生命力を持っているであろう姿も浮き彫りになる。


それを裏付ける様に、下の個体は今期に直播きされた個体の一つで、盛夏を過ぎる頃にはヘバって枯れそうになっていたのだが、この秋に入ってから再び脇芽が成長を始めていた。
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ちと判りづらいが、上の画像の下側を左右へ横切る様に真っ直ぐ延びているのが元々の主枝で、完全に地面に倒れこんでいる状態。


その折れ曲がって倒れた主枝(幹)の途中から脇芽が枝分かれ。
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そのまま逆T字形に真っ直ぐに成長し、青々とした枝葉が生えて開花から結実するまでに回復。
それはまるで、再起不能に陥った主枝に取って代わるが如く、この脇芽が「メイン(主枝)」に昇格したかの様でもある。


ちなみに、脇芽がメインに昇格するメカニズムについては、2018年の一期生でも考察しているのでご参照を。
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もっとも、今期の個体に関して言えば、元々の成長率が低いものなので、いくら脇芽から回復したとて収穫まで望むわけには行かなそうだ。
結局のところ「脇芽の成長率は親株の成長率に依存する」傾向にあるため、それを覆すのは難しいのが現実である。

ただ、いずれにせよ、お手持ちのトマトが「バテて枯れてしまった」であるとか、「なかなか成長してくれない」と言った症状があったとしても、気温との兼合いで回復する可能性はあるので、諦めず見守りを続けてみる価値はあるかなと。


そんな訳で、今期もまだまだ検証が続きそうである。




では、また、CUL。

食べ蒔き三期生ダイジェスト 11月上旬前編・ゴーヤの連作障害とウリノメイガ出現

前回の10月下旬には、夜間の気温低下が一気に進み、大部分の作物が終了モードに入っていた。
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そして今回、11月に入るなり更なる寒気が流れ込み、より一層秋の深まりが本格化。
辺りの野草や樹木も落葉と紅葉が始まり、晩秋の空気を漂わせている。



この低温が与えたダメージは大きく、10月の頃とは比べ物にならないほどの枯れを促していた。
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上の画像は毎度お馴染み「ゴーヤ三世」のヤグラであるが、もはや全体の50%以上は枯れて、枝葉の密度が薄まりスッカスカ。
中には、もう全て枯れたかの様な姿の個体もいる。


前回の10月から、たった数週間も経たず御覧の有様であるからして、寒気がもたらす影響の大きさが伺われる。
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しかし、その様な過酷な環境下においても、まだ開花する所が凄い。
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しかも、全体的に枯れ込んでいるにも関わらず、先端部は新芽が生えてくるのだ。
なんたるタフネス。
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もっとも、その生育自体は随分と衰えているので、こうして結実していても、成熟させるまでの力は残されていない様子。
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この果実は前回10月下旬にも登場していたが、あれから一切変化が無いまま今に至る。
残念ながら今後も好転する事は無いだろう。



今期、最後に収穫したのは10月上旬で、これは過去の一期生と二期生でも同様の傾向であった。
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然るに、概ね10月半ばまでが植物としての生殖限界になるため、以降は「生えてるだけ」になるし、本来なら土から抜いて処分しておく方が良いのかも知れない。

個人的には何となく、いつまで粘れるのか興味があるのと、その間に新しい発見があるんじゃないかな、などと思っていたりするので、まだ暫くは残しておく予定である。



そんな中、他のゴーヤの未熟果を調べていたら、その内の一つに気になる穴が。
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これはもしやと思い、試しにパキッと二つに割ってみましたら。



な、なんだおみゃーは?誰ぞ?
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とりあえず「ゴーヤ 穴 幼虫」などのワードで検索してみると、どうやらワタヘリクロノメイガ(別名ウリノメイガ)と言う蛾の幼虫である模様。

てっきり最初はヨトゥームシだとか、タバコガかなと思ったが、コレは初めて知った新顔だ。
しかも、ゴーヤに虫が入ってるのは初めての光景で、ちと驚きである。
更に調べてみると、どうやら秋に活発になり、よくゴーヤなどウリ科の果実に寄生するんだとか。


う~ん、病害虫に強いゴーヤでも、こう寒くては外敵を弾き返す抵抗力が残されていなかったらしい。
とりあえず君には悪いが、増えても困るので、このまま土の上に放置させてもらうぞ。



とんだ珍客の来訪に見舞われた一方、今期は上記した三世以外にも、「前年度に市場の果実から採種したタネで育った二世」の個体が幾つか存在している。
(※この二世に関しては、ご近所との兼合いを考慮して全体の画像は無しです)


しかし、それら二世は三世よりも早い段階から枯れが進んでおり、この11月時点で既に完全終了を迎えていた。
なんなら、10月の半ばには三世より一足先に枯れ始めていた位である。

両者を比較するに、今シーズンを通して三世の方が遥かに樹勢が良くて寿命も長く、結実した数も多かったのが興味深い。
有り体に言えば、三世まで世代が重なった事で「土地に馴染んだ性質」に変わったからこそ、この結果があると考える事も出来るだろう。


ただし、この二世に関しては2018年、2019年、そして今年と、三年連続で同じ場所で育てている点からして、もしかすると「連作障害」が関係している可能性も有り得る。

実際、一期生と二期生では夏と秋の二回ほど収穫出来ていたし、数は少なくても量は纏まっていた。
だが、それに比べて今期(2020年)の二世では結実していてもサイズが小さすぎたりで、収穫ラインを満たす果実が全くと言ってよいほど採れ無かった。
しかも、定植した個体数は今までより多かったにも関わらずである。

また、ネットで調べてみても「ゴーヤは連作障害が起こりにくいが、数年で出る場合もある」と言う解説もなされているので、過去と現状の違いを鑑みるに状況としては符合しそうである。

要するに、この3年目にして、今のゴーヤ二世が育っている場所では、二世(またはゴーヤ自体)が育ちにくい土壌になっているとも考えられるのだ。


当プロジェクト全体を通しても、今期は連作障害が疑われる症状が幾つもあって釈然としない日々が続いていたし、9月上旬の時点でも同様の仮説を記していたのだけど、ここへ至るに半ば確信に変わりつつもある。

これが単なる憶測に過ぎないのか、それとも確定かまでは断定出来ないが、もし来期に再開するとした場合、やはり位置を変えたり等の対応が必要になって来るのかも知れない。



そんなゴーヤ二世であるが、実はまだ現時点で残されている果実が幾つか存在する。


既に全身の9割以上が枯れた中で、ギリギリぶら下がっていたのがコレ。
むろんミニサイズであり、収穫には値しないものである。
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で、よくよく観察していたら、その先端部に見覚えのある穴が空いていて…。



興味に誘われるままホイホイ覗きましたらね。
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ここにもウリノメイガー!
ついでにヨトウムシを逆空耳風に言うと、Yo!Tow my shit!


これには二匹ほどパラサイツ。
しかも、大小の個体が居るので、完全に狙われていた様子。
仕方ないので、これも果実ごと土に埋めて、お還り願う事にした。
ある意味、イオマンテである。


そう言えば2018年の一期生でも、秋に入ってから蛾の幼虫が活発化してトマトが噛られていた思い出が。
結局のところ、気候的に落ち着いてるのは虫にとっても快適と言う事なんだろねぇ。
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そんなメイガー(もう略した)騒ぎを尻目に、更なる「忘れられていた二世」の果実も存在している。
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とは言っても、既に黄色く成熟した期間を過ぎて破裂していたりして。
これは10月の段階から放置してあったもので、11月に入るまでに株も果実もカピカピに枯れていた。


この親株に関しては例の如く画像は無いのだけど、前途の二世とは全く違う位置に定植していたもので、成長率もフツー位だった。
だが、上記の果実だけ割と立派に結実していて、地味に今期の最大サイズであったりするし、タネのサイズも結構デカイのが特徴である。

じゃ、なぜ収穫せずに放置していたのかと言うと、植えた位置が悪すぎて集まってきた虫にボロクソに食われていたから。
それでも持ち前の免疫力でキズ痕が修復されたりしつつブラ下がり続けていたが、そんな様子を伺っている間に現在まで至るのだった。



