CULrides カルライズ

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カボチャのレビュー 最終便とまとめ

去る9月下旬。

当プロジェクトでは最後となるカボチャを、合計2個収穫。


9月下旬の様子中編 カボチャの収穫ファイナル、そしてタネと免疫力の仮説

culrides.hatenablog.com



それから少し時間を経た今回、それらカボチャのレビューをお送り致します。

果たしてどうなるやら、早速記して参りましょう。



さて、9月下旬に収穫した2個については、成熟途上で株が枯れてしまった為、結果的には非常にミニマムなカボチャとなっていました。
これらが何故、矮小化したかの経緯や考察などは過去の記事を辿って頂くとして、とりあえず現状までが成長限界だった果実となります。


その一つは、ミニカボチャ的な、あるいは「ニンニク似」な形。

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もう二つ目は、ジャガイモ的な形。
便宜上「カボジャ」と呼んでおこう。

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これらの収穫時点ではヘタが青い部分もあり、食べるに些か早い様子が伺えたので、その後は常温の室内にて追熟を加えていました。


その追熟期間について調べると、2週間~1ヶ月ほど置くのがセオリーとの事で、やがてヘタの部分がヒビ割れたり、硬く締まるなどの変化が現れるらしい。
また、表皮に白い「色抜け」が出て、オレンジ色に変われば食べ頃とも言う。
概ねこの手法が主流な様で、本来はこの指標に従うのがベストと言えるのだろう。

ただ、今回は2つとも小さな未熟果に該当する果実となる為、上の手法がまるっきり当てはまるかも謎が多く残されていた。
従って、収穫後の暫くは経過と様子を見つつ、タイミングを見計らっていたのでした。


そんな中、収穫から4週間目に突入したものの、外観上の変化は殆ど無しに等しく、全く状態を読めない日々が続いていた。

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ニンニク似の尻。

そろそろ1ヶ月も経とうとしているし、果たしてこれで良いのかも確信が持てない。

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カボジャのツーケー。


そう思い、結局は開けてみないと解らないので、一先ずはセオリー通りの期間を経た頃合いにて、ご開帳と相成ります。


先ずは、「ニンニク似」から。

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切ると中から果汁らしき水分がタラリと滲み出て来た。
まだ早いのかな?

果肉はそれなりに色付いており、艶やかではある。
その切り口に鼻を近付けると、確かにカボチャの香りがフワリと漂ってくる。
状態としては、まあ普通にイケそうなイキフン(雰囲気)。


ただ、端っこに白い箇所があるのだけど、これは一体何の現象なのか。

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調べてみると、どうやら「デンプンの塊」と言う解説を発見。
その要因を端的に言えば、天候不順による雨不足や、何かしら栄養供給に問題が起きた際に、果肉の形成に偏りが発生するらしい。

確かに、元の株は結実直後に枯れ出した上に、ウリバエの被害にも見舞われていた。
故に、成熟途上で水分や栄養供給に支障が出ていたのは間違いなく、上の説とも符号する。

しかし、こうして組織化した部位は固くて美味しくないそうなので、切除がベターとの事。
なるほどねぇ。


タネについては、そこそこ成熟した物と、中身がスカスカな物で分かれていた。

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これについては、果実自体が未熟だったので当然。
恐らく、来年に蒔いたとしても生えるのは難しいだろうし、また、正常に育つ事も無さそうである。


お次は、ジャガイモみたいなカボチャ、通称「カボジャ」。

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うーん、こちらは更に白い箇所が目立ち、正常な発育状態とは言い難い様子。
果肉も薄いのか、些かタネ周りの空間が広く感じられる。

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尤も、これは結実した時点からイビツではあったので、その点で当然の帰結とは言える。
表面上の色味は普通のカボチャと変わらないが、やはり株から来る問題は避けられないのだろう。

タネについては、1つ目より未熟気味な物が目立ち、いずれも再度蒔くには耐えられそうもない。

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これら当プロジェクトのカボチャにおけるタネの成熟度合いについては、初回に収穫した大玉サイズでも再現しきれなかった部分である。

参考記事
9月上旬の様子前編 カボチャの収穫

culrides.hatenablog.com


カボチャのレビュー

culrides.hatenablog.com



この要因は根本的に、「食べ蒔き」(実生)だから代を跨げず劣性となったから。


と、メンデルのアレ通りになるのだろう。
けど、それを解ってはいても、やはり「タネが正常に形作られない」植物と言うのは、生命体として些か切ない印象ではある。
何しろ再び採種出来ないのでは、「持続性」とか「再現性」が無いし、ましてその「先」も無い訳で。


そんなフクザツな事情はさて置き、本題は「味」である。

現状ではソフトボール大の極小サイズが2つしか無いので、分量的に色々は試せない。
白く結晶化した部位も取り除けば、更に嵩も減るはず。


なので、両方纏めて炒め物に。

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内容はドシンプルに、ガーリックとオリーブオイルと調味料のみ。
と言うか、一度目に収穫した小玉カボチャ料理(上のリンク記事参照)の「具なし」バージョンだったりで。
これなら、更に素材の食感をダイレクトに味わえます。



