CULrides カルライズ

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食べ蒔き三期生ダイジェスト 8月下旬・酷暑と熟したゴーヤのタネの味

前回の8月上旬から飛んで、今回は下旬に入ってから後半にかけての話。
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しかし、その上旬以降は連日の酷暑と日照りに晒される様になり、作物たちもヘバり気味な日々が続いていた。



この画像では伝わり難いが、日が出てからの萎び加減はドイヒーなもので、あらゆる作物がヘロヘロにうなだれて今にも枯れそうな勢い。
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と言うか既に、この時点で貧弱な個体の幾つかは消失している様子で、畑のスペースにも空白が現れている。



この暑さと日照は本当に厳しいものがあり、朝型に水を与えたとしても枝葉は萎びたままだし、日中にはカラカラに地表が乾いてしまう。
この対策として、日が陰った夕方から夜前に水撒きを行う事で保水力を維持させる作戦に出たのだが、どちらにせよ明くる日の日中で全て乾いてチャラに。

もはや、「やらないよりはマシ」程度の効果しか無いのが実状である。



そんな過酷な環境下でも、一応は気温が落ち着いた夕方になると息を吹き返し、再びピンと張りが戻ったりはする。


以下の画像にあるカボチャは、日中の様子。
何だか全体的にグデッと萎びている。
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そして、これは夕方の様子。
日中は地面に這っていたのが、少し首が持ち上がっているし葉にもハリがある。
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こうして観察すると、朝夕で生命力が変化している事が良く分かる。
何だか日中は「省エネモード」に切り替えて耐え、生命活動を抑制しておき、体力を温存しているのかの様だ。



しかしながら全てが無事とは行かず、下のアボカドの苗は、葉が枯れて茶色く変色が始まっている。
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当然ながら、梅雨時までは充分な水分が保たれており、青々とした姿であった。
それなのに、ものの短期間でこのザマである。


正直、水やりを忘れて放置していたせいで渇水した部分もあるのだけど、それでもフツーはここまで枯れる事など無い。
まさに草木を枯らすほどツイキーな酷暑なのである。



とまぁ、そもそもの気温が高すぎて、生育自体に支障が出ている様相ですらある。

そんな中ではあるが、辛うじて良さそうな兆候がチラホラ発現している箇所もある。



この頃になり、小さなゴーヤが結実。
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数は多くないが、何とか形になっている。
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ちなみに、これら果実は前回にも記した「食べ蒔きゴーヤの三世」に結実したものである。


そして今回、この画像のゴーヤは収穫せず、更に成熟させる事にしてみた。

理由は「再び採種」する為である。



して、そこから約1週間ほど経過したころ、以下の様な結果となった。



ご覧の通り、まっ黄色になって破裂。
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中の「ワタ」は既に消失していて、タネも真っ赤なゼリーに包まれヌルヌルしており、いくつか地表に落ちていたりする。

このゼリーの食味は「甘い」と言われている通り、何匹かアリが集っていた。
もしや、あのワタが熟すにつれ溶けて行き、タネの表面にまとわりつく過程で、糖度が増して甘くなると言う事なのか?
不思議。


この変化は劇的で、特に果皮に黄色味が顕れてからは一気に変色が進み、完全に黄色くなった次の日には割れていた。
この気温と相まってか、余計に成熟が早かった印象である。



所で、この赤いゼリーが本当に甘いのかどうか興味があったので、試しに食べてみた。
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すると確かに、ほのかに、優しい甘さが感じられるではないか。

いわゆるスイーツ的な甘味では無く、何だか砂糖水みたいな、ささやかで素朴な味わいである。
アケビの味にも近いかな?


この例えが正確かは謎だが、ズバリ正露丸糖衣Aの「糖衣」に非常に近い印象。
ゼリーごとタネを口に含むと、まるで錠剤の甘いコーティングを溶かしているかの様な感覚である。

一つ一つ食べているとソッコーで甘味が消えてしまうので、結局、途中から纏めて口に放り込んで全部舐めてしまったよ。



「ゴーヤのタネを包む赤いゼリーは甘い」


伝説はまことであった…!byババ様



ほんで、ゼリーを食べた後に出てきたタネがコチラ。
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よく観察すると、左側4個は完熟しているが、右側の1個は白く未熟な質感である。
実際の手触りも、左側のタネは堅くシッカリしているが、右側のは柔くて潰れやすい。
また概ね、この未熟なタネが全体の1割程度混じっている様子だった。


ここで解るのが、果実の外観上は黄色く成熟し、中身は赤いゼリーに包まれていても、そのタネのクオリティーにはバラつきがあるらしい事。
今回の様に、完熟していそうなタネでも、中身はそうでもないパターンがあるなど、言い換えれば「外見と中身が一致しない」時があるのだ。


これは過去の観察にて、「殻は大きく立派だが中身がスカスカなタネ」だったはすが、意外にも高い発芽率であった事が良い例。
他にも、未熟果から採種したタネでも上手く行けると言ったパターンがあったりする。
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故に、やはり採種する場合は出来る限り沢山集めておくのが得策。
余分に予備を用意した方が、再び栽培する時に有利。
その中に、きっとイケてる個体に育つタネが混じっている事でしょう。



さて、この他の動きとしては以下のトマトか。


背景がゴチャついて判りにくいが、やはり渇水で萎びた様子である。
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コチラは今期で最もマトモな個体であるものの、実際の成長率や結実率には課題が多く、殆ど期待は持てそうに無い。

それは発芽から育苗期にかけての様子からして、ハナから予感していた部分でもある。



そんな中でも、実は一つだけ赤くなるまで成熟した果実が存在する。
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サイズは中玉くらいで、傍目には立派な仕上りだ。



が、実は謎のビョーキに見舞われていた。
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恐らくは「尻腐れ病」の一種では無いかと思われるが、こうなっては食用に出来るものでは無い。
当然のごとく摘果し、処理するだけである。


この他にも、今期は幾つか定植(または直撒き)した株も幾つか存在するし、その本数も過去最多となるのだが、それらは軒並み開花しないか着果しないパターンばかり。
もはや画像に撮る意味すら無い状況である。



このトマトについて、2018年の一期生では高い成長率の個体が存在していたし、一定水準をクリアした果実も収穫されていた。
しかも、当初は発芽率も成長率も低く2~3本だけしか定植出来なかったはずが、夏期に入る頃から急成長し、最終的に10本以上も株分けして増やすまでに至っている。
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それは「食べ蒔き(実生)では上手く育たない」との定説を幾らか覆す結果ともなっていた。
しかし逆に、昨年度と今期に関しては完全に「上手く育たないパターン」にハマッてしまっている。


この違いが一体何なのかについては様々な可能性が考えられ、現時点で明確な答えを出す事は出来ない。

例えば、根本的に採種した品種のタネがダメだったのか、また栽培法に問題があるのか、それとも生育環境が合わなかったのか。
はたまた、以前にも触れた連作障害や、まさか想像だにしない現象が絡んでいたりと、要因となりそうな点は多岐に及ぶ。


いずれにせよ、現段階から状況を打開するのは難しいだろう。

仮に好転して上手く結実したとしても、今の時期からでは気温が低くなるにつれて、果実が成熟する為に必要な「積算温度」が足りなくなるリスクが増す。
また、挿し木にして株分けしても、成長から結実まで遅れが生じる事には変わらない。


今出来る事があるとすれば、ただ流れに任せるだけ。

なるか、ならざるかは今後の変化次第と言う事にならざるを得ないのであった。




では、また、CUL。