CULrides カルライズ

発見と探究そして文化。そんな諸々の話。

メリケン道中記 街に現れた違和感

ある日の事。



コリアタウンからバスに乗ろうと大通りに出た所、その反対車線側から驚くべき物が目に飛び込んできた。



イメージ 1




この島と、この文言……。



そう、この看板には「独島は韓
国の領土」と、記されているんですねぇ(池上彰)



これは、地下鉄レッドラインのとある駅を降りて、地上に出た目の前を通るWhilsher通り沿いにデカデカと現れる。

上の画像では接近して撮りましたが、実際は遠目からでも良く見える位置に設置されています。



このウィルシャー通りとは、ダウンタウン中心部からコリアタウンを通過しサンタモニカの海辺へ続く幹線道路であり、毎日、多数のバスや電車、通勤客や商用車が沿線を通過する交通過密地帯。

都内で例えるなら、国道1号線の五反田から都心に向かう辺りの環境に似た感じ。


そして、この看板を設置しているのが「Tom n Toms Coffee」と言う、近隣ではそれなりの規模で展開している、所謂スターバックスインスパイア系のコーヒーショップチェーンである。

ただ、数年前にはこのカフェ自体を見た記憶が無いし、看板も設置されていなかったはずなので、ここ数年の間に急成長し、設置したであろう事が伺える。


このトムエントムスコーヒー、実際に僕自身で入店した事が無いのだが、時々入ると言う知人曰くやはり中々の曲者だと言う。


パッと見はあくまでスタバ風な普通のコーヒーショップなのだが、店内の天井付近の壁には小さめのモニターが幾つか設置されていて、スポーツバーの様。
基本的にガラス張りの建物なので、これは店外からも見えてます。

で、そこには様々な番組(オリジナルか民放かは不明)を放映しているのだが、時折、先の看板と同じ「ドクトは韓国のホニャララ~」と言う主張のCM映像が流されているそうな。


つまり、恐らくこのカフェは「スポンサー」だと考えられる訳ですねぇ。



更に別の日、こんな事もあった。



アダルトスクールに入ろうと考えていた頃、ネットで調べたコリアタウンにある語学教室へ出向いた時の事。

どうやって手続きをすれば良いか不明であったので、先ずはビルのエントランスにいた警備員に訊ねてみる。
見た目はアジア系の初老のオッチャン。


僕「ここで勉強してみたいんだけど、どうすればいい?」

警備「いやーわからんね。でも、○階だからそこへ行ってみなさい!あのエレベーターを降りた所だ」

僕「○階だね。了解、ありがとう」

警備「あぁいいさ。????」(一部韓国語)

僕「(あれ、今の韓国語だよね。まぁ俺もアジア人だし、そりゃそう見えるか)」



しかし、その警備員が案内した通りにそのフロアで降りた瞬間、眼前の光景に言葉を失う。



それはエレベーターのドアが開いて直ぐ目の前。

教室へ続く通路の壁にデカデカと、あの看板と「全く同じ絵面」のバナー広告が貼り付けられていたのだ。

それはもう、学校の文化祭で「3年B組おばけ屋敷」と教室の外壁へ横長に貼ってある様な勢いのいいヤツだ。

今にして思えば、周りに誰も居なかったはずなので写真撮っておけば良かったのだが、もし発見されたら危なそうだったので止めておいた。


そう、イモ引をいてしまったんですねぇ。



あまりのインパクトにこれを見て一瞬、思考停止に陥るが、程なく我に返る。



「(あ…これ前面に出してるって事は…僕が日本人とバレたらマズいよね…早くズラかろう)」


そう思うと、エレベーターのドアを閉め即エントランスへ。


僕「どうもーありとぅーすソソクサ」

警備「こちらこそ、良い日を????」(一部韓国語)

僕「ハバグッデーサー!」(訳:僕は韓国人じゃないよー!)


