CULrides カルライズ

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食べ蒔きプロジェクト番外編 ウリバエの防除に関する仮説1・被害状況と生命力

今回は10月の様子に移る前に、少し別の話題をば。


ズバリ、「ウリバエの防除」について、個人的な感想やら考察などを記してみたいと思います。

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最初にお断りしておくと、特にオチがあるでも効果的な解決策を構築した訳でも無く、ひらすら「こんな方法を思い付いた」みたいな妄想話が中心となります。

かなり長文となる上、またしても三部構成のシリーズに別けてもいますので、読むにも時間を要するでしょう。


しかしながら勿論、実際の症例や状況を記載しておりますし、様々な角度から検証した結果や、実体験に基づいたアイデアなどを中心に纏めたつもりでは御座います。

また更に、一連の現象から非常に興味深い共通点などが発見される事となり、ある種の究極的と言うかトンデモ?な結論を導き出すにも至ります。

故に、即座に役立つかは謎だけど、もしかすると何かしらヒントとなる可能性は無きにしもあらず。
と言った内容にはなったかと思われます。


従って、先ずはご興味のある方のみ、ご覧になられる事をオススメ致します。

それでは、本題に参りましょう。



🌑ウリバエの被害🌑

さて、これまで報告書に記して来た通り、9月上旬までにカボチャやメロンの枯れが全体にわたり、殆どの株が茶色く変色してしまいました。

詳細な経緯は一連の記事を遡って頂くとして、この症状の進行速度は思いのほか早く、果実が成熟する前に終わってしまった株もザラです。

その理由として最初に、食べ蒔き(実生)故に元々のタネが貧弱だった可能性が挙げられるのだけど、それにしたってペースが早過ぎると感じざるを得ない状況でもありました。

それで、更に要因を探るべく検証した結果、もう一つ重大な存在に違和感を抱き始めます。


それが、「ウリバエ(ウリハムシ)」の影響。


この違和感に辿り着いたのも、カボチャに対して異様なほど集中的に成虫が群がっている様子を見ていたから。

それと付随し、今回の急速な枯れとの関連ついても色々調べる内に、どうにも「ウリバエの幼虫」が高いウェイトを占めているらしい事が判明。

簡単に言えば、作物に飛来したウリバエの成虫が株の根回りに産卵。
その幼虫がカボチャやメロンの根を食い荒らし、やがて内部まで進入。
結果、穴だらけにして枯らしてしまう様なのだ。


当然ながら、その時点で栄養供給に多大な支障が生じるだけでなく、最悪はストップしてしまう事になりかねない。
それが株の成長、そして果実の成熟期に被害に遭ってしまえば、必然的に「途中」までしか育たない確率も高まるし、実際の症状とも符合する。

つまり、今回の枯れの原因は、「タネの生命力」+「ウリバエの幼虫」と言う複合的要素により、急速に症状が進行した可能性が高い訳です。


しかし、その「原因の現場」を見ない以上は確定と言えませんし、ましてや果実の成熟を待っている段階で根を引っこ抜く訳にも行きません。
暫くは、成虫の駆除のみで静観せざるを得ない状況でもありました。


そんな中、9月上旬頃になり更に枯れが進行。

遂に株全体が枯れた個体が出てきた為、ここが潮時と見て「抜き取り調査」を開始したのであります。



🌑抜き取り調査🌑

先ずは、8月中旬あたりから一番早く枯れ出し、9月には根元まで枯れが進行していたカボチャの個体。

8月の上旬までは青々としていたので、この短期間に急速に枯れこんだ事がよく解る。
調査時点では完全に株全体が干からびており、既に処分すべきだと言える状態でもあります。


この根本を引いてみた所、思いの外スルッと抜けてしまい、しかも殆ど根が残されていなかった。

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うーん、中身が空洞化している。
もはや完全にスカスカの筒状で、本当に何も無い。


しかし、画像中央をよく見ると、小さな「穴」が開いていて怪しげだ。

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いくら急でも、ここまで跡形もなく枯れるだろうか?
やはりウリバエの幼虫にやられたからなのか?
その「食害後」がこうなるのか?


とりあえず、特に何も見つからず。


まだ枯れた株は残っている。


調査を続け、もう一本。

今度は、全体的に干からびてはいるが、根元だけは生命感が残っていたメロンの個体。

抜いた根は外見的に被害の様子が伺い知れなかったので、試しに割って中身を確認すると。



イ゙ェア゙ァァァァァァア゙ア゙ッッッッ!!

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い゙だア゙ァァァァァァア゙ア゙ッッッッ!!



