CULrides カルライズ

発見と探究そして文化。そんな諸々の話。

2020年は植物の生え方にサッパリ元気が無かった事と、その要因として考えられる仮説 その②「雷による刺激が少なかった」

前回、2020年は近隣の雑草の成長率が低く、家庭菜園でも発芽に手間取った要因として、2019年末からの暖冬により「冬越しが上手く行かなかった」のではないか。

そして、そのせいでタネの休眠期間も中途半端に終わってしまい、いざ発芽から成長の時になって「正常に生体機能が切り替わらなくなってしまった」のではないかと考察しました。
culrides.hatenablog.com


しかし、植物の生命力や成長率を決定付ける要因は多様なはずで、上記が全ての答えであると断定する事は出来ないだろう。

ここでは更にもう1つ、植物に元気が無かった大きな理由として、2020年は「雷」が少なかった事も影響していたのではないかと考えられるのだ。


前回までの仮説①と併せて、以下に仮説②を記して行きましょう。



仮説②[2020年は例年と比べ雷の回数が少なく、成長のスイッチが入力され難い状況になっていた]
f:id:culrides:20210218154320j:plain


雷は別名「稲光り」や「稲妻」と呼ばれている様に、古来より雷が多い年はコメが豊作になると言われているそうだ。

これを有り体に言えば、雷雨が発生し、初夏に植えた稲田へ大量の水が注がれる事で成長を促す作用がある以上、しごく当然の話にも思える。
つまり、初夏の田植えシーズンと夏の雨季を告げる雷雲はセットだからこそ、「稲の妻(夫)」なる漢字があてられたのだろう。


しかし、大量の「水だけ」が必要なのであれば、単純に近隣の河川から引けば良いし、梅雨時から夏場の雨量でも賄えそうな気もする。
にも関わらず、2020年6月に入ってからの天気は梅雨らしい雨天が続いてたのに、周辺の雑草帯がサッパリ伸びていなかった。

と言う事は、イネ科を始めとした様々な植物が生育するにあたって、水だけが問題なのでは無く「別の要因」が絡んでいる可能性についても考慮するのが自然だろう。


そこで浮上するのが、「雷の作用」である。



では何故、水だけではなく「雷まで必要」なのかを考えるに、どうやらそこに含まれる「電気的な刺激」や、雷鳴による「空気の振動」などがセットになる事で、本格的に生命力・免疫力のスイッチが入力されているからなのではないか?との仮説に思い至る。


前回において、「2020年はススキなどイネ科植物が少なかった」と記していたが、いわゆるコメ以外のイネ科でも共通した性質を備えているとした場合、これらも電気的な刺激によって成長を促されるであろう点については同じはずだ。

だとすれば、確か2020年度は雷が少なく、例年に比べ「今年は来るのが遅いなぁ」などと思っていた記憶があるので、それとリンクする様に個体数が少なく成長率が低かった事とも符号する。


また近年の研究報告によると、「植物(作物)に振動を与えると害虫が寄りつき難くなる」と言う現象も確認されているそうだ。


この理由について、一説では「虫が振動を忌諱しているのではないか?」と考えられており、これを技術的に応用する事で農薬を減らせるのでは無いかとも期待されているとの話であった。
確かに、植物が振動する事で虫が定位しづらくなったり、あるいは産卵しにくくなるなどの効果がありそうな点については納得出来るところ。

ただ、個人的な見解としてもう一点付け加えるとすれば、その「振動によって植物自体の免疫力が強化されている面があるのではないか?」とも考えている。


そこでスイッチとなるのが、まさに雷鳴から発せられる電気や微振動であり、これが刺激となって体内のホルモンバランス等へ影響を与える事で、より丈夫に成長する為の必須条件を満たせる様になる。

と言う訳だ。
f:id:culrides:20210218154604j:plain



さて、一連の仮説を通して解ってくるのは、植物が育つ為の必須条件、すなわち成長のスイッチは「シーズンごとに色々なパターンがあるらしい」と言う事。


それは前回の「冬越し」以外にも、ここで述べている雷も要素の1つ。
つまり、それらスイッチが季節ごとに、順番に、全ての入力が揃う事で、初めて本当の意味で生命力が目覚める事になるのでは無いのか。

