今回はメンテナンスネタを。
コチラは釣りなどのアウトドアで常用していたヘッドライト(ヘッデンとも言うらしい)。

冨士灯機ZEXUS ZW-B100と言う価格帯では一番安いエントリーモデルで、ON/OFFスイッチのみの構造。
照度は10ルーメンと今の主流から比べるとだいぶ暗いのは確かだが、使っている分には不便を感じない。
いつ買ったか覚えてないけど、少なくとも十年は手元にあり、調べるとどうやら2011~12年ごろ発売のモデルらしく、今は廃盤となっている様だ。
しかし、数年前からチラツキが出始め、ある時から完全に点かなくなっていた。
電源ボタンを押しても電池ボックスの蓋を締め込んでも無反応。
スケルトン構造なので中身を覗くと、内部に茶色く腐食した様な汚れがこびりついてて、これが原因で完全に壊れたものと思っていた。
ゆえに、ここ何年かは引退状態にあり、以降は新しいヘッドライトを使う事に。
ただ念のため、いつか別のジャンク品が手に入ったらニコイチに出来るかなと捨てずに置いていた。
と、あるとき不意に「本当に壊れたのか?」が気になり出す。
よくよく考えれば、どの部位が壊れたかまではハッキリしておらず、ジャンクも都合よく手に入る訳では無い。
仮に壊れているにしても分解して原因を特定する必要があるし、状態によっては自力で修理出来るのではないか?
こんな思いつきの下、完全に分解オーバーホールを試みてみた。
文字通り全バラで各部を細かくチェックして行こう。
※前置きが長くなったけど、結論を言えばオペは成功。
分解後にブログネタを決定したので、以下は「組み上げと分解の工程を織り交ぜて解説」と言う形になります。
①まずバラし始めはバンド(ベルト)から。

これは簡単に、本体の固定具からズラし抜き取るだけ。
付ける時は逆の順で。
バンドはヘロヘロのダルダル。

かなりくたびれているが案外と弾力は残っていて、アジャスターを締めればキッチリ固定感が得られる。
まだ交換の必要は無いだろう。
バラして初めて気付いたのが、オデコに当たる部分のパーツにまでバンドが通っていて、クッションパッドの代わりを果たしている事。
このバンドってライトの両脇だけ取り付けて、オデコにはパッドが貼ってあるモデルが多い気がするんだけど、今回のライトはコスト的にも合理的な構造だと思う。

大抵のパッドは接着してて外れないのと比べて、これなら劣化やオイニーを気にしなくていいし、バンドが汗を吸っても外して洗えばいい。
今までクッション性やパーツの当たる感触など気になった事も無いので、これで充分代わりになっていると言う事なんだろう。
②バンドが取れると、土台?の裏側が現れる。
この両側にある蓋を外すのが第一関門。

画像の様に、精密ドライバーのマイナスを蓋の隙間にネジ込む。
ネジ込めたら蓋を「引き出す」イメージで、テコの原理を使いコジリ出す。

この蓋はかなりタイトかつギチギチにハマッているので、ドライバーが折れるか土台が割れるかヒヤヒヤもの。
しかも、外れるとあらぬ方向へフッ飛んで行く場合もあるので、タオルか何かで覆ったり、下に向けながら外す方が良いかも。
と言うか、本当にフッ飛ばして危うく失くしかける所でした。
③無事に蓋が外れれば、土台と本体とを固定するパーツ接合部にアクセス可能。

これらネジを外すと、カパッと土台と本体が分離出来る。


本体両側にはU字の土台接合用パーツがハメてあるので、これも外す。
これで本体は土台から完全に独立する。

取り付けには向きが決まってるけど、ちゃんとパーツ合わせの溝があり規定の位置以外では付かない構造になっているので間違う事は無い。
いずれも細かいパーツなので、ロストしないよう土台に仮組みしとくと良いかも。
④次に、電池ボックスの蓋を外す。
コレはどの工程で外してもいいパーツなんだけど、今回は早めに分解して状態チェック。

また同時に、本体側の黒いゴムパッキンも外す。
このパッキンや蓋の内側に汚れが溜まっているので、よく洗っておく。
ちなみに本体内側に「5/11」と書かれたシールが貼られているけど、これは製造年月の事なんだろか?
ほんで今回の不調原因の一つが、この蓋の内側にハメ込んであるコネクターに浮いた腐食。

画像ではクリーニング後なのでキレイだが、外した当時はスプリングにまで青い腐食が浮いていた。
また、このライトは本体側から電池ボックスの蓋へと金属コネクターが飛び出ている。

