CULrides カルライズ

発見と探究そして文化。そんな諸々の話。

食べ蒔き作物プロジェクト報告書 10月上旬の様子とゴーヤの収穫

ウリバエに関する番外編を挟み、当プロジェクトも遂に10月に突入。


前回は謎の昆虫ラッシュ(?)が起きるなど、9月下旬にして様々な現象が立て込んでいました。

9月下旬の様子前編 トマトとモスラ

culrides.hatenablog.com



そして、遂にカボチャの収穫が終了し、株も引退を果たしました。

中編 カボチャの収穫ファイナル、そしてタネと免疫力の仮説

culrides.hatenablog.com



また、同じく一気に枯れが進んだスイカも、そろそろ引退かと言った様子。

後編 スイカとゴーヤと昆虫と

culrides.hatenablog.com



まぁ、昆虫やら害虫やらの話題が大半ではありましたが、それはそれで賑やかだと言え無くもなく。
いや、別に害虫で賑やかになって欲しくはないんだけどもね。


そんな9月も過ぎようかという折。

この10月に入ったド頭に、大型台風24号が列島を縦断。
我が地域も倒木だの何だのと被害は甚大なものとなり、まさに大きな爪痕を残す事となりました。

被災された方々も多かった事を思えば、一刻も早い立て直しを願わずにいられない昨今です。


さて、その台風一過で更に気温が下がっていた中ですが、残りの作物達は如何にして過ごしていたのか。

早速、記して参りましょう。



🌑10月上旬🌑

🌑トマト🌑

台風24号の暴風雨に晒された翌日、様子を確認してみると、ものの見事に全ての株がなぎ倒されていた。


これまで固定していたヒモやら何やらが全て引き千切れ、根元からグニャリとひん曲げられている姿は、見るも無残。
なにげに今までの台風と強風に耐えていたのだけど、流石に今回は抵抗の余地も無かったのだろう。

当然、直後の株はクタクタである。

イメージ 1

※ご近所との兼合いで株全体が写せませんので、一部だけ撮影しています。


ちなみに、9月下旬の前編で見つけた巨大な幼虫は台風後に居なくなっており、また、他の株にも移動した様子が見られなかった。
暴風雨に耐えきれなかったか吹き飛ばされたのか、どうせなら成虫の姿も見てみたかったものである。

結局これを期に、他のガの幼虫らしき生物も一掃される事となり、トマトの苗に再び平穏が訪れる事となる。
台風の威力が、逆の意味で作用した訳ですな。


しかし、意外な事に、それ程の被害を受けても株は全て生存していた。
すかさず株を起こして姿勢を修正し、改めてヒモで固定し直した所、更に次の日には概ね回復。

あの暴風雨を受けて無残な姿から回復するトマトって、意外と根本としては雑草並みに生命力が強いらしい。


それでまた前回は、「立派な脇芽」が折れている現場を発見。
やたら大きいので捨てるには忍びなく、結局挿し木に転用していた。

イメージ 2


これも台風に耐えてくれたのだけど、後はどれだけ成長するやら。
植える場所もエコノミークラス並に狭くなってしまったし、そろそろ時期的に厳しくなりつつある様には思えるが、どちらにせよ試してみるしかあるまい。


その一方、台風以降の回復は順調そのもので、幾つかの株に結実を確認。

イメージ 3


それなりに数が纏まっており、ここに来て急に開花数も増えている。


この要因を探るに、暑さが一段落したから本来の元気を取り戻したと見るのが妥当な線だろうか。

実際問題、8月の猛暑日が続いた中では大した変化は無かったし、その頃に疲れた体調とか「テンション」が9月まで尾を引いていたとすれば辻褄が合う。
要するに、6~7月頃の様な「適度な気温」に戻ったから、結実し易くなったのだろう。

あるいは、前回の摘芯が効いているとも言え無くもないが、何れにせよこの間に後どれだけ着果させられるかが、今後を左右しそうである。

となれば、この期を逃す手はなさそうだし、人工受粉も適宜行ってみよう。
これから寒くなれば、ハチやチョウなどの昆虫も少なくなるだろうからね。


でもって、ここで一つ別の話題。
トマトの脇芽から株分けした苗と、その成長率で発見した話を続けてみます。


今回挿し木した「立派な脇芽」の株から、それぞれ別の時期に脇芽の挿し木で株分けした苗が2本あるのだけど、これらは何時の間にか1m50cmほどに背丈が伸び、傍目には立派な姿をしている。
この親となる株は元々大きいので、脇芽も元気で大きいのは解る。

