CULrides カルライズ

発見と探究そして文化。そんな諸々の話。

食べ蒔き作物プロジェクト報告書 最後の抜き取り調査

昨年度末から年明けの1月にかけて、全てのトマトが枯れたのを確認して以降、ただの経過観察に留まっている当プロジェクト。

🌑1月中旬~下旬の様子🌑

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もはや手を施せる箇所は無く、また何か施した所で回復の見込みなど有り得ない状況。

言ってしまえば、実質的に「終了」とみなすべき段階に達していた事は明らかである。


確かに、このまま枯れたトマトを残したまま何かが起きるとは考え難いし、起きたとして何時になるか分からない以上、不確定要素しか存在していない。
特に、長く残したせいで土壌に病原菌が発生するなどのリスクがあるし、それら変異により「連作障害」の原因ともなりうる。

例に倣えば、収穫が終了した段階で、遅くとも枯れた時点で株は抜き取り、土を休める方が良いのは間違いないでしょう。


その引き際を視野に入れつつ、迎えた2月上旬。

ここが潮時と判断し、遂に抜き取りを実施する事に。

それをもって全ての栽培が終了する為、当プロジェクトも一区切り。
従って一先ずは、今回の報告書を最後の栽培記録とする事に相成りました。


ただ、ここまでクソ粘りしていたのだし、単に抜いて終了しただけでは面白くない。
個人的に、まだチェックしてみたい所が幾つか残されている。

なので今回は、その抜き取りに際して観察した事や、気付いた事についてレポートを記そうかと思います。

そしてその結果、また新たな発見に辿り着く事に。


果たして、あの枯れたトマト達はどうなっていたのか。

それではラストミステリー、ふしぎ発見



🌑2月上旬頃🌑

さて、前回を含めて現段階までに残されていたトマトの株は、合計14本にも上る。

我ながらよくぞこんなに増やしたもんだと思うが、内訳としては「オリジナル株」が2本と、挿し木で増やした「クローン株」が12本。

当初は4本のオリジナル株から始まったが、やがて株分けを続ける内にクローン株の方が圧倒的に多くなっていた。

その間に、オリジナル株の2本は夏場に枯れ、残りの2本が現在まで残る事となる。
実は前回の報告書で抜き取った個体こそ、その内の1本である。


今回は残るオリジナルとクローンの抜き取りを開始するのだが、ここでチェックしたかったのは、ズバリ「根」の状態。

前回でも少し観察してはいるが、最後にもう一歩踏み込んで確認してみようと思ったのだ。

以下より、それらの一部をご紹介してみたい。



先ず抜き取りましたのは、やたらヒョロ長かったクローン個体。
今回株分けした中では、結構な全長に成長していた事もあってか、それなりに実っていたし、僅かながら収穫にも成功している。

イメージ 1


ちなみに、画像では2つに折り畳んで撮影しているのだが、そうしないと画が遠くなりすぎて何なんだか判らなくなってしまうので、これは致し方無い処置である。


根の近くの幹を折って中身を確認すると、もう完全に水分が抜けて芯もスカスカに空洞化しているが、根自体やヒゲには水分が残されている様子。

イメージ 28


これら全体的な感触は、前回で抜き取った株と殆ど同じである。

ただ、前回と少し違うのは、この状態でも意外と根の張り具合いは良く、シッカリと植わっている手答えがあった事。

イメージ 29


いわば、「情けないようで逞しくもある」みたいな状態だろうか(何のこっちゃ)。


それはさて置き、この根の張りに関しては、どうやら「ヒゲの長さ」が重要らしく、これ以降の個体にも共通する特徴であった。


次に抜いた個体もクローン株だが、こちらも画像では全体的に成長率は高く、枝葉にも勢いがあった様子が伺える。

イメージ 32


よく見ると、根の「密度」は大した事が無い様だが、ヒゲの一本一本が「太く長い」のが印象的。
実際、土中の広範囲まで根が広がっていて、抜き取りの手応えも強くシッカリしていた。