で、このタネに関しては野外に放置したままで冬越しをさせてみるつもりである。


今期は他にも「野外で完全放置」を試しているタネが存在するが、果たしてこのハードなプレイに耐えられるかは全くもって未知数。
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しかし、この過程を経る事によって、まさしく野生だった頃の生命力が目覚めるのでは無いか。
そんな淡い期待を込めて、出来たらラッキー位のノリで試しているのだった。



なんて、ゴーヤの話ばかり続けていたらボリュームが多くなってしまった。

次回は後編、トマトの経過報告に続きます。




では、また、CUL。

食べ蒔き三期生ダイジェスト 10月中旬~下旬・メロンの収穫&トマトの先祖返りに物思う秋

前回の10上旬では、台風接近後の急激な気温低下により一気に作物の劣化が進んだ。
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以降は日増しに寒さが強くなり、まるで夜間などは冬の様でもある。
それでも、まだ日中は暖かな秋晴れの日が多く、もう少し頑張れそうな雰囲気も残されていた。



そんな昼夜の気温差が激しい中、この中旬になって先ずはメロンを収穫。
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10月上旬の時点で、既に寒風だとかウドン粉病などの影響で枝葉の枯れが進行していたけど、この中旬に入るあたりから株全体が枯れた姿に。
ゴーヤのヤグラにブラ下がる形で、果実だけが残されていたのだった。



して、サイズ的には大きなグレープフルーツくらい。
まぁ、食べ蒔きにありがちな矮小っぷりである。
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そのルックスは2018年の一期生で収穫されたものとクリソツで、文字通りウリ二つ。
恐らくは同系統の性質が発現したものと思われる。
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ケツをよく観察すると、マクワウリっぽいスジ模様が出ている。
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しかし、毎度思うが、実生では「採種した元の品種」が再現されないし、これが先祖返りした姿なのだとして、一体何と言う品種が元ネタなんだろう。
そして、その先祖も育てたら更に先祖返りするのか。
あるいは固定された品種だとして、どんな味なのか。
色々と疑問は尽きない。



今回で惜しい点があるとすれば、コレが結実してから株の枯れが始まった様子で、そのせいで果実の生育もストップしてしまったらしい事。
これがもっと元気の良い個体であれば、もう少し増大化した可能性は無きにしもあらずだ。


それは以下が良い例で、今期は大半において未熟果を残したまま株が枯れたパターンが多く、成熟させきる所まで持たせられなかった点には課題が残る。
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ま、そうは言っても、この不作にあっては出来ただけマシと言えなくもなく、贅沢は言いっこ無しでしょうかね。



これで問題は味がどうなるかだが…過去の成績から言えば全くもって期待出来ないのが正直なところ。
それはかつて一期生にて収穫されたメロンのほぼ全てにおいて、「カタい」「味薄い」といったネガティブな部分が強く出ていた点でも容易に想像がつく。(※詳細は上記リンクを参照)


でも、良いんです。


当プロジェクトでは「それでも出来た」と言う事実が大事なのであって、味は二の次。
勿論、美味しい方が嬉しいに決まっているが、これら一連の記事を通して「栽培可能である」事が証明されれば、他の作物などでも応用が効くかも知れない。

それらの中から、いずれ僅かでもイケてる例が出ればOKなのであります。



ちなみにこの10月中旬~下旬までの間に、一気に全てのメロンが枯れ果て、僅かに残った未熟果の残骸(たぶん上で例示したやつの数日後だと思う)が地表に残される事となる。
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それらもあっと言う間に虫に食われ尽くし、今はこうして皮だけ残っているが、匂いだけは濃厚なメロン臭を放っているのが印象的。


その外見上では普通のネットメロン的な網目模様が出ており、やはり一期生でも似た模様のネットメロン的な果実が幾つか完成していた事が思い出される。
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これまでの観測結果で言うと、いわゆるネットメロンのタネを育てると、冒頭の「白いマクワ」っぽい果実と「網目模様」の二種類に分離するらしい様子が確認されている。

それはつまり、遡ればこの二種類が両親と言う事になるんだろうけど、やはり本当の元々の姿がどんなんで、それぞれの味に何の違いがあると言うのか。
それを掛け合せる事で、市場に出回る様な綺麗かつ甘いネットメロンになるのだから不思議で仕方ない。



とまぁ、そのルーツに迫る謎を残しつつも、今期のメロンは終了を迎える事に。

いずれも9月までは復活に期待がかかったが、さすがに気候的な寒さには敵わず。
2019年の二期生から引き続いて不作であった事に関しても様々な要因や憶測が考えられたが、それでも収穫まで持っていけただけ上出来か。

何にせよ、ここまでお疲れ様でした。



さて、10月も下旬に入ると、メロン以外の作物も日毎に消耗の度合いが加速して行く事になる。


ヤグラの「ゴーヤ三世」も青い枝葉が無くなりつつあり、全体的に薄茶色を帯びている。
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特に根元あたりから枯れが進行していて、いずれ先端部に到達するのも時間の問題。
三期生筆頭である彼等にも限界が近づいていた。



そんな中でも、先端部よりの部位は青味を残しており、まだ新芽が伸びたり、雌花が着果していたりする。
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またこの間、まだまだ開花も続いている点からして、ゴーヤの生命力は思った以上に強い事が分かる。
それは他の作物が軒並み枯れこんだのと比べるに、違いは明らかだ。
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無論、こうして細かく結実はしていても、もはや気温低下による衰弱は避けられないし、収穫ラインに達する事も無いだろう。
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しかし逆に言えば、生育限界を超えそうな環境下でも子孫を残そうとするあたりで、その生存能力の高さが伺える。



それと比べて、このカボチャは前回から引き続きウドン粉病に冒されたまま。
今でも開花はすれど、もはやウリバエのエサ状態。
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しかも、コレは今期のカボチャでは一番成長率の高い個体であったし、9月までは雌花が着果していた様子もあったのに、結局は何も出来ずじまい。

ゴーヤと同じウリ科であるにも関わらず、こうした基礎的な体力であるとか、ひいては子孫を残す能力には大きな差がある事が解るのだった。



そんな状況下でも、意外な健闘っぷりなのがトマトである。
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幾つかの株で、いわゆるミニトマト的なサイズの果実が結実。
一つの果房につき纏まった数量が形成されているし、開花も続いている。



もっとも、全てが及第点とは行かず、極度に矮小化した果実も多い。
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トマトに関しては、もともと今期の序盤は成長率が低かったし、最初から期待していなかった部分もあるので、やはり出来ただけラッキーみたいな話ではある。



今後については、これから更に気温低下が進む事を鑑みれば、赤く成熟するまで落果せずに持ちこたえられるかが最大の焦点になる。
何せ、昨年度の二期生では収穫まであと一歩の所で、寒さに耐えきれず大半の果実がポロリして終了となっていたので、今期も起こらないとは限らない。

この果実の成熟については「積算温度」と言うのが重要な様で、メロンやスイカを例にすると受粉(結実)してから計約1000℃に達した頃合いが収穫の目安とされており、恐らくは同じ夏野菜であるトマトも似た条件が適応されるものと考えられる。

要するに、日中の日差しが長く暖かければ成熟の基準値に達するスピードも早くなるが、曇天かつ気温が低ければ相応に遅くなる。
然るに、如何にして今ある果実へ「温度をチャージ」しきれるかで、今後の経過が決まると言う訳なのだ。



ちなみに、今回のトマトは「ミニトマト的」と言う風に述べているが、本来に撒いたタネは全て「大玉」ないし「中玉」にあたる、いわゆる普通のトマトである。
それなのに、今期は普通のトマトに該当する株は一本しか生えて来ず、他は全てミニトマトとして発生したのだ。


実は、この現象は一期生と二期生でも同様に発生していた。
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簡単に言えば、「ミニトマトが交配されている普通のトマト」のタネから実生で育てると、今回の様に「親」となった品種の特徴が発現する事があるんだとか。
つまり、仮に採種した時のものが大玉・中玉トマトであっても、ミニトマトに先祖返りしてしまう場合があるんですねぇ。



この先祖返りが、一体どの様な条件で起こるのかは今だよく分からない。
ただ、有り体に言えば、このミニトマト的な方が病害虫に強い性質をしているなど、いわば生存率の高さや「効率的に子孫を残す上で有利」だからこそ発現したと考えられそうではある。


実際、当プロジェクトでは現在に至るまで、大玉・中玉に該当するトマトが発生する確率は低く、殆どがミニトマトとして生えていたし、収穫から賞味までの成功例もミニトマトが中心である。
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これに対し、大玉・中玉サイズが発生し果実が赤く成熟したとしても、途中で野生鳥獣などに横取りされたり、あるいは病気に見舞われたりなどで、今まで収穫出来た試しがなかった。
むしろ、それらは果実のサイズが大きい割りに結実する数が少なく、しかも外敵に狙われやすいが故に、生存確率が低い様子でもあった位である。


その意味では、もしかすると多分、小粒な果実が沢山出来て、尚且つシーズンを通じて結実が続くミニトマトの様な特性の方が、タネを沢山生成するぶんだけ子孫を残しやすいのではないか?