そして2020年は、これら2つの要因が足りなかったが故に、植物の成長率が低かったのではないかと考えられるのです。



この「シーズンごとに色々なパターン」としては、例えば常緑多年草の様に年間を通して青々とした品種ならば、いわゆる「成長のスイッチの種類や回数」などは少ないと考えられ、安定した気候や一定量の水分さえ確保出来ていれば生存に足りうるだろうし、実際、そうやって常態的に生育している様子も確認出来る。

これは砂漠やジャングルなど、単純に雨期と乾期だけで分かれていたり、四季による気候差が大きくない土地の樹木が代表例だろう。


それに対し、季節性の植物や作物は春から夏にかけて成長し、秋に成熟、そして冬に枯れてシーズンを終えるサイクルなので、少し条件が異なってくる。
特に日本は四季のメリハリがハッキリしているので、それに合わせてスイッチ入力の条件が少し厳密化されているのではないかとも考えられる。

これにより、各シーズンの気候状況に合わせて生育する事で、ムダな体力を消耗せずに済んだり、一度枯れる事で病害虫の発生が抑制されたりと、生存戦略的にも効率的な面があるに違いない。
ある意味では、その様な植物にとって冬はリセットのシーズンとも言える。

故に、一年を通して青々と繁る植物は少数派となるため、大半の作物はビニールハウスで温めたりなどで強制的にスイッチを入力する必要があるのだ。


この項目における雷も、そう言った「季節を知らせるスイッチ」の1つである以上、雷鳴がないと季節感が感知出来なくなるであろう事は想像に難くない。

そもそも、この日本では一年の内に必ず冬が来る事も夏前に必ず雷雨がある事も前提でシーズンが回っているので、植物もそれに合わせた体質である方が好都合なはず。
だとすれば、電気的な刺激や振動によって初めて目覚める生体機能があって、それが発動するか否かで以後の成長に影響を及ぼす事だってあるかも知れない。

そう考えるとやはり、暖冬で、なおかつ雷が少ないといったイレギュラーな気候が続いた2020年において、雑草の成長率が低かった事にも辻褄が合ってくるのだった。
f:id:culrides:20210218154623j:plain



では、ここで述べている「様々なスイッチ」とは一体何なのかと言うと、個人的な仮説ではあるが、いわば「決められた順番に入力しないと始動しないシステム」みたいなものだと考えている。

例えるなら、航空機や宇宙船の発進シークエンスで、幾つかのスイッチを順に入力する事で初めて点火されるのと同じ意味あいだ。


これを具体的に表すと、「冬の寒さスイッチ(電源OFF)」、「春の暖かさスイッチ(起動ON)」、「初夏の水分スイッチ(暖気運転)」、「梅雨の雷スイッチ(燃料点火)」、「盛夏の太陽スイッチ(発進オーライ)」といった様々なスイッチを季節ごとに用意する事で、成長ホルモンの増加などエネルギー配分を適切に行ない、適切なタイミングで生体機能を起動する事が可能になる。

またそれだけでなく、仮に「真冬に夏日」みたいなシチュエーションに晒された時など、「間違ったシーズンに目覚める」のを未然に防ごうとしていたり。
もし目覚めた場合でも、これら別のスイッチを幾つか担保する事で必要のない機能まで誤作動を起さない様にして、ムダな体力消費を抑えているのではなかろうか。


もっとも、実際は季節外れに生えるシーンなど度々ある事だし、ハウス栽培では強制的にシーズンを作り出していたりするので、必ずしも絶対的に機能する訳ではないらしい。

数ある中には、スイッチを飛ばして入力しても何とかなる品種があるはずで、むしろシーズン問わず売られている観葉植物などは厳密な条件を除外していたり、そういった元の性質から離れている場合も多いはずだ。



