CULrides カルライズ

発見と探究そして文化。そんな諸々の話。

LOUD PARK 15の感想 前編

何となくで足が向かず、2010年以来実に5年ぶりに観覧。
とは言いつつ10月10日(土)のみですが。


ラウドパーク自体が10周年と言う事もあり、初日のメンツはヤル気マンマンみなぎりまくり。

イメージ 1



2日目も気になってはいたが、好みの問題でエクストリームステージ縛りになる上、大半は何度も観ていたりするので、それは別の機会として見送り。
DARK TRANQUILITYとABBATHは観たかったけどね。



そんな、大分詰め込んだ感のある10日の感想をば。


入場の列もいつになく長い気が。

イメージ 2



物販の一部。

イメージ 3

オフィシャルグッズ売り場はまた別の場所にあるんだけど、目ぼしい物は早い段階で売り切れてましたな。


どうでもいいが、一昔前に比べてサンプラーやステッカー等の配布物がメッキリ減った。世知辛し。


そんな中トゥルーパーは、今回出演するメンツのステッカーをまとめて配布しててナイス。

イメージ 4


やっぱあると嬉しい。


タイムテーボー。

イメージ 5


毎回、どのバンドを優先するか悩み所ですな。


案外、全体的なレイアウトは5年前とは大きく変わってないくて何か安心。
タロー浦島状態にならずに済んだ。



では前置きはここまでにして、ライブの感想を。



UNITED
昨年9月、故横山氏の追悼イベントとしてクラブチッタ川崎で開催されたYOKO FES以来。

追悼イベントに対してこう表現するのも妙な感じだが、懐かしいバンドや人物達が一同に会し、本当に同窓会みたいで楽しかった。
それも含めて、横山氏の人格的な部分を垣間見た思いである。


それを経て、現編成を観た感想としては、どこか元気と言うか覇気が感じられない様にも見えた。
演奏に勢いが無いと言う事では無いのだが、やはり大事な何かが足りない。
そんな風に感じる。

前任のケンシン編成は一度も見ぬまま抜けてしまい、結果的に湯浅氏が出戻る形になった訳だが…。
2000年頃に加入した当時のイケイケな勢いを知っているだけに、また微妙な心境。

まぁ、キャラクターは昔からあんな感じだけど、案外、そういう面での「ツッコミ役」が居なくなったのが、実は一番大きいのかも知れない。
ハリー先輩イジリとか、大谷先輩とのヤリトリとか。

次回はVIOLENCE JACKとUNTIDEも聴きたい所。



DAITA BAND
甲斐バンド中ノ森バンド、THE LOCAL BAND、そしてDAITAバンド。


本来はBREAKING ARROWSとして出演予定であった所、メンバーの都合で急遽ソロでの出演となったそうな。

所謂ギターメロ中心のインストバンドだったが、別に悪い所は一切無く、むしろ演奏は良かった。
しかし、単純に音楽的な方向性の意味で当日最も不遇な目にあってしまった感が否めない。
本人も何だか申し訳無さそうにしていたし。

また次週にSHAM SHADEでスーパーアリーナ公演が控えていただけに、いっその事LOUD PARKにも出演していたら、それはそれで盛り上がったのでは無いだろうか。
いや、結構マジに観たいよ。



OUTRAGE
こちらもYOKO FESぶり。

初めて観たのが何時か忘れたが、ある時からどこか吹っ切れた感があり、確信的と言うか信念めいた物を感じる。

ライブにもその信念の様な部分が強く出ていて、ある意味では大舞台でのライブに意識を定めたらしい、堂々たるパフォーマンスであった。

どうでも良いが、丹下氏の声質は天龍源一郎に似ている。



GALNERYUS
だいぶ以前に(確かINDEPENDENCE-Dで)観てはいるんだけど、当時はあまりパッとしない印象だったのだが、今回観たら何か別物の様な変わり様。
勿論いい意味で。

演奏力も表現力も半端ではなく、ひたすら伸びるハイトーンボイスとクサメロギターソロの嵐。
例えて言うなら、フルーツソースをふんだんにかけた濃厚なレアチーズケーキをひたすら食べ続ける様な、無限スイーツ感覚。

今度は栄養過多で、3曲位聴いたあたりでお腹いっぱい。



GOJIRA
数年前、某環境団体との絡みで色々と物議を醸し話題になって以来の初来日。

今回、初めて聴いた訳だけど、想像以上のヘビーヴルーヴサウンドと演奏力の高さ。
ドゥーム、ストーナー由来であろうひたすら重苦しい音はカオティックな要素も孕み、またどこかスペーシーでもある。

こう言ったポストメタル的な音は様々なスタイルへと変化を遂げ、アンダーグラウンドでは度々小規模な流行を起こしたりしているのだが、この手のバンドがラウドパークの大舞台に登場するのは珍しい。
人気とは言ってもニッチそうだし。

個人的には、何となくTODAY IS THE DAYを思い出すのだが、最近ではCODE ORANGEもこの流れの1つと言えそう。
このタイプのバンドが現在大きな注目を集めると言う事は、また新しいメタルのムーブメントが生まれつつあるのかも知れない。


最後に、スマホの翻訳機をマイクに当てて、「アナタハウツクシイ、アイシテマス」的な発言をして終了。

勝手にもっとハードなキャラを想像していたので、終始思っていた以上に友好的なムードで和む。
まぁ、ボーカルが海シェパードのTシャツを着ていた辺り、実際はどう考えているのか気になる所だけど。

一昔前は、こういう環境問題の話題はVegan Straight Edgeを標榜するニュースクール勢やクラストの得意とする所だったけど、今後はこのゴジラが中心となるのだろうか。



