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食べ蒔きプロジェクト番外編 ウリバエの防除に関する仮説2・野鳥農法を立案

ウリ映えるなら、ウリハムしてみよう、ウリ栽培。


えぇ、ただ言ってみたかったシリーズです。



さて前回は、長々と実際に起きた被害や、処理法についての考察を展開。
こと家庭菜園においては、かくも厄介な特性を持った生物である事が伝わったのではないかと思います。

食べ蒔きプロジェクト番外編 ウリバエの防除に関する仮説1・被害状況と生命力

culrides.hatenablog.com



そんな中編となる今回は、更なる「防除手段」について、ちょいと思い付いた事を記してみたいなと。

それには表題の通り、「野鳥」が重要なカギを握っているのですが、一応これまでの観察に基づいて導き出した内容となっており、まるっきり根拠が無い訳では無いと思います。

ただし、ハッキリ言えば相当に突飛な話となり、実現性もかなり低いアイデアになろう事は間違いなく、果たして参考になるかも謎です。


従って、「もし出来たらゴイスー」。


程度の軽い気持ちで読み進めて頂ければと思います。


では、本題に参りましょう。



🌑アイガモ農法インスパイア系「野鳥農法」🌑

とにかく生命力は強いし、繁殖力は強いし、天敵も居ないし、なかなか死なないとしても、何処かに必ず「思わぬ伏兵」が存在するはず。

ウリバエが自然界で暮らす生命である以上、必ず弱点があるはずなのだ。


そこで思い付いたのが、「鳥」の食事風景である。



「いや、天敵がいないんだろ?」



と思われる向きがあろう事は承知の上。

しかも、この仮説が正しいかも全く未確認であり、まして効果すら無い可能性が高い事も、お断りせねばなりません。

しかし、この鳥について思い当たる節を、一つの仮説として記してみたいのです。


簡単に結論から言えば、「アイガモ農法」的な手法を応用出来ないのか。

これと、今回のプロジェクトで発見した要素を組み合わせて纏めてみましょう。



🌑野鳥農法に至った理由🌑

勿論、アイガモ自体を使う訳では無く、先ずは「代役」となる鳥を起用します。


その対象となるのが、主に「スズメ」や「カケス」、「シジュウカラ」などに該当する、ポピュラーな小型の野鳥。

今回は便宜上、「スズメ」を例に話を進めます。


それで、このスズメがミミズなどの虫を食べているシーンを見た事のある方は、比較的多いはず。
その中で、とりわけスズメの大好物となる昆虫がいます。


それが、この「アオバハゴロモ」と言う虫。

イメージ 1



このハゴロモは、比較的どこにでもいる非常にポピュラーな昆虫なのですが、とにかくスズメはこれが大好きで仕方無いらしい。

どれくらい好きかと言うと、ハゴロモが必死に逃げても執拗に追いかけ回し、捕らえるまで絶対に諦めないほど。

その例としては、ハゴロモが草むらの陰や樹木の隙間に逃げ込んだとしても、スズメはその中に突っ込んで行く。
あるいは道路上に飛び出しても、車に邪魔されない限りは突っつき回し続ける。

恐らく、野鳥の観察をされている方なら、この場面を一度は目撃しているはず。


実は鳥にとって食事は重労働の一つ。

そもそもスズメの様な小型の野鳥は、飛ぶエネルギーの消費が激しいので、基本的に手近で手軽な虫や木の実を好んで食べている。
なるべく無駄なく効率的に食べた方が、余計な体力を消耗せずに済むし、繁殖にも有利なはず。
また、闇雲に追い回せば、自分が外敵に襲われるリスクだって高まってしまう。

つまり、スズメ的にアオバハゴロモとは、それほどの労力を費やしてまで食べたくなる味らしいのだ。


何がここまでスズメを駆り立てるのかは判然としない。
ただ、理由として考えられるとすれば、ハゴロモセミの親戚筋にあたるので、実は脂肪分が多く栄養価が高かったりするのかも知れない。

要するに、美味しいのでしょう。

イメージ 3



ここで判るのは、スズメにも味の好みや偏食の傾向があり、それに対して貪欲である事。

では、仮にこの対象物が大量にかつ、手軽に食べられるのだとしたら?

