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メリケン道中記 Lancho Palos Verdes

今回は、ロングビーチの西側にある景勝地のランチョ パロス バーデスへ。

この一帯は同じ海沿いのマリブと違い、海のアクティビティが楽しめる訳では無く、主にその自然や景色を見て楽しむ場所となります。


ダウンタウン中心地からバスに乗り、途中のターミナルであるサウスベイギャラリアで目的地行きのバスに乗り継ぐ事、約2~3時間の道程。

日本人も多く住むトーランスを通過して、このエリアに入ると一気に長閑な山の景色に変わり、馬や牧場などが目に入る。

サンタモニカからマリブに向かう景色が、湘南から真鶴へ向かう辺りの感覚だとすれば、こちらは小田原市街から箱根経由で東伊豆に抜けるイメージだろうか。


しかしながら、このバスの停留所を知らせる自動アナウンスが早口過ぎてサッパリ聞き取れない。
そのせいで、Lancho Palos Verdesも最後まで正確な発音は判らずじまい。

この様に、停車駅の発音が早すぎて路線図を見ていても時折、自分が今何処を走っているのか判らなくなる場合がある。

従ってこういった場合、あらかじめ運転手に何処で降りたいかを伝える方が賢明。
そうすれば、そのバス停に着いた時に教えてもらえる。
また日本と違い、バスのフロントに自転車を搭載出来るので、もし自転車で移動出来るのであれば、多少降りる場所がズレてもリカバリーが可能。

何れにせよバスに乗るのであれば、そのバスと周辺の路線図と時刻表の入手は必須。

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当時の時刻表が手元にあった。
右が鈍行、中央がフリーウェイと下道の複合路線、右が急行となる。

この路線図とバスのアナウンスを照らし合わせながら乗れば、いくらか安心感が増します。


下の画像は、このランチョパロスバーデス行きの路線。

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路線図をご覧の通り、ダウンタウンから一本でも行けますが、それでも時間がかかるかと思いますし、本数も些か少ないです。

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こちらは、中継ターミナルのサウスベイギャラリア行きの路線。

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このエンジ色(赤)のバスの時刻表は急行を意味していて、鈍行の場合はオレンジ色。

ダウンタウンから更に南側へ行く場合、この急行の方が本数が出ていて早い事も多い。
なので、個人的には先ずサウスベイギャラリアへ向かってから、各エリア向け路線に乗り継ぐシーンが殆どだった。
何れにせよ、様々な組み合わせが考えられるので、理想的な乗り入れ方法を編み出したい所。


この様に路線図は時刻表と一体化しているので、一枚もらえばOK。

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下は路線図。

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その両脇には路線上にある駅や建物など代表的な場所の名称、記号の意味、他の路線への乗り継ぎ場所などなど、必要な情報が網羅されている。

これら記載事項は、それぞれの路線図ごとに落とし込んであるので、各エリアの周辺環境が解りやすい。


上り下りの時刻表。

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上下線とも一覧表にされていて、平日ダイヤと週末ダイヤに別けて記載している。
どの交差点に何時ごろ到着するか、簡単にチェック可能。

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基本的にバス停には時刻表や路線図が表記されていないので、一歩間違えれば迷子になりかねない。
また、土日祝祭日は運行しない路線も多く、あっても極端に少なくなるので、時刻表を手に入れた場合でも油断せず、その記載内容も把握しておいた方が良い。


下は注意事項。
この急行も、「日祝祭日は運行しない」と記載されています。
また、「上り下りでバス停が違う」とも記されているので、帰りの乗り場も把握しておくのが無難。

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メトロ(市営の交通機関会社)の時刻表であれば電車もバスも共通した記載方法を採用している上に、どの道を通過するか、どんな名所があるか等まで記してあるので、見つけ次第入手するのがオススメ。


更に最強の武器となるのが、このシステムマップと呼ばれる代物。

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一部を展開するとこんな感じで、実際は更に北側地域も表記されている。
今回のパロスバーデスは、この地図の左下にある半島部分です。

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これは、ロサンゼルス市内の公共交通機関を一覧にまとめた物で、メトロ以外のローカル線も表記されているなど、すこぶる便利。

これさえあれば何処の道や交差点で、何番のバスを乗り継げば良いのか一目で確認出来る為、街歩きをする際に是非とも手に入れておきたいアイテムだ。

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そして、これらは全て無料。

日本の公共交通機関も観光客を取り込みたいなら、早急にこの形式を参考にすべきかと思う。

これらは基本的にその都市のターミナル駅のインフォメーション窓口で貰う、または乗ったバスに無料広告の様な形でラックに入っているので、自由に取って良い。
この時、関連する路線の時刻表も、あらかじめ入手しておくと更に移動がラク

ただ、無い時は諦めるしかない。
欲しいとリクエストしても、「無い。切らしてる」の一点張りに終わります。
親切な運転手なら自分のをくれたりしますが。


話を元に戻して。

とりあえず終点で降りる事にしていたのだが、戻り側のバス停が見当たらない事に気付き、運転手に訪ねる。
見た感じ、70歳を越えていそうな陽気な老人。


自分「ここが終点?」

運転手「そう!ここが終点じゃよ~ん」

自分「上り方面のバス停が見当たらないんだけど、どこ?」

運転手「あの坂の上の道路を越えた所じゃ!この道路の反対側の!」


彼が指差す場所とは、現在地から高低差のある丘の上にあり、こちら側から見上げても死角の向こうで見えない位置。
つまり、自分の居る下り車線と、上り車線は丘の上下で分かれているのだ。


自分「いや、全く見えない。何処なのか見せて欲しいんだけど」

運転手「あぁ、いいよ!見せてやるわい!」


そう言うと、運転手はバスを大きく上り車線へ転回させ、更に丘を少し上った辺りの歩道の角を指差す。


運転手「ホレ、ここじゃ!」

自分「ここ……?…あぁ!!分かった!これかぁ!!」


その場所をよく見てみると、確かに停留所の鉄柱が刺さっているのだが、肝心の看板が街路樹の枝葉に隠れてしまっている。
見えるかっちゅーの!