その根には、見事に幼虫が寄生。
よく見ると、確かに穴を開けて根の内側に食い込んでいる様子。

まさに調べた通りである。


更にもう一本。

だいぶ前に全体が枯れて、やはり辛うじて水分が残っていたメロンの根を割ってみる。

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居ない。


だが、何だか腐り気味にグチュっとしていて、何者かが食い荒らした様な跡にも見える。
一応、目視出来る範囲には蔓延していなさそうではある。


そして最後に、ダメ押しの一本。

こちらは既に収穫を終え、株だけはギリギリ生きているが、後は完全に枯れ尽くすのを待つのみだったメロン。


思い切って、ズポッと引き抜くと。



オ゙ォォマイギア゙ァァァァァァア゙ア゙ッッッッ!!

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だぐざんい゙るア゙ァァァァァァア゙ア゙ッッッッ!!



もう見ての通り、大量に寄生中。

コレ一つの根に最低5匹以上、隅々まで行き渡っており、完全に巣窟と化している。
どおりで急激に枯れる訳だ。

いやはや、これは衝撃的。
流石にモイキーすぎて、ちと萎え気味な心境である。


最早こうなっては手遅れだし、破棄する以外に有り得ない状態。

表面上では判然としなかったが、通説通り成虫が多数飛来した時点で、幼虫も生まれていると考えるべきなのでしょう。



🌑ウリバエの処理🌑

こうした病害虫が蔓延してしまった場合、本来は株も根も燃やすのが最もベターであろうと思う。

成虫や土壌の卵はもちろん、彼らが目印にするであろう「フェロモン」なども纏めて焼却出来れば、その分だけ飛来も繁殖も止められるはずだからです。

しかし、都市部に暮らす人が多い現代、そう易々と行かないのが現実。
煙が出ればリアル近所迷惑となりかねず、狭い場所では火事のリスクもある。
昔は、どこの畑や庭でも枯れ草を燃やして処分していたんですがねー、世知辛い。


あるいは、一番てっとり早いのがスプレー系の殺虫剤であろう。
これなら比較的手軽で、実際に効果的なのは違いありません。
また、有効範囲が狭いので、近隣や他の作物への影響も少なくて済むはずです。


しかし、そこは当プロジェクト。

出来れば極力、薬剤の類いは使わない方向ですし、なるべくならコレら害虫も肥料化したい所。
幼虫だって、絶体に栄養価が高いはずですからね。

ただし、この場合に関して言うと、とりあえず放置して乾燥or雑草マルチに混ぜて幼虫ごと分解するしか思い付かない。

僕も抜いてみたは良いものの、結局処分に困ってしまい、八方塞がりみたいな状態になってしまったのだ。
幼虫を処理しようにも、燃やせないし、殺虫剤は使わないとなれば、そりゃ当たり前です。

しかも、原形を留めたままでは、再び繁殖するリスクすら高まってしまうではないか。
単なる置きっぱなしも、具合が宜しくないであろう。


いや、結果的には普通に燃えるゴミの日に捨てればいいんだけども、しかしそこは意地の世界。

最後まで、繁殖を防ぎつつ「全て有効活用」出来る様な、何か良い案は無いものか。
極限まで自然の循環にヒントを見出すべく、試行錯誤していた訳です。


そこで一つ、有力な手段が「煮沸」。


つまり、煮てしまえば殺虫はもとより、近隣の迷惑とならず、匂いや雑菌も落とし、最後は直に畑に撒けるなど、メリットが多いのではないかと考えられる訳です。
また、グツグツかつグズグズになるまで煮込んだ有機物は、より分解も早まるに違いありません。

デメリットとしては、コンロや大き目な鍋の準備が必要な上、水道代にガス代もかかる所か。

わざわざウリバエの処理だけでチョコチョコ使うのも、勿体ない様に感じるのが正直な話。
それこそ、ラーメンの寸胴鍋みたいにある程度の量を一気に処理出来れば、効率も上がる訳ですからね。


まぁ、ここまで言っておいて、自分では試していないと言うオチ。
ただ、何かしら熱処理が良さそうに思えたので、このアイデアに辿り着いた次第です。


ホント、こんなに繁殖力が強くて処分も手子摺るとは、まったくウリハムしいったらありゃしないですな。
※ただ言ってみたかったシリーズ。



🌑ウリバエの防除🌑

話は変わって、もう一つの表題である「ウリバエの防除」について。

これまでの経緯を踏まえて、考察を記してみます。


先ず、根本的に成虫を寄せ付けず、産卵も防げる方法がベストであるのは間違いありません。
そして、それらは既に確立された手法として、幾つか実践もされています。

例を挙げれば。


・「農薬」で殺虫する。
・株の周囲を「ネットやビニールで囲う」。
・「マルチシート」で地表を塞ぐ。
・ペットボトルで落とし穴的な「トラップ」を仕掛ける。
・ウリバエが嫌がるらしい「ネギ類をコンパニオン・プランツ」として植える。
・ハッカ水やトウガラシ水を散布する。
・はたまた「銀色に反射する板」の光で怯ませる。