流石にこの時は面食らったものです。


しかし、コリアタウンの語学学校に行く日本人って結構いるはずなんだけど、こういうシーンに遭遇した人って他にいるだろうか。
少なくとも身の回りではまだ聞いた事ないし、フツーに過ごせているとの話だったけど。



竹島であれ独島であれ、やはり「基本的に無関係な国」で大々的にアピールするのって、日本人的な感覚で言えば「筋違い」ではある。

一時期話題になった、グレンデール市の例の慰安婦像にしても、根本的に建てる場所そこじゃないよね。と言う話で。

ただ、これらの動きは政治的な背景も絡んでいるので、専門的な話は置いておく。



しかし、それでもやはり捨て置けないのが、この宣伝を「日系コミュニティー内でも」さりげなく行っている点だろう。


前途のトムエントムスコーヒー。

日系コミュニティーで知られる、ダウンタウンリトルトーキョー地区にある「リトルトーキョーギャラリア(旧ヤオハン)」と言うショッピングセンターにもテナント出店しているのだが、実はその店内でも例の宣伝ビデオを流しているそうな。

このショッピングセンターは、リトルトーキョーエリア内では最も規模が大きいだけに、その中でも宣伝を放映するとは図太いやら何やら。


ただ実際の所、このショッピングセンター自体がヤオハン撤退後、韓国系企業に所有されているとも聞く。

と言うより、根本的に現在のリトルトーキョーにおいては韓国系の力が強まっている側面があり、実はあの店、あのビルもオーナーは韓国人。
なんてパターンも多い。


記憶が古く正確な記述内容が曖昧であるものの、2008年頃の時点で、このショッピングセンターの店内(青果コーナーの脇とか数ヶ所)のポップスタンドには、「我々所有者はヤオハン側(ミツワだったかな?)に立ち退きを要求している」との旨が記された告知書?が貼り出されていて、何やら揉めているらしい事が伺えた。

当時は、「わざわざ客の見える所に貼り出すなんて随分キナ臭い事になってんな」などと思ったものだ。
最近であれば、IDC大塚家具のお家騒動に似たものか。


そんなすったもんだを経た現在、ショッピングセンター店内には「アニョハセヨ~」の声がしきりに聞こえ、商品も辛ラーメンやマッコリに代表される韓国系の食品が多くを占めており、惣菜コーナーまでアチラ色が強く出ていたりする。
その2008年時点までは普通の日系スーパーであり、惣菜などの商品も日本のアイテムが大半であったが、今は過去の話。
その違いは見ていて些か切ないものがある。

ちなみに、2Fは日用品売場なのだが、この1Fの食品売場と全く同じ状況が展開されている。


店内や売場の構造自体は以前と変わらず、あくまで日本のスーパー然とした佇まいであるが、まさかこういった「商品構成」や「オペレーション」に様変わりしようとは想像だにしていなかった。
※建前上は、あくまで「東アジア人」向けの総合スーパーと言う事らしい。


しかし冷静に考えて、「事情」を知らない人から見れば、ここは「日系コミュニティー」にある「日系スーパー」にしか見えない訳で。

それが、入店したら「ハロー(How ya doin?)」でも「いらっしゃいませ」でもなく、「アニョハセヨ~」なんて言われても違和感しか感じないだろう。

「接客話法」として教育しているのか、店員の独断で発しているのかまでは知る由もないが、挨拶される度、「違う違う、そうじゃ、そうじゃない」と言いたくもなる。

まして、そこまで「韓国推し」にこだわるなら、「リトル"トーキョー"ギャラリア」なんて名称を使う意味が無い様に思えて仕方ない。

逆に、コリアタウンやチャイナタウンで日系企業が同じ様な事したら、それこそドエライ騒ぎになりそうなものだが。


やんわり受け入れている風にも見える現地の日系コミュニティーは、あの主張や経営スタイルに対して問題意識は無いのかとも思えてしまうのだが、考えすぎだろうか。


この記事で良いも悪いも論じる気は無いし、ことさら問題を煽る気も無い。

実際、親切にしてもらった韓国系の方々もいるし、あのショッピングセンター自体の利便性も高い。

故に、何とも表現し難い歯痒さが伴うのだが、一連の事例を見た上での正直な感想として、やはり「違和感は違和感でしかない」と言いたい所。


人が「声の大きい方」に気を引かれるのは世の常だけど、これが向こうなりの「声の出し方」なんだろう。
実際にこうして色々な場所に主張出来てる訳だし、効果があるのは間違いない。

ただ、やみくもに四方八方に大声出した所で、最終的に「煩い奴」でしかなくなりそうなモノだけど。




それより、あの島の領有権を主張する看板や動画が取り外される日はいつになるだろうか。



今の時点では解決しそうに見えないが…。