運転手「ブッシュに隠れてしまっとるなぁわはは!」

自分「まったく!でも助かったよ!有り難う!」


こちらのバス停は、郊外に行けば行くほど簡素となり、その存在が目に入らない事が多い。

それは高さ3m程で、直径約25cmのポール先端に横幅約40cmの小さな板が取り付けられており、その板に行き先だけ表記されている場合が大半。
そこにはベンチも東屋(雨しのぎの小屋)も設置されておらず、目印となる物も無い事が通常だ。

例えるなら、何もない道端に一方通行の標識がポツンと立っている様な状態であり、それが街路樹に隠れてしまっては判る方が難しい。
日本も田舎に行くほどバス停は簡素となるが、どちらにしろもっと判りやすくても良い気がするのだが。

やはり郊外に出掛けた際は、帰りのバス停の位置も把握しておくに限ります。


所でこのブログ、ロサンゼルスのバスの話ばかりな気がするのだが。
鉄ちゃんならぬバッちゃんてか。
かましい。

恐らく、日本ではそうそう起こらないハプニングやメチャクチャな人間が日常的に見られるので、どうしても頭に残るのだろう。


そんな訳で話を本線に戻し、バス停から海側へ出てみると中々の絶景。

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この一帯は崖から海へ切り立った地形をしており、東伊豆の赤沢や城ヶ崎周辺にクリソツ。
崖の上には別荘地と見られるエリアや、海にはゴロタ浜があるなど共通点が多い。

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ゴロタに広がるサラシでは、荒れ日にヒラスズキでも出そうな雰囲気。


ふと空を見ると、随分とヴィンテージな真紅のプロペラ飛行機が、優雅に宙を舞っていた。
恐らく、シャアかジョニー・ライデンか誰かのプライベート機だろう。

思わずポルコ・ロッソ(紅の豚)を思い出すと同時に、一刻も早く宮崎駿監督に知らせたい思いにかられる。
知り合いでも何でもないけど。


でも、この風光明媚な場所にゴルフ場は合わんね。

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いつも気になって仕方ないのだが、何故ゴルフ場ってわざわざ山を切り開いたり、景観のいい場所に作る必要があるんだ?
郊外のだだっ広い、何も無い荒れ地とかに作ればいいのに。
どうしてもスペースと言うか、環境の無駄遣い感があるんだよなぁ。


そんな事を考えつつ歩いていると、ここが中々に豊かな生態系を持っている事にも気付く。

よく見かけたのが、このバッタ。

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大きさは、トノサマバッタとクルマバッタの中間位か。

トレイルコースの案内板には、この一帯に生息している固有種らしい蝶のイラスト。

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名前は忘れたが、エルセガンド何とかとか書いてあった様な(適当)。

また、小さいイグアナに似たトカゲもやたら地面を走り回っている。
見た目も大きさも、石垣島キノボリトカゲに似ているが、基本的には地表で暮らしている様だ。
しかし、あまりに素早くて写真を撮れない。石垣島のは簡単に手掴み出来たのだが。

草むらの脇には、野ウサギと見られる小動物のフンがポツポツと。
ウシジマ君に宜しく。

そしてこんな注意書を発見。

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「ガラガラヘビ
このエリア内で見かける場合あり
彼らへ距離と敬意を」

だそうだ。
むしろ見つけたい位なんだが。
お腹を空かせて何でもペロリ。
ウサちゃん気を付けて。


このロサンゼルスは大都会であり、荒野に住宅がひしめく印象が強い一方、緑が深い場所も多い。

ハリウッドのグリフィスパークや先のマリブ周辺は、近隣で最も身近に山林の自然を感じられるスポットであるし、更に郊外には州立、国立自然公園がいくつも存在する。
僅かな自然林も国営で管理し、保護しようと言う姿勢は日本も見習うべき部分だろう。

その為か、一見すると自然が薄い様に見えるダウンタウン周辺でも、夜は電灯の下に小さなカミキリ虫が飛来したり、サウスセントラル辺りでもコガネムシハナムグリを見つける事がある。

いつだか、Carson地区のHome Depot Center(現STUB HUB Center)でWarped Tourの入場列に並んでいた時にも、目の前の女性の髪にコガネムシが留まっていたのだが、周りの人から「アンタの髪にコガネムシ付いてるよ!」と指摘されて、「オーマイ!!嫌ァァアア!!」とかなってたなぁ。

女性の虫に対するリアクションは万国共通である。


このランチョス パロス バーデスのトレイルコース周辺は、休憩用のベンチや机に公園も整備されており、また、比較的狭い規模なので、手軽に海側の自然を体感するには最適ではないだろうか。
太平洋に面した断崖の絶景を眺めながらのハイクは気持ち良いものです。


で、僕はそんなコースを歩いている内に、いつの間にか地域の中心街までたどり着く。

そこで即座にバス停が見つかり、簡単に帰りの便に乗れたと云う。


終点をめぐるあのやり取りは一体何だったのだろうか。