これこそが、ミニトマト寄りに先祖返りする最大の理由なのではないかとも思えてならない。



そんな、各々の作物に関する生命力の違いや生存戦略などに想いを馳せつつ、そろそろ今期も終盤戦。

これから一体どんな動きがあるのか、それとも無いのか、最後まで観察を続けて行きます。




では、また、CUL。

食べ蒔き三期生ダイジェスト 10月上旬・作物の生命力から解るウドン粉病とウリバエとの相関性

前回9月までは、気温の落ち着きと同時に全盛期を迎えていた三期生。
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しかし、その9月下旬頃に、そしてこの10月に入るなり台風が通過した辺りから、更なる気温低下が進む事となる。
それは例年にない急低下で、こんなに寒かったっけ?と思わせるほど劇的なものであった。

いや、少なくとも昨年や一昨年までは、あるいはここ数年来に無かったほど日中も涼しい日が続いていたのである。



その低温化が与えた影響は殊のほか大きく、一気に作物の劣化をもたらしていた。
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上の画像は、お馴染み「ゴーヤ三世」のヤグラであるが、前回までと比較して幾分か全体のボリュームが薄くなっている。


また、葉の変色も始まっており、気温が低い時に現れる黒いシミが斑模様に広がり始めている。
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その地表にしても、植物の姿そのものが消えつつあり、茶色い面積が広くなった。
もちろん、除草した雑草を地表に敷き詰めているので余計に茶色いのもあるが、それでも新たに雑草が生えるスピードは落ちている。



それぞれの作物にフォーカスすると、更に劣化の様子が判りやすく表れている。



これは地這いのメロンだが、もともと成長率の低い個体であった所に、寒気がトドメを刺す形で枯れていった。
せっかく結実していても株としては完全終了、これ以上の見込みは一切あり得ない状態。
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他のメロンも軒並み同様の状況である。
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確かに9月には全盛期を迎えてはいたし、開花と結実のラッシュにあったのも間違いない。
だが、迫る季節の変化、そして気温低下には抗えなかったのだろう。
まさに一網打尽である。



唯一の救いと言えば、ゴーヤと共にヤグラ立てしていたメロンが成熟しつつある事か。
サイズはソフトボール位。
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このメロンは今期で最も成長率が高い個体なので、それなりに順当な経過とは言える。
ただ、この大きさに達してからはサッパリ変化が無く、これ以上の増大は望めない様子。

最大の課題は食味なのだが…そこはまぁ、あまり期待せずにおいておこう。



トマトについては、他の作物に比べて寒さには強いので、いまだ新芽が出ていたり、開花している箇所もある。
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ま、これも今は「ただ生えてるだけ」みたいな状態なんだけどね。




ちなみに、今まで殆ど触れていなかったが、実は地味にスイカの株も現存していたりする。
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これは6月に直播きして、9月頃に一気に伸び出したもの。


なぜ触れなかったのかと言えば、7~8月まで全く変化らしい動きが無く、あまりに成長率が低すぎた為である。
それが今になって開花と相成る。
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もっとも、生育はしても今さら感は否めないし、まず結実するはずも無い状態である。
だけど、こうして気候の変化を察知して復活したり、他が枯れかかっている中でも青々としているころからして、本質的にはタフな植物だったりするのかも知れない。



そんな中、カボチャは寒さの影響か、ここへ来て急にウドン粉病が発生。
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この短期間で全体に広がっており、だいぶ枯れが進んでいる。
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同じく、先述したヤグラのメロンにも発生していて、やはり既に全体へ蔓延。
もはや、これによって枯れる事は不可避である。
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今期は現在に至るまでウドン粉病の症状は殆ど顕れておらず、強いて言えばカボチャで僅かにポツポツ出ていた程度で、他のメロンなどのウリ科では皆無であった。
なのに、気候が暖かく元気だった頃には症状が出ていなかったのが、この9~10月に寒気が降りてからカボチャとメロンで一気に症状が顕れている。

これは即ち、気温低下によって体力も低下した事で、免疫力による抵抗力を失ったために発症したものと考えられる。



そう言えば以前にも、このウドン粉に纏わる記事を書いた事がある。
culrides.hatenablog.com

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記事の内容を要約すると、「色々と有機物を投入して様々な生物が連鎖的に生息すれば、それらがウドン粉を食べて消化したり競合したりして蔓延を防げるかも知れない」と言った話になる。


だが、今回の経過から言えば、いくら土作りをしたとて必ずしも「根絶」には至らないし、基本的に薬剤などを使わず自然任せである以上、土壌に残り続けるのは必定。

結局のところ、土壌に細菌類が居るのは普通な事であって、発症する時は発症する。
身も蓋も無いが、自然が自然である限り、本質的に避けようも無いのが現実なのだろう。



ちなみに、もともとカボチャがウドン粉を発症しやすいのに対して、その他のウリ科は何故か発症しにくい様子であった。


この現象については一期生でも既に判明していて、やはり以前に軽く触れた事がある。
culrides.hatenablog.com

上の記事から解るのが、このウドン粉病の発症とウリバエの被害の遭いやすさには相関性があって、ズバリ「作物の免疫力が高ければ病害虫にも強くなる」と言う事実である。


いや、超当たり前過ぎて何を今さらな話ではあるが、「それが出来なくなっているらしい」のが今の作物の最大のデメリットとなっている。
これを拡大解釈すれば、自らの子孫を残せなくなり絶滅するリスクと表裏一体の危うさをも孕んでいたりする。

つまる所、本質的な意味でカボチャやメロンをウドン粉病やウリバエの被害に遭い難くする為には、ゴーヤやスイカ並みの免疫力が必要なのではないか。
その力を目覚めさせられるか否かで、今後の自然派農法の正否をも左右する事になるやも知れない。

この様に考えられるのだ。


個人的には、これらの現象が今後の人類と世界を予測する上でも、かなり示唆的なものになると思っているので、また改めて記事化する予定である。



さて、そんなパッとしない話ばかり続く中、ここに来て計3本のゴーヤの収穫に成功。
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それぞれ1ヶあたり平均50~70gほどで、計170gくらい。
これら全部合わせて普通の一本分といったボリューム。

しかし、たかが小さいの3本と言えど、今期の厳しい状況を思えば御の字の成績である。


して、そのルックスこそ小さいが、相変わらず食味はグッド。
安定と安心のクオリティを実現しておりました。

ごちそうさまであります。



さて、例年に無い気温変化により、急激に厳しさを増している今期。
メロンなんかは、もうちょい先まで粘れそうかと思ったが、結果的に終了確定。

これがもう少し、昨年度くらいに気温が高めに安定していれば経過が変わっていた可能性は無きにしもあらずだが、それもタラレバ。

今はただ、この気候の中で何が起きていて、何が出来て、そしてどうなって行くのか、観察を続けて行くだけなのです。




おまけシリーズ。




気温が落ち着いた頃合いから勢いを増しているのが、皆様ご存じウリ映えである。
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盛夏まではチラホラ程度であったが、先月9月に入るなり急に個体数が増加。
特にカボチャの花がお気に入りな様で、群がって食している。

まぁ、この期に及んで作物に与える影響も無さそうなので、今は放置している。



更に、今期はクロウリハムシも頻繁に現れる。
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基本的に普通のウリバエより遥かに個体数は少なく、ある意味で少数派みたいな存在なのだが、今年はあちこちで飛んでいる姿を確認している。
もしかしたら当たり年みたいな感じなのか。



