CULrides カルライズ

発見と探究そして文化。そんな諸々の話。

OZZFESTに行ってみた 後編

前編から早一ヶ月の放置プレイ。

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まさに遅筆。
下の筆は早いのだが…。



それはさておき、無闇に長い後編に凸入である。



BABYMETAL
間違いなく本日イチの難物。

※この感想については僕個人の感想であり、ファンの方にしてみれば同意しかねる部分があるかと思います。
あくまでフラットな意見として述べているものではありますが、もし相容れないと思われました際はスルーして頂ければと思います。


して、先ずはコンセプトからして明らかにイロモノ枠である事は確かだし、どの「物差し」で観るかで評価は大きく分かれる所だろう。

一応、僕はどのジャンルに限らず「興味があるものは観ておく派」なので、とりあえずはチェックする事に。


デビュー以来、各所で物議やら起こしつつ注目を集め、いつの間にか一定のポジションを獲得している様に見えるし、海外のフェスへの出演も相次いでいると云う。
それを物語るかの様に、会場は異様な程のベビメタTシャツ率。
下手すると会場の1/3以上はこのTシャツだったのではないか。
人気は確かなのだろう。


ただ、これに関して個人的にはプロダクションの営業力(企画力)の賜物が大きいのだろうと感じている。

実際、タワレコの雑誌コーナーで「ヘッドバンガー」誌を読んだ時にも、「海外フェスで受け入れられている」、「彼女達を認められない人は感性が低い」と言わんばかりの特集記事が延々と掲載されていて、それこそ「大人の事情」ではないかと勘繰らせるに充分すぎる程の贔屓ぶりだったからだ。

まぁ、それが芸能界なんだと言われれば確かにその通りだろうし、是非を問うても仕方ない。
冒頭で述べた通り、観る側の「物差し」によって受け止め方は様々だし、結果的にはパフォーマンスが全てでもある。

あくまで「様式」に拘る人なら「悪いジョーク」と言いたいだろうし、メタル云々ではなく「エンターテイメント」なんだと思えば「これはアリ」となる様に、各々の先入観でも感想は変わるだろう。


ライブの内容について言えば、音のバランスは当日の日本勢では一番まとも。
バックの演奏力も高いし(ドラムがちょっと怪しいけど)、思っていた以上だった。

彼女らのパフォーマンス的な部分について述べるとすれば、先の「エンターテイメント性」が前面に出ている分、その部分については非常に凝っていて楽しめる。

特にスターウォーズ風のオープニングや、戦国時絵風にメタルレジェンドの合戦を描いた映像演出、そしてメタルらしからぬユルいMCをかます彼女達との合わせ技は、異常な光景過ぎて見ている側を混乱させ時に笑ってしまう。


が、あくまで「アイドル枠の人達」なんだろうなというのが正直な所。


それは立ち振舞いやら何やら全てにおいて、やはり音楽活動を「している人達」とは違い、「動かされてる」感が強すぎて結局「アイドル」にしか見えないのだ。
つまり「主体性」の問題である。

実際、合間に流される映像作品でも、事ある毎にメタル界の著名人達(オジーやケリー・キング、アンスラックスなど)を登場させたりと、暗に彼らを「イメージ戦略」で使っている様な印象を受けてしまい、純粋に観る事が出来なかった。


更に、彼女らのファンと他の「音楽ファン」との間にも見えない大きな隔たりが存在しており、同じフェスの空間なのに明らかに「混ざらない」、否「混ざりあえない」何かがあった。

一言で例えるなら、それは「宗教観の違い」とも表現出来る壁だった。

一応は同じ空間に居るので、表立って排斥する事も対立する事も無いが、決して一緒には住めないし、最後まで理解し合える事も無いあの感じ。
いつかあの壁が完全に解け合う日は来るのだろうか?


今でこそ「ビジュアル系」や他のジャンルの壁は以前より薄くなり、中間を行くバンドも多くなったが、いまだ確執は残されているのが実感。
同様にベビメタの現状も、「どちらのファンもどちらのファンにも成らない」とも言えそうな状態。

いや、当然「どちらもファン」はいるのは確かなんだろうが、それは少数派であるのでは無いかと考えている。
そこまで人の心、「ファン心理」は柔軟では無いし、まして、互いに「深い」領域まで踏み込むには相当な器が要求されるだろう。


ただ、1つ救いがあるとすれば、彼女達の様なグループを受け入れる土壌が、現代の世に完成しつつある事か。
それは、ここ数年のももクロ然りだろう。
それこそ一昔前では考えられない現象だし、まさに「時代の産物」である事には間違いない。


そう考えると、昔からアイドルバンドと呼ばれる人達は居た訳だし、時代が変わって別の意味で「表現の幅が広がった」、とも捉える事が出来る。

決して悪い意味ではなく、「他と関わりつつ明確に住み別ける」あの空気感は、現代社会の縮図の一つと言えるかも知れない。


長々と結局何が言いたかったかと言うと、「あのアプローチもまた一つの形」なのだろうな。


と言う事です。



Jane's Addiction
トリ前としては意外な気がする選出。
通常なら、間違いなくサマソニフジロック寄りだし。

アルバムとしてはStraysだけ持っているのだが、あんま聴いていないと言う。
まぁ、そこは好みの問題って事で。


元々、音楽的には高い評価を受けていた訳で、当日の中では最もクリアな音質。
そして演奏も「丁寧」だった印象。
ステージの作りもやけに凝っており、ステージ全体にイントレ?やらオブジェやらが大量に組み込まれている。


