さて、三部構成となった9月下旬の様子も、これで最終回。
前編 トマトとモスラ
中編 カボチャの収穫ファイナル、そしてタネと免疫力の仮説
後編である今回は、残りのスイカとゴーヤの様子について。
そこで発見したウリバエの行動や、虫食いの状況など、また昆虫に関する話題が中心となります。
正直、そこまで作物に動きがある訳でも無いのですが、害虫の「行動パターン」については、一つの事例をご紹介できる内容かと思われます。
このお話が、少しでも対策のご参考になればと。
では、見て参りましょう。
🌑スイカ🌑
収穫自体は終了しているが前回、何故か新芽が生えているのを確認。
9月中旬の様子後編 メロンの収穫ファイナル
地味に開花は続いているし、新芽もやけに青々と元気な姿をしていたので、どこまで伸びるか何となく見守りを継続していました。
しかし、この短期間にウリバエが寄って集って食い荒らしてしまい、結局はボロボロに。
それに伴ってか、あれほど勢いのあった根回りも、くたびれ気味になってしまった。
上の記事でも触れたけど、この被害状況はカボチャ・メロンの収穫が終了した辺りから、急に始まっている。
その状況からして、どうやらこれらの「代用食」みたいな形でウリバエの標的にされてしまったらしい。
要するに、餌が足りなくなり集中攻撃を受けていたのだ。
一時は新芽の勢いと免疫力が回復している様子だっただけに、このまま生育限界まで持続するかと思われた。
だが、流石に根本的な疲労感は否めなかったし、いい加減、エネルギー供給にも限界があったのだろう。
故に、全盛期を過ぎた今となっては、奴等の物量作戦に抵抗するほどの余力は残されていないのが現実であった。
まして、「メインの餌」が失われた以上は当然の成り行きでもある。
収穫時までは全く被害を受けていなかった訳だし、本来の「体調」ならもう少し持ちこたえられたのかも知れない。
結局の所、このままスイカを生やした状態では、何時までも寄生され続ける事にもなりかねない。
確かに、何かしら処置せねばならない状況とは言えます。
しかし、まだ抜き取れない理由があるのだけど…。
それは下のゴーヤで記します。
🌑ゴーヤ🌑
スイカが抜き取れない理由はズバリ、ゴーヤの「身代わり」としておきたいからである。
と言うのも、カボチャ・メロンが枯れ、スイカの被害が拡大するにつれて、遂にはゴーヤの葉までも噛られている場面を目撃していたからです。
まさに目撃ドキュソ!
ただし、どうやらゴーヤは「苦い」のかスイカ程の被害は無く、少々食われた程度に留まる。
このウリバエの行動から分析するに、どうやら味に明確な「好み」があるらしい。
意外とゼータクなやっちゃ。
だが、それとてスイカが無くなればターゲットにされかねないのが実情。
いくらウリバエにとりマズかろうが、「背に腹は替えられぬ」となろう状況は想像に難くない。
その為、ゴーヤが終了するまでは何とか持ちこたえて貰うべく、スイカの見守りを継続しているのでありました。
さて、当のゴーヤと言えば、現状で唯一まともな生育を続ける作物となります。
何度も記した様に、当初の虚弱体質を思えば、見違える様な体質改善を果たしたと言えますし、それは実際の開花数や着果数を見れば明らか。
まさに下克上かどうかは定かでは無いですが、ここ暫くの当プロジェクトでは数少ない有望株なのも確かです。
そんな最中ですが、現段階で二つほど結実を確認しており、後は成熟を待つのみと言った状況。
と言っても、根本的に小さい株である事には変わらないので、当然、果実もミニチュアサイズなのは致し方ない所。
それは、最初に収穫した頃から解っていた事ではある。
8月上旬~中旬頃の様子と初収穫
まぁ、たった一個のミニゴーヤだけで枯れ込んだ初期に比べれば、複数結実する現在こそが正常な姿であるには違いない。
実っただけ有り難いし、贅沢は言いっこ無しでしょう。
しかし、ここで一つ、プチ・プロブレムが発生。
成熟を待っている果実のうち、一回り小さいサイズにワラジムシが噛り付き、キズが入ってしまったのだ。
見ての通り、辛うじて表面のイボンヌと、先端の一部を噛られた程度で済んだので大事には至らず。
このまま成長と免疫力が持続すれば、いずれキズは回復するであろう。