そしてトドメに、クロウリバエの画像の左上に、何やら緑に輝く生き物が…。


と思えば、アオドウガネだったりで。
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彼らがカボチャの花を食べてる所なんて初めて見たよ。
体に花粉が付着している所からして、相当奥まで体を突っ込んでいたであろう様子が伺われる。
食いしん坊万歳。

しかしウリバエといい、毎度ズタボロになるまで食われるカボチャの花って、かなり栄養価が高いのかも知れない。


と思って調べたら、カボチャの花を使った料理のレシピやレビューが多数存在する事が判明。
皆考える事は同じと言うか、行き着く所は同じなのか。

結局、人間が美味いと思うものは他の生物にとっても美味く、逆もまた然り。
これ全く不変の真理なのでありましょう。




では、また、CUL。

食べ蒔き番外編 ゴーヤの接ぎ木を試した結果、失敗した話

今回は番外編として、8~9月にかけて試行していたゴーヤの接ぎ木にまつわる話。

本来は8月の記事に入れる予定だったが、ボリュームが多過ぎたので別記事にしてみました。



ただし、先に結果から言えば、全て失敗に終わっている。


この記事では単に、「こうやってみたらそうなった」と言う事実を羅列しただけの体験談であり、それらが一体何の役に立つか分からないのが正直な話。

けど、もしかしたら、何かしら参考になる点もあるかも知れないので、備忘録的に記事化しておこうかなと。


それを踏まえ、実際の作業の様子と、いかなる顛末を迎えたのか記してみましょう。



さて先ず、接ぎ木を試す切っ掛けとなったのは、昨年度に記した「ゴーヤとメロンの挿し木」に纏わる記事である。
culrides.hatenablog.com

その内容を要約すると、「ゴーヤは挿し木に出来るが、単体では生育が難しい」。
従って、「水分と養分を安定供給し成長力を維持させるには、台木が必要」と言う結論に至る。

ならば、成長率の高いゴーヤを摘芯した際に、その先端部を棄てることなく接ぎ木にすれば再利用出来るし、最後まで活かしきれるのではないかと考えたのだ。



そこで、上記を踏まえて台木の選定から始めてみる事に。
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とりあえず選んだ個体は、「生育してはいるが成長率が低く収穫まで望めそうにない個体」である。
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これらはメロンやカボチャで、いずれも一応の生育はしていても、全体的に貧弱かつ「ただ生えてるだけ」みたいな状態である。
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何故これらを選んだかと言えば、生命力の強いゴーヤの先端部に引っ張られる形で、貧弱な台木でも「本来の力」を発揮出来るような気がしたから。


たとえば仮に、低成長で上手く結実しない様な個体であっても、生育しているならば根から水分や養分を吸い上げる力はある事になるはず。
だとすれば、台木は吸水力さえ賄えれば良い事になるだろうし、必ずしも「両方ともイケてる個体で組み合わせる必要は無いのではないか?」と推測してみたのだ。

本来なら強い台木を使うのがセオリーらしいのだけど、これではまるっきり逆を試す事になるし、普通なら誰も「やろう」などとは思わない実験のはずだ。
しかし、これで上手く行けば、もしや新しい発見になるのではないか。

そんな仮説を検証する意味もあって、今回の手法に至るのだった。



ほんで、作業工程は至ってシンプルかつ超自己流。
オペ自体も非常に簡単である。



先ずは成長率の高いゴーヤの中から、15cmほど先端部(穂木)をカット。
台木と接合させた時の癒着面を広く確保するため、茎をナナメに切り取る。
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次に、台木の適当な場所に浅くカッターで切れ込みを入れて接合部作り、そこに先端部の切断面と台木の切れ目が合わさる様にして挟み込む。
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また別の方法としては、この台木となるメロンやカボチャの幹は「中空構造」になっていて、いわゆるストローやパイプ状になっている。
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その穴にゴーヤを挿入したら、台木との接合部を密着させる様に切れ込みを閉じて、すかさずマスキングテープでキッチリ固定しておく。



ちなみに今回、台木との接合部は主に「先端よりの部分」や「脇芽や葉の分岐点」を選択している。


本来なら、苗の頃に台木の茎を一部カットして、そこへ穂木を抱き合わせたり、あるいは頭を挿げ(すげ)替える形で接合するらしいのだが、確かに、この方法なら先端部へ効率的にエネルギー供給が出来るだろうし、台木の枝葉に養分を取られる率も低くなるに違いない。

だが、これだと台木が丸ごと犠牲になってしまう事にもなる。


そこで、当プロジェクトでは台木のメロンやカボチャの結実も期待しつつ、「ゴーヤも出来そうな部分」に接合。

要するに、幹や主枝から分岐して伸びている脇芽や子ヅルに便乗させる形で穂木(ゴーヤ)を接合し、同時に台木の親ヅルや別の脇芽も残しておく事で、「どっちも上手く育てて、どっちの果実も狙っちゃおう」と言う算段なのだ。
このちゃっかり君!


ただし無論、仮にそれが出来るとしても、安定して成長させる為には先ず「台木が健全」である事が前提となるし、今回の様に「生育してはいるが成長率が低く収穫まで望めそうにない個体」を使っているのでは、狙い通りに行かない可能性の方が高い。
また、これにより成長エネルギーや養分が分散してしまい、結果的に「どっちも育たない」と言った事態も十分にありうる。


と言うか実際、「買ってきた接ぎ木苗を育てていたら、脇から台木のカボチャが生えて来た」と言う体験談を幾つか拝見しているし、そこに養分を取られて生育が遅れてしまうので、ちゃんと剪定すべきだとも解説されていたりする。

故に、本来なら一つに絞るべきではあろうし、そもそもやる意味すら無い試みとも言えるでしょう。


だが、そもそも今期は不作の中ではあるし、失敗して元々みたいな部分もある。
上記の部位に加え、保険の意味で一部は株の根本近くにも接続しておいた。


一先ずは、やれるだけやってみる。
これで上手く行けばラッキー的な観点でゴリ押しします。



話を元に戻しまして、今回は接合部の密閉性と保湿性を確保する意味で「カルスメイト」なるものを塗ってみた。
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本来の用法としては、樹木の枝打ち後に切断面を塗り固めて、病原菌などから保護する効果があるとの事。
随分昔から家にあったもので、ならばと流用。

商品説明には「つぎ蝋」とあるが、実際の中身は木工用ボンドと大体同じらしく、質感や匂いも似ている。
ただし、ボンドとは用途が違うので、成分も微妙に違うのだとか。
割りと速乾性が高いので、塗る時は手早く済ませた方が良い印象です。


画像では判り難いが、コレでマスキングの端をパテ埋めの要領で閉じてみた。
使い方が合っているかは不明だが、とりあえず癒着する事さえ出来れば目的は果たされるでしょう。
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さて、そんなこんなで作業は終了したのだが…。


冒頭でも触れた様に、今回の接ぎ木は全て失敗に終わっている。
そりゃもう、接ぎ木した途端に先端部は萎び始めて、ものの1週間も持たずに枯れてしまったのだ。



この失敗要因の一つに、作物自身の水分の供給力が落ちていた点が挙げられる。


上記の作業は8月上旬に行われていたのだが、この時点で既に猛暑日が連続しており、土壌の乾燥も連日続く状況にあった。
台木は無事であったものの、この酷暑でヘバりきっており、もはや枝葉へ水分を分配するどころでは無い様子でもあった。

調べてみても、基本的に直射日光が差す様な場所や暑いシーズンは避け、涼しい日蔭や雨量のある時に行うのが通常とされている。
そりゃそうだよね。


何にせよ、ここまで暑いシーズンでは検証にならない。
仕方ないので、機を改め再挑戦する事に。



ほんで、気温が落ち着いてきた9月上旬に再チャレ。



この時は、初回よりも更に先端部(穂木)の断面を広く切る形で吸水面を確保してみた。
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また初回では、台木の茎のパイプ状になっている部分へ穂木を挿入していたが、このパイプ内部には水分が殆ど通っておらず、あまり効果が無さそうな様子でもあった。


