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食べ蒔き2021年シーズンまとめ その②有機物肥料の使用例のほか木酢液やアルコールなど天然成分による防除効果と、家庭菜園を通じた可能性の話

前回その①では、2021年の気候がイレギュラーに変化していた事、そして開始から数年をへて顕れた連作障害の対策として、試しに場所を変えてみたら収穫量が回復した話を記しました。
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今回その②では、これまでに使った有機肥料の用例とか、初めて木酢液を使ってみたら思ってた以上の効果を発揮した話。
そして、ここまで家庭菜園を続けてきた中での雑感や展望などについて触れて行きましょう。


有機物の肥料と天然成分の効能●

当プロジェクトでは当初より、多種多様の肥料を投入してきた。

基本的には天然の有機物を中心に、生ゴミやオガクズに落ち葉、除草した雑草などのほか、バリエーションは多岐に及ぶ。
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ざっと過去の具体例を挙げれば、フルーツや野菜の皮に芯、卵のカラ、魚の骨に内蔵、昆虫の亡骸、お菓子のほか消費期限が切れた魚介類の缶詰に粉末根昆布ダシといった食品類と、内容はさまざま。
他にはペットフード、さらに薄めたスポーツドリンクやお茶等の飲料水、はてはコーヒーフレッシュなどなど、一見ではワケのわからないものも投入している。
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結論として、果たしてこれらが本当に作物にとって効果があったのかどうかについては、いまだよく分からないままなのが正直な話。
世評においても、生ゴミに含まれる成分などたかが知れているので無意味だと言われていたりするし、効率が低いのは確かかも知れない。


では何故、こういった物を投入し続けているのかと言えば、たとえ通常なら単なる廃棄物扱いだとしても、物体を形成しているタンパク質やカルシウム等の栄養分は残されているはずだから。
となれば、少なからず再び養分として還元が可能であろうとの考え方である。
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これらを使うにあたっては、単純に土に敷くか撒くか埋めるだけ。
特に堆肥化や熟成といった行程はなくとも、卵のカラなど堅いものを除けば、一年あれば概ね全てが分解されていた。
要は、土壌自体がコンポストとなっていれば、きちんと分解され肥料化できる訳です。


ただし、それら有機物の中には生育に問題となる成分が含まれているリスクがあるのも事実。

たとえば今期では、「堆肥化していないコーヒー」には発芽抑制物質がある事を知らず撒いてしまった失敗例があった。
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この時は蒔いた量が少なかったためか結果的には生育に異常は見られず、一定量の収穫物も得られたので影響は小さかった様ではあるにせよ、注意すべきシーンであったのは間違いない。

市場にも肥料法が存在する様に、内容成分が不明な物をのべつまくなしに投入するのはオススメ出来ないし、まずは問題の有無を事前に調べてから使った方が無難である。
また他にも、量が多過ぎて腐敗し、要らぬ虫まで湧いてしまったり、土に埋めても野生鳥獣に荒らされる場合があるため、位置を分散させたり地表を覆うなどの工夫も必要になってくる。


こういった注意点があるのも確かなのだけど、たとえ還元には時間がかかるとしても、土中に住む微生物や昆虫が多様であれば問題化せずとも処理が進んでくれる事も判っている。
むしろ先述のように、土壌自体をコンポストとして活性化するために、表土へ落ち葉や除草後の雑草の束を大量に敷いて生物を増やしていたほど。
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また過去の検証でも、わざと菜園の土にミミズやダンゴムシを投入してみた結果、思った以上の分解スピードがあるらしい事を実感できていた。
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この間のデメリットとしては、堆積した落ち葉の下に色々な昆虫が大量発生するシーンがある事。
また、増殖したダンゴムシに果実を噛られたり、苗を丸ハゲにされる時も度々あるなど、生物が増える事によって作物までターゲットになるパターンも起こりがち。
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こういった状況下では、免疫力の弱い貧弱な個体が狙われるのが殆どで、強い健康な個体であれば耐えられていたし、基本的には大きな問題もなく凌げる様ではあった。
ただ、あまりに酷ければ何らか防除するなり、落ち着くまで対応せざるをえない時もあります。
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いずれにせよ、これらの虫も根本的に自然界の循環役に過ぎず、人間生活には何ら影響もないのが通常なので、過度に恐れる必要はありません。
と言うか、居てくれるからこそ分解された成分も多いはずだし、少なからず効果があったものと思われる。
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つまるところ自然界の循環システムが正常に機能していれば、土壌への負担も軽くなり、適切に養分が作物へと戻る。
この観点で、現在でも様々な有機物を投入し続けているのであった。


更に同じく、これら天然成分でハッキリとした効能が確認されたのが「木酢液による防虫効果」だった。
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今期のジャガイモで試して印象的だったのが、葉にナスノミハムシ(ナストビハムシ)が集っていた所に木酢液を噴射してみるや、即座にポロポロと落ちたり逃げたりしていった事。
しかも、以降はまったく現れず、かなり効いているらしい様子であった。
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これを受けて他の作物にも噴霧してみた結果でも、昆虫による食害の形跡が無かった事から、結構な防虫効果があるものと伺える。
ネット上での評価を調べてみると効果には賛否がある様だけど、少なくとも当プロジェクトでは良さげな結果をもたらしていた。


