CULrides カルライズ

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食べ蒔き作物プロジェクト報告書 9月下旬の様子中編 カボチャの収穫ファイナル、そしてタネと免疫力の仮説

さて、前編はトマトのトラブルやら、モスラみたいな幼虫の話に終始していました。

9月下旬の様子前編 トマトとモスラ

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とは言え、家庭菜園や自然派農法では、上記の様な事案など日常茶飯事ではありましょう。

確かに、果実にダメージを受けるシーンが多く、時にもどかしさを感じもしますが、それとて自然の循環の一つであり、また当プロジェクトの持つ本質的な一面。
何が起きたとて、ただ粛々と、あるがままに対応を続けるのみではあります。


そんな中ですが、この中編では「独特なカボチャ」を合計2個、再び収穫するに成功します。

その「形」はどうあれ、カボチャもこれにて最終便。
そこで思い至った、作物の形体に関する仮説やら、タネの強さについての話。

そしてメロンも、前回で収穫は終了していますが、その残骸から改めて発見した「免疫力」の話などをお送り致します。


まぁ、いつも通りの雑談が中心なのですが、それはそれで興味深い「共通点」が貫かれている内容となったのではないかと思われます。

そんな一種の「物語り」みたいな観点にてご覧下さいな。


それでは、見て参りましょう。



🌑カボチャ🌑

前回は、辛うじて残っていた二個の状態を確認。

9月中旬の様子前編 トマトとカボチャの経過

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この時点で既に株全体が枯れていたが、まだヘタ周りが青かったりと収穫には少々早そうでもあったので、暫く置きつつ見守っていました。


それから1週間ほど経ち、ヘタ周りも枯れ切って来たので、やっとこ収穫を実施。

先ず一個目は、ジャガイモみたいな個体。
重量は約290g。

イメージ 1


サイズや質感的にはミニカボチャと同格くらいで、大きい男爵芋にも近い手触り。
さしずめ、「カボジャ」などと呼んでみたいルックスである。

イメージ 4



この個体は、8月上旬あたりに結実を確認しているので、概ね1ヶ月半ほどで収穫した事になる。

結実した頃の様子。

8月上旬~中旬頃の様子と初収穫

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しかし、色彩は確かにカボチャだが、こんな形のは見た事が無く、その経緯が謎過ぎる。

記憶では下記の二個目と同じタネから育ったはずであり、全く同じ時期に人工受粉して、全く同じ手法で管理していたんだけども。

まぁ、普通に考えれば、何かしら株や栄養面で問題が発生したと見るのが妥当な線ではある。
実際、今回の2つとも結実した頃を境に、急速に株の根元から枯れが進行し始めた訳だし。
これで株が枯れてなければ、一体どんな形になったのか興味は尽きない。


しかし、案外もしかすると。

こういった特殊な形状の作物は結実の過程において、どんな形にするかで迷ったり、あるいは実験的と言うかある種の「冒険心」とか、遊び心みたいなメカニズムを自ら発現させた可能性はありうる。


例えば、「このタネじゃまともなサイズに育つのは難しい…」と株が判断した場合。
「ならばいっそ、徹底的にムチャしてやんぜ!ヒャハー!」と、何となくブッ飛びモードに入っていたとか。


あるいは、「この状況で普通に作るなど無意味…」と判断した場合。
「これが我が魂のアート…!題名は、[混迷]…!」など、陶芸家とか芸術家みたいな心境に達したとか。


そんな仮説はともかく、食べ蒔きのタネで、より自然に近い環境下だからこそ、よりカオティックに変化した可能性がある。
そう言いたいのであります。


そして、もう二個目はと言えば。


こちらは、ややイビツながら、割りと普通の形をしている。
重量は約210g。

イメージ 2


サイズ的には、やはりミニカボチャクラスだが、こちらは表面がツルツルしていて、形状はどこかニンニクっぽいルックス。

イメージ 5


ヘタを見ると少し青く、まだコルク化していない様なので、後は追熟で対応してみよう。
どちらにせよ株は完全に枯れてしまったし、外に置けば虫にやられかねないし。


こちらの場合も、結実後に株が枯れたせいで成長が止まってしまったと見るべきなのだが、何れにせよ、食べ蒔きは如何にして最後まで果実を成熟させられるかが最大の難関。

このカボチャも、「上手く行ったパターン」と「半端に終わったパターン」で二分化されている点からして、「タネの生命力+環境+管理状況」の組み合わせ次第で大きく結果が左右される事がお分かり頂けるはず。

参考記事
9月上旬の様子前編 カボチャの収穫

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カボチャのレビュー

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上記にも記した通り、「小さいタネ」は株の枯れが早く、果実も未熟気味な小玉サイズの傾向に。
そして「大きいタネ」は生育が長持ちし易く、大玉サイズまで成熟するに至りました。