などなど、かなり多種多様ある事が判ります。
則ち、それだけの対策案を試さずにはいられない程、防除が難しい表れとも言えます。


ただ、これらには絶対的な効果がある訳でも無い様で、雨で流れ易かったり、手間が多かったり、成虫の飛来までは阻止出来なかったりと、結果的に効いていない例も散見されます。

一番効果的なのは農薬や薬剤で間違いないのでしょうが、それでは下手すると他の益虫にも影響を与えかねないですし、お住まいの場所によっては近所への配慮が必要となるはず。

更に、彼らには天敵らしい天敵がおらず、ほとんど競合相手も居ないとさえ言われている。
それでは、「食物連鎖」での循環作用も効きそうにない。


従って、もし仮に自然派農法でウリ科を栽培する場合。

このウリバエの被害を水際で阻止するのは非常に困難と言う事になり、対策案としては上記を「複合化」するほか為す術が無い様にも思われます。
そして、現れるのが前提の「対症療法」でしか、駆除する手段も無い事になりそうです。

しかし、果たしてそこまでの手間を重ねる意味があるかどうか、少し疑問も残る。
何より、効果の薄い手段ばかり施すのは、非効率的であると言わざるを得ないでしょう。


この問題は特に、ウリバエの「性質」が解決を難儀なものとしているのですが、理由は下記に続きます。



🌑ウリバエの能力🌑

何にせよ、このウリバエ。

とにかく、潰しても潰しても次々新手が現れては食害が進行するし、その異常な繁殖力と旺盛な食欲には閉口するばかり。
成虫と幼虫が株全体に蔓延する様は、他の害虫を圧倒する「進行速度」すら覚えます。

更にその上、学習能力までも高いらしく、ある時点から物理的な排除まで難しくなってしまう。


例えば、被害区域周辺で数匹潰した場合。

その周囲にいた個体は危機を察知してか、少し近付いただけで葉の裏や落葉の下に隠れたり、飛んで逃げたりと姿を消し、急激に警戒心を露に回避行動を取り始める事がある。

こう聞くと当たり前そうな話だが、実はコレ、他のハムシやコガネムシにはあまり見られない特徴だったりする。

これらの昆虫は食物が限定されている場合が多く、基本的にそのテリトリー(好物)から動き回ろうとせず、また、あまり飛び方も上手い方では無いので、移動距離が短い傾向にある。

故に、いくら仲間が外敵に捕獲されようと、余程に身近な位置で無い限りは、様子見程度に動きが止まるだけ。
それこそ自分とは違う葉や株で起きた出来事ならば、無視して活動を続けるか食事に集中していている場合がほとんど。

つまり、自分に直接的な害が及ばない限りは、食事(又は交尾)が最優先なのだ。


だが、ウリバエは危機に一際敏感どころか、仲間内で「情報共有」している様子さえ伺える。
しかも、どこからともなく、次々に飛来して来るほど移動距離が長いので、一時的に姿が消えても再び現れてしまう。

ここまで警戒心が高まると捕獲自体が難しくなる為、結局は何匹も見逃さざるを得ず、いつまでもイタチごっこが続いてしまうのだ。


更にこの学習能力を示す話として、当プロジェクトでの事例が挙がります。


当プロジェクトの初期において、本来は間引き対象と言える「貧弱そうな株」も全て植えたと記しました。

参考記事
発芽行程 トマト・メロン編

culrides.hatenablog.com



その目的は主に、「花粉を媒介する虫の誘引」と「受粉」が目的でしたが、実はもう一つ「害虫のおとり」に使おうとも考えていました。

端的に言えば、畑の「欄外」に植えた「おとり作物」にだけ、その根回りに顆粒の殺虫剤を撒き、「味」を覚えさせると言うもの。

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※実際に使用したもの。

つまり、薬効で直接ダメージを加えるだけでなく、警戒心を抱き食べるのを忌避するのではないかと思ったのだ。


しかし、結論から言えば、これは殆ど効果が認められ無かった。


もう少し具体的な状況を言うに、薬剤の量が足りなかったのか、それともウリバエは「耐性」が強いのか、まるっきりお構いなしに群れて食害。
小さいサイズの苗は、軒並み丸ハダカにされてしまった位である。

