CULrides カルライズ

発見と探究そして文化。そんな諸々の話。

食べ蒔き作物プロジェクト報告書 10月中旬~下旬の様子

10月頭の台風を乗り越えた前回、最後のウリ科作物となるゴーヤを収穫。
サイズは小さくとも、その食味は非常に満足の行く仕上りとなっていました。


10月上旬の様子とゴーヤの収穫

culrides.hatenablog.com



ゴーヤのレビュー その2

culrides.hatenablog.com



さて、そんな当プロジェクトですが、この10月上旬を境に主な作物は全て終了。
残すはトマトのみとなります。


しかしながら、タネ蒔きから既に半年間が過ぎようとする昨今。

このトマトは数々のトラブルやらハプニングに見舞われ、これまで一度だけ「謎のミニトマト」を収穫したきり。
以降、結実がままならず、また本来の中玉も育たずに現在まで至ります。


そんな厳しい生育条件の下、果たして如何なる状況となっているのか。

早速、記して参りましょう。



🌑10月中旬~下旬🌑


🌑トマト🌑

前回の10月上旬より時間を飛ばし、この記事の主体は下旬を過ぎる頃の話題。
何故、中旬を飛ばすかと言えば、この間に殆ど変化が無かったからである。

しかし、その前回にも記した通り、気温が落ち着いてきた辺りから再び開花と着果を確認。
それらは時間を追う毎に増え続け、いつしか倍の数にまで着果する程の勢いを取り戻す事となる。


その変化の印は、こうした形で如実に現れている。

イメージ 1


毎日、必ず一定数が咲いており明らかに調子が良い。

イメージ 2


花の数はもとより、それと併せて次々と結実していく様に安堵感すら覚える。

イメージ 3


その量は日に日に増加し、枝も重たそうに撓垂れる程だ。

イメージ 4


概ねミニトマト的なサイズが中心となっている中、これは「普通のトマト」らしい形状。

イメージ 5


元は同じタネだったはずなんだけど、株により特性が違うのは食べ蒔き(実生)ならではだろうか。
まぁ、大きかろうが小さかろうが、元気に育ってくれるに越した事はありません。

当然、いずれの株も青々とした元気な色味で、次々と枝葉も延び続けている。
その上、エコノミークラス並みに限界まで植えたので、今度はトマト・ジャングルみたいな高密度状態。
些か窮屈そうでありつつも、はた目には賑やかしく、実りの秋らしい様相となっています。


また、「挿し木」以降、まだ背丈が50cm位にしか成長していない株も開花している。

イメージ 6


画像では判り辛いが、定植してから殆ど伸びていない状態なれど、ちゃんと花は咲いている。

イメージ 7



この点からして、これまでの観察通り一定の気候が符号した段階で、背丈に関わらず自動的に繁殖の「スイッチ」が入るのは確かな様子であった。

このまま結実から収穫まで至るとしたら、「小さい株から成熟したトマト」が完成する訳だけど、それはそれで新発見な気がしなくもなく。
これは経過に注目したい所である。


そんな中で唯一、辛うじて赤く成熟しつつある実を発見。

イメージ 8


10月の末日になり、ようやく収穫可能ラインに達したと判断。
野生鳥獣に食われる前に取り込みを実施してみた。

やや早い気もしたが、これまで横取りされ続けた過去を踏まえれば致し方ない。
後は味がどうなるか、そこが重要である。

イメージ 9


サイズ的には、「やたら大きいミニトマト」みたいな風情。
無駄にややこしいが、とにもかくにも8月の上旬以来、実に約3ヶ月ぶりとなる熟したトマト。
たった一つなれど、現在までの曲折を想うに妙な感慨深さがある。

まさか栽培開始当時は、これ程まで手こずるとは思いもよらなかった。
正直、このまま何も起こらない線の方が濃厚だっただけに、今また新たな実績が加わるのは奇跡みたいな感覚である。


とまぁ、8月の盛夏から9月までの衰弱気味な姿から一転、この10月も半ばを過ぎようとする頃になって、再び実りを迎えつつあるトマト達。
と言うか、最初に収穫した当時より、株の勢いも遥かに増している。

この要因を推測するに、やはり今時期が「適温」だからこそ回復したと考えるのが自然ではありそうだ。
とすれば、初夏から盛夏の頃は暑すぎて成長が停止していたが故に、諸問題が発生しがちだったとも言える。

