前回まではロストエギのリメイク。
🌑ロストエギのリメイク🌑
そんな今回は、「タコテンヤ」のカスタマイズのお話。
エギのリメイクでは途中経過を省いていたのですが、その後に手頃なテンヤを手に入れた事もあり、もう少し具体的な「デコレーション」の手法を記して参ろうかと思います。
🌑テンヤ概要🌑
さて、今回のベースとなりますのは、コチラのタコテンヤ。
ご覧の通り、非常にシンプルな形状となっていて、最初から白い疑似餌が搭載されいる。
この手触りの質感からして、どうやら「陶器(セラミック)」の様だ。
実際、昔からタコ釣りの疑似餌として、「白い陶器」をテンヤにくくり付ける事があると言うし、あるいは「ブタの脂身」や、イイダコには「ラッキョウ」など、概ね白っぽい物体が有効とされている。
この画像は、1991年発行の釣り入門書から引用したイイダコ仕掛けの図解で、確かに「白せともの」と記載されている。
他にも「ネギの白身」とあるが、つまり艶やかな白色の物体なら何でも良いのだろう。
この理由も恐らくだが、それら疑似餌は主に「貝類の殻や甲殻類の裏側」を模しているのでは無いかと思われる。
例えば、貝殻の裏側なら「餌場」の目印になるし、甲殻類なら「無防備」な腹側を見せて弱々しく演出させるなど、実はナチュラルな効果があると考えられるのだ。
とりわけタコはアサリ等の二枚貝を好む習性があるだけに、このセラミックの質感と輝きは貝殻に良く似ているぶん、理にかなっているのは間違いない。
その意味で、このテンヤはトラディショナルかつオールドスクールな仕様。
本来ならカスタムの必要など無く、基本的には「つるし」の状態でも使用可能とは言えるでしょう。
しかし、最近ではアピール度の高い「派手」なタイプの仕掛けが主流の様でもあるし、割りと昔からある「タコジグ」も、アピール度ではテンヤより高そうに見える。
それこそ市販のタコエギなどは「高アピール」寄りであり、謂わばニュースクールの範疇となるのは間違いない。
それと比較するに、今回のテンヤは些か物足りなく、心もと無く感じられてしまうのが正直な話でもあります。
まぁ、「地味」か「派手」かで比較した場合、どちらが本当に効果的かの是非については置くとして、個人的には何かしらエビやカニを模したりなど、シルエットや動きに「メリハリ」のある方が良いのではなかろうかとは考えている。
タコが海底の質に合わせて体の色を変化させたり、あるいは周りの空間を把握出来る時点で、ある程度はターゲットの形も識別出来ると考えるのが自然。
その意味で何かしら装飾を施した方が、より「生物らしい存在感が際立つ」のでは無いかと言う結論を導き出すに至る訳です。
そこで、オールドスクールとニュースクールのクロスオーバーをコンセプトに、このテンヤへ少し手を加えてみる事にしましょう。
前置きが長くなりましたが、以下より具体的な手順に移ります。
🌑カスタマイズ手順🌑
今回、用意するアイテムはコチラ。
・タコテンヤまたはエギなど仕掛け本体
・夜光パイプ、蛍光パイプ
・余ったPEライン(号数は何でも良いが、今回は6号と1.5号の2種)
・手芸品のビーズ類
・ハサミ
・瞬間接着剤、あればエポキシ接着剤
・安全ピン
上記を用意しましたら、先ずは「夜光パイプ」もしくは「蛍光パイプ」を加工する。
長さはテンヤの全長より短く、カンナ(針)に被らない程度にカットしよう。
あまり長いと、針掛りが悪くなる可能性が考えられます。
基本的には、太いパイプの方がカットするに好都合でしょう。
これらパイプは釣具店で入手可能。
色は好みで良いと思いますが、オレンジや赤などの方がアピール効果も高く、他の釣りに流用出来て便利です。
次に、パイプを縦にカットして、「スカート状」にする。
ご覧の通り、タコウィンナーの如く切れ込みを入れれば、これだけで即席のタコベイトに変貌。
エギやスッテなどであれば、このままラインアイに通して被せても使用可能かと思われます。
更に、より細くカットし本数を増やす事で、ビラビラの効果も向上。
上でも触れた通り、太くてソフトなパイプの方がカットしやすく、海中での動きもしなやかです。
