CULrides カルライズ

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食べ蒔きプロジェクト番外編 果実のお立ち台

今回は経過報告の前に、ちょいと番外編。

ウリ科の果実を保護するにあたり、ご紹介したい手法について記します。

皆様が作物を栽培する際に役立つものとして、ご参考となれれば幸いです。



🌑「お立ち台」のススメ🌑


さて、前回、前々回と、結実から収穫が続き、実りが本格化して参りました。

7月下旬~8月上旬の様子

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特に、カボチャ、メロン、スイカは日に日に肥大化しており、もはや「地這い」で管理しては虫に噛られかねない状況でもあります。

8月上旬~中旬頃の様子と初収穫

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これら記事をご覧になった方はお気付きかと思いますが、そんな結実した果実を守る為の対策法を改めてご紹介します。


その方法とは、この「使っていない空きプランター」。

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これを使い、果実のお立ち台を作ってあげましょう。


使い方は至って単純。

単に、結実した果実を乗せるだけ。



なのですが、それはそれで意外と細かなコツが存在します。
以下に、その要点と理由を個条書きしてみました。



1、プランターを逆さにして、その「底面」に果実を乗せる。

イメージ 3


見ての通り物理法則的な意味で、「台形」にした方が安定するからです。
また、「足高」にする事で、より虫が登り難くなる効果も高まります。

確かに、結実したての小さい段階ならば、「カップの中」に入れてもある程度は防虫出来るのですが、油断すると大きくなって抜けなくなるし、雨で水浸しにもなり、通気性が悪くなります。

画像は、そのイマイチな例。

イメージ 4

この時は、まだ大丈夫だと思っていたんですがねー。

この状態だと、「底面」は土に着いたままなので、結局、水抜き穴から虫が入ってきてしまう。

従って、「カップの形」に作る目的でない以上は、早いうちに止めるのが吉と言えます。
あくまで、逆さにして使いましょう。


2、プランターはプラスチック製、陶器なら釉薬でコーティングされている物が良い。

イメージ 2


その理由は、「虫が登り難いから」。

もう少し解説すると、ダンゴムシやワラジムシ、そしてアリなどは、脚の「ツメ」が引っ掛かる場所に登りがち。
つまり、表面がツルツルしていればしているほど、脚の掛け所が無くなる寸法です。

これは実際に効果が高く、当プロジェクトで収穫したウリ科の果実については、殆どダンゴムシの被害に遭わずにいるか、噛られても軽微な損傷だけで済んでいます。

より滑らかな表面加工において、使い勝手はプラスチックに軍配が上がる。

ただし陶器の場合、釉薬の無い「内側」から登り、水抜き穴を通して果実に到達する場面があるので要注意。
場合によっては、更にシートなどで穴を塞ぐなど、別の対策も必要となるでしょう。

ちなみに、上記画像の左は「素焼き(釉薬無し)」の鉢ですが、足場の高い「深皿」ならば、ある程度のデメリットは解消可能ではあります。


3、出来れば大き目で、高さがあるプランターが理想的。

これは項目1、2を補足する要素となります。
端的に言えば、大きい方が逆さにした時により安定し、高さがあればより虫が登り難くくなる。

更に言えば、「大きい=質量」でもあるので、より倒れにくくなるメリットも期待出来る。
その面では、陶器の方が比重が重いので、安定感も高くなります。

選ぶ具体的な基準としては、プランターの底面の窪みに果実の「尻」がしっかり乗り、ハミ出さない程度。
このバランスであれば、強風が吹いても倒れにくく、また落下も防ぎ易い。
当然ですが、「ピンの上のゴルフボール」より、「鏡餅のダイダイ」の方が安定しているイメージとなります。

なのですが、当プロジェクトでは物資の関係上、サイズが合ってない小さいプランターも使っていて、実は「重心」さえ間違わなければ意外と大丈夫だったりします。

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また例えるなら、「ロック・バランシング」みたいな感覚でしょうか。

いずれにせよ、果実をホールドし易いプランターを使う方がベターに違いありません。


以上が、お立ち台の主な要領となります。



🌑デメリット🌑

有り得るデメリットとしては、ナメクジなどの「這う」タイプや、カメムシなど「飛ぶ」虫には、やや防御力が薄い事。

果実が剥き出しである以上、流石に完璧に防げる訳ではありません。
これらに関しては、更にネットを被せたり、果実にトウガラシスプレーなどを散布するなりで、複合的な対策が必要となるかも知れません。

また、激しい雨により地面の「弾き返し」が起きた場合も、果実に土が飛び散ってしまい、土壌の病原菌が付着する可能性は残ります。
※後半の記事に、症例が登場します。

無論、地表に近い状態よりリスクは減ると言えますし、更に足高にする事で対策も可能ではありますが、こちらも完全に防げる訳では無い事は留意しておいた方が良いでしょう。


しかしながら、上記の手法で果実を保護してからは、収穫までダンゴムシの被害は激減。
地表から物理的な距離を置く事で、虫が近付き難くくなるのは明らかな様でした。

また、「空中栽培」や「ヤグラ立て」と比べ、設備投資や物資が少なくて済み、手間も圧倒的に減るのは確かです。
特に、始めての栽培では、最も手軽で容易に設営と撤収が出来る方法と言えるかも知れません。



そんな理由により、低いシート状の台座より、「お立ち台」をオススメしたい所。

もし、地這いでウリ科を栽培している方で、果実が噛られているとお困りでしたら、一度お試しあれ。



では、また、CUL。