どうやら、この根の「長さ」に加えて「太さ」も、成長率のカギを握っていそうだ。


ならばと、幹の真ん中を折って、中身を確認。
当然の如く中身は筒状にスッカスカ。

イメージ 2


うーん、いくら根の張りが強いと言えど、流石に樹上まで水分を保つ力は残されていないか。
やはり全体が枯れた段階で、寿命が尽きたも同然なのかも知れない。


次に抜いた個体は、少しテイストが変わる。


こちらの根には全くヒゲが無く、殆どツルッパゲな状態。
当然、簡単にスッポ抜けた感触である。

イメージ 3


この個体もクローン株なのだが、定植してからはサッパリ成長せずにいたもの。
また、結実していても非常に小さいなどの症状が多く、ついに最後まで収穫には至らなかった。


この様に、根の張り具合いには個体差があり、それに比例する形で成長率も決まっている傾向が見られた。

続けて見て行こう。


これは比較的成長率の良かったクローン個体となり、根の張り具合いはシッカリしていた。

イメージ 33


しかし、その割りに何故かあまり実付きが良くなく、結果的には収穫に漕ぎ着けた記憶が無い。
確か、結実していても赤く成熟しないまま、全て落果してしまったはず。

いずれにせよ、成長率とは「反比例」した経過を辿っていた個体となる。
この「反比例」の謎については、他の個体を抜く内に理由の一端が覗く事になります。


これもクローン株となるが、画像だけでは一定水準の成長率を満たしているし、枝葉も発達している様に見える。

イメージ 4


しかし、実際は最後までサッパリ結実しなかったり、また結実しても極く少数に留まるなど、いまいち実付きが良くなかった個体である。


この根で特徴的なのが、細かなヒゲがミッチリ集まり密度が高いのに対して、張り出しの「範囲」がやけに狭い事。

イメージ 30


画像では土をハタキ落としてあるが、実は抜き取りの時点ではポリポットの形を留めている様な状態で、そのポットで固められた土ごとゴッソリ簡単に抜けてしまった。

つまり、定植した段階から大して根は成長しておらず、ポットの土もほぐされないまま、密度だけが高いのだ。


となると、上の方で触れた「反比例」とは、この株でも適用されていた事になる。
どうやら、根の密度が濃く株の成長率高いからと言って、必ずしも結実数が上がる訳では無いらしい。


この要因が何故かは判然としないが、少なくとも「結実しなかった事」とは関連していると考えられる。

要するに、根の張り具合いとしては細かいヒゲの多さや密度より、いかに「太く長く広範囲に伸びているか」が重要となり、それによって実付きや成熟の度合いにも違いが出ると推察されるのだ。

当然この仮説に習えば、太く長いヒゲが多い個体の方が収穫に有利となる。


次もクローン株となるが、これは当プロジェクトで最も成長率が低く、最後まで小さいままだった個体。

イメージ 5


その成長率と比例する様に、根は細く、また密度も薄いし「範囲」も狭い。
しかも、しれっと株の真横にクローバーらしき雑草が生えて、根にまで絡んでいる状態。

イメージ 6


これは定植して以降も伸びず、ほぼポリポットサイズのまま寿命を迎えたのだが、枯れた時期は他のトマト達と同時だった。

また、収穫こそ叶わないクオリティであったものの、一応は開花から結実にも至っていたので、まるっきり貧弱だった訳でも無いらしい。


この事から、「株のサイズと寿命」には大きな相関性は無い様に思われる。
基本的には多分、気温など気候的条件が整っている間に根が生え揃ってさえいれば、そのまま生育が可能となるのだろう。

また何故、小さいままだったかは様々な可能性が考えられるが、これまでの観察記録に倣えば、「元々小さい性質の脇芽(枝)」だった。

と言う答えになり、ある意味では「逆に正比例」した個体とも表現出来そうだ。


これら上記の仮説については過去にも触れているのだが、改めて詳細を記すと長くなるので、以下の関連記事をご参照下さいな。

🌑10月上旬の様子とゴーヤの収穫🌑

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🌑10月中旬~下旬頃の様子🌑

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お次に抜いたのは、結局、収穫出来ずじまいだった「普通のトマト」。
実は、こちらもクローン株である。

イメージ 7


この個体は、パッと見では良い成長率であったし、根も太くて長いヒゲが地中に広く伸びていた。

また、この抜き取り段階でも果実がキッチリ保持されているので、どうやら「根のクオリティ」は果房の保持力にも影響を与えていると考えて良さそうだ。

イメージ 8


その意味では、株と根の関係が「正比例」した個体と言える。


しかし、結実時期が遅かったせいか、成熟しなかった点には課題が残る。
特に、「普通のトマト」は結実から成熟までの期間が異様に長いので、やはり夏場でなければ露地栽培は困難なのだろう。

実際、当プロジェクトでも梅雨から夏場には成熟していたが、逆に晩秋からは気温の低下について行けない状況にあった。
その意味では、ビニールハウスでもあれば結果は変わっていたのかも知れない。


