CULrides カルライズ

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LOUD PARK 15の感想 後編

また無駄に長い後編に突入です。

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ANTHRAX
今回の目玉の1つであり、目的の1つ。
出演表には何故か「SPECIAL GUEST」と追記されているが、どういう意味なんだろ。
まさかMETAL ALLEGIANCEのついでなのか。
まぁそれでも十分だけど。


今までに、ジョン・ブッシュ編成を観たのが2回。
そして、ジョーイ・ベラドナ編成が今回で2回目となる。

やはりと言ってはジョンに申し訳ないが、そこは2代目であり実質上のオリジナルであるジョーイの存在感は大きく、当然の如く原曲とのハマり具合がグンバツ
そこは3代目Jスラッシュブラザーズと言う訳には行かないのだ。(何のこっちゃ)

そして、当日のベテラン勢を見ても、ジョーイの声の通りは素晴らしく群を抜く。
抜けてた期間も長かったハズなのに、全く衰えを感じさせない。

それと同じく、ANTHRAXの凄い所はとにかくリズムが正確で再現性の高いプレイにあるだろう。
リフを詰め込み、手数が増えがちなスラッシュメタルにあって、音の数が多すぎずとても聞き取りやすい。
とにかく、クリアでタイトだ。

これは後で知った事だが、もう一人のギターが誰なのか気になって調べると、SHADOWS FALLのジョナサンが加入しているではないか。
また意外な人選に新鮮な驚き。
そうは思わないかね、ラボンテ君。


所で、不思議とANTHRAXはアルバムリリース毎に賛否が別れるのと反比例して、毎回妙な期待感と共に来日している様に見える。

それは考えるにS.O.D、あるいはPUBLIC ENEMYとの共演、そしてスケートやファッション(スコットはSTUSSYをよく着てたから)等のクロスオーバーを体現した事で、「メタルファンの裾野」を広げた事に由来するものだと言える。
そんな「メタルらしからぬ軽快なストリート感」が彼らの実績であり強みなのだ。

そして、そのメタルに対する柔軟さがライブで「再現」される為に、いつまでもファンは期待し心踊らせ続けるのだろう。
当然、僕もその一人である。


途中、ディオとダイムバッグの顔が描かれたバックドロップが登場し、彼らへの追悼曲であるIn the endが演奏されると会場も暖かなムードに。
セット自体も比較的バランスが取れていて、必要な曲を隙間無く詰め込んだ形になっていた。


少し贅沢を言えば、Bring the noiseをやらないなら、DeathriderかMetal thrashing madを混ぜて欲しかった点か。
あれならジョーイの声にハマると思うんだが。
もちろん、そこは変なアレンジ加えた再録版でなく、オリジナル仕様で頼みたい所。



ROYAL HUNT
メロスピは全然聴かないのだが、蝶野の曲が聴けて満足。



GAMMA RAY
K1の曲が聴けて満足。
二日目のHALLOWEENとは絡んだのかな。

メロスピ尽くしのKINGDOM STAGEでした。



CHILDREN OF BODOM
相変わらずファック連発の荒岸雷穂くん。

君はファック抜きで喋る事は出来ないのかね。
一言喋る毎にツバ吐きまくるのも、君ぐらいのものだよ。
THE LOCAL BANDでもこんな感じかい?

まぁ、かく言う私もしばらくアメリカに居たのに、覚えた言葉と言えばシットファックビッチサックス位なんだがね。

それに比べてキーボードのヤンネ君はどうだい?
いかにも北欧の純朴で真面目そうな青年ぶりを見てごらん。

新しく加入したと言うギターについて、「彼は僕の弟です。彼は日本は初めてです」と紹介してくれるし、「日本にお招き有り難う御座います。皆さん大好きです」なんて、お礼まで丁寧な日本語でしたよ。

その上、何故か(ホント何で持ってたんだ)自分で回し投げたドラムスティックをキャッチし損ねて、「アッ!」と言う表情をした瞬間をモニターにデカデカと映し出されてしまう辺り、かなりの天然と見たよ。
ついでに、あの姿を見て僕はシルシルミシルの「AD堀くん」を思い出しました。
とっても美味しいです。

