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食べ蒔き作物プロジェクト報告書 発芽行程 トマト・メロン編

さて、初回は栽培した品種について、そして前回までは土作りと肥料の話題を中心にお送りしました。


今回は表題の通り、「発芽行程」について。


先ずは、トマト、メロンの発芽において、具体的に行った方法を記述します。

正直、時期的な詳細はアヤフヤな部分も多く、画像も後日になり撮り直したものが大半なのですが、実際にやっていた作業や出来事については忠実に再現したものとなっております。

あくまで自己流ですが、何かしらご参考となれれば幸いです。

では、いざ。



🌑4月上旬~中旬頃🌑

最初にトマトのタネを蒔く。

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品種はランダムに、昨年度食べた二種類ほど無作為に採種したタネを使用。
表面を覆うゼリー状のヌメリには、発芽抑制物質が含まれているとの事で、しっかり洗って保存していました。


発芽にあたり用意したのが、この玉子の空きパック。

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家庭菜園では、細かなタネの発芽によく利用されるアイテムだそう。
確かに、蓋を閉じれば温室効果もあるので、理にかなっています。

ここに土を入れたら、指の第一関節程度の深さまでタネを埋め、上から土を被せ水をヒタヒタになるまで注ぐ。
管理方法としては、出来るだけ温度が一定になる様、日中は屋外に出し、夜間は屋内へ仕舞ってを繰り返していました。


この時は約2週間ほどで発芽したのですが、概ね発芽率は40~50%と言った具合。
事前情報通り、あまり発芽率は良くない様子で、結構埋めたはずが生えたのは「パヤパヤ」程度。

特に、4月はまだ気温の低い日が多いだけに、なかなか芽が出ずヤキモキとさせられたが、発芽自体は割りと一斉に始まったので一安心。


発芽が確認出来たら、玉子パックから丁寧に掘り出し、お次に紙コップへ移植。

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植物は根を張れる場所の「範囲」に合わせて成長率が決まるので、成長に合わせてコップ(ポット)も大きくするのがセオリーと言えます。


ちなみにこの時はまだ株自体が非常に小さい上、パックの枠が狭いので、「使用済みのスプーン」を使う方が繊細な作業に適している気がします。
根を傷付けぬ様、そして根が隠れる程度に植えたら直ぐ水を注ぎましょう。

注意すべきは、外気温が低い場合、このまま野外に放置していると枯れる恐れがある。

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なので、適当な空きプランターに紙コップごと入れ、その上から透明なビニール袋(ホットキャップ)で覆う事で、温室効果を与えます。

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また、端は風に飛ばされぬ様、プランターの底に挟み込めば意外と耐えてくれます。
当然ながら、プラスチックより「陶器」の方が比重が重いので、より飛ばされ難くなる。

一見、いい加減そうな装備ですが、これがかなり効果的らしく、晴れた日であれば直ぐに結露が発生するほど暖かくなり、冷える夜間でも効果が持続していました。


紙コップで約10cm程に成長したら、次にポリポットへ移植。
こちらもプランターの中に置き、ビニール袋をかけておきます。

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ただし、玉子パックもビニール袋も、ずっと被せたまま放置していると、逆に温度が高くなり過ぎて「茹でられて」しまい、あっという間に枯れてしまう場合があります。
特に野外で管理する際は、「日照」の加減が重要となる。

なので、置き場所にも気を使わないと、予想以上に高温となる場合もあるので注意が必要です。
と言うか、後述のスイカとカボチャでやらかしてしまいました。


対策として、ビニールの側面や天井には、ボールペン程度の空気孔を数ヵ所設け通気を確保する方が良いかも知れません。

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これでも熱が籠る恐れがあるので、概ね2日に一回程度は、空気の入れ換えと水遣りを兼ねて開ける様にする。
また、晴れた暖かい日中は開けておき、冷える夜間や雨曇時は閉めるなど、マメな作業が必要となります。
玉子パックの場合も同じですが、これは蓋を開閉するだけなので簡単です。


