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食べ蒔き2021年シーズンまとめ その①今期を振り返ると気候がカオスで作物もヤバスだった

前回の記事では当初、前後編の二部構成でまとめる予定だったのだけど、色々書いていたらボリュームが多くなってしまった。
なので、改めて「その①」と「その②」に別けて今期を振り返って行きます。

今回その①では、2021年シーズンの気温変化がイレギュラーだった話や、菜園を始めてから数年を経て顕になった連作障害の解決方法について触れてみましょう。


●2021年度は気温の変化がカオス気味だった●

まず、2021年度の気温はイレギュラーに変化していて、例年にないパターンの気候が続いていたのが印象的であった。
2020年シーズンが終わってから下記の予測記事を書いた年初までは冬らしい気候が続いていたが、2月に入る頃から急に気温が上昇するなどで予測が非常に難しい状況にあった。
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特に春には、桜の開花が過去最速ペースで進むほど気温が高く推移していた。
その影響から地熱も高く保たれていた様で、直播きでの発芽率も高く苗の数も揃った事により、結果としてゴーヤーとトマトの収量は過去最多を更新する事となる。


例年、春までは気温が安定せず発芽行程に手こずりがちなのだが、この季節外れな高温ゆえに比較的イージーに進んだシーズンとなっていた。
この点においては気候が有利に働いてくれた形である。
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春が高い気温で推移していたため、そのまま暑くなり続けるのかと思いきや、ゴールデンウィーク以降の夏季に入ると気温上昇も一段落。
7月~8月の盛夏にかけては例年ほど暑くはなく、猛暑日なども少なかったお陰で作物の生育も安定していた。
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また更に、台風が少なかった事もプラスになり、荒天や夏バテによるダメージも殆ど皆無。
どことなく気候的に落ち着いていて、緩やかな夏だった様に思う。


ここ数年の夏季における猛暑日は厳しいものがあり、その暑さゆえに作物も軒並み日中は萎びてしまったり、酷い時は枯れるほど。
それに比べれば、だいぶん人間にも植物にとっても過ごしやすい夏となっていた。
お陰で、いつになく多種のハチやチョウが菜園に飛来していたし、受粉にも好影響をもたらしていたのではないかと考えられる。
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しかし、この夏以降、9月に入った途端に急激な気温低下に見舞われる事となり、一気に作物全体の成長率が低下してしまう。
その低下率は著しく、場所によっては季節外れの低温注意報が発令されるほど。
特に夜間の下がり幅が大きかったせいで、日中の暖かさまでも帳消しになっていた印象である。
結局、これ以降も例年より低温ぎみな傾向が続く事となり、殆ど残暑もなく秋が過ぎて行くのだった。
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この急激な気温低下により、例年なら10月までは青々と元気であるはずのゴーヤーとトマトの結実率は下がり続け、早くも枝葉に変色が出るなどの影響が続出。
11月には、トマトのウドン粉病も例年より早く症状が顕れるや、拡がる範囲やスピードも例年以上に。
そのため、順調に行けば12月中には成熟するであろうと思われた果実も、結局は収穫出来ずじまいで終わる事となる。
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今シーズンの9月~10月に収穫されたトマトが過去最多収量であった事で、にわかに晩秋から初冬までの二期作にも期待させられたが、深まる気温低下にはついていけず。
実質的には12月初旬の段階で栽培期間は終わっていたが、ほどなく12月末~1月初頭にかけての最強寒波により残りのトマトも全て枯れてゆき、完全なる終了を迎える事となった。
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その意味で、2021年は例年にないパターンで推移していたと言え、なんだか急に尻窄みに終わった形でもある。
これがもし例年どおり残暑があって初冬まで暖かさが持続していれば、もう少し生育期間が伸びて、収量も増やせていたのかも知れない。


こればっかりは天候次第なので必ずしも予測通りとは行かないけども、今後はこういったカオティックな変化に対しても上手くアジャスト出来る様になれば良いなとも思うのだった。
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●栽培から4年目にして顕在化した連作障害●

今シーズンが始まってから本格的に顕れた変化が、作物が上手く育たず成長率や結実率が低下する現象。
いわゆる連作障害である。


実際のところ、以前の年も薄々ながら疑われる現象は起きていた。
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そこで実証実験のつもりで「これまでのスペース」と「新しいスペース」の両方で生育を比較してみたところ、明らかな差異が出る事となる。


今期のゴーヤーで比較してみると、これまで数年間にわたって生育させていたスペースでは、いずれの個体も成長率・結実率ともに極端に低くなっていたのに対して、新しく耕したスペースでは普通に高い成長率と結実率を実現していた。
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また同様に、トマトも2020年度までは「これまでのスペース」で連続して育てていたのだが、菜園を始めた2018年以降から結実率が落ち続けているのが気になっていた。
それゆえ今期からゴーヤーと同じく「新しいスペース」で栽培していた訳だが、結果として収量が回復した事により連作障害の疑いも確定的なものとなる。
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これがもし、これまでのスペースのまま栽培していたとしたら、収穫量の回復どころか、下手すると全く採れなかった可能性もありうる。
結果として場所を変えた事が功を奏した訳だけど、逆に言えば作物の栽培を始めて以来、4年目にして初めてデメリットがハッキリと露呈した形ともなった。
いくら実生で育つほどの生命力があって、自らのタネで世代を繋げる作物であっても、どうやら限界点があるのだろう。


この「同じ場所で勝手に何度も生え替われる」かどうかが、雑草と作物を分かつ最大の違いだと思っているのだけど、もとを辿れば同じ自然界で生育していた野草には違いないだろうし、本来なら同じ程度の能力があってもよいはず。
その能力を引き出し、いわば両者のクロスオーバー的に育つ事は出来ないか検証するのも当プロジェクトの要旨だったりするのだが、なかなかどうして難しいのが現実でもある。
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いずれにせよ上記の検証により、数年間にわたり栽培した場所で成長率や結実率が低下した場合は、やはりセオリーに従って場所をズラしたり、別の作物に転作するなどの工夫が有効であると判った。
ゆえに当プロジェクトの菜園でも次期はどんなレイアウトで、何を栽培するか思案しているところだったりする。
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次回その②では、木酢液を使ってみて実感した天然成分の効能の話や、この数年間の家庭菜園を通じた展望や雑感などを記して参りましょう。



では、また、CUL。