荒岸君のそのトーク力がガチなのかネタなのかもはや判別不能だけど、しかし、そのブレなさだけは認めるし貫き通して欲しい所です。


ARCH ENEMY
マイケル・アモットの来日頻度は異常。
ボーカルがアンジェラからアリッサに交代してから、初めて観た。


ひとまず第一印象としては、「よく調教されてるな」と。

彼女が以前在籍していたと言う、THE AGONISTでのパフォーマンスは一切知らないが、盛り上げ方が妙にこなれてて上手い。

特に、比較的簡単な表現の英語で聞き取りやすく喋るあたり、かなり教育されたであろう事が想像される。

恐らくマイケル・アモットかアンジェラあたりが、「日本人の、英語苦手じゃけ、ゆっくり喋れや」とでも教えているのかも知れない。
いや、ガチンコの竹原風かどうか知らんが。

また、演奏中も、バックドロップにプロジェクションマッピングか何かで映像が流されているのだが、更に演奏を追うように「歌詞」を表示する事で、観客にも歌いやすくしてくれるサービスぶり。
こんなカラオケシステム、いつ導入したんだろ。

お陰で、「当日で最も丁寧な対応でしたで賞」である。


しかしながら、このアリッサ嬢のボーカルに関して言えば、些か声量と声域の幅が狭く感じられるのも事実。
勿論、ARCH ENEMYに加入するだけあって、そこはトータルな意味で超高水準の人材である事に違いないが、あくまでアンジェラと比較してしまうと、そう感じてしまう。
ただ、それはこれからの活動で鍛えられていく部分であろう。


もう1つ、その前任者であるアンジェラとのキャラクターの違いも、見比べると面白い所。

アンジェラは、ステージ上での出で立ちに反して、家では寡黙な読書家の雰囲気を纏う、「文系女子」。
対してアリッサは、まさに見た目に違わぬイケイケの「BANDやろうぜ!」感。
よくもまぁ、ここまで違うキャラクターが加入したものだ。
二人ともやたらルックス整ってるし、どこでこんな人材見つけてくるやら。


そんな中、途中のMCでアリッサが、「ラウドパークが10周年のメモリアルって事なんだけど、アーチ・エネミーの20周年記念でもあるの!」と言い出したかと思うと、「オリジナルメンバーのヨハン・リーヴァとクリストファー!!」と、何と初代ボーカルのヨハンとクリストファー・アモットが登場。

どうにもオフィシャルでは事前に出演が告知されていた様なんだが、クリストファーは分かるとして、ヨハンが日本の地を踏むのは何年ぶりか。
ARCH ENEMYを初めて観たのがBEAST FEAST 2002なので、実際に彼が歌う姿を見るのは初。
何か得した気分である。


そのヨハンは、いかにも神経質そうな顔立ちと痩せ型の体型に、乾いたガナリ気味のデスボイスと、まさにスウェーディッシュ・デスの様式美を体現する姿で納得のハマり具合。

ここで一旦アリッサはハケて、彼がボーカルとして在籍していた当時の曲をオリジナル版で連発。
Bury me an angelはアンジェラも唄っているハズなんだけど、やはり大分印象が変わります。

そして、最後の方で再登場すると、今度はアリッサも一緒にツインボーカルでFields of desolationをかます

これでもかとサービスを詰め込んだステージは、当日の出演者で一番だろう。


所で、マイケルは二日目のCARCASSとは絡んだのだろうか。
ヨハンが出たなら、その辺の共演も見てみたい所。
確か08年のCARCASSは、マイケルとダニエルが参加していたし。


と言うか、今回のラウドパークは出演者の人脈に相関関係がありすぎてキリが無いのだが、こんな時だからこそ見てみたい絵面ってあるよなぁ。



SLAYER
いつの間にか、ラウドパークのトリと言えばこの人達的な存在となって久しいが、前回観たのが09年。
その後、ジェフが亡くなってから現編成でのライブは初である。

そのジェフの後任としてEXODUSのゲイリーが正式加入した訳だが、これまた思った以上の違和感の無さ。
むしろ、遠目で見てるとまるでジェフがいる様でもある。

勿論、弾き方や立ち姿はジェフと違うのだが、しかし何か降りて来てるんじゃないかと思わせる程に、一体化した雰囲気を放っている。
ゲイリーの体借りてると言うか。

また、トム・アラヤがいつになく機嫌がいいのか、終始笑顔であったのも印象的。
毎度あんな感じだったっけ?