とりあえず、「パイプカットでビラビラさせまくる」と覚えておくと良いでしょう(何の話だ)。
ちなみに今回は、このパイプに一ヶ所、最後まで切れ込みを入れて「開き」にしておきます。
次に、スカート状にして開いたパイプを、テンヤの先端もしくはラインアイの近くに被せる。
今回、開きにしたのは、テンヤのラインアイが太くて通らなかったので。
通るなら、開かずパイプのままで大丈夫。
何にせよ、先端側に被せれられればどんな方法でもOK。
この時、ズレを防ぐためにも必ず、接合部に瞬間接着剤を塗布して仮止めしておこう。
更に上の作業と前後する形で、もう一種類の赤いパイプをカンナの根元にも通してみた。
これについては余り物の資材を活用しただけなんですが、多少アピール力が上がれば良いかなと。
勿論、カンナに干渉しない長さへ調整してあります。
今回は、オレンジパイプの固定は後回しにして、先にこの赤いパイプから固定して行きます。
カンナにパイプを被せたら、その根元の上から使い古しのPEラインを巻き付ける。
カンナにスレッドを巻く場合、どちらか端の一本に結んでから始めると簡単。
このPEラインは、いわゆる「スレッド」の代用品。
太さは何でも良いが、やはりカンナの刺さりに干渉しない程度の細い糸が適しているので、今回は1.5号のPEラインを使用してます。
この様にパイプを通す場合、接着剤だけでは使用中に剥がれたり外れてしまう事も多いので、上から糸で縛り付けておいた方が無難。
これにより、強度が圧倒的に向上します。
巻き付け方法として、今回は「ハーフヒッチ」で固定。
回数はカンナとパイプの長さ次第だが、概ね一ヶ所につき3~5セットほど繰り返せば十分かと思います。
端のカンナから片側のカンナの順にキッチリ巻き付けたら、最後はエンドノットで締めて完了。
そして、結び目に瞬間接着剤を染み込ませれば、完全に固定されます。
ハーフヒッチならば、一回一回仮止めしながら巻き付ける形となるので、途中で緩んだりほどけたりせず作業効率が良い。
最初はカンナの間に糸を通したりするのが難しいと思いますが、何度か繰り返す内に要領が掴めてくるでしょう。
今度は、ラインアイ側に被せたパイプを固定。
こちらもスレッドはアイに結んでおき、始点を作ろう。
また、巻き付けの前には、細いPEラインをループノットで結んだ「抜き輪」を作り用意しておく。
これは、過去にロッドにガイドを取り付けた際の手法を応用しています。
🌑参考記事🌑
竿のトップガイド修理に挑戦 後編
始点を決めたら、上から下へと「密」にキッチリ巻き付ける。
また、途中からは抜き輪も添えて、一緒に巻き付けて行こう。
この本体にはハーフヒッチでは無く、普通に巻き付けた方が簡単で早いかと思います。
このテンヤへの巻き付けに関しては、太いスレッドとなるPE6号を使用。
特に、前部や腹部はボトムの岩に擦れる事が多いので、 切れにくい太さが欲しい所。
また、そもそも太い方が締め付け強度も高いです。
ちなみに細いPE(スレッド)の場合は、「往復」させて巻き付けると更に強度アップ。
これはラインの結びで言う、「PRノット」や「オルブライトノット」に近い原理で、摩擦抵抗を増加させると同時に「物理的な質量」で固める仕組み。
勿論、細糸だけでなく太糸でも効果的です。
注意点としては、テンヤの表面がツルツルしていたり湾曲していると、滑ってズレたりして上手く巻き付けられない事も多い。
そんな時は、部位によって締め付け具合いを変えたり、また上記の様に巻き付け回数を増やすなどで工夫すれば、ある程度はカバー出来るでしょう。
もし、巻き付けに失敗した場合は、安全ピンなどの尖端でほどいてから修正しよう。
スレッドは最終的に接着剤で固めるので、糸に多少キズが入っても気にしなくて大丈夫かと思います。
むしろ納得行くまで巻き直して、「これだ!」と言うポイントを探り当てた方が、仕上がりも強度も良くなりますからね。
お次は、「装飾品」の行程。
このスレッド巻き付けと同時に、アピール力を増す為の飾り付けを施してみよう。