しかも、それら「おとり作物」を食べ尽くした後に、結局「通常の作物」に寄生してしまうなど、そもそもダメージを受けていそうな様子が伺えなかったのだ。


ただし一方で、ある時から、おとり作物から「一斉」にウリバエが消える現象も確認している。
その株は青々と元気な上、ウリバエも明らかに好んで群れていたのに、である。

この現象の本当の要因は解らないし、実際には薬剤の効果があったから死んだ可能性もある。
だが、それまで普通そうに食べまくっていたし、そもそも死骸を確認していない。

個人的な見解では、おとり作物が段々「不味く」感じられて来た頃合いで、「仲間内」から得た情報などを頼りに、近くにあった通常の作物に「集団移動」した可能性が高いと考えている。

つまり、効果があっても途中で「見切られて」しまい、結局は健全な作物に被害が及ぶのを止められない場合さえ有り得るのです。


ちなみに、例のおとり作物に結実した未熟果メロン。

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途中でウリバエに放置されてか、地味に生育が続いていたのでした。


何にせよ、仮に上の推察が正解だとすれば、かなりの学習能力と危機回避能力と言えるのではないだろうか。

実はウリバエ、発達した知能を持っているんじゃ…。
もしやテラフォーマー?



🌑ウリバエの生命力🌑

ウリバエは防御力が高いだけでない。
成虫でも体は極小なのに相当にタフ。
実は、ちょっとやそっとじゃ死なない程、とてつもない生命力があります。


その証拠として、当プロジェクトでの駆除の際、「指先で潰した」程度では一瞬動きが止まるだけで、実は暫く経つと復活して飛んだり、再び作物に留まるなどの例を多数目撃しています。

もっとハッキリと言えば、「体もろとも磨り潰す」位のダメージを与えない限り死なない。
それ位の打たれ強さがあると考えて良いかと思います。

従って、もし皆さんが「軽く踏んづけた」とか、「ハエたたきで叩き落とした」程度で完了したと認識していたとすれば、しれっと再活動をしている可能性が非常に高いでしょう。
無論、それらがメスなら、産卵まで漕ぎ着ける事も不可能では無いと思われます。


更に、これら潰した個体の約半数以上は、黄色い卵を持っていた。
則ち必然的に、それだけメスの個体が多く、産卵する数も多い事になる。


ちなみに、オスメスの見分け方は定かではないが、概ねパツパツに丸っこく太った個体ほど抱卵している確率が高く、こちらがメスである事が伺えた。

逆に、全体的に小さめでボリュームが薄い体格の個体は卵が無かった事から、これが恐らくオスと見られる。

これらは、9月の中旬に入ると急に卵持ちの個体が減り始めた事から、概ね秋には産卵が一段落する様である。
この事から、夏場こそが繁殖期の本番となり、そこで如何に産卵を防げるかも重要なポイントとなりそうです。


ついでに、捕まえると口から黄色い汁を出して、なかなかにイヤらしい反撃を見せてきたりもします。
これが結構な量を出してくる時もあるので、何かしら敵に警戒心を抱かせる効果があるのかも知れません。


故に、僕がこれまで見てきた虫でも、実は最強クラスの生命力と防衛能力だと思いますし、実際、他の昆虫なら体が動かなかったり死んでしまう様なダメージですら生きている程です。
その上、「繁殖力」までも高い。

ある意味では甲虫界のみならず、昆虫界で随一の高い能力値だと言っても過言ではありません。
しかも、天敵さえいないのだとすれば、まさに「誰が俺を殺せる」の領域。

もはや、「肉弾戦」で潰し込むしか対抗手段が思い付かない状況でもあります。


とどのつまり、「防御力」と「生命力」、そして「繁殖力」の三段構えで強い。
これが、ウリバエ駆除を難しくさせている本質的な要因の一つだと言えるでしょう。


確かに、潰すのは可哀想な気もします。
ですが、どちらにせよ対処しないことには被害を防げませんし、解決もしませんので、これが現実ではあります。



🌑なら、どうしろと🌑

話を戻すに、この生命力の強い虫を相手にする場合。
結果として、上記の対策法を幾ら複合化しても、根本的な解決には遠い事がお分かり頂けるはず。

つまり、対症療法さえ「かなり用心」しないと失敗しかねない訳です。


それこそ、無農薬で行くなら、作物をネット等で覆って外部と隔離するか、物理的な捕獲作戦以外に効果的な対策法が確立されていないのが現状。
更に強く言うなら、如何に沢山捕まえて潰せるかが最大の防除となるのかも知れません。


しかし、それではあまりに手間と時間が掛かりすぎるし逃げられてしまう。
その間に、新手だって来るかも知れない。

これでは無限ループではないか。


ならば、これら防除の手段として他にどんな可能性があるのか?

次回は、ちょっと思い付いた方法について触れてみます。



では、また、CUL。