しかし、それ以上に目を引くのがランジェリー姿で妖しく踊るポールダンサー達。
毎回こんな感じなの?
彼女らにもギャラが出てるのか気になる所。

記憶だと、デイブ・ナヴァロはセクシーアイコン(以前、Sugar RayのMarkやType O NegativeのPeterがそんな扱いだった)的な存在だったし、ペリーのキャラクターもあるにせよ、そう言う意味で彼ら「らしい」演出とは言えそう。

とにかく、合間合間でセクシーコマンドーダンサー達がペリーに絡んだり、脱いでは手ブラでギリギリポーズ(古)をかます
何かスパイスが効きすぎて、演奏に集中していいんだかダンサーも含めて観るべきなのか迷う。

しまいにはボディサスペンション(体に釣り針みたいなフックをブッ刺して持ち上げるSMショーみたいなヤツ)で、サーカスが如く空中を舞う二人のダンサー。
最早、背徳的と言うか前衛的な空気感である。


その中で一番の出来事と言えば、途中で「友達を紹介するよ」と、ゲストでX JAPANYOSHIKIが登場した事か。
一曲のみピアノで共演したのだが、まさか本当にこれだけの為に帰国したんだろか。

去り際に一瞬、さりげなーく小さく両手で「X」を描くと(そう見えたけど)会場から笑いが出る。
次はX JAPANで出演すべきじゃないかコレは。


音楽的にはほぼファンクだし、ある意味では「アート」としての世界観が強烈なせいか、客席は聴き入り(見惚けてたとも言える)モード。
あるいは、当日の客層の問題もあるだろう。

どこか妖しいギャラリーに迷い込んだ様な空気を放つステージングは、やはりメタルフェスと言うよりフジロック辺りがハマるなと思う。


フジロック行った事無いけど。



Ozzy Osbourne&Friend
今まで何度も機会はあったハズなんだが、何だかんだ初めてのオジー
かなり楽しみにしていたのであります。


まずは一発目にI don't knowで始まりを告げる。


そう、コレだよコレ。
これで始まる所を見たかったんだよ。
あぁ、やっと体験出来たな~としみじみ。


しかし余計な事だが、当日のステージ衣装は「セレブ老婆のカットソー」みたい。
まぁ、年齢的にも重ったるい格好はしたくないだろうし別にいいんだけども、あれはギリギリ部屋着じゃないか。
力抜けてるなぁ。

また、当日のメンバーもロクに把握していなかったが、ガス・Gは判るとして他は誰だったんだろ。
とりあえず、ドラムがジャック・スパロウ船長である事までは理解出来た。


そんな野暮なツッコミはここまでにして、3曲目に入る時に「オジーとゆかいな仲間達」の一人、トム・モレロが登場。
これまた意外な感じで会場も「おぉ~」となる。
言うなれば、オジー・アゲインスト・ザ・マシーンみたいな。

それでMr. Crowley、Bark at the moonを一緒にやるのだが、思った以上にトムがメタル的なギターワークを披露し、新鮮な感覚。
ただ、やはり手癖が出るのか、だんだんレイジっぽく聴こえてくるから不思議。


余談だが、前編のHER NAME IN BLOODで触れたSTRUNG OUTはBark at the moonをカバーしており、これが見事にSTRUNG OUTらしさ全開の絶品カバー。

この曲は、コンピレーションカバーアルバム「PUNK GOES METAL」に収録されているので、興味のある方は是非手に入れて欲しい。

イメージ 1

他にも、メタルファンには楽しめるカバー曲が多数収められている

彼ら次の日(23日)にFat Wrecked for 25 yearsで出演したけど、何か触れたんかなー。
本当に行けば良かった…。



話は戻り、どの曲か忘れたが、お次はデイブ・ナヴァロが登場。
トムも然りだが、デイブもオジーと共演する画はまず無いシチュエーションだろう。

中盤からはBLACK SABBATHのセットに移り、今度はIron manでギーザー先生登場。
独特の滑らかに粘るベースラインが妙に心地よい。

更に途中でザック・ワイルドも参加と、まさにオジーとゆかいな仲間達。
大体一曲置きにゲストが演奏する形となっており、その度に味が変わる様で楽しい。


それにしても中盤からオジーにも疲れが見える。
と言うか、サバスセットに入ったあたりから若干歌えてない所があったりで、何だかしんどそう。
まぁ年齢を考えれば当然とも言いえるんだけども。


所で、今回初めて観て何となく思うのは、オジー・オズボーンとはつまり、日本人で表現する所の「ビートたけし」なのではないかと言う事。


ジー・オズボーン=ビートたけし


二人に共通する特徴を挙げるとすれば、若い頃から数々の伝説を残し、周りには慕ってくるイカれた若手達。
そして、現在でもショウビズ界のみならぬ影響力を持っている所か。