方法は至って単純に、テンヤに巻き付けているスレッドへ、手芸用のビーズ玉や夜光玉などを通すだけ。
あとは、任意の位置にズラして巻き付ければ固定されます。
もし、ビーズが滑って上手く位置が合わせられない場合は、画像の様にスレッドを「二重」に通せば仮止めが可能。
これをビーズの両端に施しておけば、緩めてズラせるし、締めれば固定される仕組みとなるので、覚えておくと便利。
当然ながら、一緒のスレッドで巻き付けずとも、飾り付け用のスレッドで使い分けた方が、作業的にはラクだったりします。
して、飾り付けの一例がコチラ。
頭部にビーズ玉をあしらい、目玉っぽく仕上げて、より生命感を与えてみた。
大体こんな感じで任意の位置に巻き付けておき、仕上げに瞬間接着剤かエポキシ接着剤で固定すれば完璧です。
画像は完成後に撮影したものですが、この飾り付け作業時点では、まだスレッド巻き付けの途中。
続けて見て行きましょう。
こうしてスレッドを最後まで巻き付けましたら、抜き輪のループへ端糸を通す。
この抜き輪を挟む「向き」については、進行方向(スレッドを巻き付けていた方向)とは「逆」に抜き取るのが基本。
上の画像を例にすると、往復して巻き付けたスレッドの端糸はテンヤの頭側へ向く為、固定するには青い矢印(逆方向)へ引き抜かねばならない。
つまり、抜き輪の「結び目」はカンナ側に引っ張られる事となります。
従って、抜き輪の結び目がスレッドに干渉しない様、引き抜く方向を確認してから挟もう。
そして抜き輪を反対側へスポッと抜き取れば、端糸がスレッドの下を潜り抜けて固定されます。
後は、余った端糸を完全に切り取り、結び目の上から瞬間接着剤を染み込ませれば完全に固定される。
巻き付けたスレッドが緩まない内に、素早く施しておきましょう。
この接着剤について補足すると、強度的にはエポキシ接着剤が圧倒的に優位となる。
ただ、実際の使用においては、瞬間接着剤を染み込ませただけでも強度的には問題無いシーンが大半な印象でもある。
なので、エポキシが面倒であれば、結び目などは瞬間接着剤で強めに固めるだけでも良いかと思います。
さあ、ここまで来たら完成までもう一歩。
しかし、今回は更なる味付けとして、テンヤの表面にラメ入りのアクリル塗料を塗布。
これは¥100ショップで入手したもの。
ルアーのリペイントではマニキュアが有名ですが、このアクリル塗料は単なる思い付きで購入した、かつての余り物です。
ポケピン画像だけど、結構な量のラメが入っているのがイイ感じ。
この塗料をビラビラや本体に塗りましたら、これまた全身フラッシング仕様に大変身。
まぁ、ささやかな煌めき程度の効果でしょうが、これでフグが近寄ってくる事もあるので、とりあえず海中で反射しているのは確かな様です。
注意点としては、アクリル塗料だけでは水に弱く剥がれてしまう事が多い。
やはり瞬間接着剤かエポキシ接着剤を薄塗りした方が、確実に色持ちが良くなる。
また、ラメのフレークが大量に含まれているので、乾くと部屋に飛び散りまくる点も留意すべきでしょう。
さて、上記の工程を経ましたら、遂に完成。
白いセラミックスの輝きと派手なビラビラのコントラスト、そして然り気無い生命感を放つ頭部とキラキラ感。
これにより、まさしく貝類と甲殻類のオイシイ所取り、即ち新旧タコ仕掛けのクロスオーバーを果たしたのである。
などと大袈裟な自画自讃はどうでも良いとして、最も重要なのは性能。
後は実戦投入して確認するのみであります。
さて、今回はテンヤのカスタマイズに触れてみましたが、仕掛け作りって一度拘り出すと止まらないし、アレコレ試したくなるのが釣りの奥深い所(※泥沼とも言う)。
正直、本当はここまでする必要性など無いのかも知れませんし、ましてや効果も謎が多い訳ですが、その辺は自己満足の世界。
何にせよ、ターゲットも少なく、寒くて外に出たくないシーズンだからこそ作業が捗るものです。
無論、これらは一例に過ぎませんし、もっと良い手法をご存じの方も多かろう事と思います。
しかしながら、この記事で記した手法が、皆様の仕掛け作りにおいて何かしらお役に立てれば幸いで御座います。
では、また、CUL。