更に、次も普通のトマト。
やはりコチラもクローン株だ。

イメージ 9


この株は当プロジェクト中でも、またクローン株の中でも最も成長率の高かった個体の一つ。
画像では伝わり難いが、とにかく全長が長く、約2m以上に成長していた。


これも結局は果実の成熟前に枯れてしまったが、いまだ果房の保持力は抜群で、実のハリもパツンパツンに瑞々しさを維持している。

イメージ 10


それだけに、やはりあと少しの所で収穫に至らなかったのが惜しまれる。
重ね重ね、ハウス栽培なら以下略と思わずにいられない。


この際なので、試しに果実を輪切りにして中身を確認。

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ヘタの周りだけ腐り始めているが、外見と違わず、中身は意外なほどフレッシュな感触。
開いた瞬間にトマト特有の青っぽい香りが放たれていたので、果肉自体は健康そうである。
これが所謂、「霜枯れのトマトの気根」なのか。

ただ、やけにタネが少ない様で、パッと見では「タネ無し」も同然。
あったとしても、未熟なタネが幾つか確認出来る程度である。


もう少し切り開いてみると、ポツポツとタネを発見。

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その数は非常に少なく、やはり疎らに散っている程度。
形は整っているが、次も正常に生えるかどうかの見込みは低そうに思える。


以前にも、成熟した普通のトマトを開いたらまるっきりタネ無しだったけども、一体何故なのかは謎のままだ。
これでは次の世代が無い事になるが、だとしても「タネ無しになる理由」が存在するはず。

いずれ検証の余地がありそうだ。


それで根の方はと言えば、ヒゲの密度、長さ、太さと、いずれもバランスが揃った感じで、高い成長率も納得のクオリティ。

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つまり、この株も「正比例」していた事になるのだろう。

ただし、「根の状態=果実の状態」は直結しているとしても、タネの有無はまた別の話になりそうだ。


そして、ここまでの「正比例」と「反比例」の違いを証明してくれそうなのが、次の個体。


これは毎度、報告書の冒頭などで果実のモデル画像として登場していた「鈴なり株」。

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これもクローン株なのだが、とにかく当プロジェクトでは最も成長率が高く、抜群の結実数を誇っていた「当たり個体」でもある。


他の株が早々に落果してしまったのに対して、こちらはいまだ多く保持されている。

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それら果房を数えると、この時点で7箇所ほど残されており、その位置も主枝や脇芽など広範囲に及ぶ。

イメージ 15


これは他の個体と比較しても圧倒的な違いとして表れていて、実質的に「晩秋トマト」の7~8割方はこの株から収穫した果実である。
そう、大多数をたった一本のクローン株で賄っていたのだ。

逆に言えば、全てのクローン株がこの個体と同じ性質であれば、更に収量が倍増していたのは間違いないだろう。


その根を確認してみると、一見では密度が薄く、何だか頼り無く見える。

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だが、よく見ればこれら一本一本が「太くて長く」、そして「広範囲」に伸びている事がお分かり頂けるはず。

そしてこの範囲がかなり重要で、抜き取り時にも相当ガッチリと根が張っている感触を得ており、土中への食い込み方も抜群であった。


試しに、また根元あたりの茎を切って中身を確認。
すると、他の個体に比べ、まだ中央に青みと水分が残されている。

イメージ 17


無論、既に寿命が尽きているには変わらない乾燥具合いだが、この分だけ長く生命を維持していた事は違いない。

つまり、この「太く長い根」の「多さと広さ」こそが、「正比例」に生育している証と考えられるのだ。


然るに、根の状態いかんで株の成長率が決まると同時に、積極的に成長しているかどうかの目安となり、ひいては果実の良し悪しにも大きな影響を与える事になるのだろう。

もっと言えば、「太く長い根の数」=「果房の数とクオリティ(大きさ)」で、相関し合っている線は確実かと思われる。
実際、この株の果実は当プロジェクト中で最も色艷が充実していた点でも明らかだ。


ここまで述べて来た仮説が、いよいよ具体性を帯びて来ました。

そして次は、最後の大トリ。


当プロジェクトの初期から生育を続け、そして現在までに多数のクローン株の元となった、「オリジナル株」の登場。

イメージ 18


このオリジナル株は元々、「大玉(中玉)トマトのタネ」から発生した個体。
当初から「普通のトマト」として生育を続け、概ね採種した品種の特徴を反映した様な果実を実らせていた。