METAL ALLEGIANCE
やたら豪華なメンツが集結したスーパープロジェクトらしい事までは把握していたが、アルバムもリリースしているとの事で詳しくオフィシャルサイトを見てみると、最早スラッシャー同窓会状態。

勿論、現代のシーンを象徴する重要人物も多数参加しており、よくもこんなに集まったと言わざるを得ない豪華キャストだ。

そして、当日の編成もまた通常では考えられないメンバーが登場し、会場も否応無い期待感に包まれる。


ボーカルにはTESTAMENTのチャックとDEATH ANGELのマーク。

ギターはTESTAMENTのアレックスとEXODUSのゲイリー、後半にチラっとANTHRAXのスコット。

ベースにANTHRAXのフランク 、MEGADEATHのデイブ・エレフソン。

そして、ドラムにANTHRAXのチャーリーと、西海岸ミーツ東海岸の混成部隊が編成されている。

勿論、こんなメタル界の重要人物達が交代制で各曲を演奏しているだけに、メンバー紹介の度に歓声が巻き起こる。

オリジナルと見られる楽曲については、このメンバーそれぞれのキャラクターやバンドを反映した様な内容。
そりゃそうなるか。

しかし、この公演前に急なメンバー変更がLOUD PARKのオフィシャルで発表され、ARCH ENEMYのアリッサが抜け、結果的にANTHRAXのフランクとスコットが追加となったそうだが、これで曲目にも変更があったのだろうか?


合間にはBLACK SABBATHのHeaven and hell、IRON MAIDENのRun to the hillsのカバーを挟み、当然の如く大ウケ。

しまいにMETALLICAのSeek and destroyをかまして終了したが、どうせならS.O.DとかPANTERAやればいいのに、と思ったのは僕だけでは無いはず。
まして、その後のANTHRAXのステージで、ディオとダイムバッグのバックドロップまで出してる訳だし。

まぁ、レアすぎるメンツでのライブを観れた訳だし、贅沢を言うのは野暮ではあろう。
純粋に楽しめた事だけは確かだし。


所で、どの曲かでチャックは、アンチョコ(カンペ)を見ていたのかずっと下を向いて唄っていたが、流石にアレはアリなのか。



ALL THAT REMAINS
こちらは前回の07以来。

最近は全く彼らの動向も知らなかったのだが、若干のメンバー変更があった様で、新しいギタリスト君が加入。
これまたMISFITSのタンクトップが似合うイケメソのナイスガイで、フィルがやたら楽しげに絡んでいたのが印象的。
また、ベースのジーンは来ていなかったが、彼女は抜けたのだろうか?


MA出身でボーカルのフィルが元SHADOWS FALLと言う事もあり、所謂メタルコアの一角として認知されているが、前回と今回のライブを通じて思うのは、実際は正統派のヘヴィ・メタルだなと。

そのSHADOWS FALLにせよKILLSWITCH ENGAGEにせよ、本人達は「ハードコア畑出身」と言う過去には拘りが無く、あくまで正統派であるのを貫いているのと同様に、彼らもまた意識は正統派なのだと感じる。

勿論、それは今風にモッシュパートを織り込んだりと、どこか「スポーティーさ」を感じるパフォーマンスありきなので、フックのある展開が多いのだが、この「運動量の多さ」こそアメリカ流の正統派なのだ。

そういう意味で、彼らはANTHRAXやEXODUSと大きな違いは無く、本質は同じ次元の存在と言えるだろう。
そう、生まれた時代が違うだけなのだ。


そんな彼らのライブ運びは上手いの一言で、演奏力の安定感は勿論だが、全体的な空間や客席との距離感の把握が抜群。
そこはやはり、ショウビズ大国アメリカのステージで揉まれている訳である。

ただ今回、フィルの声が出切らず、かなり振り絞っているシーンが多く見られたので、歌モノをどう表現しきれるかが焦点になりそう。

そういう意味でどこか抜けきらない辺り、A7Xのマイクにも通づるもどかしさがある。



TESTAMENT
こちらはスラドミ05以来で実に10年ぶり。
そんで今回の目的の1つ。

のっけからOver the wall、In to the pitと畳み掛け、その後も過去の代表曲を抽出した選曲は、まさに彼らのベストとも言うべき内容。
個人的に、確かスラドミ05では演らなかったD.N.R.を聴けたのは嬉しい。
セットリストとしては、言う事無しの満足感である。

アレックスのプレイも冴えてたし、スティーブの謎の3弦ベースも変態的でなお宜しい。
いや、以前から3弦だったか?
むしろ、あんな楽器あるのかって感じ。
チャックも謎のセルフィー棒の様なマイクスタンドでエアギターしっ放しで、ひたすらご機嫌モード。


しかし、ドラムの様子が違うので良く見ると、やたら若そうなアフロ青年が。
誰だろうか?ジーン・ホグランは?

正直、ドラミングには怪しい箇所が目立ち、イマイチ心許ないなと言うのが率直な感想。

また、METAL ALLEGIANCEからも気にはなっていたが、チャックが激痩せしていて、どうにもラテンのオバチャンに見えて仕方ない。
何より、声も出しにくそうだったし体調大丈夫なんだろか。

ついでに、もうエリックはDRAGONROADやってないのかね。
あれもLOUD PARK向きだと思うんだけど。

そんな諸々の疑問は残しつつも、セットリストの効果と相まって中弛みする事なくテンションを保ちながら進行。

まさに現役のベテランらしい貫禄を存分に発揮するパフォーマンスとなったのでありました。



後編に続く。