ポールボスタフのドラミングについて賛否が別れそうだが、何だかんだスレイヤーの音にはあのシャープさが合っている様に感じるので、個人的には好きである。

ケリーキングもますます人間離れしたルックスになっている様に見えるが、あれはやはりイモと肉しか食わないと言う食生活の賜物か。
何故か北斗の拳を思い出す。


セットリストについても、これまでのスレイヤーを総括する内容。
Angel of deathやChemical warfare等の代表曲も早い段階で織り混ぜ、それらが矢継ぎ早に演奏される事で飽きること無く客席のテンションも保たれる。
案外、ここでダレてしまうと最後まで空気を引っ張られてしまうのだが、そういう意味ではかなりバランスの良いセットとなっていた。

そしてあっという間に終盤を迎えると、メンバーは一旦ハケて暗転。

まだアレとかアレ殺ってないよなーなんて思っていると、暗闇からSouth of heavenの怪しいイントロが…う~ん素晴らしい演出。

そして続けざまにReigning bloodに入るのだが、その瞬間「SLAYER」のバックドロップが落ち、その裏に仕込まれていた「Hanneman」のバックドロップが出現!

イメージ 1

※終了後撮影

これには会場も大歓声。
実は昨年もやったそうなのだが、それでも魅せるモノがある。

Still Reigning…ホントこれはジェフ降りて来てるよ、うん。



こうして嵐の如く過ぎ去り、本日のラウドパークは終了。

いやー、今年は密度が濃かったせいか、何かあっという間だったぞ。
展開が早くて余韻に浸る間が無いというか。


ここ数年間のライブで1つ気になるのが、ワンモアはせずに全て一度に詰めて終わらす所か。
一昔前なら、一旦ハケて観客の呼び声に応じてアンコールとなっていたけど、今はどのバンドもやっている所を見ない。

何故こうなったのかは色々と理由があるのだろうが、こちらの方がスッキリ終えられる分、何かと都合が良いのかも知れない。

まぁ、観客としても「どうせワンモアやるんだからサッサと出てこい」的な時があるし、この方がスマートで理に適っているのだろうとは思う。
これも時代の流れか。



~まとめ~

今回のラウドパークは、ここ数年間で観た中で、各バンドそれぞれベストの内容が揃っていた様に思う。

それは、10周年に伴うスペシャルとして用意されていた物であれ何であれ、厚く記憶に残るボリューム感であった事は間違いなく、まさに記念すべき節目を飾るにふさわしい内容であった。

行って良かった。

間違いなくそう言える密度の濃さでありました。



ついでに余談だが、あくまで個人的な願望があるとすれば、やはりメタルコア等の若者向けなバンドや、ピークは過去でも既にベテラン化しているバンド等をもっと呼んで良いのではないかという所。
たまに「ラウド?」な人達が出るのを見ると、余計にそう感じる。

例えば、HEAVEN SHALL BURNあたりならキャリア面でも人気でも充分であろうと思うし、FEAR FACTORYだって次週に来日予定だった訳だから、尚更ラウドパークのステージでも観たくなる。

ただ、その点に関してはオズフェスやノットフェスとの食い合いにもなりかねないので、難しい部分だろう。
集客、収益にも影響する訳だし。


しかし、日本でこれだけメタルフェスが乱立するなんて、一体誰が想像しただろうか。
リスナー人口が増えた訳では無さそうだし、謎だが…。
まぁ、メタルファンにとっては大変喜ばしいくも悩ましい現象ではある。




さて、来年のラウドパークだが……。


やはりそこはメンツ次第で。