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食べ蒔き三期生ダイジェスト 9月上旬・ゴーヤの収穫&タネの適応について

前回の8月下旬までは全国的にも最高気温を更新する地域があるなど厳しい酷暑となり、連日の日照と渇水のせいで、当プロジェクトの作物も終始ヘバりっぱなしの萎びまくり状態が続いていた。
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その後、今回の9月に入る頃から次第に気温も落ち着きを取り戻す様になり、夜間はだいぶ過ごしやすい気候に変化。
雨の降る日がチラホラあり、渇水も解消される事となる。


今年の春から梅雨、梅雨から夏、そして夏から秋と、何故か次の日には全く気候が違うシーンが多くて、かなりハッキリとした季節の変わり目がある様な印象。
冬から春までは暖冬がダラダラ続いていたのが、急にメリハリがついた感じになった。



そんな作物の状況はと言えば、この9月に入ってからは昼夜を通してシャキッとした姿を取り戻していた。



前回まではヘバっていたカボチャも元気になり、成長率も再び上昇。
体力も回復してか、ぐんぐんツルが伸びている。
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まったく関係の無い話だが、昔「ぐんぐんグルト」がお気に入りで頻繁に飲んでいた思い出が。
あと、「セノビー」も好きだったなぁ。



カボチャと同じく、再び急成長しているのがメロン。


この様に、幾つかの株に着果した箇所が出始めている。
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梅雨から夏にかけては生育不順な状態が続いていて、なかば今期は諦めムードすら漂っていた。
実際、一期生では梅雨明けに結実して、盛夏から秋までに収穫されていた事と比較すれば、明らかに成長に遅れを生じている。

それがまさか、今になって「全盛期」を迎える事になろうとは。


大事をとるべく、この果実を保護する意味でゴーヤのヤグラに便乗させて、「空中栽培風」にしてみた。
果たして、どんな仕上りになるやら。
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もっとも、現状では安定した結実率とは行かず、黄色く着果不良を起こしたものも多い。
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この要因としては先ず、単純にタネが貧弱気味だったがゆえに、交配する力も弱かった。
そしてもう1つに、日中の残暑が厳しい事が挙げられる。


この暑さについては、どうやら気温が高すぎると結実率が落ちる様で、他にもトマトやゴーヤなどでも同様の現象が幾度か確認されている。
以前、「人間がバテる暑さでは作物もバテる」と書いた事があるが、今期でもパターンにハマッた訳だ。

一先ずの対処法としては経過観察するに留まるが、もう少し気温が落ち着いてくれば、再び回復するはずである。



さて、お次はゴーヤであるが、コチラも8月のヘバりモードから随分と回復。
あちこちツルが伸びている様子である。
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して、この9月に入った頃、先ずは一本の収穫に成功。
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コレは結構前に結実を確認していたもので、一体どれくらいの大きさになるか伺っていたのだが、その間に黄色くなって来てしまったので取り急ぎ収穫した次第。
この黄色が出過ぎるとアッと言う間に破裂してしまうので油断ならない。



更に、その一週間過ぎあたりで二本を追加。
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相変わらずサイズは据え置きであるものの、不作の中にあっては貴重な収穫物。


先述の様に、今回のゴーヤは全て8月の段階で結実が確認されていた。
だが、やけに今期は未熟果が多くて、どこまで成熟してくれるか未知数であった為、放置して様子を伺っていた節がある。

一体どうなるかと思っていたけど、いずれも何とか食べられる位の形になりました。


ちなみに、これらは後日チャンプルーとなって食される。
いつも通り、期待を裏切らない美味さでありました。



しかしながら、以降の結実率に関しては課題が多く、いずれの個体も雌花は沢山咲いているが、前途した様に成熟まで達する確率は低い状況にある。
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大抵こんな小さい姿のまま成長が止まってしまい、いつの間にか変色して腐るか、しれっと消失していくばかりだ。


更に言うと、この結実率は株による個体差が大きく、片寄った株にしか結実しないパターンも幾つか確認されている。

例えば、今期で最も成長率の高い「食べ蒔き(実生)ゴーヤ三世」では、合計三本ある内の一本には大きい果実が実るが、その他は「結実するが大きくならない(なりにくい)」といった違いがある。



この「ゴーヤの個体差」は以前より何度も確認されている現象なのだが、これも実生ゆえの、あるいは自然発生的な生命ゆえのバラつきと言う事になろうか。
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この点で、改めて「予備のタネ」を幾つも用意しておき、苗も沢山育ておく方が安パイだなと実感するところ。



ちなみに、今期のゴーヤは上記した「食べ蒔き(実生)の三世」が主力なのだけど、その他の「昨年度に市場の品種から採種したタネから生えた個体(二世)」については、一向にパッとしない状態が続いている。
※これらの株については、ご近所との兼合いで全景の画像はありませぬ。悪しからず。