これまで防虫に関しては、多少の食害は半分仕方ないものとして放置気味に過ごしていたし、上記の理由から木酢液に懐疑的な部分もあった。
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他にも、ウリハムシ(ウリバエ)の様に強靭な生命力と繁殖力を持つ虫に対しては、色々考えたあげく効果的な防除手段が確立できずにいた。
現状では木酢液が効くかまでは未確認だけども、試す価値はありそう。
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今回の結果から、やはり酷い場合は何かしら施すに越したことはないと再認識できた。
特に天然成分で確かな効果が出たのは大きく、これなら土壌や人体への影響も軽減できそうだし、使用に際して神経質になりすぎる事もないはず。


そう言えば、以前にもカボチャとメロンのウドン粉病に対して、試しに「キッチン用アルコールスプレー」を噴霧してみたら症状が緩和された事もあった。
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これは消毒用のアルコールだけに、細菌類に効くのは当然な気もする。
他の似た例では、焼酎にトウガラシを漬け込んだ液体を噴霧して防虫する方法もあるそうだけど、こういった高濃度の刺激物は成分も強力なはずなので、それだけアルコールには病害虫の予防効果があると言う事なのでしょう。


上記の様に、木酢液やアルコールなどを組み合わせて駆使すれば、より病害虫の抑制が効率化できるかも知れません。
無論、効かない虫や症状はあるだろうし、全てをカバー出来る訳ではないとしても、何もしないよりはマシなのも間違いないでしょう。

現状において、これらの方法で作物へのダメージなど問題となる現象は確認されていないので、おおむね継続的な使用が可能だと考えられます。
今後も機会があれば、様々なシーンで試してみようと思う出来事なのでありました。
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●これまでの菜園を振り返っての雑感●

振り返れば、家庭菜園を始めてから4年が経過している。

2017年の土作りに始まり、初年度の2018年はカボチャ、メロン、スイカ、ゴーヤー、トマトと全ての作物で収穫に至ったが、2019年は一転して全てが不作に。
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2020年も引きずっていたが、新しくジャガイモが追加されたり、ゴーヤーの植える位置を変えてみたり、トマトも年末ごろになって収穫されるなどで少し回復。
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そして今期2021年はジャガイモに加え、ゴーヤーとトマトも位置変更により過去最多収量となるなど、毎年同じ作物ばかり育てて同じ様な作業を繰り返していながらも、色々と変化があった。


総じて思うのは、安定して収穫物を得るのって難しいんだなと言う事。
こんな小さな家庭菜園であっても奥深いものがあり、まいど新たな発見や思わぬ感動が得られるし、やっている内に試したい方法が浮かんでくるのが面白いところ。
いまだ分からない事も多く、環境や気候の僅かな変化で生育状況は大きく違ってくるなど、作物の持つ生命力や免疫力を安定して発揮させるにも様々な工夫が必要であった。
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近年は家庭菜園がブームらしく、これまでになく農業に注目が集まっていたり、またメディアでも特集が組まれる場面が多くなっている印象を受ける。
もともとやっていた人からすれば何を今更みたいな話かも知れないけど、ほんの少し前まではメインストリーム的な話題になるなんて殆ど無かった事だけに、なかなか結構な変化と言える。

かなり拡大解釈した予測ではあるが、こういった動きが積み重ねられてゆく中で、たとえば病害虫の防除に効果的な手法や、新たなイノベーションの基礎が生まれる可能性はありうる。
実際、かつて今よりも遥かに町中には果樹園や農園が広がっていた時代は、共有できる知識や経験値も多かったろうし、別の見方をすれば、その分だけ地域内での自給率も高かった事になる。

この失われた分を補う様に、もし今日のブームが別の形で自給率の引き上げに寄与するとなれば、なおさら興味深く歓迎すべき現象とは言えるだろう。


一方で、極度に都市化された昨今では、町中や宅地で菜園を営むのは容易でなく、また極めて小規模となるのは致し方ない事ではある。
ただ、そういった環境下にあれど「実際は使えるけど空いているスペース」などは多いはずで、やり方によっては色々と試せる余地がある様にも思える。

これに関しては以前にも、都市部のどこで樹木の苗木を育てたら良いかについてアイデアを巡らせた事がある。
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上記を簡単に纏めるに、適当な空地や緑地、学校に企業の敷地などで、試験的に果樹園や菜園を始めるのはアリではなかろうかと。
近年はビルの屋上の緑化や、廃校を使った農園や養殖などの例があるように、使える場所は無数にありそうなもの。
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これは翻せば、無数の生育パターンを試せるだけでなく、多数のレポートとフィードバックが得られる事も意味している。
こういった中から画期的な手法が開発されたり、ひいては新種や特産品となる好例が現れる可能性だってあるし、もっと言えば、いずれローカルを越えた広い意味での利益に繋がる事こそ理想的な形に違いない。

大袈裟だけど、こんな展望もまんざら無い話じゃないのです。
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長々と書き連ねましたが、以上、ここまでが2021年シーズンの纏めと雑感になります。
今後も新たなテーマがあれば挑戦してみたり、検証結果について記して行こうかなと思う今日この頃なのでした。



では、また、CUL。