蓋を締め込むにつれ、これが蓋内側の金属盤と触れる事でマイナス側が通電する。
しかし使ってる間に、この本体側コネクターがナイフみたいに蓋の金属盤表面を削って溝を作ってしまい、接触が甘くなるのも点灯不良の原因らしい。
事実、画像でも丸く円を描くキズが出来ていて、このキズに腐食が集まっていた。
つまるところ、「金属コネクター同士の摩耗による溝+溝に詰まった腐食」のダブルパンチにより接触不良が起きていたから点かなくなったのだろう。
当然ながら、腐食はクリーニング時に歯ブラシで磨いたり、マイナスドライバーの平面などで削り落とそう。
ただし、あまり削り過ぎると余計に溝が深まったり、余計な所にキズが出来かねないので加減に注意。
では本体の分解に移ろう。
⑤まず両脇のカバーから外すのだが、これも第二の難関。
かなりクリアランスがタイトなので、精密マイナスドライバーをゆっくり接合部にネジ込む。

ここの接合方式は、本体上部(スイッチ側)は本体内壁にツメが「沿っている」だけなのだが、下部側はフック状に本体内壁に「引っ掛けて」ある。

なので、上部側から外す方が簡単なのだが、あまり無理矢理ドライバーをネジ込み過ぎるとツメを折って組み立て不能になってしまう。
特に上部側のツメはスイッチ基盤の固定を兼ねているので、ややズラした位置から外すのが良いかも。
正直言うと、どうやって外したか正解に覚えてないんだけど、ツメよりズラした所(本体中腹あたり)からある程度までドライバーをネジ込み、本体から引きずり出す様な要領でテコの原理でジリジリ動かすと、カパッと外れた感じです。
組み上げ方は簡単にハメるだけなんだけど、この時に気を付けるべきポイントがあるので、詳しくは工程⑧にて後述。
ほんでカバーが外れると、基盤を固定している溝(画像ではマイナス側)が抜けて、電池ボックスから通っていたコネクターも離れる。

このコネクター同士が触れている部分にも腐食が浮いており、やはり点灯不良の原因となっていた様なので、ドライバー等で削り落とす。
ただし、基盤のコネクター部はアルミ箔のごとく薄く、あまり削り過ぎては下地が出て危険なので、軽く磨く程度で良いでしょう。

と言うのも実は今回、釣具の砥石で磨いてたらコネクターからハミ出して削ってしまい、基盤表面の塗装がチョイ剥げて、応急的に油性ペンで塗り潰したと言う…。
カバーを外すとこんな感じ。

これにもパッキンがあるので外し、溝や隙間を洗う。

反対側も同じ要領で本体から外し、やはりパッキンを外すのだけど、今回ではまだ片側のカバーを着けたまま工程を進めます。
何故なら、この次の工程で出てくるレンズカバーとリフレクターを外してからでないとLEDユニット(基盤)が外せないから。
詳しくは工程⑦⑧にて後述します。
ちなみに、これは電池ボックスで言う+側なのだが、こちらにも蓋の様なカバーが被せてある。

ただ、これに関してはコネクターと何ら関係無く、単純にルックス上のバランス合わせの為に被せてあるらしい。
しかも、このカバーもやたらタイトにハマッていて下手に外そうとコジリ回すと割りかね無いので、よほどにクリーニングしない限りは外す必要無いかも。
取り付けはパコッと被せるだけで簡単です。
⑥次にレンズカバー(ベゼル)を外す。
これは電池ボックスの蓋と同じくスクリューキャップ式なので着脱は簡単。
レンズはカバーの内側に置いてるだけで、簡単にポロっと外れる。
組み立てる時はカバーごと本体に締め込む事で固定する方式である。

同時に黒いゴムパッキンも外すのだけど、カバーの溝にキッチリハメ込んである。
外す場合はピンセットやキリ等で簡単にほじくり出せるが、このパッキンだけ溝に合わせて四角い形状をしているので、組み立て時はネジレたりしないよう注意。
またレンズの画像は無いけど、両面が()みたいな魚眼と言うか凸レンズになっていた。
調べてから初めて知ったのだけど、これで光を広げるのかと思いきや、虫眼鏡で太陽光を集める様にスポット的に照らすのが目的らしい。
これは恐らく、あえて集光する事で低い光量を補う目的があるのではないかと考えられる。
ただ、このレンズで照らすと、何だか段々みたいな光輪が幾重にも出る変なクセがある。

むしろ外した方がムラなく広範囲を照らせるので、ここは平面レンズに交換出来ればなと思う部分である。
他に興味深いのは、このレンズカバーのレンズ側だけでなく、本体側にもゴムパッキンがハメ込んである事か。

要はレンズとカバーの隙間と、カバーのスクリュー部からも水分をブロックできる訳だが、前述の両脇カバーといい、エントリーモデルの割には随分と厳重である。
いわゆる格安のヘッドライトには「パッキンが無く雨天時の使用はオススメ出来ない」なんてレビューが度々あるけど、ここに日本メーカーらしい細かな拘りを感じる所。
これで完全には防げないにしろ、モノ作りプライドの一片が覗けた様で嬉しくもある。
⑦レンズカバーの次にリフレクターを外す。
これは本体側にハメ込んであるだけで、両脇どちからのカバーを外す事で本体内部から押し出せる。
あるいは、精密マイナスドライバーを使えば簡単にカポッと抜き取れる。