そして、それがウリバエになったとしたら?

これをポイントに更に話を進めます。



🌑野鳥はウリバエの味を覚えるか🌑

もうお分かりかと思いますがズバリ、これらスズメや野鳥にウリバエを食べて貰う事は出来ないのか?

もっと言えば、メインの餌にせよサブの餌にせよ、彼らの「主食」の一つとして、その味に「馴れさせる」事が出来れば、かなり画期的な防除になるのでは?

そんな風に考えるので御座います。


「だからウリバエには天敵が居ないし、不味いからスズメが食べないんだろ?」


と言われてしまいそうですが、それも然りです。

現段階でウリバエを食べるシーンを見た事が無い以上、結局は好き好んで食べたい虫でないパターンが想定されますし、実際にマズイと思われているのかも知れません。

それこそ前編で記した様に、捕まえると口から妙な黄色い汁を出すので、そこに含まれている成分を野鳥が嫌っている可能性も非常に高いと言えます。


しかし、しかしです。

それは過去に殆ど補食シーンの目撃例が無いだけであって、実際にスズメは「味そのものを知らない」から、単にスルーしている可能性だって充分有り得るはず。

ましてや、既に美味しい虫に馴れ親しんでいるからこそ、あえて捕食しようとしないのだとすれば、それは人の「食わず嫌い」と大して変わらないとも考えられる。

もし仮に、そうなのだとすれば、どうにかして味を「覚えさせる工夫」も可能なのではないか?

言い換えれば、最初こそゴーヤ等が苦くて慣れない人でも、いずれ「大人の味」みたいな感覚になるとしたら?

あるいは、スズメもそれぞれ味の好みが分かれているなら、ウリバエの汁も含めて「この独特な風味が好き」みたいな、特殊な味覚の個体も現れるのではないか?
それら好みに個体差があったとしても、「なら、俺も食べてみようかな?」と、やがて「普通の光景」としてスズメの間でも定着しうるのでは?


これらの可能性こそ、野鳥農法のキモとなる部分なのです。



🌑野鳥農法の手順イメージ🌑

野生の環境下ではウリバエに興味を示さず食べないのだとしたら、味を覚えて貰うには、何しろ「餌付け」しか手段が無さそうではあります。

これら野鳥を誘き寄せる場合、例えば定位置に餌箱を仕掛けて、植物の実やタネを定期的に入れて食べさせたり、中には鳥の餌や雑穀、パンくずなどで餌付けに成功された例も時折聞かれる。

つまり、この手段は既に成功例が確認されていて、効果も確かだと言えるはずです。


ただし無論、これらの餌付けは、鳥が増えすぎてフン害が発生するなど近所迷惑となる可能性が高く、また自治体などの条令に抵触する場合もあります。
更に、餌箱だけでは無く、無関係な作物すら食べられてしまう恐れもある為、菜園内の植生環境についても注意が必要となるでしょう。

従って、その「加減」が非常に重要となり、実行には慎重さも求められます。


ならば、それらデメリットを極力排しつつ、確実にスズメや野鳥にウリバエの味を覚えさせるとすれば、どの様な手順が考えられるのか?