なので今回は、より水分が通るであろう表皮に近い部分を切開し、そこへ挿してみる事にした。
断面からジンワリと水分が溢れてくるので、癒着しやすそうには思える。
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台木の切れ込みに先端部を差し込んだら、すかさず接合部から水分が蒸発しない様にマスキングでミッチリ固定。
この作業を、幾つかの株で再試行してみた。
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だが、しかし、この再チャレも結果的には失敗に終わっている。


正確には、処置後の数日ほどは青さとハリを保っており、上手くイケそうな期待感を醸し出していた。

それでも、一週間を過ぎる頃からは一気に衰弱が進み、結果的には全ての先端部が枯れてしまった。
8月よりは持った方であるものの、またしても活着には至らず仕舞いである。


下の画像はだいぶ後日になって撮り直したもだが、全ての個体で同じ経過を辿り、同じ枯れ方をしていた点からして、どうやら根本的に給水が追い付かなくなっていたか、癒着出来ない状態にあったであろう事が伺える。
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いずれにせよ、今期は既にシーズンも遅くなっているので、これ以上は試しても難しいと判断。
接ぎ木を中止したのだった。



さて、今回の失敗について改めて考察すると、先ず1つ目には接ぎ木についての理解が浅かった事。
そして、その手法が完全に自己流の手探りであったが為に、結果として上手くない流れにハマッた事が挙げられる。


これはもう単純に、「細かいコトは解んないけど、多分コレでイケるんじゃない?」と言う思い付きだけで始め、ろくすっぽ調べもせずに勘だけで進めていたので、作業的な確度を欠いていた点は否めない。

また、そもそも「成長率の低い個体」を台木に使っていた為、脇芽や枝葉へ水分・養分を配分する力が弱かったのは確かであるし、そんな状態では接ぎ木した穂木にまでエネルギーが回らないであろう事も自明の理。
まさに、失敗して当然の成り行きである。



更に2つ目の原因を挙げるとすれば、8~9月と気候が暑いシーズンに試した事。
それに加え、接ぎ木を試した時点で、既に作物の成長率も決まっていた頃合いだったが故に、根本的に「それ以上」のエネルギーを脇芽や枝葉へ供給しなくなっていた可能性が考えられる。


これは一重に、育苗の開始が遅かった事が遠因となっていたりする。

そもそも今期は発芽が遅れたため苗木の期間が短く、ハイシーズンまでに接ぎ木を試せる期間そのものが短かった。
今にして思えば長梅雨であった7月頃に実行すれば良かったとも思うが、あの頃はイマイチ成長が実感出来ないままであったので摘芯などの手出しはせずに、どれくらいまで伸びるか様子を伺っていた部分がある。

つまり、梅雨では苗木の生命力が足らなそうだったし、盛夏では暑すぎてバテてたし、試した頃には成長率やエネルギー配分が固定化されていたりで、上手く行かない条件が重なっていた。
どちらにせよ、ギャンブルみたいなものだったのだ。



しかしながら、この実験的な接ぎ木に関して、実はまだ「本当はイケるんじゃないか」と考えていたりもする。


今回は気候や成長率などのタイミング、自身のスキルといった諸要素が合わなかっただけで、まだ成功パターンが存在する可能性は有りうる。
これが例えば、「苗木の成長期+涼しく雨量のある梅雨時」と言う要素が噛み合えば、成長の勢いに乗じて合体しやすくなるだろうし、失敗しても時期的にはリカバリが効きやすいだろう。

また、冒頭のリンク記事にある「摘芯した先端部を挿し木にしたら根が復活した」との話を参考にすれば、水耕栽培の要領で少し根を出させてから台木に接合する方法も試す余地がある。

いずれにせよ、既存の成功パターン以外でも色々な方法があるかも知れないし、「接ぎ木の苗」がこの世に存在する以上、何かしらブレイクスルーの切っ掛けがあるはずだ。


まぁ、そうそう狙い通りには行かないとしても、先述した「貧弱で間引き相当な台木+摘芯された用済みの先端部」の組み合わせが使えるとなれば、なかなか画期的ではないかとも思う。
これで成功すれば、もしかすると本当に「台木のカボチャと穂木のゴーヤ一挙両得」にも繋がるかも知れないし。

何せよ、今までムダだとされていたものが、扱い方ひとつで「使えるヤツ」に変わる可能性を秘めているのだから、ロマンがあるではないか。



もっとも証明されていない現状では、いくらゴタクを並べた所で憶測の域を出ないのが現実。

いずれ再チャレの機会があれば、また試してみるつもりである。


この記事を読んだ読者諸兄におかれましても、我こそはと言う方はチャレンジしてみては如何かなぁと思う次第です。




では、また、CUL。

食べ蒔き三期生ダイジェスト 9月中旬~下旬・短い全盛期

9月に入って以降、やっと昼夜の気温も本格的な落ち着きを取り戻し始め、作物たちも夏バテから元気を回復させつつあった。
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そこから時間を経るにつれ、気温はさらに低下して行く事となる。
特に今回の9月中旬~下旬にかけての変化は急激で、先の台風10号が列島を掠めてからは、全国的に涼しく乾燥した気候に。


前回でも軽く触れたが、何だか今年は季節の変わり目が急すぎと言うか、いきなり前触れもなく別のシーズンに入っているかの様。
台風も殆ど接近しないし上陸もしないし、一体どうなってるやら。

ま、そのお陰で作物のダメージが少なく済むとは言えるが。



さて、肝心の作物達はと言えば、この中旬~下旬に入る頃の気温低下により「適温」へと変化した事で、全体的に今期一番の盛り上りを見せている。
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背景の雑草と同化しているが、明らかに生育のピークを迎えており、次々に枝葉が成長を続けている。
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盛夏まではショボさ極まったメロンも、一気に急成長。
今、まさに花盛りだ。
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もっとも、2018年の一期生に比べれば随分と不作であるのも事実なのだが、少なくともシーズン初期のタネ蒔き~育苗期の低迷を思えば、ここまで生育しているのは奇跡と言えよう。
それを今になって挽回しようとしているのだから、植物の持つ底力は侮れないし、諦めずに世話を続けてみるものである。



とは言え、やはり全てが順調とは行かず、中には明らかに諦めざるを得ない品種や個体が幾つも散見される。


このカボチャに関しては今期で最も成長率の高い個体で、やっとこ着果が確認されるまでに至る。
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が、しかし、この果実は僅か数日で腐り落ちてしまい、結実には失敗。
この他にも細かな雌花が現れはするものの、いずれも知らぬ間に消失して行くばかりだ。



更に、上記以外の個体は、根本的に無かったも同然みたいな株ばかりで、むしろ生えている事すら不思議な状態。
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せっかく生えて来たのはいいが、そもそも矮小気味で生育にムラのある個体ばかりである。

仮に結実するとしても、受粉における「雌花・雄花ともに咲きたてフレッシュ」と言う必要条件を満たす確率が低く、タイミングがシビア過ぎて成功するのは困難。

とにかく、これまでのカボチャ以上に結実する力が弱く、正直この時点で今期は終了したも同然なのである。



更に、カボチャと同じく諦めムードなのがトマトである。
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この通り、ギリギリ何とか結実しても結果的に病気や実割れが発生してしまう。
今期で最も成長率の高い個体でコレなのだから、先が知れると言うもの。

この他にも、生育している個体数は5本ほど存在しているのに、そのいずれも開花しなかったり、開花しても着果しなかったりを繰り返している。

こうなると、もはや何の手立ても無いし、なすがままの状況である。



勿論、これらが実生であるが故に生命力も劣化している事は間違いなく、今までも生育不良にある個体を幾つか確認してきたつもりだし、この流れも想定の上ではあった。

しかし、かと言って2018年の一期生では一定量の収穫まで達成出来ていたし、外見上では自立不能なほど貧弱な個体でも幾つか結実まで成功していた。
そう振り返るに、以前と現在で一体何が違うのか判然としないし、いまだ納得が行かない部分もある。


他に濃厚な線としては、やはり連作障害が疑われる。

ただ、昨年度2019年の二期生では最初の発芽時点からして不調であった。
また、その不作な中でも今よりは遥かに成長率は高く、結実数も多かった点を踏まえれば、決定的な要因とは断定しにくい。