言い換えれば、これから本格的な開花と着果を迎える頃になった途端で、猛暑とカチ合いバテてしまったのだろう。


また、よくよく考えると、当プロジェクトの開始から現在まで生存し結実しているのはトマトのみとなり、栽培している作物の中では最も寿命が長い。

大半は途中で株分けされた個体とは言え、元々の「オリジナル」もまだ生き残って結実していたり再生するなど、いまだ現役で生育を続けている。
しかも、ここから再度収穫が出来た場合、8月に1回、そして晩秋にもう1回と、2回に分けてピークが訪れる事にもなる。

てっきり、夏野菜として一度きり収穫するだけで終わるかと思いきや、なかなかどうして「連射」も可能らしい。
実際、かなり長い間ミニトマトが結実している菜園を見かける事もある訳で、条件さえ合えば更に寿命も収量も上がる事は確かな様だ。


この姿から推察するに。
もしかしたらトマトの原種などは根本的にタフであり、本来は一度の生育につき何度も果実を実らせるだけの体力に優れた、雑草並の生命力を持っている植物だったのかも知れない。


ちなみに、懸念されていた害虫は全く居らず、この段階では無キズを維持している。
それと同時に、ハチやハナアブの姿もポツリポツリと、圧倒的に飛来数が減少。
たまにセセリやシジミチョウが現れる程度となる。

夜間の冷え込みが本格化するにつれ、生態系にも変化の兆し。
そろそろ昆虫達も活動が鈍くなりつつあるのだと推察された。

その為、これら株の回復を確認してからは、なるべく人工受粉を施し更なる着果数アップを図る事に。
虫の力だけでは足りない可能性があるので、継続的な着果には自らの手で補助するのが得策と言えましょう。


後は、現在実っている果実を含め、どこまで成熟するのか。
果たして、これから寒さも増すに、どれほど生育が可能なのか。
これらが焦点となりそうです。


以降の経過は、また次回に。



🌑ゴーヤ🌑

実質的には、前回10月頭の台風によってトドメを刺される形で全ての葉が枯れてしまい、また収穫も終わりを迎えてはいる。

ただ、一応は根元あたりから親ヅルまではギリギリ青く生き残ってはいたので、あえて抜き取らず経過を観察している状況ではあった。

イメージ 10


無論、無意味に残した訳ではなく、一度は枯れかけの状態から劇的な回復を遂げた個体ではあるので、「もしかしたら」と言う淡い期待も込めている。


しかし結論を言えば、この台風から回復する事など無く、時を経る毎に全体的な枯れが進行。
この10月末には、根元だけを残すのみとなってしまった。

ご覧の通り、もはや親ヅルも子ヅルも枯れ果てており、その寿命が尽きている様子が判る。

イメージ 11


最後の最後まで残っていた未熟果も、いつしかカピカピに乾燥し「ドライゴーヤ」に。

イメージ 12


台風にやられさえしなければ、これも収穫する段階までイケたのだろうか。


いずれにせよ、ゴーヤの旬を考えれば気候的に耐えられなくなっていた事は間違いなく、全て当然の成り行きではある。

ただ、それでも根元を残すだけのタフさについては、他のウリ科作物より強いらしいと再認識できる所。
これまでの観察記録に倣えば、原種に近い作物ほど植物本来の生命力も免疫力も強まる傾向にあると言え、それは今回のゴーヤにおいて「ツルが枯れても根が生きてる」姿にハッキリと現れている。

また同じく、この性質が根本にあるからこそ、初期の貧弱だった姿から回復した事にも合点が行く。
他のウリ科作物は、株が枯れて程なく根にまで到達していただけに、その違いは明確だ。

然るに、この性質が最大限に活かされるシチュエーションこそ、理想的な環境なのは間違いない。
つまり、沖縄みたいな生まれ故郷に近い気候であれば、もう少し収穫出来る位に長持ちしていたかも知れない訳です。


そんな考察を披露しつつ、この段階に来てはいい加減、抜き取ってお役御免とすべき所ではある。

だが、そこは当プロジェクト。
根元が青い間は、完全に枯れるまでもう少し観察を継続してみる事に。

あえて理由を述べると、どこまでが「根の限界」なのかを知る為だろうか。
要するに、この生育の限界点が判れば、より長く株の寿命を延ばし収量を上げる方法が発見出来る様な気がしたのであります。

尤も、これは飛躍した話であり本当に発見されるかは謎だけど、可能性の「余地」だけは残しておこうかなと。
この観察結果が、いずれ何処かで結び付いて、今後の栽培に役立つ事だって有り得なくは無いですからね。

その後については、また次回にて。



そんなこんなで、まだまだ実りの予感が漂う当プロジェクト。

これから更に寒さが増すであろう中で、果たして何処まで生育が続くのか。

経過を見守って行きます。



では、また、CUL。