ビートたけしがテレビでどんな好き勝手メチャクチャしようが「まぁこの人だし」で通るし、「コマネチ」さえすれば円く治まる。

同様に、オジーのパフォーマンスがいくらヨレヨレで滑舌が悪くなろうと、「I don't know」等の代表曲さえやってくれれば、それだけで充分役目を果たした事になる。
それ以上求める必要など無いのだ。


それを象徴する様に、オジーはステージ中に度々放水器で客席に向かって「泡」をぶっかけまくっており、客によっては全身泡まみれな人も。

こんな粗相が許されるのもオジーらしいし、もしビートたけしが同じ事をしてもギャグで済むだろう。


そういえば、いきなりデビューしていきなり消えた娘(ケリーと井子)がいる所も同じではないか。
二人とも嵐の様な早さで過ぎ去ったなぁ。

ついでに、オジーの息子は落合福嗣に似ている。



そんな「メタルレジェンド」と「お笑いレジェンド」との共通点に一人合点しつつ、ライブは後半戦。


本編をCrazy trainで締めると、間を置かず再登場。
アンコールも「引っ張らない」のが最近のトレンドです。


Mama,I'm coming homeから流れる様に「更にもう一曲やるぞー」と、最後にParanoidが始まるのだが、ここに来てゆかいな仲間達がステージに総出演。

下手側にギーザー先生、ガス、上手にはザック、デイブ、トムと見た目はカオスな超豪華メンツ。
ジーのステージと言うテーブルの上に、肉、魚介、豆類を中心にした高蛋白の料理でも並べてるみたいだ。


そして、ここに来て忘れた頃に下手から突如ふなっしーが登場。
いつ出るんだ?とか思ってたが、最後の最後で本当に出てきた。


例の如く、猛烈な勢いで体を振りまくるふなっしー
それを目の前で見ていたギーザー先生爆笑。
遠目からトムも「一体何だありゃwww」といった表情で、気になって仕方ない様子。

彼らとは対照的に、ザックは無視、デイブに至っては無表情に見つめるだけで、若干怪訝そうにも見える。
リアクションも人それぞれ。


更に体を振りまくるふなっしーに対し、今度はオジーが例の「泡」を集中放水。
その瞬間、ふなっしーの動きがピタリと止まり、あっという間に左半身は泡で埋め尽くされ、生クリームを纏ったケーキの様。

それを見ていたギーザー、ガス、トム爆笑。
そしてザック無視、デイブ無表情。
ブレない二人。

しまいに、泡まみれのふなっしーもお返しとばかりに、口から何か水、もとい梨汁を噴射。
これは恐らく、「中の人」の貴重な水分と見られる。

そしてひとしきり動き倒すと、また唐突にスタッフに押し戻され袖へ消えてくふなっしー。何か扱いが雑だ。
時間制限でもあったのか、随分急なタイミングだったのが印象的。


しかし、結局あの「泡」は一体何だったのか。
体とか口に触れても大丈夫なのか。
てっきり水かと思っていたが、泡が出てるとは。
かなり濡れてる人も居たが、電車で帰るのはキツかったんではないか。
心配です。


こうしてふなっしーに気を取られている内に、大団円にて終了。


おいしい所を隙間なくキッチリ詰め込んだ内容は、相当にボリュームがあって大満足。
まさにオジーの「器」を見せつけられた〆となりました。



[まとめ]

何だかんだ行くのを迷っていた所で、最終的には楽しめた事は間違いない。

それは勿論、「目的のバンドを観られたが故に補完された満足感」ではある。

しかし、通常では足を運ばないタイプのジャンルのバンドを観れるのも、フェスならではの醍醐味。
僕にとっては、先の人間椅子やベビメタがそれに当たる。

特に、この日本版オズフェスならではとも言えるバラエティ豊かな面々は、ある意味ではこのフェスの「売り」になりつつあると言えるし、更にメタルシーンにおける壮大な「実験場」の役割も果たしているだろう。


この先、ラウドパークの対抗馬と成るか、あるいは全く別の方向性を極めて行くか見所であるが、思った以上に日本のメタルシーンは混沌としている事が伺える。



と、まぁ色々ゴタク並べた所で、やはりフェスは「動き」があってナンボだと思う訳です。

それは「人の流れ」も「音楽の好み」も「体感」も、そして「心」も。

同じジャンルが固まれば、コアな人達の憩いの場になる。

違うジャンルを集めれば、新たな発見の場になる。


そう、フェスって成功しようが失敗しようが何だろうが「面白い」んです。

誰かが沢山集まって何かしてるってだけで、その時点で人の本能的な興味にスイッチが入り易くなるんです。



「とりあえず興味あるなら行ってみれば」。


つまりそう言いたいのでありました。



長々期間使っておいて何だこのオチ。




おまけシリーズ。



帰り際に何故か迷い込んだザギンにて歌舞伎座

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海老蔵=エビーメタル。