ただ、それら以外の幾つかは、定植から殆ど伸びずに小さいままの姿をしていて、成長そのものが遅いか停止している様子が見られる。

また、長く伸びてはいるが、やけに茎がヒョロリと細く、自立出来ずに根本から地べたに垂れてしまっている個体もチラホラ。
どうでも良いが、これを見て思わず「アンガールズ」の二人を思い出す。

で、これら苗の比率を数値化すると概ね、2(大きい苗):4(中くらいの苗):4(小さい苗)となり、個体により生育状態に大きな差が出ている様子が伺えた。

そして、この成長比率に対応する形で開花数と着果数も比例しており、当然、小さな株ほど両者の数は少なくなる。


この要因を探るに。

・大きなグループは、「元から大きい株の元気な脇芽」から派生した個体。
・中くらいの垂れているグループは、「元から大きな株の貧相な脇芽」から派生した個体。
・小さいグループは、「元から小さな株の脇芽」、または「大きな株の小さく短い脇芽」から派生した個体。


などのパターンと考えられるのだけど、中段の「貧相な脇芽」とは、茎がヒョロ長く間延びしていて、葉の数が少なく勢いも不足気味な芽。
下段の「小さく短い脇芽」とは、見た目に葉は多くて太いが、その割りに短小気味などの特徴があります。

つまり、これまでにも記した通り、「元から大きな株の元気な脇芽」で株分けした方が、後々の成長率も高い傾向にあると考えられる訳です。

参考記事
トマトの挿し木

culrides.hatenablog.com



無論、上記は目安程度ではあるので、実際は更なる細かな違いがあるとは思われます。

ただ、脇芽として生えている段階でも、長短や強弱の違いが出たままの姿で成長を続けたりもする。

ならば何故、短く貧相な芽を生やす労力を使う割りに、さっぱり開花と着果をしないのか。
これでは、無駄に生えているだけになってしまうだろうし、脇芽の分だけ無駄なエネルギーを使ってしまうだろう。

要するに本来、効率的に子孫を残すなら、最初から元気で着果し易い脇芽だけ生やす方が好都合のはずなのだ。


この状況から推察するに、恐らくは本来、脇芽とは「メインの茎」がダメージを受けたり、何かしらの要因で着果しなかった際の「予備」の役割りがあるのかも知れません。
また、全部を成長率の高い元気な予備にしてしまうと、今度は本当に株全体が疲弊してしまうので、あえて強弱がつけてあるとも考えられます。

すると恐らくは、「元気な予備が全滅」するなどの最悪な事態になって初めて、弱かった予備が「本命」に成り代わるのではなかろうか。


そしてこの理屈に倣えば、元から元気な株でも「優先順位の高い予備(本命)」と、「優先順位の低い予備」が生えるように設定されていて、どの予備で株分けするかによってもパターンが細分化されて行く事となる。

つまり、既に「優先順位が決定済み」である脇芽を挿し木すると、「切除した段階の性質」のまま成長率が決まると考えられる訳です。

その見分けをせず株分けしたから、今回の様なバラつきが出たのかも知れない。
となれば当然、その中で「最初から優先順位の高い本命予備」の方が、後の成長率も高いのは言うまでもありません。


などと、分かった様なクチで講釈を垂れておりますが、肝心なのは着果させる事に尽きます。

これらの事実が判明したにせよ、結実から収穫まで持っていけなければ意味が無いのだ。

果たしてまだ何とかなるのか。

そんなこんなで様子を伺いつつ、また次回に続きます。



🌑スイカ🌑

前回までに生えた新芽も、結果的にはウリバエの餌食となってしまい、これ以上の生育は望むべくも無い情勢。
以降はゴーヤの身代わりとして、何とか引き付ける役割りを任せるのみではありました。


なのだけど、結果的には台風24号の暴風雨にトドメを刺される形で、全ての株が終了する事と相成ります。
それはものの見事に、その役目を終わらせるかの如く一気に、地表の株をズタボロに掻き回して行ったのでありました。
この時点でもう、回復の見込みなどある訳が御座いません。