いや、正確には普通に成長しているし開花もしているのだが、今年は特に結実率が低いのだ。


下の画像は、その「二世のゴーヤ」に結実していた果実で、黄色く成熟するまで放置していたもの。
サイズは概ねテニスボールくらいである。
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しかも、いまだ今期の二世ではこれを越える果実は殆ど結実せず、また着果するシーン自体も極端に少ない。
昨年度までは一定のサイズと量が確保出来たのに、何故なんだ?
何かしら理由はあるんだろうけど、イマイチ判然としない。


あるいはもしや、このゴーヤも連作障害が始まっていて、それが原因である可能性も否定出来ない。
実際、上記した二世は2018年、2019年、そして今年と連続して同じ場所に植えているので、条件には当てはまりそうだ。

それに対し三世は、これまでのゴーヤとは違う場所に植えている事から、それによって土壌の鮮度が保たれていたお陰で生育が促されたとも考えられる。

一応、ゴーヤは連作障害が起きにくいと言われているし、現状では他の作物と比べても一定の成長率を維持しているので、まだ本格的な症状は出ていない様ではある。
ただ、もし次期にも栽培する場合、植える場所を変える必要もあるのかも知れない点については念頭に入れておこう。



さて、上記の果実については、可食部が少なく収穫せずにいたため、いつの間にか果肉は黄色く完熟して破れ、そこから飛び出たタネが地表に落ちていた。
そこから月日が経つにつれ、赤いゼリーも分解されて丸裸となる。(※画像は後日撮影。2ヶ月ほど経過した頃のもの)
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で、今回のタネは「完全放置」する予定。
そう、前回にて採種したタネは採種後に洗って室内保管しているが、今回は回収しないでおくつもりなのだ。


この完全放置とは、言葉通り「地表に落ちたタネを野晒しのまま冬越しさせて、また次の初夏に生えるかどうか」を試そうというもの。
正確には、生やしたい位置を変更したり、来年の発芽シーズンに土を被せたりで手は出しても、極力このまま触れずに置いておき、自然の雨風でどう変化するかなと。


何故そんな事をしでかすかと言えば、より自然環境に近いシチュエーションで過ごす事で、本当の意味での生命力が目覚める様な気がしたから。

要するに、雑草と同じ様に、その土地で誰の手も借りず自生する能力が目覚めたならば、その個体が即ち「その土地に適応した個体」となり、以降、より効率的で手間要らずな栽培が可能になるのではないか?と考えたのである。


この根拠として、上で「食べ蒔き(実生)のゴーヤ三世」の方が、「市場の品種から採種したタネから生えた個体(二世)よりも樹勢が強い」と先述していたが、これを拡大解釈した場合、すなわち「三世の方が今の土地での生育に適応すべく変化していた」と解釈する事も可能になる。

だとすれば、更に世代を重ねる事で、更に適応化が促される可能性も有りうるはずだ。



無論、上記は単なる予測であるし、仮説や希望的観測の域を出ない話である。
結果的に、ますます劣化して矮小化してしまったり、まして何も生えてこない確率の方が高いかも知れない。


しかし、それでも、やってみれば分かる事もあるだろう。

今回のタネは次期に向けて、ダメ元で放置するのみ。

そんな構えすぎずに、大して期待を持たない程度に楽しむのも、食べ蒔き(実生)栽培のコツかも知れません。




おまけシリーズ。



菜園に集っていたシジミチョウ。
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シジミチョウって種類が多くて判別が難しいけど、これは一番よく見られるヤマトシジミのはず。

やけに今年は沢山飛び回っていて、よくゴーヤの花に止まっているシーンに遭遇する。
シジミチョウにも当り年とかあるのかな?

この他にも色んな種類のチョウが飛来しているので、何かしら周期的なものが関係してるのかも。



また、今年はミツバチの飛来数が少ないのだけど、その代わりに何故かアリばかりが花に集っている。
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これもゴーヤで、何匹かのアリが奥まで首を突っ込んでおり、殆どの花で同じ様な光景が。
このアリにとって、そんなにゴーヤの花が魅力的なんだろか。

アリとミツバチは同じ仲間な訳だが、今期はミツバチが少ない代わりに、今はアリが花粉を媒介しているのかも。
その意味では貴重な戦力と言えよう。



ちなみに種類を調べてみた所、このアリはシリアゲアリの仲間と思われる。
尻の先端には毒針があるそうで、確かにハチの形によく似ている。

しかし、仮に刺されたとしても、そもそも体も針も小さすぎて症状は殆ど出ないと言う。
実際、これまでに何度も体にくっついていたり、触ったりしているが、これと言った痛みや痒みなど一切感じた事が無い。
要するに無害も同然なのだ。


従って、「なんかイヤ」と言うだけの理由で駆除する必要性など無く、実際は「受粉を促す重要な役目がある」と考える事も出来るはず。

むしろ居てもらった方が、観葉植物に寄生する他の虫なんかを防いでくれたりで、植物にとってもメリットが大きいんじゃないかなぁと。

ここは一つ自然のバランスに委ねておき、経過を観察してみるのもアリかなと思う次第であります。




では、また、CUL。