ましてや、今期のトマトに関してはウドン粉病も一切発生しておらず、健康状態に問題がある様でもない。
なのに、開花と結実ばかりが不調なのだ。



何故こんな事になっているのか、そのハッキリとした原因は不明であるし、あるとして様々な要因が挙がるだろう。
しかし、幾つかの品種を蒔いている中で、その全てが生育不良である事を考えると、何かしらタネの性質そのものや、気候に問題が起きていたのでは無いかと推察せざるを得ない部分もある。

この「推察される要因」については長くなるので、今後改めて考察を記事化してみる予定であります。



そんな中、生育の安定感に定評のあるゴーヤは順調。
このタイミングで、一本の収穫に成功していた。
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その食味は当然ながらウマウマ。

手前味噌かも知れないけど、何故か当プロジェクトのゴーヤは買ってきた物より美味なパターンが多い印象。
単に苦いだけでなく、何だか味の奥の方に、甘味と言うか旨味を感じられるのが特徴なのだ。


もっとも、そもそもゴーヤ自体が「簡単に栽培出来る」と評されているだけに、そんな特別な現象では無いのだろうとも思う。

殊更に、これが栽培方法や土壌環境によるものなのか、はたまたタネの性質に依存するものなのかを推察したところで、大体は上手く行くのだろうし、難しく考える程の違いも無かったりするのかも知れない。


だけど、仮に「普通の品種」よりサイズが矮小化していても味そのものには影響が無く、表面上の色ツヤと張りの質感さえ良ければ、充分なクオリティとなれるのがゴーヤの良いところ。

毎年、先述のカボチャやトマトなど他の作物が不作である中でも、この点に関しては驚くべき再現性の高さである。



その意味では、南国育ちの印象が強いゴーヤであるが、実際は様々な土地に適応する力が強い植物ではないかと考えている。

何せ、きちんとした土壌さえ整えてあげれば、何処の土地でも一定の成長率を発揮する可能性が高く、そして何より自主的に生育し結実までする。
昨今、発芽から受粉まで人手を介さないと生育しない作物が多い中で、これは特筆すべき特徴と言えるだろう。


かねがね当プロジェクトでは、「原種に近い性質を備えている作物ほど生命力や免疫力が強く」、そして「人工受粉に頼らず自ら交配し子孫を残す能力が高い」のではないかと記して来ている。
つまり、このゴーヤとは雑草だった頃の名残りであったり、原始的な性質を色濃く残しているからこそ、「生命としての基礎能力が高い作物」と言う事でもある。

そう考えれば、連作障害に強く毎年同じ場所で同じ様な樹勢で生えてくるのも、味に安定感があるのも納得の成り行きなのだ。



話を元に戻しまして、今回は他にも成熟が進んでいるゴーヤの果実があったので、初めて「摘果」を施してみた。
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上の画像にある左右の果実は同じ株に結実したものであるが、それぞれ微妙な質感の違いがある。

右の果実は普通のゴーヤらしいハリツヤがあるが、何故か左のは些か細身で 、表面の質感もパサついて色ツヤが足りない。


この違いは恐らくだが、右の方が優先的に結実した「本命」で、左のが後続で「予備」的に発生したものと考えられる。
が、とりあえず両方には養分を均等に分配出来ないので、結果的に左の予備は中途半端に成熟したままなのだろう。

要するに、この予備に養分が回っていると、本命の養分も幾らか抑えられてしまう事となる。
なので、コレはプチっともぎ取り、土へ戻す事に。



そう言えば、昨年度の二期生でも「ゴーヤが一時に養える果実の数は決まっているらしい」と記した事がある。
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ただし、それにあたり本命の果実だけでは外敵に害されたりなどで子孫を残せないリスクがある為、あえて予備を作り出しているものと推察している。
これが未熟果のまま残ったものが、間引きや摘果される訳だ。



そして上記を証明すると考えられる現象が、先の画像の中央に写っている青白く小さな果実。
これらは全て、同じ株に着果したものである。
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この様なシチュエーションで着果したての未熟果は、いつの間にか消失している事ばかりで、これまで成熟や収穫レベルにまで達する事は一度も無かった。
しかし、それを翻せば、既に本命や予備が確定的な状況でも、それらの「予備の予備」も常に作られている事を意味している。

仮に結果として使われ無かったとしても、備えあれば憂いなし。
まさにゴーヤ等の植物も様々なアプローチで、不測の事態に向けてリスクヘッジしているのかも知れない。



ちなみに、着果不良を起こす原因は他にもあり、この様な黄色く変色した果実も頻繁に観察されている。
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これまでの観測結果から、この黄色い未熟果は多分、恐らくだが「高温障害」や「体力(栄養)不足」などが考えられ、またこの二つの要因は相関関係にもある。

特に、貧弱気味な個体は外気温などの環境変化にも弱い傾向にあるため、余計に結実率が低くなる現象が確認されている。
具体的に言えば、たとえ着果してはいても、結実から成熟させるまでの体力が足りなかったり、また少し気温が上下したりなどで体調も不安定になる事で、果実も途中で生育がストップしてしまう。

つまり、根本的に虚弱体質なので暑さも苦手だし、子孫を残す力も不足しやすいのだ。



更に興味深い現象としては、今期のメインとなっているゴーヤは「実生の三世」で、これらの個体も丁度3株存在しているのだが、これらは全て同じ果実のタネから育ったのに、それぞれ微妙な個性の違いがある事。


その例として、①「成長率も結実率も高い個体」、②「成長率は高いが結実率が低い個体」、③「成長率・結実率ともに低い個体」と言った具合いで、当然ながら②と③の順番で「着果しても成熟しない」パターンや「体力不足で黄色く変色する」パターンが多くなって行く傾向にある。


上記を鑑みるに、もし「雌花が沢山あって着果するのにサッパリ成熟まで行かない」と言った症状が出ている場合、先ずゴーヤの「株ごとの個性」と、外気温や日当たりなどの「環境的な相性」を照らし合わせた上で、追肥したり保温したりで対応して行くのがベターと考えられます。


かつて2018年の一期生でも、一度枯れかかった所から、栄養補給したり余分な枝葉を剪定した結果、再び結実するまでに回復させる事が出来ましたからね。
culrides.hatenablog.com

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従って、仮に貧弱だったり、結実率が低い株であっても、その生育条件が噛み合えば復活したり化ける可能性はあるので、急いで間引きせずにジックリ世話をしてみては如何かなぁと思う次第であります。




おまけシリーズ。



この画像に写っている白っぽい葉は、「トウモロコシの皮と茎」。
これらはスーパーから貰ってきたもので、もちろん店員さんの許可を取ってから譲り受けている。
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要するに剥いた後の残骸なのだが、何となく養分を溜め込んでいそうな気がしたので肥料として利用。

よくトウモロコシのシーズンになると、皮専用のゴミ箱がパンパンに詰まっている時があるけど、アレを棄てずに再利用出来るんじゃないかと思い、過去にも投入していた事がある。


と言うか、個人的には小売店から出る野菜の皮とか鮮魚の内臓とかを集めれば、相当濃厚な肥料が出来ると思うんだが。
何で活用する方法が無いのか、いつも不思議である。
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まぁ、単なる皮ではあるし実際の効果については謎なんだけども、少なくとも「足し」にはなっているはず。

だってチリも積れば何とかって、昔誰かが言ってたもん。




では、また、CUL。

食べ蒔き三期生ダイジェスト 9月上旬・ゴーヤの収穫&タネの適応について

前回の8月下旬までは全国的にも最高気温を更新する地域があるなど厳しい酷暑となり、連日の日照と渇水のせいで、当プロジェクトの作物も終始ヘバりっぱなしの萎びまくり状態が続いていた。
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その後、今回の9月に入る頃から次第に気温も落ち着きを取り戻す様になり、夜間はだいぶ過ごしやすい気候に変化。
雨の降る日がチラホラあり、渇水も解消される事となる。


今年の春から梅雨、梅雨から夏、そして夏から秋と、何故か次の日には全く気候が違うシーンが多くて、かなりハッキリとした季節の変わり目がある様な印象。
冬から春までは暖冬がダラダラ続いていたのが、急にメリハリがついた感じになった。