当然、今回の2個も「小さいタネ」の株から収穫しており、その法則が当てはまる結果となっています。
従って、先ず最初に、食べ蒔きに「向いている品種」を見つけ出すのも、一つのハードルと言えるでしょう。


ですが、逆に言えば、そうせざるを得ないほど「世代を跨げない作物」になってしまっているのが実情とも取れます。

そもそも論として、根本的に生命力が強く、自力で果実を成熟させられる植物でなければ、種を残す事すら叶わない訳ですからね。

その意味では、固定種とは「植物本来の底力」を保持した、貴重な存在と言えるのかも知れません。


とまぁ、ゴタクを列べるのはここまでにして、これにて当プロジェクトのカボチャの収穫は終了。
全ての根を抜き取り、完全に引退と相成ります。

一先ずは、ここまでお疲れ様でした。


残るは肝心の味。

それは追熟が完了したタイミングを見計らい、改めて別記事と致します。


🌑メロン🌑

前回で栽培は終了しているけど、最後の最後に残っていた果実が一つだけ。

イメージ 3


ご覧の様に虫にボロクソにされており、根も抜き取ってから暫くが経つ。


これは実が未熟な状態で株が枯れてしまった上、その段階で既に虫に噛られていた為、収穫せずに放置していたもの。

何故、放置していたかと言えば、株が枯れた後の果実の「力」を観察したかったから。


ここで言う「果実の力」とは、「形を保持しながら成熟する力」を意味します。

つまり、未熟な果実だけで残された場合、そこからどこまで熟成が進むのか。
更にその時、虫や病気に対する抵抗力(寄せ付けなさ、傷の回復力など)がどの程度発揮されるかを見ていた訳です。

これが判れば、未熟果でも適切なコンディションへ持って行く方法や、早とちりで棄てるなどのロスが減るのではないか。
そんな意味あいもありました。


しかし、見ての通り親となる株が枯れてしまった段階で、そのまま免疫力がストップしてしまったのか、早々に虫が群がり成熟どころでは無い有様に。

いや、これなら枯れて弱る前に、収穫してから確認すれば良かったか。
まぁ、冷静に考えれば、至極当たり前の結果とは言えるんだけども。


これまでの栽培過程で理解出来たのは、株が元気であれば成熟まで果実を保護する力が発揮され易いと言う事。

そして最終的に、成熟しきった段階で「免疫力の供給」が止まり、後は果実の栄養を頼りに再び芽吹きを待つか、動物に食べられ移動する事になる。


それとは逆に、株が貧弱だと果実が生育途上で外的要因により傷み易く、成熟する前に問題が発生しがちになる。

この傾向は特に、果実が肥大して成熟に向かうほど顕著となるが、それは株が生命力を大量に消費した挙げ句に発生する、「エネルギー切れ」現象とも言えます。

その「株の生命力と果実の成熟のバランス」を失う辺りが最もリスクが高まるポイントとなり、早めに収穫するか、それともまだ熟成を待つかで判断を迫られる事となるのですが、その「手前」でヤられてしまったのが今回のメロンとなる訳です。


尤も、上記は単なる一例に過ぎません。

トマトやゴーヤの場合、果実が「一定サイズ」まで成長していれば、仮に株が疲労で枯れそうでも果実だけで成熟するパターンを確認しています。
また同じく、青い未熟果だけ残されたとしても、限界まで腐らない様に免疫力を強化されている様子も伺えました。

要するに、果実は免疫力に相当する(あるいは代替する)エネルギーを「貯蔵」している場合がある、とも言えるかと思います。

ただし、いざ本格的に病害虫が発生した場合については、成す術も無いのは見ての通りです。


一連を纏めるに、作物の性質により免疫機能の働き方も違う点に留意し、それぞれに合わせた見守り方を検討する必要があると言えるでしょう。


ちなみに、今回のメロンを試しにスコップで割って中身を見てみたら、かなりグジュグジュに柔らく熟していた。

しかし、意外と綺麗な肉質をしており、中身が開いた瞬間にメロンの甘い匂いが一気に広がってくるなど、おおよそ腐っているとは言い難い良さげなコンディションでもあった。

この感じから見て多分、限界まで腐らぬ様に「力」を温存していたのだろう。
それこそ、ちゃんと無キズで熟成していたら、結構イケる仕上りとなれたのかも知れない。


確認後は土へ埋め戻して処理。

流石に表に出しっぱなしでは要らぬ害虫や病気の巣窟になりかねないので、まだ微生物が活発な内に分解を促すべきだと判断。
健全な土壌ならば、恐らく冬までには跡形も無くなるはずなので、後は自然の循環に委ねておく事にしよう。


そんな免疫力の違いについても色々と教えてくれたメロンも、これにて本当にお役御免。

今までお疲れ様でありました。



次回、後編。


イカとゴーヤの経過と、そこで見た害虫の動きについて記します。



では、また、CUL。