CULrides カルライズ

発見と探究そして文化。そんな諸々の話。

食べ蒔き作物プロジェクト報告書 8月下旬の様子

美味しいか、美味しくないかは別として。


とにもかくにも、「食べられる」作物が出来るかを確かめねば気が済まない。

そして、その先にあるかも知れない、新たなる真実を探り当てたい。

それが、食べ蒔きと言う試みの持つ、最大の存在価値と言えるかも知れません。


などとカッコつけてみましたが、普通に考えれば、普通の種を買い、普通に育てて、普通に美味しく食べれた方が良いのは解りきった話。

無論、当プロジェクトとて、わざと失敗しようだとか、不味く作ろうなどと言う気は微塵も御座いませんが、結果的に「なりやすい」のは事実と言えます。

それは、前回までに収穫した作物のレビューでも記した通り、その収量や食味は安定とは程遠く、かなりのバラツキとアンバランスさが目立つ点でも証明する形となりました。


しかし、何度も触れている様に、このプロジェクトでは先ず「自然の循環」を重視しています。

そして、如何にして「その環境で生命力を発揮」出来るのか。
その果てに、作物はどの様な経過と結果を見せるのか。
それらを総合的に探ってみたいと思うのであります。


故に、ひたすら試行錯誤の連続であり、これら記事をご覧の方々からすれば甚だ非効率で意味不明な部分も多かろう事とは存じます。

ただ、それでも、ここに記した「何か」が新たなヒントとなり、何処かしらで参考になれれば幸いだなと。

そんな思いで綴っております。



さて、8月も中旬を過ぎる頃になり、収穫も本格化。

8月中旬~下旬頃の様子

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メロンとスイカのレビュー

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畑の全景としては相変わらず枯れが進み、日に日に隙間が拡大しているが、そんな中でも果実は幾つか残っている。

イメージ 1


ご覧の通り、タイミング的に前回の直後となる今回も、続け様にメロンとスイカを収穫する事となります。


例によって味のレビューは別記事にて記そうと思いますが、先ずは各々の経過から見て参りましょう。



🌑8月下旬頃🌑


🌑トマト🌑

ここ暫くは、開花はすれど着果しない状況が続く。
強いて変化したと言えば、少し背丈が伸びた位か。

しかも相変わらず、せっかく結実しても熟す頃を狙われ、例によって野生鳥獣に先取りされてしまう事ばかり続いている。


この中玉サイズのトマトも、1ヶ月以上熟成を待った挙げ句、ご覧の有様に噛られてしまった。

イメージ 2


こうなっては、もはや試食する気になる訳が無く、早々と土に戻すのみである。

ついでに、便宜上「中玉」と記していますが、元々は大玉サイズからタネを採種したものです。
要は、一回りダウンサイズ化している訳ですが、そう考えると、普通の農園にあるようなトマトに比べ、株そのものも小さくなっている様子。

確かに他の株を見ても、いわゆる通常の品種より明らかに背が低く細いのは明らかだし、これは栄養だけの問題では無さそうだ。


更に、今回の中玉サイズのトマトなのだが、一つ気になる点がある。

と言うのも実は、これ迄に枯れたり荒らされたりした中玉トマトの中身をチェックしてみた所、全て未成熟な「タネの名残り」だけがあるのみ。
つまり、どうにも「タネ無し」状態で成熟している様なのだ。


見た目だけなら、この中身は瑞々しさに溢れ、果肉も美味しそうな色艷をしているのだが、何故タネが無いのだろう。

普通に考えれば、単純に「劣性」なだけであろうし、それは株のバラツキや着果量の少なさから見ても確実そうである。


しかし、片や別のタイミングで収穫した、元は同じタネから発生したと思われるミニトマトにはちゃんとタネがあったし、今回も中玉クラスまでは成熟しているので、まるっきり成長率の低い品種だけで交配された訳でも無いらしい。

しかも、今回被害に遭った株は実際の所、当プロジェクトで発芽した中で最も成長率が高く、他を圧倒する最大サイズを誇る。

実際、そのワキ芽を「挿し木」用にする為、何度か剪定を重ねているが、それでも萎れる事など無く樹勢を保ち、常に新芽が出るほどタフな株である。
当然、そこから株分けされたクローンも強い傾向が見られる。

なのにタネ無し果実となるのだから、矛盾が凄いと言うか、原因が謎過ぎる。


この表現が適切かは異論がありそうだが、人間で例えるに、「めちゃめちゃマッチョだけど不妊症」みたいな状態が思い当たってしまう。

何れにせよ、今回は果実が収穫出来たとしても、そこから再び採種するのは難しそうではある。


ただ、それで全く手をこまねいていた訳では無く、何とか使えそうな株を増やすべく、取り敢えず「挿し木」だけは継続していた。

トマトの挿し木

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そうしている内に、結果として「挿し木の苗」は十数本程の数に倍増する事となり、根が張っては定植してを繰り返し続けたせいか、流石にスペースが手狭になる様に。