表面はメッキ加工だが、いつの頃からか縁から剥がれてきた。
しかもペリペリと塗装が剥がれたのでは無く、何故か「メッキ自体が消えて下地が剥き出す」と言ったハゲ方で、触れてもツルツルのままで段や切れ目も無いし、一体どういう原理なんだか不明なのである。
何かの化学変化なんだろか?
この補修に関して調べてみると、どうやら自分でメッキする方法がある様なんだけど、この程度でやる必要は無いし、使う分にも殆んど影響無い程度なので、このままで行こう。
また、このリフレクターはLED電球が本体内でズレないための固定パーツも兼ねているので、これを外してからもう片方の本体カバー、そしてLEDユニット(基盤)を外す事となる。
でないと電球が内部で引っ掛かかって取り出せないからね。
⑧ここまで外すと、いよいよ基盤とLEDユニットがお出まし。

基盤は両脇カバーの内側に設けられた溝にハメ込んであり、両脇から支持する形で本体内に固定してあるが、上の工程⑦で触れた様にLED電球はリフレクターで支持しているため、これらを外してからでないと基盤自体が取り出せない構造となっている。
なので、両脇カバーの一方とリフレクターを外してから、もう一方のカバーにくっつけた状態のまま本体から抜き取るのが安全な訳です。
これら両脇とも外す事で基盤を固定する部分は無くなり、完全フリー状態となる。

組み立てる時は、どちらかのカバーに基盤を固定してから本体内部に戻す形となるが、キチンと溝にハマッている事を確認しながら組み立てよう。
溝からズレたりハマらない状態で組み込むと、基盤が歪んだりスイッチが押せなくなる可能性があります。
⑨基盤には、LED電球を固定する為のプラスチックカラーみたいなパーツがハメ込んである。

電球の部分だけΩみたいに回り込む形でハマッているが、ゆっくり持ち上げる様にコジれば簡単に外れる。
本来ならあんま外す必要も無いパーツではあるんだけど、今回は細かなパーツも洗うため外す。
プラスチックカラーは丸洗いで。
基盤は洗えないので、アルコールティッシュや紙布巾等を使い隅々まで拭き取ります。
⑩基盤が外れたら、しまいにスイッチのボタンを外す。

多分シリコン製のキャップと、押すパーツ、これらを支持するプラスチックカラーと言う構成で、なんか数が多い気が。

これらは簡単にポロリと取れるので、どっかに落としてロストしないよう注意。
また押すパーツとプラスチックカラーには向きがあるので、取り付け方にも注意。
外した時の向きを覚えておきましょう。
と言う訳で分解が完了。
全バラ後は、基盤を除く各パーツを洗浄。
パッキンやネジ類に至るまで歯ブラシで隅々磨く。

ぬるま湯と中性洗剤(今回は風呂用洗剤)を使い、長年溜まった汚れを浮かしながら徹底的に塩抜き&脱脂。
ちなみに、今回は風呂の残り湯と洗剤の水溶液に一晩漬け置いてます。
金属パーツも洗浄後にキッチリ乾燥すれば大丈夫。
組み立ては、この記事を逆から読めばOKです。
かくして乾燥を終え、再び組み上げると…。
無事テントゥ!!

特にチラツキなど無く、ちゃんと暗がりを照らしてくれるではありませんか。
ちと暗めだし光輪ムラもあるけど、手持ちが増えて結果的にプラス。
捨てずにキープしといて良かったわ~。
と言う訳で如何でしたか。
よもや壊れたと思われたライトがオーバーホールによって復旧。
点かない原因も意外なほど単純かつチョイと手を加えただけで再び点灯。
壊すの覚悟で分解した価値がありました。
メーカーは公式に分解を勧めてはいませんし、必ずしもオーバーホールが成功するとは限らず、ミスると発熱や発火のリスクもあるので、いくらか機械イジリの知識も必要でしょう。
ただ、個人的にはリペア出来る方法があっても良いのでは無いかと思ったりします。
今回も危うく廃棄する可能性があった訳で、本当は使えるはずなのに使えないと思われて捨てられるなんて勿体ないじゃないですか。
もし廃棄するとしても、メーカーが自社品を回収ないし下取り→下取り価格分を割引きして同グレード品を販売とか。
あるいはメーカーが回収→各パーツごとに分解洗浄&ダメージ補修→ニコイチなどで組み上げ認定中古品として格安販売。
など、中古車みたいなルートは幾つか考えられます。
まぁ、メーカー的にも利益率の問題があるにしても、回収した不調品からプロダクトのフィードバックを得られるのは大きいだろうし、原材料が高騰中と言われる今、活かせるパーツは活かすに越した事ないはず。
電化製品にもこういったリペア&リセールのシステムがあればいいなと、修理しながら思うのでありました。
では、また、CUL。