CULrides カルライズ

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食べ蒔きウォッチング 2024年1月中旬・極細失敗ダイコンから採ったタネから育てた二代目も極小なれど、なかなか美味であった話

明けまして、お久しぶりの更新となります。
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暫く途絶えていましたが、去年も地味に当プロジェクトを続けていました。


ただ、現状を言ってしまうと撒いた品種の大半で¥100均一のタネに頼る展開となっており、「市販の野菜からタネを採り再び育てる」と言うコンセプトから大きく逸脱する展開に。

他にも、毎年世代を繋げていたゴーヤーは育たなすぎて完全スルー状態。
もはや収穫できたかすら記憶が危ういほど成長率、着果率ともに極度に低かった。
近年は連作障害と疑われる生育不良が続いており2022年度はタネが採れずにいた為、2023年は¥100均一のタネから再びチャレンジしたが、どれも貧弱な個体ばかり。
一見まとも風に育っていても、全く成長しないままの果実しか着かなかった事から、ゴーヤーに必須となる養分が不足しているらしい様子が伺えた。

トマトも同様に¥100均一のタネを幾つ投入しても上手く育たず、ほんの数粒ほど収穫しただけ。
こうなると、いくら何を撒いても意味がないと言わざるを得ず、やはりリカバリーには相当の時間が必要となるであろう状況である。


強いて言えば、「皮から再生したジャガイモ」が数世代繋げて今も現存中。
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またオクラも2022~23年度に採ったタネから再び収穫まで行けてた。
同じく同年のエダマメから採った大豆からも再び育てて収穫まで出来たが、食べ蒔きの例に漏れず、こちらは先代よりも成長率、着果数ともに結構スケールダウンする形に。
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これらにより何とかコンセプトを保てている感じだが、もはやネタ不足も甚だしく、行き詰まり感が拭えないのが実情である。



斯様な中で、ちょいと記事に出来そうなトピックだったのがダイコン。
これが意外な結果となったのである。


以下の記事は去年、¥100均一のタネからダイコンを育てるも撒いた時期が遅すぎて失敗した一連の顛末。
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結果として、「根から成長しないままトウ立ちしたダイコン」を収穫する事となる。
味に関して菜っ葉の部分は美味しかったが、試しに食べた「ダイコン未満の根」は繊維の尖ったゴボウ+段ボールの紙みたいで、かなりズイマーなのであった。



しかし、この話には続きがあった。


実はトウ立ちが進んでからも幾つかの個体を植えっぱなしで放置してみた所、初夏の頃になりタネが形成。
思いのほか沢山採れたので暫く保管したのち、これらを暑さが残る9月上旬頃に再び蒔き、改めて育てたダイコンが以下である。


これら画像は2024年1月中旬の様子。
早めのタネ蒔きが功を奏してか、青々と健康そうな姿をしており、葉のハリツヤも良い感じ。


ただし相変わらず矮小化は著しく、市販品のダイコンと比べて1/4程度といった全長である。


表土からダイコンがピョコッとハミ出てる所を見るに、去年と比べて成長具合は正常らしい事が判る。
やはり適期に撒いといて良かった。



ほんで、収穫のため抜き取ってみますと…。

むっちゃちっちゃ!!


いや小さい事は判っていたけど、もうちょい長いかなとも思っていただけに、ここまで短いのが出てくるのは予想外すぎて思わず吹き出す。
どのダイコンも大きくて鶏卵のMくらいで、平均すればピンポン玉程度のものばかり。
一瞬ではカブにクリソツで、食べた事ないけどペコロスっていうミニタマネギにも似ている。

この原因を調べてみると、どうやら土が固いのも一因である様だ。
思えば確かに、去年は少し深めに掘り返した程度の、ほぼ不耕起の場所に蒔いていたので、土壌が固かったのは間違いない。
まぁ根本的に小ちゃいので、これ以上に伸びた所でタカが知れてるんだけども。


厳密には年末~1月上旬にもテストがてら幾つか収穫しているのだけど、この時も全て上記と同じ大きさであった。
逆に去年と同様に、まるっきり「根」から成長していない個体も半数近く混じっていた事から、今期のダイコンは「成長してもカブくらいの個体」と「根から全く成長しない個体」とで二分化している様だ。
なので、今回は成長した方のみ収穫する事に。


