CULrides カルライズ

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食べ蒔き三期生ダイジェスト 11月上旬後編・トマトの経過観察

前編ではゴーヤの連作障害と、そこに寄生していたワタヘリクロノメイガa.k.a.ウリノメイガ、略してメイガーの話でボリュームを割いてしまった。
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この後編ではトマトの様子を記して参りましょう。



さて、寒さが本格化して行く中にあって、毎年一定の生育を維持しているのがトマトである。
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意外にも、今期の序盤から夏までは成長率が低く、開花してもサッパリ結実する気配が無かったので半ば諦めムードであったのが、結果的に最後まで生き残る事に。
この展開は予想していなかったので、うれしい誤算ではある。


ただ、果実については10月上旬の記事で記して以降、気温の低い日が続いているので殆ど変化が無いままだったりする。
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果たして本当に収穫まで行けるのか、毎年この時期は余談を許さない状況が続く。
とにかく、ひたすら「待つ」しか出来る事が無いので、なおさらヤッキー&モッキーさせられるのだ。



基本的にトマトは夏野菜のイメージが強いし、通常の農園などでも、特に露地では夏を中心に栽培されているシーンが多いはずだ。
実際、梅雨から盛夏にかけて成長率が上がるし、気温の高さと相まって果実の成熟も早くなるので、収穫にも有利である。

しかし、当プロジェクトでは8月の収穫後に一度小休止を挟んで、9月から再び結実して11月から12月にまた収穫すると言う、いわば「二期作」みたいなサイクルで栽培出来るらしい現象を確認している。
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また同様に、芽かきされた脇芽を挿し木にしてクローン株を作る事で、更に収穫量をアップさせる事にも成功していた。
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このクローン株のメリットは、概ね7月中までに用意しておけば秋の収穫にも合わせやすくなり、さらにシーズン中に継続して予備を作っておく事で、常に若くフレッシュな株で栽培を継続できる事。
かなり簡単な方で株分け出来るので、やってみて損はありません。



ちなみに、クローンの元になる「親株」については、盛夏に収穫した後で、体力の回復が遅れる現象も確認されている。
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この原因は恐らく、「夏の暑さ」と「結実のエネルギー消費」が重なる事で起きているものと考えられる。
それ故、盛夏に収穫した後ではバテ過ぎてしまい、再び結実するのが遅れて秋からの収穫に間に合わなかったり、最悪はそのまま枯れてしまうパターンもある。


一方、クローンは盛夏に成長しながら、その暑さが一段落した頃から結実するので、体力消費を抑えながらの生育が可能。
これにより、親株より寿命が長く、結実数も多くなりやすい傾向にあったりする。

つまり、これら「適度な気温」と「挿し木のクローン」と言う条件を揃えて栽培すれば、今の手持ち株を最大限に活かしながら収量を上げられる可能性がある。

と言う訳なのだ。



上記から考えると、どうやらトマトの旬とは盛夏と言うよりも、その前後の「気温が落ち着いたシーズン」が最も高活性らしい事が解ってくる。
更に、挿し木に対する回復力が高い点からして、本来なら雑草並の生命力を持っているであろう姿も浮き彫りになる。


それを裏付ける様に、下の個体は今期に直播きされた個体の一つで、盛夏を過ぎる頃にはヘバって枯れそうになっていたのだが、この秋に入ってから再び脇芽が成長を始めていた。
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ちと判りづらいが、上の画像の下側を左右へ横切る様に真っ直ぐ延びているのが元々の主枝で、完全に地面に倒れこんでいる状態。


その折れ曲がって倒れた主枝(幹)の途中から脇芽が枝分かれ。
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そのまま逆T字形に真っ直ぐに成長し、青々とした枝葉が生えて開花から結実するまでに回復。
それはまるで、再起不能に陥った主枝に取って代わるが如く、この脇芽が「メイン(主枝)」に昇格したかの様でもある。


ちなみに、脇芽がメインに昇格するメカニズムについては、2018年の一期生でも考察しているのでご参照を。
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もっとも、今期の個体に関して言えば、元々の成長率が低いものなので、いくら脇芽から回復したとて収穫まで望むわけには行かなそうだ。
結局のところ「脇芽の成長率は親株の成長率に依存する」傾向にあるため、それを覆すのは難しいのが現実である。

ただ、いずれにせよ、お手持ちのトマトが「バテて枯れてしまった」であるとか、「なかなか成長してくれない」と言った症状があったとしても、気温との兼合いで回復する可能性はあるので、諦めず見守りを続けてみる価値はあるかなと。


そんな訳で、今期もまだまだ検証が続きそうである。




では、また、CUL。