そんな作物の状況はと言えば、この9月に入ってからは昼夜を通してシャキッとした姿を取り戻していた。



前回まではヘバっていたカボチャも元気になり、成長率も再び上昇。
体力も回復してか、ぐんぐんツルが伸びている。
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まったく関係の無い話だが、昔「ぐんぐんグルト」がお気に入りで頻繁に飲んでいた思い出が。
あと、「セノビー」も好きだったなぁ。



カボチャと同じく、再び急成長しているのがメロン。


この様に、幾つかの株に着果した箇所が出始めている。
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梅雨から夏にかけては生育不順な状態が続いていて、なかば今期は諦めムードすら漂っていた。
実際、一期生では梅雨明けに結実して、盛夏から秋までに収穫されていた事と比較すれば、明らかに成長に遅れを生じている。

それがまさか、今になって「全盛期」を迎える事になろうとは。


大事をとるべく、この果実を保護する意味でゴーヤのヤグラに便乗させて、「空中栽培風」にしてみた。
果たして、どんな仕上りになるやら。
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もっとも、現状では安定した結実率とは行かず、黄色く着果不良を起こしたものも多い。
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この要因としては先ず、単純にタネが貧弱気味だったがゆえに、交配する力も弱かった。
そしてもう1つに、日中の残暑が厳しい事が挙げられる。


この暑さについては、どうやら気温が高すぎると結実率が落ちる様で、他にもトマトやゴーヤなどでも同様の現象が幾度か確認されている。
以前、「人間がバテる暑さでは作物もバテる」と書いた事があるが、今期でもパターンにハマッた訳だ。

一先ずの対処法としては経過観察するに留まるが、もう少し気温が落ち着いてくれば、再び回復するはずである。



さて、お次はゴーヤであるが、コチラも8月のヘバりモードから随分と回復。
あちこちツルが伸びている様子である。
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して、この9月に入った頃、先ずは一本の収穫に成功。
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コレは結構前に結実を確認していたもので、一体どれくらいの大きさになるか伺っていたのだが、その間に黄色くなって来てしまったので取り急ぎ収穫した次第。
この黄色が出過ぎるとアッと言う間に破裂してしまうので油断ならない。



更に、その一週間過ぎあたりで二本を追加。
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相変わらずサイズは据え置きであるものの、不作の中にあっては貴重な収穫物。


先述の様に、今回のゴーヤは全て8月の段階で結実が確認されていた。
だが、やけに今期は未熟果が多くて、どこまで成熟してくれるか未知数であった為、放置して様子を伺っていた節がある。

一体どうなるかと思っていたけど、いずれも何とか食べられる位の形になりました。


ちなみに、これらは後日チャンプルーとなって食される。
いつも通り、期待を裏切らない美味さでありました。



しかしながら、以降の結実率に関しては課題が多く、いずれの個体も雌花は沢山咲いているが、前途した様に成熟まで達する確率は低い状況にある。
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大抵こんな小さい姿のまま成長が止まってしまい、いつの間にか変色して腐るか、しれっと消失していくばかりだ。


更に言うと、この結実率は株による個体差が大きく、片寄った株にしか結実しないパターンも幾つか確認されている。

例えば、今期で最も成長率の高い「食べ蒔き(実生)ゴーヤ三世」では、合計三本ある内の一本には大きい果実が実るが、その他は「結実するが大きくならない(なりにくい)」といった違いがある。



この「ゴーヤの個体差」は以前より何度も確認されている現象なのだが、これも実生ゆえの、あるいは自然発生的な生命ゆえのバラつきと言う事になろうか。
culrides.hatenablog.com

この点で、改めて「予備のタネ」を幾つも用意しておき、苗も沢山育ておく方が安パイだなと実感するところ。



ちなみに、今期のゴーヤは上記した「食べ蒔き(実生)の三世」が主力なのだけど、その他の「昨年度に市場の品種から採種したタネから生えた個体(二世)」については、一向にパッとしない状態が続いている。
※これらの株については、ご近所との兼合いで全景の画像はありませぬ。悪しからず。

いや、正確には普通に成長しているし開花もしているのだが、今年は特に結実率が低いのだ。


下の画像は、その「二世のゴーヤ」に結実していた果実で、黄色く成熟するまで放置していたもの。
サイズは概ねテニスボールくらいである。
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しかも、いまだ今期の二世ではこれを越える果実は殆ど結実せず、また着果するシーン自体も極端に少ない。
昨年度までは一定のサイズと量が確保出来たのに、何故なんだ?
何かしら理由はあるんだろうけど、イマイチ判然としない。


あるいはもしや、このゴーヤも連作障害が始まっていて、それが原因である可能性も否定出来ない。
実際、上記した二世は2018年、2019年、そして今年と連続して同じ場所に植えているので、条件には当てはまりそうだ。

それに対し三世は、これまでのゴーヤとは違う場所に植えている事から、それによって土壌の鮮度が保たれていたお陰で生育が促されたとも考えられる。

一応、ゴーヤは連作障害が起きにくいと言われているし、現状では他の作物と比べても一定の成長率を維持しているので、まだ本格的な症状は出ていない様ではある。
ただ、もし次期にも栽培する場合、植える場所を変える必要もあるのかも知れない点については念頭に入れておこう。



さて、上記の果実については、可食部が少なく収穫せずにいたため、いつの間にか果肉は黄色く完熟して破れ、そこから飛び出たタネが地表に落ちていた。
そこから月日が経つにつれ、赤いゼリーも分解されて丸裸となる。(※画像は後日撮影。2ヶ月ほど経過した頃のもの)
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で、今回のタネは「完全放置」する予定。
そう、前回にて採種したタネは採種後に洗って室内保管しているが、今回は回収しないでおくつもりなのだ。


この完全放置とは、言葉通り「地表に落ちたタネを野晒しのまま冬越しさせて、また次の初夏に生えるかどうか」を試そうというもの。
正確には、生やしたい位置を変更したり、来年の発芽シーズンに土を被せたりで手は出しても、極力このまま触れずに置いておき、自然の雨風でどう変化するかなと。


何故そんな事をしでかすかと言えば、より自然環境に近いシチュエーションで過ごす事で、本当の意味での生命力が目覚める様な気がしたから。

要するに、雑草と同じ様に、その土地で誰の手も借りず自生する能力が目覚めたならば、その個体が即ち「その土地に適応した個体」となり、以降、より効率的で手間要らずな栽培が可能になるのではないか?と考えたのである。


この根拠として、上で「食べ蒔き(実生)のゴーヤ三世」の方が、「市場の品種から採種したタネから生えた個体(二世)よりも樹勢が強い」と先述していたが、これを拡大解釈した場合、すなわち「三世の方が今の土地での生育に適応すべく変化していた」と解釈する事も可能になる。

だとすれば、更に世代を重ねる事で、更に適応化が促される可能性も有りうるはずだ。



無論、上記は単なる予測であるし、仮説や希望的観測の域を出ない話である。
結果的に、ますます劣化して矮小化してしまったり、まして何も生えてこない確率の方が高いかも知れない。


しかし、それでも、やってみれば分かる事もあるだろう。

今回のタネは次期に向けて、ダメ元で放置するのみ。

そんな構えすぎずに、大して期待を持たない程度に楽しむのも、食べ蒔き(実生)栽培のコツかも知れません。




おまけシリーズ。



菜園に集っていたシジミチョウ。
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シジミチョウって種類が多くて判別が難しいけど、これは一番よく見られるヤマトシジミのはず。

やけに今年は沢山飛び回っていて、よくゴーヤの花に止まっているシーンに遭遇する。
シジミチョウにも当り年とかあるのかな?