画像ではやけに短く見えるが、これは昨年の10月初旬の台風で、先端から1/3位が折れてしまった為。
その他、度重なる病害虫の被害やらで剪定を重ねたり、脇芽の勢いが強くて間引いたりなどで、だいぶ淋しいルックスとなってしまっている。


しかし本来なら、当プロジェクトのトマトでは最も茎が太く、枝葉は大きく、背丈も高い個体である。

その脇芽や枝からは様々なパターンのクローンが発生していただけでなく、時に甚大なダメージから劇的な回復を遂げ、また成長を繰り返して来た、いわばビッグ・ママなのだ。


その生命力の強さは、根回りを見れば一目瞭然。
先ず茎の表皮からは、おびただしい数の白い根が飛び出している。

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実はつい最近知ったのだけど、これを「気根」と呼ぶのだそうだ。

そう、何故かここ数回登場しているマイメンことケンジ・ミヤザワが詩に記した「霜枯れのトマトの気根」の正体とは、この事の様なのだ。


ただし実際の所、この気根が出てくるのは良い兆候でも無いらしい。

その要因には諸説ある様でハッキリとしないが、どうにも窒素過多やカルシウム不足の他、水分吸収が上手く行かない、はたまたスペースが手狭になっているなどなど、とにかく何らか土壌との相性に不一致がある場合に発生するらしい。

それを補う意味で、トマトは空気中からも水分(養分?)を補給しようとしたり、あるいは別の土壌からも供給を試みようと気根を伸ばすのだとか。


当プロジェクトでは、過去に葉の変形と変色、また果実の尻腐れ病などに見舞われているが、その原因も窒素過多とカルシウム不足が疑われていた。
また、オリジナルは初期に他の株と干渉しない様、それなりに株間を空けたのでスペースの問題はクリアしているはず。

つまり、この気根によって養分との因果関係が更に強まった事になる。

となると、次に栽培する場合は、事前に苦土石灰などで土壌改善を図る必要があるのかも知れない。


しかし、それでも1つ解っているのは、この気根に勢いがあるほど株そのものが強い傾向にある事。

これが地中まで伸びて刺さる事で、やがて本格的な根へと変化して行くのだが、基本的には「土寄せ」を施すだけで対応していたし、それで最期まで生育を続けてもいた。
それは、このオリジナルもクローン株も同じである。


更に、この反対側の表皮は、一度めくれて中身が露出してしまったのだが、そのまま傷口を塞ぐ様な形で回復している。

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しかも、よく観察すると、破れた表皮の下には「内皮(?)」の様な組織が形成されていて、その内皮からも気根が大量に出ている様子が伺える。

これほどのダメージでもアグレッシブに成長を続けようとする姿は、まさに生命力、免疫力ともに発揮していた証しと言えよう。
それだけ生存に対し、より良い環境を模索していた事がこの気根からも見て取れるのだ。

実際、ネットで幾つか調べてみると、気根が出ていてもあまり神経質に捉える必要は無い様でもあるので、もし発生したとしても様子を伺いつつ対症療法を施せば、持ち前の生命力で乗り切れるのかも知れない。


そんな気根溢るる部位を輪切りにして確認すると、流石に水分は抜けて乾燥しきっている様子。

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この要因としては、昨年の秋に何度か大きいダメージを受けたのが響いてか、晩秋まで枝葉の発達が中途半端な状態だったので、それだけ体力を消耗していた為だと推察される。

いくら勢いが良いとは言え、流石にエネルギー供給が追い付かなかったのかも知れない。


して根の方はと言えば、やはり一見では密度が薄く感じられるが、その中で一本、やけに長い根が伸びているのが判る。

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恐らくだが、この長い根こそ、「幹(主枝)」を形成する重要な役割りがあったのでは無いかと考えている。
何故なら、上で触れてきたトマト達も、この太い根が長く伸びている個体ほど幹がシッカリしている傾向が見られたからだ。

そして例の如く、この太い根の「本数」に対応する形で、枝葉も発達する様子でもあった。


この画像の通り、他にも太く長いヒゲが幾つも伸びており、これまでのパターンとも一致する。

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当然ながら、根の張り具合いも抜群で、これまで抜き取った中では最も地中に長く伸びていた。
それ故に、このオリジナル株の枝葉も発達したのだろう。

