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食べ蒔き三期生ダイジェスト 1月中旬・シーズン終了のお知らせ&根っ子から解る作物の成長率

前回となる2020年12月下旬までに、何とかミニトマトの収穫に成功。
ただ、迫り来る寒波の影響は大きく、この時点で既に作物全体が枯れている状況でもあった。
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そこから暫く経って、今回は2021年1月中旬の様子となる。


基本的に年末以降は大きな変化も無く、ただ経過観察するに留まっていた。

しかしながら、年明けから更なる寒波が押し寄せていた事もあり、症状は確実に進んでいるし、回復の見込みが無い状況で放置し続けていても、何も起こらないままとなるだろう。


然るに、ここが潮時と判断し、ついに三期生の終了を決定。
それにあたり、様々な部位の状態確認や、恒例の「根チェック」などを施してみる事に。



さて、コチラは今期最も結実率が高く、前回でも収穫に成功した株である。
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ご覧の通り、茎や枝葉は芯までカピカピに乾燥し、全身が茶色く変色。
まさに、霜枯れといった風情。

昨年12月下旬まではギリギリ青味を残していたが、今年1月に入ってからの寒波によってトドメを刺され、この中旬までに一気に終了へと突き進んだのだった。



そんな中にあって興味深いのが、今期は例年に比べ落果が少なかった事。
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この株では、まだまだ果房と果実を繋ぐ「離層」に保持力が残されており、ギリギリ成熟するまで頑張っていたであろう様子が伺える。


これまでの一期生と二期生では、寒波に見舞われたり土に霜柱が立つようになると、急激に落果数が増えて歯止めがかからなくなるシーンが多かった。
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正確には、当時もシーズン終了まで保持されている果房はあったが、落果する割合やパーセンテージに大きな違いがある。
年毎に結実率が違うので単純比較は出来ないのだが、解りやすく数値的に表すと、例年なら多くて8割~9割はポロリしていたのに対し今年は1割行くかどうか。

それはまるで、コンプライアンス重視によりエンタメ業界でポロリが規制強化された事と軌を一にするかの様でもある。


いや、何の話だ、つまり要するに、それだけ微少で済んでいるのだ。



この要因について、ハッキリとした理由は解らないままである。

しかし、強いて挙げるとすれば、2020年末は全国的に雨が少なく晴れの日が多かったので、気候や環境的にも安定していたからではないかと考えている。
多分、それにより日照時間が増えたり、土壌の地温が保たれるなどで「果実を成熟させるための必須条件」が揃っていた。
そして、その間にトマトもギリギリまで粘ろうとした結果、ここまで保持されたと推察されるのだ。


実際、落果が多かったシチュエーションで思い返すと、2018年や2019年などは年末まで雨の日が多かったりと、あまり天気に恵まれない状況が続いていた記憶がある。
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更に、もともとトマトは暖かく乾燥した土地に適応している植物と言われているので、そりゃ雨ばかり続いては生育も不順となろうものだし、環境的に合わない中では落果しまくって当然だったとも言える。

この仮説が正しいとすれば、やはり今期は日照時間が長かったぶん、果房が長持ちした事にも納得が行く。
あともう少しシーズン的に粘れていれば、これらも成熟する所まで持ったのかも知れないなぁ。



でもって、その根回りには若干水分が残されている様子。
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むしろ暖かいビニールハウスなどに移植すれば、また再生するんじゃないかと思える質感。
引っ張ってみても、なかなかキッチリ土に定着していて、強い手応えが感じられる。



ズボッと引っこ抜いてみると、根の発達具合いは良さげ。
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画像右上に向けてゴボウみたいな「太く長い根」が一本伸びていて、周囲には「細かいヒゲ」がバランスよく混在している事から、枝葉への養分供給も上手く行っていたであろう様子が伺える。
故に、収穫までイケたのも必然と言えましょう。



更に、他の個体も抜き取ってみた。
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これらは先のものより成長率が低かった個体群なのだが、何となく気持ち、全体的に根が細い様に感じられる。
そして実際、結実はしても成熟まで持つ事は無かった。



実は、これまでの観測から、どうにもこの「太く長い根」が発達しているほど、その成長率・結実率ともに高くなる傾向が確認されている。
それは、一期生の最期で初めて理解された部分でもある。
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つまり恐らくは、この太く長い根こそが文字通り「幹」の根幹となり、生物で例えるところの背骨として機能している。
あるいは、車の電源で言うメインハーネスとして全体を支えているとも言えようか。