そんな訳で引退ついでに根を抜き、ウリバエの幼虫が居ないかを確認してみる。

イメージ 4


これまたキレイさっぱり姿無し。


実際の所、これまでに抜いたスイカは全て無事で、寄生されている様子が伺え無かったのが印象的。
また、株が枯れて吹き飛んでいても、まだ根は瑞々しさを保ってもいた。

前回の番外編でも記した様に、やはりスイカは他のウリ科に比べてウリバエに対する耐性が高く、元々の生命力も強いのだろう。

参考記事
ウリバエの防除に関する仮説3・作物の生命力よ、再び。~愛を取り戻せ~

culrides.hatenablog.com



上記は長々とした記事なのですが、一連の内容と今回の根の状態を符号させるに、いっそう仮説への確信が深まるのでした。


とまぁ、これにてスイカも完全に引退。

サイズはどうあれ、果実の味も楽しめた事ですし、振り返れば案外、成功と呼んでも良い結果を残せていたんでは無いかと思います。

また、ウリバエの生態と作物の生命力に関するフィードバックを得られた点においても、学術的な意味で大活躍してくれたのは間違いありません。


いやはや、ここまで本当にお疲れ様でした。

そして、ごちそうさまでした。



🌑ゴーヤ🌑
※画像については、近隣との兼合いで株全体が写せませんので、一部分だけ撮影しています。

夏頃の回復処置が効いてか、その後は順調に開花と着果を確認。
そして前回の9月末までに2つ、正常な果実の結実に至りました。

その内の1個はワラジムシに軽く噛られつつも、早期の発見と防除措置により事なきを得るが…。


ここに来て台風24号が接近。

本来なら取り込むべきタイミングであろうし、外に放置したままでは本当に吹き飛ばされかねない。
だが、収穫にはまだ早い様な雰囲気もあったりで、大いに迷う。
故に、株の耐久力を観察する意味も込めて、一か八かで放置してみる事に。


ほんで、台風一過の後に株を確認すると、これがものの見事に果実を残して株がボロボロに。
辛うじてツルは固定されていたが、葉は暴風雨に打ち付けられてしまい全滅。

イメージ 5


耐久力を確認してはみたが、やはりシーズン後期の台風には敵わないのか、たった1日で株全体が丸裸にされた様な、あるいは枯れ込んだ姿に早変り。

イメージ 6


イカ同様に、一気に終了まで追い込まれた形である。


その一方、台風でズタボロにされた後の株に、2つの果実だけがポツリと寂しくツルにぶら下がっていたのだけど、よく千切れ飛ばなかったものだ。
逆に言えば、あれほどの暴風雨に晒された中でも、果実を最後まで守り切るだけのタフネスを発揮した姿は誇らしくもある。

何だかカッコイイぜ、ゴーヤの散り際。


と言う訳で、これで見切りを付け収穫。

イメージ 7


小さいながらも、合計2個の取り込みに成功。
右の小さいサイズが、前回ワラジムシに噛られた個体。

イメージ 9


その虫食い後は、想定通りキズの表面が塞がれた風に変質していた。
これ以上、キズ口からダメージが進まない様に、色々な生体機能が働いたんだろうなぁ。

左の方は、当プロジェクトでのゴーヤでは最大サイズとなる。
まぁ最大と言っても、市場に出回る普通サイズの半分ほどの大きさ。
今回の2つ両方合わせて、やっと普通サイズの重量感となる感じだ。


ただ、まるっきりダメージが無い訳では無く、2つとも先端部が軟化していて、やや傷み気味。

イメージ 8


多分、強風でぶつけた所から雨水が染み込んだりしたのかも知れない。
っても、別に問題ない程度ではあるけど。


初回から実に、おおよそ2ヶ月ぶりの収穫。
栽培開始から約5ヶ月。
これは案外、頑張った方ではなかろうか。

その最初の収穫時。
8月上旬~中旬頃の様子と初収穫

culrides.hatenablog.com



初回もかなりのミニサイズではあったので、ある程度は思った通りの結果ではある。
元々のタネの性質や栄養状態など様々な要因は挙がれど、どちらにせよ現状までのサイズまで成熟させるのが限界だったのかも知れない。

しかしながら、今回の株から一度に2個収穫出来た事実は、それなりに特筆に値する事例かとは思われる。
しかも、その初回と比べれば一回りほど大きい果実となっているので、途中から成長率も上がっていた事は確かと言えるだろう。

何せ貧弱な苗で、たった一つ結実しただけで、一度は完全に枯れかけた所から復活しての現在だ。
この期間までの曲折を思えば、ガンダムアムロで言う、「こんなにうれしいことはない」の境地である。


それで、残された株については、根と親ヅルだけまだ生きていたので、何となく抜かずにいた。
正直、この現状と今時期から更に子ヅルと葉が生えるとは考え難いのだが、ささやかな希望と限界への挑戦を込めて、枯れた箇所を全て剪定。

かつての回復処置を踏襲した後、もう暫く見守る事に。

肝心の味については、次回の別記事にてレビュー致します。



そんな訳で、すったもんだで害虫から台風を乗り越え、辛くもサバイブした食べ蒔き作物たち。

まだもう少しだけ、収穫への兆しを覗かせる様に、新たな結実を始めている状況ではあります。

果たして、成熟まで頑張れるやら、ヌカ喜びで終るや否や。

その経過は、また次回以降にて。



では、また、CUL。