私なりに考えた一連のフローを、以下に纏めてみました。


1、手頃な餌箱となるトレーや小皿と、鳥の餌、雑穀、パンくずなどを用意する。
今回の場合、トレー類はこぼれにくい深皿が最適。

2、餌箱にエサを入れる。
それをウリバエがいる作物(カボチャなど)に近い位置の、一番目立ちそうなスペースに置く。

3、鳥の飛来が確認出来たら、すかさずハゴロモとウリバエを幾つか捕獲し身動きを封じる。
この時、確実に動きが止まる程度のダメージを加えておき、深皿のトレーを使うなど餌箱から出られない様に工夫する。

4、それら好物の昆虫と、味を覚えさせたい(駆除したい)昆虫を、餌箱の中に紛れ込ませる。
または、エサの匂いを擦りつけたり、パンに練り込むなどで「味付け」してみる。

5、そのまま暫くの期間、1~4を繰り返し継続する。

6、この期間に、飛来する野鳥の数と種類、そして菜園に居る害虫の生息状況や分布率を確認。
実際に野鳥が害虫を捕食しているかをチェックする為、それらが始めと現状で如何に推移したか観察してみる。

7、スズメが餌箱のウリバエを捕食しているシーンを目撃する様になれば、一先ず成功。
ただし、一時的な気紛れや仕方無く食べた可能性もあるので、引き続き餌付けを継続する。

8、次に菜園でウリバエを頻繁に追い回す様になれば、「メイン食材」に昇格したと判断。
餌付け用のエサを減らす。

9、ウリバエとハゴロモの発生期間中は味に馴らす為、シーズンオフまで絶えず捕獲し餌箱に投入し続ける。
確認は困難だが、そのまま親鳥が雛に与える段階まで行ければ理想的。

10、晴れて「次世代」のスズメにもウリバエの味覚が引き継がれ、自動的に捕食モードが周辺地域にも伝播して行く。


と、上記の様なイメージです。


これらを例えて言うなら、「野菜嫌いな子供向けに、ハンバーグに野菜を混ぜ込んで食べさせる」、みたいな感覚に近いかも知れません。

それこそ、味を覚えさせたり慣れさせる為なら、上記以外にも様々な方法を試して良いかと思います。
とにかく、野鳥にウリバエを食べてもらえたら成功なのです。


尤も、これら手順が本当に上手く行くかは未知数であり、全くウリバエに興味すら示さず、単なる餌付けに終始する可能性は大いに有り得ます。
何度も言う様ですが、確信がある訳では無く、状況から推察される仮説と妄想の域を出ないからです。


実の所、当プロジェクト中に上記を試験的に実行してはみたのですが、根本的にスズメや野鳥が来ず、検証自体が成立しない状況が続いてしまいました。


この時、試した道具の一例。

イメージ 2


箱は「釣りの餌箱」を流用しているのですが、蓋の開閉が簡単で使い勝手が良いです。

中に入ってる餌は、適当な雑穀。

ここに数匹のウリバエも混ぜ込んでいたのですが、ほどなく全員復活してしまったらしく、仕掛けた次の日には一匹も居なくなっていた。
前回に記したウリバエの生命力の強さとは、ここでも発揮されていた訳です。


何にせよ、いくらゴタクを並べたとて失敗した事には変わりません。
なので、個人的な経験談としてのフィードバックが得られていないのが正直な話ではあります。

また、結果的にアオバハゴロモとウリバエをセットで捕獲しなければ成立し難いなど手間が多く、手軽とも言い難い。

ましてや、どれ位の期間で野鳥が味を覚えるか、餌箱を外した途端に現れなくなるかなど、我ながら疑問点は尽きません。


まぁ、ある意味では半分ファンタジー的な妄想みたいなモノですが、基本的にウリバエ対策自体が効果不明な対症療法ばかりな訳ですし、どうせなら「何もしないよりマシ」程度に試す価値はあるかなとも思います。

もし、この記事をご覧の皆様の中で、同じくウリバエの被害に見舞われている方がいらっしゃるとすれば。

一度、これらの手法を試して頂いたりなどして、もし効果が確認出来たあかつきには、何かしらの形でお知らせ下さると幸いに思います。



次回は後編。


これら防除手段を検討して行く中で、最も本質的かつ、恐らく現段階における究極的とも呼べそうな結論を述べてみたいと思います。



では、また、CUL。