これ以上は逆に、エコノミークラス症候群みたいになりかねないし、また、気候的な部分と着果してからの熟成期間を逆算すれば、この8月下旬あたりが育成可能ラインのギリギリとも考えられる。

従って、ここをリミットとして挿し木は停止。
後は、ワキ芽摘みを中心に見守る事に。


なかなか上手く行かない現状にヤキモキしつつ、次回へ。



🌑カボチャ🌑
※今回は画像が御座いませんので、文章からご想像下さいな。

7月の下旬辺りから8月の中旬にかけて着果を確認し、その色付きを見守っていた最中。

前回にも記した通り、果実が色付き始めた頃合いを境に、根元の方から枯れる症状が出始め、この8月下旬には先端近くまで進行。
最早、畑は青い部分より地表と枯れた部分が大部分を占める事となります。


それでも、最先端部あたりの芽は何とか生きていて、地味ながら成長を続けているし花も咲いてはいるのだが、全盛期と比較すれば明らかに葉の「勢い」が落ち、花もやや小さめになったりしている。

この時点で既に雌花の姿は殆ど無く、あっても間を置かず落花するか、そもそも咲かないパターンが中心となる。
また、雄花に対しても、虫の寄りが圧倒的に減り、群がるのはウリバエばかりとなってしまった。


症状の流れから見て恐らくは、着果した事で体力を大幅に奪われているのが一番の要因として考えられる。
やはりと言うか、元々が「食べ蒔き」のタネなので、総合的な意味で通常より生命力が劣るのは確かなのだろう。

状況を鑑みれば、少なくとも今回のタネにおける着果は現時点で「打ち止め」であり、この環境と育成方法(摘芯無し、天然肥料中心など)では一株につき一個の果実が限界点である様だ。


そして、もう1つ要因として考えられるのが、ウリバエの幼虫による食害。

調べてみると、どうやら繁殖期にウリ科の作物に近い場所の土中へ卵を産み付け、その幼虫が根を食い荒らし、最悪は茎の中まで入り込んで枯らしてしまうと言う。

その意味では、確かにウリバエの成虫が居着いてしまっている以上、幼虫の可能性は充分に有り得るし、今の症状とも符合する。


しかし、この時点ではまだ果実が残っており、先端近くは生きている。

それを結実している状態で抜き取り確認するのは難しく、また、色付きも肥大化も途上段階である以上、迂闊に農薬を使って果実に吸収されるのは避けたい。

故に、結果として「見守る」以外の選択肢が思い付かず、手を打てずに悶々とする他ないのであった。


そんな如何ともし難いジレンマを抱えつつ、次回に続きます。



🌑メロン🌑

カボチャと同じく、結実が本格化して以降は例の枯れが発生している。

どちらも症状は共通しており、やはりタネの「基礎体力」が関係していると見られる。
故にこれら食べ蒔き作物の場合は、1つの株に幾つ着果させるかが最大の課題となるのだろう。


唯一カボチャと少し違うのは、あまりウリバエが寄って来ない点。

とは言え、症状が共通している時点で可能性は大いに有り得るのだが、この検証も完全に収穫が終わるまではお預けする他ない。


更に、この果実が肥大化するにつれ、一気に子ヅルの勢いが弱まり、「見た目は青々としてるのに何故か萎れ気味」みたいな症状が現れ出す。
そう、一見すれば色は元気っぽいし、ツルが四方に伸びているのに、何だかシワシワな感じなのだ。

そして、この衰弱気味な子ヅルに対し、黒い小さなアブラムシが大量に寄生し始めてしまう。
画像は無いですが、まぁアブラムシらしい群がり方をしておりましたよ。


これに対しては、寄生された子ヅルを剪定する事で解決を図る。

この症状から推測すれば、貧弱なツルで結実する可能性は低いであろうし、してもまともに成長しないはず。
現状で肥大化した果実に注力している時点で、回復も難しいのは明らかだ。

実際、アブラムシは勢いのある親ヅルなどには全く寄生していないし、その生命力により「見分け」を付けている様子さえ伺える。
つまり、強い部位には来ず、弱い部分を狙い打ちしているらしいのだ。

なので、患部となっていた子ヅルは躊躇無く切除。
すると程なくアブラムシは居なくなり、対策は功を奏する。


ここで新たに判るのが、病害虫の被害の大小に対して、明らかに作物の免疫力が大きく関与している点だと思います。

こまでの当プロジェクトにおいて、カボチャはうどん粉病が発生したりウリバエが寄るなど、免疫力が低いのか集中的に病害虫に晒されており、また人工受粉でないとまともに結実しないなど、根本的な生命力が弱いらしい事は折に触れた通り。

それに比べ、メロンは免疫力が強いらしく、ほぼ病気知らずでウリバエも寄らず、昆虫だけで次々に結実する点からして、元々の生命力が高い様子が伺えます。


そう考えると多分、メロンは遺伝的にプリミティブ(原始的)な部分が多く残されていて、その免疫力などの「スイッチ」が入り易いからこそ、食べ蒔き(実生)では先祖返りが強く反映されるパターンが多発するのかも知れない。