ただし、一つ懸念材料として、実は「いつもと違う条件で生える事で起こりうるデメリット」も存在する。

と言うのも、本来入力されるはずのスイッチが入力されないまま育った場合、その影響が後々に生成されるタネ、そして次世代へと残る可能性が否めないからだ。


具体的には例えば、前回の「冬越ししなかったせいで生命力が目覚めていない」事や、あるいは「雷が鳴らなくて刺激が足りず免疫機能が目覚めていない」事により、そこで発生した生体機能の乱れがタネに記憶されてしまう可能性がありうる。

となると、その記憶を引き継いだ次世代においては、成長ホルモンの生成が阻害されたり、本来なら発揮されたはずの免疫力が機能しなかったりで、まともに生き残れるタネを残せなくなるかも知れないのだ。


それを突き詰めれば、先々の世代で更なる歪みが広がるリスクまで残ってしまうばかりか、いずれかの代で「その種は終わり」と言った事態をも招きかねなくなってしまう。

以下のリンクは、その一例である。
culrides.hatenablog.com


もっとも、基本的に生物には「種の保存の本能」が備わっている。

なので、仮に生命力がスポイルされてしまったタネであっても、再び「冬越しスイッチ」から「雷スイッチ」といったサイクルで育てる事によって、正常な機能を取り戻せる可能性はある。
また、もし異常気象や気候変動などが騒ぎになっていたとしても、いずれ適応する個体が出現するはずなので殊更に警戒する必要はないかなとも思う。


無論、そんな最悪の事態を避ける為には、まず気候が安定しているのが理想ではある。

しかしながら、ここ数年の気候を鑑みれば、やはり変化が起きる事を前提に据えながら、より環境に適応した品種を増やすべく、実生で生存パターンのバリエーションを広げてみたりなどで、色々とリスクヘッジする事も重要になってくるのではないかなと。

なんだかんだ、結局は「タネで世代を重ねられる種」が一番強いと思うんですよ。
それだけ子孫を残せる力があるって事ですからね。
f:id:culrides:20191115200806j:plain



さて、前後編つづけて「2020年に植物の成長度合いが弱かった原因」について考察してきた訳ですが、いかが思われたでしょうか。


いずれも科学的根拠よりは個人的な経験則に基づく部分が多いので、必ずしも正しいとは断言出来ないのが実際のところではあります。
しかし、例年との差異であるとか、状況証拠をかき集めると、どうにも「そう考えざるを得ない状況」が浮上するのも確かです。



その上で、ここまでの仮説を踏まえて今年2021年を予測するとすれば、恐らく「2020年度よりは植物の生育が良くなるのではないか」と考えていたりもする。

その根拠として、昨年末から今年始めにかけては強めの寒波が押し寄せていた事と、2019~2020年の冬季に比べて平均気温も低めに推移しているのが一つ(っても数年前の平均に比べれば暖かい方ではあるが)。
つまり、とりあえず冬らしい気候ではあるので、その分だけ「成長のスイッチ」も強く作用すると考えられるのだ。


ただし、この2月中旬・下旬現在は少し暖冬傾向な部分も残っており、日中が春並みに暖かくなる日もしばしば。
また、桜の開花も3月中旬から下旬が見込まれるなど、今後は例年より気温が上昇するとの予測がなされているので、断定するには難しい状況ではある。

今のところ、夜は真冬の寒さに戻ったりなどで安定感には足りない面もあるものの、少なくとも昨年度より寒さがチャージされているのは確かだと思う。


そして初夏以降に、雷が適切なタイミングで到来するかどうかも重要なファクターとなりうる。

この記事の仮説に倣えば、ただ近くを通過しただけで中途半端に終わったり、はたまた全く鳴らなかった場合に植物の反応も変化し、やはり例年と違ったイレギュラーな生育パターンとなる可能性があるからだ。


とどのつまり、要するに、これら全部の条件が例年通りちゃんと揃えば、「植物が元気に育ち緑溢れる大地になる」と言う話なのであります。



いずれにせよ、全ては予測に過ぎないし、夏になれば答えが出てくる事でしょう。

果たして今年はどうなるやら。




では、また、CUL。