そいでは一口…。




ふむ…。




ほう…。




なるほど…。




そういう感じか…。




率直な感想としては、あまり味がしないと言うのが第一印象。
カボチャ自体の味は確かに存在するが、ハッキリとした甘味や輪郭は無く本当に気持ち程度である。

食感も部位により、柔らかい部分、ホックリした部分、パリッと固いウリ的な部分とバラついていて、やや散漫となっている。
無論、その柔らかい部分とホックリした部分は、それなりにカボチャ感を楽しめるが、固い部分は味も薄いので全体の風味が吸収されている感じ。
決してマズイのでは無く、単純に「パッとしない」のだ。


この色味は良好なだけに、もう一声、甘味と「イモ感」が欲しい所。

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そう言えば、昔は「カボチャイモ」なんて呼ぶ人も居た様な記憶が。
その意味でカボチャの食味とは、サツマイモや栗に似た食感こそが最大のポイントとなるのだろう。


こういった味の「乗り」が薄い野菜類は、調理後に味が馴染み、時間を経るにつれ「こなれて」来る事も多い。
例えて言うなら、カレーや煮物が代表格だろうか。

なので、冷蔵庫で一日置いた後、改めて食べてみると初日よりは風味が上がっている印象。
柔らかい部分は更に風味に輪郭が出て、固い部分も若干軟化して味も染みている。

ただ、果肉を切り分けた段階で水分量が多かったせいか、皿の底に結構な「煮汁」が溜まり、下の方が水っぽくなってしまってもいた。
今回が炒め物である事を考えれば、もう暫く追熟していれば、乾燥が進み更にホックリした質感となった可能性はある。

それでも一応、この段階に来て安定した食味が楽しめる形となった所からして、どうやら狙いは間違っていなかった様だ。
全体的に言うなら、今回はもしかすると煮物系の方が、より味の浸透や口当たりが纏まったのかも知れない。


この食味を数値化するに、普通の市場に出回るカボチャを「10」満点とした場合。

今回の2つ合わせて、「4~5」あたりと言った所。


この結果から言えば、最初に収穫した小玉サイズと同じく、未熟果では現状の食味までが限界なのだろうか。
そうだとすれば恐らく、更に追熟期間を取ったとしても、これ以上は大きく変化する事が無い様に思えてならない。

逆に、良好な成熟度合いだった大玉サイズの存在が引き立つが、カボチャに関しては一定サイズ以上まで果実を成熟させた方が味に統一感が出ると言えそうだ。


とまぁ、色々と感想を述べるに言いたい事も次々と涌き出てしまったりしますが、純粋に「野菜」として捉えれば、普通に食べられる仕上りとなったのは間違いありません。

それこそ、ちゃんと「カボチャ」として認識可能なレベルまでは再現出来ていた訳ですし、あの状況下でも収穫出来ただけ有り難い事ではあります。


何はともあれ、ごちそうさまでした。



🌑カボチャのまとめ🌑

さて、当プロジェクトのカボチャは、これにて完全終了。
株も全て抜き取り済みとなります。

栽培期間はタネ蒔きから概ね4ヶ月ほどとなり、その最後の1ヶ月は大半が枯れていたので、実質的には更に短い期間となる。


結果的に、収穫出来たのは合計4個。

その内の大半が未熟果サイズではあったが、その中たった1つだけでも大玉サイズが実ってくれた点を含めて鑑みれば、まるっきり無駄な労力では終わらなかったと言えるのでは無かろうか。

そして何より、様々な病害虫や生育不順に見舞われつつも、最終的に収穫して食べる所まで栽培出来たのは紛れもない事実。
メロン、スイカと共に、ある程度は「下馬評」を覆せる成績を残せた様に思います。


無論、「普通のタネ」を使えば、安定した質と量を確保出来たはずだとも考えられる。
だけど、当プロジェクトが「食べ蒔き」である以上、それに準じた結果とはならないであろう事は承知済みの話。

如何にすれば、実生で「食べれる作物」を収穫出来るのかを探りたい。
少なくとも、その目的だけは果たせたはずです。


また、タネの強弱や作物の生命力と免疫力、病害虫との関係性など、今回のカボチャから得られた学術的なフィードバックも、ある意味では重要な「収穫物」。
これら検証結果が今後どこかで栽培のお役に立てるのだとすれば、まさに当プロジェクトの本懐と致す所と言えましょう。

いや、まぁ本当に役立つかは謎が多いのですが、それでも一読して頂ければ新たな手法の「素材」にはなるかな、なんて。

そんな可能性を発信すべく執筆しております故、これまでの一連も宜しくご覧頂けたら幸いで御座います。



そんな訳でして、これにてカボチャは引退。

これまでの実りに感謝。

そして、今まで本当にお疲れ様でした。



では、また、CUL。