CULrides カルライズ

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竿のトップガイド修理に挑戦 後編

さて、前回はトップガイドの取り付けが完了し、硬化を待っていた訳だが、今回は仕上げ行程であるスレッドの巻き付けに移ろう。

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単純に使うだけなら、スレッド巻き付けは必要無いとも言えるのだが、やはり強度の確保には欠かせないのだ。



このロッドは本来、金色の飾り巻きが施されているのだが、今回は除外。

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この量で買うほどでも無いかなと。



スレッドに使ったのは、イカリ印の補修糸。
¥110。

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大抵の釣具店で取り扱っています。


糸の太さは、本来巻かれていた物に準ずる。
このロッドはライトゲーム用なので、極細を選択。



始点は前回のスレッド位置と合わせれば良いだけなので、割りと適当に巻き始める。
厳密にするなら、マスキングテープ等で位置(目印)を決めよう。


また、この行程は「ロッドに糸を巻き付ける」と言うよりは、「ロッド自体を回して巻き取る」方が正しい。
例えるなら、ラインにテンションをかけて両軸リールで巻き取る様な感覚だ。

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イートー巻き巻きカルーセル麻紀

終点としては、ガイドの「スソ」を隠すまで巻けばOK。



このスレッド巻き作業は、密にキツく巻く事で強度が確保出来る訳だが、最初は上手く行かない事も多い。
なので、ブランクの太い箇所で何度か練習しておくと良いだろう。

実際やってみてかなり手こずりましたが、ノットの練習と同じで、何度も繰り返す内に要領が掴めてきます。



しかし、巻くのはいいが、巻き終わった際の端糸はどうすべきか?
ピロピロ余って、留める場所が無いではないか。

折角巻いたのに、これではハラリと解けてしまう。



そんなスレッド巻きの最終段階に不可欠なのが、この「抜き輪」。

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ナイロンでもPEでも良いので、大体1号程度の細い糸をループ状に結ぶ。
これをスレッド巻きの前に作っておこう。


そして、スレッド巻きの最後の方で、この抜き輪も挟んで一緒に巻きつける。

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5~10回ほど巻き付けたら、この抜き輪の中に、スレッドの先端を通す。


この輪を反対方向(巻いた向きの逆)へスポッと抜き取ると、巻き付けたスレッドの下を潜り、端糸が固定される仕組み。

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これで手を離しても大丈夫。



余った端糸はキッチリ根本から切る。

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飛び出た状態でコーティングすると、バリとなってしまい糸をキズ付けたり、ライントラブルの原因となりかねない。



ここまで出来れば、スレッド巻き付けは完了。



仕上げに、この上からエポキシ接着剤を塗布する。


ガイド接着時と同じく、ナイロン筆を使用して素早く慎重に塗り付ける。
塗る量は本来の姿と同じ様に。


ただ、この接着剤は粘度が高く、塗りムラが出やすい。
硬化が始まると、粘度が増して修正不能になりかねない場合もある。


なので、ラッカー薄め液があると粘度の調整が可能。

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調合する場合、薄め液を入れすぎるとサラサラになって逆に乾かなくなるので、ほんのごく少量ずつ混ぜながら微調整を行う。


このスレッドコーティング作業について、本来は薄く何度か上塗りすべきらしいのだが、それはフィニッシングモーターを所有する本格派に任せよう。

今回は簡易版の修理と言う体なのです。



これが塗り終わっても、まだ流動性がある状態なので、そのまま放置してはタレて片寄ってしまう。


従って、最低でも20~30分位はロッドを水平に寝かせたまま手で回して、塗りムラが出ない様に均一化させよう。
目安としては、爪先で軽くコーティングをつついて、粘着力が消えてくるまで。

あるいは、コーティング前に別の適当な場所に塗っておき、あらかじめ硬化時間を計るのも手だ。


ちなみに、今回はラッカー薄め液の分量を間違えて軟らかくし過ぎてしまい、結局硬化に1時間位かかった。
せっかく時短のつもりで10分硬化タイプにしたのに…。



こうして、流動性が消える程度に乾いてきたら、更に硬化と定着を待つ為にまた一日ほど放置すれば…。



遂に完成でゴザルゥ!

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我々(?)の懸命な処置により、見事シーサイドスティック君は復活を果たしたのであります。


いやー、実はガイド交換は初挑戦だったけど、思ったより上手く出来たんではないかなと。

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見た目も、違和感無しと言える仕上がりだし。
まさに自画自賛



大抵の用品が手元に揃っていた事もあり、費用総額も¥800ほどで済んだ。

実質作業時間にして、約3時間と言った所か。
言わば日帰り手術みたいなモノ。

まぁ、実際は練習やら硬化待ちやらで、倍以上時間を使ってるんですがね。



とにかく後は実戦投入するのみ。
近々、性能チェックしてみよう。




おまけシリーズ。



このシーサイドスティックの前に修理した竿。


お馴染みRYOBIのエンターテナー氏なのだが、ある時、リールシートのフードのアルミカバーと、内側の樹脂フードが剥離する虎ブリュー発生。

ナットを下ろすとアルミカバーだけが下がり、樹脂フードはリールのフットに固定されたままになってしまい、外すのに難儀する状態に。


これは修理後の画像だが、フードの中央にあるFujiのロゴマークが滲んでいる。

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接着剤がハミ出した跡です。



実はこの修理にも、例のダイソー¥100エポキシ接着剤を使用。

方法は、単純に剥き出しの樹脂フード表面に接着剤を塗布して、アルミカバーを被せただけ。
つまり、トップガイドをブランクに差し込むのと全く同じ要領でした。


患部である樹脂とアルミの境目にも、接着剤の滲んだ跡が。

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実は塗る量が多すぎたのか、拭き取りきれなかったと言う。



こちらも復活して以降、何度も使用しているが、現状は一切問題無し。

結構使えると見た。
ダイソーのエポキシ接着剤。



何にせよ、こうして修理すれば、また道具に愛着が湧くってモノ。

このリールシートもガイドも、振り返れば割りと簡単に修理出来てしまった訳ですが、もし、家に眠ったままのキズモノロッドがあるなら、試しにイジってみてはどうだろう。


もしかしたら、復活した挙げ句に思った以上の活躍をしてくれるかも知れない。



多分。