そして、その他の細かな根やヒゲは、脇芽や枝葉を形成していたり、また各部位にエネルギーを供給するなどの役割りがあるのだろう。


とにもかくにも、ぶっとい根っ子を成長させる事さえ出来れば、それに比例して自動的にイケてる個体へと育ってくれる確率も高くなる。

その辺は、作物も人間も共通した原理が貫かれている様に思えてならない昨今なのであります。



トマトシリーズの最後に、コチラは今期唯一の大玉・中玉トマト、いわゆる「普通のトマト」として生育していた個体。
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根の発達には問題無さそうだし、とりあえず結実から成熟までは行けたものの、結果的に様々なトラブルにより収穫まで至らなかった点には課題が残る。


と言うか毎シーズンの事だが、この「普通のトマト」を実生で栽培するのは難しく、今まで何度も惜しいところで野生鳥獣に噛られたり、病気に見舞われたりなどで失敗を繰り返している。
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しかも、蒔いたタネの大半は「ミニトマトに先祖返り」してしまうので、狙って大玉・中玉を発生させる事自体が難しい。
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なので、結局これまで一度も成功(可食する)に至っていない事もあってか、今となっては期待しなくなっている節さえある。

いつの日か、無事に完成する日がくるやら否や。
とりあえず次期もまた蒔いてみる予定ではある。



ついでに、既に引退済みだったけど植わったままにしていた、「ゴーヤ三世」も引き抜いてみた。
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横に広く長く根が伸びていて、なかなかの成長率と言えそう。
引き抜く時もガッチリとした手応えで、かなり強く根を張っている様子だった。



今期のゴーヤに関しては、基本的に「耕していない土に直播き」していた訳だが、なかなかどうして耕さずとも定着しているのが印象的。
しかも、そんな固い土壌でも発芽~収穫まで成功した訳で、改めてゴーヤって雑草だった頃の生命力とかタフネスを色濃く残した作物なんだろなぁと実感する。
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実は最近になって、これを「不耕起栽培(ふこうきさいばい)」と呼ぶ事を知った次第。

それはズバリ、まさしく「土を耕さずに栽培する農法」を指す用語で、主に穀物類などで実践されているらしい。
今期の当プロジェクトではカボチャ、メロン、トマト、ゴーヤ、そしてちょっと例外的に(やや土が柔らかいゾーンで育てた)ジャガイモの生育を確認出来ていたので、あんがい色々な作物で通じる手法なのかも知れない。


しかし通常、作物や観葉植物などを育てる場合、土を耕して柔かくしないと根が伸びにくくなるとされているが、それも品種によりけりなのか。
あるいは耕していれば、今期のゴーヤも更に成長していたのだろうか?

いずれにせよ、そういった一般論やセオリー無視でも何とかなってくれるパターンもある、と言う事なのだろう。

だって元を辿れば、今ある作物も観葉植物もかつては雑草だったはずで、しかも人為的に整地されていない土壌でも世代を重ねていたのだから、本来なら何の問題も無いはずだし。
と言うか、そうじゃないと生き残れないからね。



その意味では、今回のケースからは「タネの生命力が強ければ土壌を選ばず成長できる」可能性が高く、また「環境変化にも強くなる」であろう事が解ってきた。

今後の世界においては、そういった作物の特性や底力を如何にして引き出せるかが重要になってくるかも知れない。
それが、これまでの当プロジェクトを通して導き出された回答でもあります。



そんなこんなで、根チェックは完了。
今期の作業も全て終了となった。

この結果を新たなフィードバックとして、次期に活かして行きたいところ。

トマトもゴーヤも、ここまでよく頑張ってくれたものです。
本当にお疲れ様でした。




おまけシリーズ。




この2月上旬に、抜き取ったトマトを何となく確認してみたら、まだ果実が保持されていた。
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果房との接続部も、まだまだシッカリしていて実のハリツヤも充分残されている。
これも昨年度末まで天候が安定していた影響だろうか?
最近まで寒かったお陰で鮮度が保たれた面はあるにせよ、ここまで質感が良いままなのは初めてのパターンかも。


かくして、作物の生育はタネの性質だけにあらず、その環境にも強く左右されるんだろうなぁと思った、立春過ぎの昼下がりなのでありました。




では、また、CUL。