この画像の背景にボンヤリと写っている様に、ゴーヤの根回りには雑草マルチを厚く敷いていて、これらは「保温と保湿」、そして最後は「栄養源」としての役割りを目的にしている。
※画像は落ち葉も追加した頃のもの。
落ち葉の場合は、上から土を被せると分解が早まり虫の繁殖も防げます。
その栄養素に分解する役割りは、主にダンゴムシとワラジムシが担っているのだが、雑草が厚みを増すほど必然的に、そして爆発的に増殖する事になる。
そうなると、今度は果実を噛られ無い様に対策を施さねばならなくなる。
これは概ね「高い場所」に置くか、「登って来れない素材」を途中で噛ます事で、割りと簡単に回避が可能だったりする。
参考記事
果実のお立ち台
しかし、いくら防除手段を講じたとて油断はならず、果実が常に外部に晒されている状況には変わらない。
僅かでも地表に触れたり、あるいは登れる個所が存在する場合は、思いの外あっと言う間に噛られる事となってしまうので注意が必要となる。
このゴーヤの食害も、果実の重みでほんの少し地表にコンタクトしていた事が原因。
なので、即座に寄り付けない位置である「空中」へぶら下げる様に固定し直し、対策を施したのであった。
現状を見れば、まだ花は咲いており、その他にも小さく着果した果実がチラホラ存在するので、もう少し頑張れそうな雰囲気ではある。
後は、どれだけ成熟させられるかが焦点となりそうです。
そんな訳で、三部作で濃厚にウンチクを垂れた今回も、様々なハプニングに直面しつつ、何とか収穫物をゲット。
まだまだもうちょい頑張れそうな雰囲気も残されている事だし、こちらも限界まで見守りと手入れを継続してみよう。
その後の経過については、また次回以降に。
おまけシリーズ。
9月下旬。
近隣の道ばたで、やけに大きいミツバチに似た昆虫を発見。
初めて見るタイプのハチだったので詳しく調べると、どうやら「ハラナガツチバチ」の仲間である事が判明。
ただ、似た種類が多く、詳細な同定は出来ていない。
体格はスズメバチ並の巨体なれど、性質は非常に大人しく人を刺す事はまず無いそうで、仮に刺されても殆ど痛くも無いと言う。
主に幼虫期はコガネムシの幼虫を食べて成長し、成虫になると花の蜜を主食とするそうだ。
それはつまり、「肉食のスズメバチ」と「草食のミツバチ」の美味しいトコ取りみたいな生態をしている事になるのだけど、それは翻せば農園や菜園にとっては益虫とも考えられる。
従って、大きいハチだからと、短絡的に駆除しようなどと思わぬ様に注意したい所。
むしろ、それだけ野菜の収穫が増えると思えば居てくれた方が良いだろうし、そもそも自然の循環から見れば、これら昆虫の営みがある環境こそ「正常」に違いない。
ちなみに、かのファーブル先生も昆虫記に彼らの生態を記述しているのだそう。
実は僕も小学生の頃に読んでいたのだけど、全く覚えていなかった。
そのファーブル昆虫記の3、4、5巻だけが未だに家に保管してあったので、久びさに引っ張り出してみた。
奥本大三郎先生、翻訳・解説。
やや児童向けに編集されていて、どの年齢層でも読み易い良書であります。
また余談ですが、同じ奥本先生が著した「珍虫と奇虫」と言う図鑑も所有していたりします。
このツチバチの話は2巻に収録されている模様で、目次には「アナバチ」とある。
ジガバチの話は僅かに記憶があるけども、だいぶ昔の事なので致し方ない。
その1、2、3巻(本来は8巻構成なのだが、当時は5巻までしか持っていなかった気がする)も所有していたはずなのだが、既に所在不明。
更に小学生向けの文庫本も持っていたけど、それも無いので何かしらで一緒に処分してしまったのかも知れない。
今思えば勿体無し。
話を戻すと、この時は地面を歩いていて飛ぶ様子も無かったので、もしかしたら弱っていたのだろうか。
指を差し出すと近付いて乗って来ようとしたのだけど、流石に刺される可能性はゼロでなかったので途中で止めておいた。
そう、生き物は種類に合わせて適切な距離感を取るのが大事なのです(言い訳)。
そう珍しいハチでは無い様だけど、個人的には先日のアカボシゴマダラ同様に初めての遭遇だったので、ちょいと新鮮な気分。
そして、図らずもファーブル昆虫記を読んでいた少年時代を追憶する切っ掛けとなった、秋空なのでした。
では、また、CUL。