仮に、これまでの予想が正しいと仮定した場合。
免疫力や生命力に限って言えば、親世代以前の種である方が生存に有利と言う事になるのだろう。


そんな仮説を巡らせた今回は、2つ目となる大玉サイズを収穫。

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本当はまだ置こうかと思ったんだけど、何時の間にか表皮にキズが入っていたので、早めに回収。


前回の「白いヤツ」と同様、見た目は立派そのもの。

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果たしてその味は。
また次回の別記事にて。
※期待しないでね。



🌑スイカ🌑

こちらもメロン同様に、殆ど病気知らずでウリバエの被害が見られ無い作物の一つ。
前回は味も確認出来て、それなりに良好な完成度と言える内容となりました。

本当、あの貧弱だった苗の何処にそんな底力が隠されていたのか謎だけど、案外、スイカも根本的な部分では強い性質を持っているのかも知れない。


とは言え、こちらも結実後は疲れの「色」が出始めている。

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枯れの方は大した事が無いものの、こちらは全体的に「葉の色が薄まる」姿からして、果実への栄誉供給を優先している様子が伺える。

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画像では伝わり難いですが、あえて表現するなら、「深緑」が結実後は「黄緑」に変色した感じ。

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見た目だけなら、現段階では特に大きな手入れの必要性は感じられ無い。

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ただ、果実の方はヒゲが枯れているし、前回の果実と同時期に着果したのを確認しているので、ここらが適期と見て収穫。

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見た目、大きさ、重量は前回と殆ど同じ。

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その更に5日後の収穫となるが、中身の差違は如何程だろう。


味のレビューは、次回の別記事にて。



🌑ゴーヤ🌑

前回は、果実に栄養を取られ過ぎたのか、株の葉が全体的に枯れる症状が発生。

様々な可能性を検証した結果、新芽の成長へと生命力を振り分ける為、摘芯と同時にほぼ全ての葉を剪定。
加えて、栄養増強として有機肥料追肥生ゴミの埋設、そして雑草マルチを大量投入。

可及的速やかに体力の回復を促すべく、対策を施しました。


すると、剪定直後から新芽が伸び始めると、今度は節々より子ヅルが顔を出すではないか。

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この段階ではまだまだ弱々しかったものの、そこから約2週間ほど経った頃合いで、やっとヒゲがアチコチに絡まる様になり、それぞれのツルには再び葉が繁る様に。


そして、遂には開花へ漕ぎ着けるまでに回復し、着果した雌花をも確認するに至ります。

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ちなみに、ここで着果した実は全て摘果しています。

ここで摘果しないと、せっかく回復したのにまた栄養を取られてしまう事になるので、致し方無い処置である。


しかし一先ずは、この姿を見て対策案が正解だったのだと確信した気分となり、安堵感を覚える。
何せ、今にも株全体が枯れそうな雰囲気すら漂わせていた訳で、ここまで回復するとは思いもよらなかった程ですからね。


更に、もう1つ効果として現れたのが、明らかに8月上旬の時より株の勢いが増している所である。

根元付近の茎も、気持ち一回り近く太くなった様な張り具合いとなり、兎に角、全体的な成長率が上がっている。

最初の収穫までは、親ヅルそのものの葉が少なく虚弱そうなルックスをしていて、子ヅルなんて姿形も無かったけど、これはやはり摘芯したが故の効能となるのだろうか?
つまり、親ヅルと言う「要」を失い、葉からの「供給」が停止した事で、本来の生命力が目覚めたのだと。


ならば、当初から摘芯しておけば良かったと言えなくも無いのだけど、あの時点で実施したとして、果たして現状の様な勢いを得られたかは疑問が残る。

確かに、栄養面でも量、質ともに今回の処置で施した内容は、定植時より多いとは言える。
ただ、前年から結構な量の生ゴミ有機物を埋設していたので、決定的に栄養不足だった印象も薄い。

むしろ、初期は何であんなに細いままで結実したのか謎過ぎる。
本当に、元々はそれほどにヒョロヒョロに痩せていて、収穫どころか生存すら怪しい個体だったからだ。


最もあり得る線として、季節的に「旬を迎えた」からこそ、本格的に元気になったとは考えられる。
そこに剪定や栄養がプラスされ、相乗効果を生んだ可能性は高い。

例えて言うなら、「真夏だけ」は祭りの屋台メシとか、水着ギャルを見てハイになれるモヤシボーイみたいな感じか(どんなだ)。


ただし、ここまでの回復と成長率を見せてはいるが、あくまでそれは過去と比較しての話である。

実際には、非常に矮小化された株である事には変わらず、普通の農園や菜園で見られる程の大きさには程遠いスケール感なのが現実。
ハッキリ言って、ゴーヤ・カーテンなんて夢のまた夢みたいなツルと葉の数しか生えていないのだ。

ここからどの程度まで成長が続くのか、それは次回以降に。



とまぁ、様々な事象が起こりつつ、今回も新たな収穫物をゲット。

次回は、そのメロンとスイカのレビューをお送り致します。



では、また、CUL。