前回に記した通り、再びメロンとスイカを収穫。
その味を確認して参りましょう。
8月下旬の様子
一応、最初にネタバレしておくと、出来の良い内容では御座いませんので、この時点で美味しい話をご期待されている場合はスルーを推奨。
それでも気になる方は、読み進めて頂ければと思います。
では、いざ。
🌑メロン🌑
見た目には、元の種を彷彿とさせるネットが張り巡らされており、なかなか良好な再現率。
重量感もズッシリとしていて、前回に収穫した「白いヤツ」とほぼ同じ1.5kg以上のサイズとなっている。
良く見ると、所々にネットの無い部分があり、また青みも強い点からして、「野性的なネットメロン」とでも表現したい印象。
香りはかなり薄く微かに感じる程度で、外見上では熟成度合いの判別が難しい。
ただ、少なくとも着果から30日以上は経過していたし、ツルと葉の枯れ具合いも規定ラインは越えている様子ではあったので、収穫適期なのは確かであろう。
表皮にキズが入っていたので、少し早めに2日ほど追熟してから切り分け。
断面図を撮り忘れてしまったが、色艷は良好。
タネもシッカリ詰まっていた。
外見上は前回の「白いヤツ」とは全くの別モノなれど、その果肉は文字通り、「瓜二つ」な質感である。
ただ、やはり触れた感触は少し固めで水分量が薄く、元のネットメロンとは大分異なる。
何はともあれ、問題はその味。
取り敢えず、一口食べてみると…。
ん…?
モゴん…。
かてぇ…。
味…。
うっす…。
その味は、白いヤツに輪をかけた薄さで、ハッキリと言えば殆ど甘味が無い。
そして、かなり歯応えのある固さの身質で、まだ未熟そうな印象だ。
正解には、やはりタネのある中心部だけが僅かに甘いだけで、それ以外の部位は無味に近い。
強いて例えるに、「かすかにメロンの香りがするリンゴ」みたいな、パリッとした食感である。
甘味数値で表すとしたら、10段階中「2」程度。
本当に中心部だけで評価する他なく、それより外側は推して知るべしなのだ。
これでは流石に、普通なら即刻食べるのを止めてしまうのは間違いなく、むしろズイマーだと言わざるを得ない仕上りとなってしまっている。
特に、ルックスが極めて良好で、いや応なしの期待を持たせてくれるだけに、そのギャップは一層激しく感じられて仕方無い。
ここで気になるのが、この場合は更に追熟期間を長く取れば甘味が増大し、柔らかくなったのかどうか、である。
前回も3日ほど追熟させただけなので、今回もまだ早かった可能性は捨てきれない。
マクワ系の原始的なメロンも、元々固めで薄味だが、熟せばそれなりに甘味が増すのは確かだ。
もし、これらが追熟期間の短さに因る薄味なのだとしたら、それはそれで勿体無い事をしたとは言えるんだけど…。
だが、これが根本的に薄味だった場合も有効なのかどうか謎が多い。
この辺は、もう少し検証の余地がありそうです。
そんな訳で、次は如何なる方法で、より美味しく食べられるかをシミュレーションしつつ、今回の果実も全て平らげたので御座いました。
🌑スイカ🌑
お次は、一個目より5日ほど遅めに収穫したスイカ。
サイズ感は、直径、重量ともに全て一個目とほぼ同サイズとなり、ややイビツな見た目もクリソツ。
前回の果実もだけど、この尻の部分が上に来るのは何故だろうか。
一応、真っ直ぐ立てていたつもりなんだけども。
観察していて何となくではあるが、結実した初期段階で置かれていた「体勢」によって、その後の形も決まってくる様に見られたが如何に。
その一個目を試食した前回は、なかなかの完成度となり、普通に美味しく食べる事が出来た訳ですが、今回の具合いはどうなのか。
早速、実食と参りましょう。
では、一口…。
うむ…?
うーん…。
なる…。
少し…。
熟し過ぎか…。
切り分けた感触である程度、予想はしていたけど、少し柔らかく膿んだスイカの食味となっている。
実際は甘く仕上がっているし、ジューシーなのだが、シャリっとした歯ごたえの期間は過ぎている模様。
また、一個目と同じく、皮ぎしのごく一部分にスポンジ状の組織があり、プニョっとした感触が気になる。
それなりに食べれるけども、前回ほど美味くは無い。
そんな感想である。
甘味レベルとして一個目と同様、10段階中「7~8」あたり。
これで食感さえ間に合っていれば、より成功と言えたかも知れない。
少し収穫を遅らせた理由としては、更に時間を置けば、より甘味が増すんじゃないかと目論んでいたから。
なのだけど、これなら一個目と同時に収穫していれば印象が違っていた可能性は無くもない。
まぁ、「たられば」だけども、収穫のタイミングと熟成期間が微妙に違うだけで、結果に対する印象も変わるだけに、この見極めが非常に難しいのは間違いない。
それは、上のメロンも同様である。
その中で、前回と大きく違うのはタネの色ツヤ度合い。
一個目は大半が黒々と成熟していたけど、二個目である今回のは未熟なタネが多く目立ち、いずれも白い部分が中心で次も生えそうな雰囲気は薄い。
ちなみに、これら一個目と二個目は、それぞれ別の株から収穫している。
しかし、元々は同じタネより育成し、同じ環境と肥料、そして畑では隣同士で成長スピードも全く同じタイミングだったのに、その果実の内容には微妙な違いがあるという事になる。
この差異の要因は、単純にタネの性質にバラツキがあった為だと推測されるのだけど、どちらのタネも健全そうな色艷をしていただけに、その時点で微妙な違いを想像するのは非常に難しい。
それこそメロンと同様に、食べ蒔きであったり、より自然任せに近い環境下では、こうした性質による変化が現れ易いのだろうとも考えられる。
その意味で、「通常のタネ」はこうしたバラツキが殆ど発生しない様に作られているのだとすれば、それはそれで驚異的な手法とは言える。
更に、この中身とタネの差異について、もう一つ気になる所を記してみます。
時々、市販のスイカでも、果肉は熟しているのに全然発達していないタネばかりのパターンが見られる。
だが、そのアンバランスさは一体、どんなメカニズムが働いて起こるのだろうか?
これでは遺伝子を残せないだろうし、まして果実を実らせたり熟す意味も無くなってしまう様に思える。
要するに、何かしら「タネが機能しない理由」が存在するはずなのだ。
しかも、これら市場に流通している品種の大半が、基本的に一代限りの性質で次世代には正確に引き継がれず、まして、その次世代は交配すら困難とした場合。
まるで植物自らが、「この姿(味)までが限界」と、ワザと「進化を拒絶」している様な印象さえ受ける。
つまり、それ以上に甘くなったり株が大きく進化してしまうと、逆に病害虫に対して免疫力が弱くなったり、あるいは土壌の栄養素だけでは生育を賄えなくなったりと「環境と生存率のバランス」が失われ、やがてデメリットの方が大きくなってしまう。
となると、もしや、現代の作物とは既に「進化の限界点」を迎えていて、本来なら「それ以上」の性質と成り得ない状態のまま、栽培されていたりするのかも知れない。
そのバランスを強制的に戻す為に、あえて次世代を先祖返りさせたり、はたまた退化させるなどの「リセットスイッチ」的な機能が遺伝子に仕込まれているのでは無いのか?
それが発動したと考えれば、実生での栽培が安定しない理由も合点が行くのですが、如何でしょうか。
そんな食べ蒔きから育ったスイカを見て、遺伝の謎について長々と考察を重ねつつ、また次回へと続きます。
では、またCUL。