実質的に一番長い期間にわたり生育していた事も影響しているのだろうが、これは元々の性質が為せる特徴と言えよう。

いわゆる、「当たり」のタネだからこそ、高い成長率を実現していたのだ。


惜しむらくは、最後まで収穫出来ず仕舞いだった事。

正確には、昨年度の夏場に成熟したものの、野生鳥獣の食害により全滅してしまった過去がある。
しかもその後は、脇芽の剪定、台風、ウドン粉病などのダメージがたて続くなど、トラブルに終始していた。

その為か、開花はすれど結実しないパターンを繰り返していたので、やはり根から供給されるエネルギーの大半は枝葉の回復に回されていたものと推察される。


ちなみに、実はこのオリジナル株の果実も「タネ無し」であった。

上の方で触れた、同じくタネ無しだったクローン株はこのオリジナルが元なのだけど、その意味では見事に性質を引き継いだ事になる。

ホント、株も根も立派なのに何故なんだろ。


そんな、収穫まであと少しだった一方、ここまでクローンを増やした功績は特筆すべきものがある。

しつこい様だが、記憶では現在の半数以上の株が、このオリジナルから株分けされたものだし、結果的にクローンからは収穫まで成功している。
その元気な脇芽が元となっているだけに、クローンもまた元気が良い個体が多かったのにも納得が行く。

そう考えると、当プロジェクトにおけるトマトに起きた現象の大半はオリジナル株があったからこそ生まれていた事になろうし、案外、この記事をひっくるめての「収穫」と言っても過言では無いだろう。


スゴいぞ、オリジナル株…!

ありがとう、ビッグ・ママ…!


さて、そんなこんなで抜き取り調査は終了。

今回、発見された株と根の相関性を整理すると、概ね以下の様な傾向となる。


(1)根の密度が薄く、ヒゲが細い個体。

読んで字の如く、全体的に成長率が低く貧弱。
結実しても果実は異様に小さく、収穫には至らないパターンとなる。


(2)根の密度は濃いが、ヒゲが細い個体。

根は一見すると健全だが、株はヒョロ長く貧弱気味である。
また、それなりに枝葉が発達し開花したとしても、着果しなかったり小さかったりなどで実付きが悪く、結果的に収穫には至らない。


(3)根の密度は薄めで、太く長いヒゲが1本ないし数本だけ長く伸びている個体。

全体的にヒョロ長く貧弱気味だが、とりあえず正常に結実し、成熟から収穫まで行ける。
ただし、果房が少なく単発で結実したり、あるいは落果しやすいなどの個体が混ざる。


(4)根の密度は薄めだが、一本一本太く長いヒゲが多数あり、地中に広く伸びている個体。

これが一番良く、株の成長率、枝葉の発達、そして結実数の三拍子が揃う事となる。
当然ながら、これなら果実のサイズや充実感、収量アップも期待できる。

とにかく、太くて長いのがシッカリ刺さっている方が、いずれ奥さんもウットリと言う訳なのである(一体何の話だ)。


上記により、この記事で何度か述べていた仮説は全て整合性が取れて来る。


とにかく、大事なのは根。


当たり前の様な話でいて、意外と見落としがちな部分では無いかと思います。

勿論、栽培中に逐一抜き取って確認する訳にも行かないはず。
何せ普段は地中に埋もれているし、基本的に枝葉の色味などで健康状態を判断するシーンが多いですからね。

しかし少なくとも、この根を如何にして強化するか、その為に様々な工夫を凝らす事で、より良い結果へと導かれて行く様な気もします。

当プロジェクトを通して、つくづく発見の連続なのでありました。


以上にて、全ての作物の栽培は終了。

次回は、一連を総括したまとめ記事をシリーズでお送りする予定で御座います。



おまけシリーズ。



今回の抜き取りにあたり、何となく思う所があったので、一部の株について根だけを切除してみた。

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とりあえず、まだ水分が残っていて、張り具合いに手応えのあった個体を選定。
何故なら、根がシッカリ張っていると言う事は、実は生きている可能性があるんじゃないかと考えたのだ。

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これらをポリポットに移植し、土を入れましたら。

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空いたケースに収納し、水を注いでからビニール袋を被せて保温してみた。

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もう見ての通り、この処置で「復活」するかどうか試してみたくなったのであります。


ハッキリ言って意味なんて無いも同然でしょうが、やってみないとわからない以上、限界まで試してみるのが当プロジェクト。

果たして成功するのかしないのか。

その結果が何時になるかは未定ですが、いずれは経過を報告してみたいと思っております。



では、また、CUL。