この他にも色んな種類のチョウが飛来しているので、何かしら周期的なものが関係してるのかも。



また、今年はミツバチの飛来数が少ないのだけど、その代わりに何故かアリばかりが花に集っている。
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これもゴーヤで、何匹かのアリが奥まで首を突っ込んでおり、殆どの花で同じ様な光景が。
このアリにとって、そんなにゴーヤの花が魅力的なんだろか。

アリとミツバチは同じ仲間な訳だが、今期はミツバチが少ない代わりに、今はアリが花粉を媒介しているのかも。
その意味では貴重な戦力と言えよう。



ちなみに種類を調べてみた所、このアリはシリアゲアリの仲間と思われる。
尻の先端には毒針があるそうで、確かにハチの形によく似ている。

しかし、仮に刺されたとしても、そもそも体も針も小さすぎて症状は殆ど出ないと言う。
実際、これまでに何度も体にくっついていたり、触ったりしているが、これと言った痛みや痒みなど一切感じた事が無い。
要するに無害も同然なのだ。


従って、「なんかイヤ」と言うだけの理由で駆除する必要性など無く、実際は「受粉を促す重要な役目がある」と考える事も出来るはず。

むしろ居てもらった方が、観葉植物に寄生する他の虫なんかを防いでくれたりで、植物にとってもメリットが大きいんじゃないかなぁと。

ここは一つ自然のバランスに委ねておき、経過を観察してみるのもアリかなと思う次第であります。




では、また、CUL。

食べ蒔き三期生ダイジェスト 8月下旬・酷暑と熟したゴーヤのタネの味

前回の8月上旬から飛んで、今回は下旬に入ってから後半にかけての話。
culrides.hatenablog.com

しかし、その上旬以降は連日の酷暑と日照りに晒される様になり、作物たちもヘバり気味な日々が続いていた。



この画像では伝わり難いが、日が出てからの萎び加減はドイヒーなもので、あらゆる作物がヘロヘロにうなだれて今にも枯れそうな勢い。
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と言うか既に、この時点で貧弱な個体の幾つかは消失している様子で、畑のスペースにも空白が現れている。



この暑さと日照は本当に厳しいものがあり、朝型に水を与えたとしても枝葉は萎びたままだし、日中にはカラカラに地表が乾いてしまう。
この対策として、日が陰った夕方から夜前に水撒きを行う事で保水力を維持させる作戦に出たのだが、どちらにせよ明くる日の日中で全て乾いてチャラに。

もはや、「やらないよりはマシ」程度の効果しか無いのが実状である。



そんな過酷な環境下でも、一応は気温が落ち着いた夕方になると息を吹き返し、再びピンと張りが戻ったりはする。


以下の画像にあるカボチャは、日中の様子。
何だか全体的にグデッと萎びている。
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そして、これは夕方の様子。
日中は地面に這っていたのが、少し首が持ち上がっているし葉にもハリがある。
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こうして観察すると、朝夕で生命力が変化している事が良く分かる。
何だか日中は「省エネモード」に切り替えて耐え、生命活動を抑制しておき、体力を温存しているのかの様だ。



しかしながら全てが無事とは行かず、下のアボカドの苗は、葉が枯れて茶色く変色が始まっている。
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当然ながら、梅雨時までは充分な水分が保たれており、青々とした姿であった。
それなのに、ものの短期間でこのザマである。


正直、水やりを忘れて放置していたせいで渇水した部分もあるのだけど、それでもフツーはここまで枯れる事など無い。
まさに草木を枯らすほどツイキーな酷暑なのである。



とまぁ、そもそもの気温が高すぎて、生育自体に支障が出ている様相ですらある。

そんな中ではあるが、辛うじて良さそうな兆候がチラホラ発現している箇所もある。



この頃になり、小さなゴーヤが結実。
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数は多くないが、何とか形になっている。
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ちなみに、これら果実は前回にも記した「食べ蒔きゴーヤの三世」に結実したものである。


そして今回、この画像のゴーヤは収穫せず、更に成熟させる事にしてみた。

理由は「再び採種」する為である。



して、そこから約1週間ほど経過したころ、以下の様な結果となった。



ご覧の通り、まっ黄色になって破裂。
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中の「ワタ」は既に消失していて、タネも真っ赤なゼリーに包まれヌルヌルしており、いくつか地表に落ちていたりする。

このゼリーの食味は「甘い」と言われている通り、何匹かアリが集っていた。
もしや、あのワタが熟すにつれ溶けて行き、タネの表面にまとわりつく過程で、糖度が増して甘くなると言う事なのか?
不思議。


この変化は劇的で、特に果皮に黄色味が顕れてからは一気に変色が進み、完全に黄色くなった次の日には割れていた。
この気温と相まってか、余計に成熟が早かった印象である。



所で、この赤いゼリーが本当に甘いのかどうか興味があったので、試しに食べてみた。
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すると確かに、ほのかに、優しい甘さが感じられるではないか。

いわゆるスイーツ的な甘味では無く、何だか砂糖水みたいな、ささやかで素朴な味わいである。
アケビの味にも近いかな?


この例えが正確かは謎だが、ズバリ正露丸糖衣Aの「糖衣」に非常に近い印象。
ゼリーごとタネを口に含むと、まるで錠剤の甘いコーティングを溶かしているかの様な感覚である。

一つ一つ食べているとソッコーで甘味が消えてしまうので、結局、途中から纏めて口に放り込んで全部舐めてしまったよ。



「ゴーヤのタネを包む赤いゼリーは甘い」


伝説はまことであった…!byババ様



ほんで、ゼリーを食べた後に出てきたタネがコチラ。
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よく観察すると、左側4個は完熟しているが、右側の1個は白く未熟な質感である。
実際の手触りも、左側のタネは堅くシッカリしているが、右側のは柔くて潰れやすい。
また概ね、この未熟なタネが全体の1割程度混じっている様子だった。


ここで解るのが、果実の外観上は黄色く成熟し、中身は赤いゼリーに包まれていても、そのタネのクオリティーにはバラつきがあるらしい事。
今回の様に、完熟していそうなタネでも、中身はそうでもないパターンがあるなど、言い換えれば「外見と中身が一致しない」時があるのだ。


これは過去の観察にて、「殻は大きく立派だが中身がスカスカなタネ」だったはすが、意外にも高い発芽率であった事が良い例。
他にも、未熟果から採種したタネでも上手く行けると言ったパターンがあったりする。
culrides.hatenablog.com

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故に、やはり採種する場合は出来る限り沢山集めておくのが得策。
余分に予備を用意した方が、再び栽培する時に有利。
その中に、きっとイケてる個体に育つタネが混じっている事でしょう。



さて、この他の動きとしては以下のトマトか。


背景がゴチャついて判りにくいが、やはり渇水で萎びた様子である。
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コチラは今期で最もマトモな個体であるものの、実際の成長率や結実率には課題が多く、殆ど期待は持てそうに無い。

それは発芽から育苗期にかけての様子からして、ハナから予感していた部分でもある。



そんな中でも、実は一つだけ赤くなるまで成熟した果実が存在する。
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サイズは中玉くらいで、傍目には立派な仕上りだ。



が、実は謎のビョーキに見舞われていた。
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恐らくは「尻腐れ病」の一種では無いかと思われるが、こうなっては食用に出来るものでは無い。
当然のごとく摘果し、処理するだけである。


この他にも、今期は幾つか定植(または直撒き)した株も幾つか存在するし、その本数も過去最多となるのだが、それらは軒並み開花しないか着果しないパターンばかり。
もはや画像に撮る意味すら無い状況である。



このトマトについて、2018年の一期生では高い成長率の個体が存在していたし、一定水準をクリアした果実も収穫されていた。
しかも、当初は発芽率も成長率も低く2~3本だけしか定植出来なかったはずが、夏期に入る頃から急成長し、最終的に10本以上も株分けして増やすまでに至っている。
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それは「食べ蒔き(実生)では上手く育たない」との定説を幾らか覆す結果ともなっていた。
しかし逆に、昨年度と今期に関しては完全に「上手く育たないパターン」にハマッてしまっている。


この違いが一体何なのかについては様々な可能性が考えられ、現時点で明確な答えを出す事は出来ない。

例えば、根本的に採種した品種のタネがダメだったのか、また栽培法に問題があるのか、それとも生育環境が合わなかったのか。
はたまた、以前にも触れた連作障害や、まさか想像だにしない現象が絡んでいたりと、要因となりそうな点は多岐に及ぶ。


いずれにせよ、現段階から状況を打開するのは難しいだろう。

仮に好転して上手く結実したとしても、今の時期からでは気温が低くなるにつれて、果実が成熟する為に必要な「積算温度」が足りなくなるリスクが増す。
また、挿し木にして株分けしても、成長から結実まで遅れが生じる事には変わらない。


今出来る事があるとすれば、ただ流れに任せるだけ。

なるか、ならざるかは今後の変化次第と言う事にならざるを得ないのであった。




では、また、CUL。