しかしながら肝心の味については、どれも意外なほど美味しかった。
煮物、汁物ともに、ちゃんと大根らしい風味と甘味が再現されていたのである。

当初、去年の「繊維の尖ったゴボウ+段ボール紙」みたいな根の味がトラウマとなっていたため一切期待が持てず、捨てるべきかとも悩んだ。
いくら「トウ立ちすると筋張る」とは言え、あんなに硬いとは思わなかっただけに、成長率が低いだけで良いイメージが沸かなかったからね。

だが思いきって軽く生のまま噛ってみると、これといった問題もなく普通のダイコンの食感と味がするではないか。
いざ火を通せば、小さいなりに熱効率が良いのか柔らかくホロホロで、味の染み具合もグッド。

ある意味、こういう「ミニマムダイコンと言う品種です」と言われれば納得してしまいそうなほどであった。


これらの中には一部、本当にカブに似た食味の個体も混じっていた。

しかし試しに調べてみると、実は同じアブラナ科であってもダイコンとカブでは遺伝子が違う属であるため原則として交配しないのだと言う。
なのに一方では「交配出来た」との情報もあり、いまいち実像が掴めない。
以下は愛媛県農業試験場が作ったと言う「カブコン」なる品種の概要である。
www.naro.affrc.go.jp

上記は「胚培養」と言う方法を使った上での交配との事なので、まるっきり自然交配では上手く行かないが、可能性だけはあるらしい。
何故か掲載元のホームページが無くなっていたため許諾なく引用しましたが、何か問題がありましたらご連絡下さい。


今回のミニマムダイコンの先代である¥100均一のタネだが、パッケージには「打木源助」なる品種名が記されている。 
この品種名からまた先代を調べてみた所、カブが交じったとの話は確認出来なかった。
ただ個人的には、今回の¥100均一ダイコンも育てていた環境により実は過去に、いやもっと昔に人知れず交配した可能性があってもおかしくないのでは、とも思わなくもない。
今は属が違っていたとしても、仮に先祖が共通しているなら何らか共通した遺伝的特徴だってあるかも知れないし、実は交配できる部分もありえるだろう。

よもや先代に本当にカブが交配していて、先祖返りにより味が反映されていたのか?
あるいはダイコンもミニマム化するほど似てくるものなのか?
真相は不明にしても、実生ゆえに個体により食味のバラつきが出るのは致し方ない事なのだろう。
どうあれ美味しく食べられればOKではある。


この結果により現段階までに収穫したミニマムダイコンは、全てちゃんと食べられるクオリティが出来ていた事になる。
しかも、元々は「根からダイコンに成長しないままトウの立った生育不良の個体」から採ったタネだったものが、大きさは別にして次世代がちゃんとした食味になると判明したのも興味深い点であった。
なので、もし農園などの中で今回の様なダイコンを発見した場合、未熟だからと捨て置かずに試しに食べてみたり、生育を継続してタネを採る価値はあるのではないかと思います。

もちろん本来のセオリーに従えば、未熟株は間引きした方が良いのだろうし、やはり大きく育つに越した事は無く、今回のダイコンもより成長出来たのかも知れない。
ただ、当プロジェクトでは生えた個体は皆育ててみる方針で、これによる新たな発見を大事にしている部分もある。
結果的に小さくとも手数が増える分に損は無いでしょうし、こういう形であっても食べられれば良いじゃん、と言う観点でやっております。


次回、ダイコンと同じく去年に失敗していた菜花の話に続く。
大した内容では無いので、適当にお付き合い頂ければと。



おまけシリーズ。



冒頭でも触れた再生ジャガイモの、こぼれイモから発芽した苗。

これまでにも冬の今時期に発芽する事があったけど、寒波が来ると枯れちゃうんだよね。
こぼれイモから発芽するほど生命力が強いのに、何故か枯れてしまう時期に生えてくるのも謎が多い。
もしや暖冬だから春だと勘違いしているのか。

とりあえずこのまま放置しておけば、枯れても春本番に再び生えてくるはず。
今年も収穫出来るといいな~。




では、また、CUL。