発芽~苗の段階で実感したのは、この期間までは成長自体も遅く、なかなか大きくならないので、とにかく管理が難しい事。

根本的に低気温では生育しない特性を持っているだけに、いつまでも小さい株を見て「このまま萎れるんじゃマイカ」などと心配になるのだが、焦りは禁物。

6月に入ると急激に成長を始めるので、外気温が定植に適するまではじっくり保温管理に努めるのが最大のコツと言えそうです。


これらの方法で発芽した苗は4本ほどとなり、一応のところ全て定植まで漕ぎ着けています。

コップに移植した頃合で、成長の良い株と弱々しく小さな株がハッキリとするのですが、あえて間引きせず、比較実験の意味も込めて全て定植する事に。
無論、本来の目的は、受粉用と花粉を媒介する虫を誘引する為だ。

しかしながら、この時。
これからトマトには手強い対応を強いられるなどとは、露ほども知る由がなかったのである。

こちらの経過は、以降の記事にて。



🌑4月中旬~下旬頃🌑

メロンのタネを蒔く。

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確か記憶では、タカミメロンとユウカなる銘柄の二種類を使用。
どちらも比較的ポピュラーなネットメロンと言え、美味な品種としても知られています。
発芽方法と紙コップへ移植する流れは、トマトと全く同じ。


概ね1週間ほどで発芽し、その確率は70~80%以上ありそうな高水準。

意外と簡単に生える事は知っていたのだけど、蒔き過ぎると逆に間引きや苗の整理に手間取ってしまう程でした。
また、トマトと比べ成長が早く、比較的容易に管理出来る印象さえ受けます。


こちらは本葉が出た段階で紙コップに移植したら、使っていなかった「虫かご」に纏めて収容。

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そして保温用に、その上からビニール袋を被せる。
ビニールは適当に、透明で大きいポリ袋で大丈夫。

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こちらは、苗が複数ある場合、非常に便利。
プランターで一つ一つ管理するより効率的。


使う虫かごの形状は、より沢山収容可能で、苗が成長しても天井に当たりにくい「幅広で深底タイプ」ならば、なおさら言う事ナシです。
勿論、四隅に「支柱」を据え付けるなどで改造するのもアリだ。

この状態にて、トマトと同じく、昼夜や天候に合わせビニールの開閉を調整しつつ、定植の適期(今回は6月下旬頃)まで保温しました。


一方の、全く発芽しないタネを潰して観察してみた所、何故か腐臭を放つほど腐っているパターンを何度か確認している。

いずれのタネも、基本的に同じ条件での保存状態であった事から、どうやら果実の中にある段階で既に強弱が決まっている様だ。
まぁ精子とか、生命の原理からすれば当たり前の話ではあるのだろう。


となるとやはり、やけに成長の早い株と弱い株の差が出るのですが、このメロンとカボチャに関しては「広いスペース」が必要となる様なので、こちらは大きな苗を選んで定植。

ただ、貧乏性なのかどうしても小さな株を捨てきれず、こちらも「交配用の花を咲かせる」のと「花粉を媒介する昆虫の誘引」を目的に、畑の枠外の適当なスペースへ定植する事に。

その後の経過は以降の記事にて。



そんな訳で、トマト、メロンのタネ蒔き~発芽が完了。

次回はスイカ、カボチャ、ゴーヤのタネ蒔きへ参りましょう。
主な手法は共通していますので、この記事とも併せてご覧下さればと思います。




おまけシリーズ。



こちらは、4月中旬に現れた、早生まれ気味なカワトンボ(のはず)。

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見た目は、前々回の個体より緑色が深く光沢も強いが、もしや同種かな?

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何にせよ、トンボと作物は相性が良い気がするので、見ていると不思議と安心感を覚える。

特に、今年の4月は急に暑くなったり桜の開花が異様に早かったせいか、昆虫が発生するのも早かった印象。
この同時期、オケラも鳴いていたけど、例年はもっと遅いはずだし。


生態系のリズム感は、些細な変化にとても敏感。
そんな観点で虫を観察してみると、また新たな発見があるかも知れません。



では、また、CUL。