以前、5月の記事で「革グローブの補強」と作業工程について記したのだけども。
culrides.hatenablog.com
その後の7月ごろ、食べ蒔きプロジェクト前に除草していた際に、指先の補強材が剥がれ出すと言うトラブルが発生。
ほんの数時間ほどの間に、スコップを握って土を掘り起こしたり、草を掴み続けていると次々に剥がれてしまったのだ。
患部をチェックしてみると、どうやら接着面に水分や土ボコリが侵入した事で、強度低下が起きていたらしい。
とりあえず剥がれた補強材を集め、後日、改めて接着し直す事に。
せっかくメンテナンス手法まで記したのに、こんな早く強度低下を起こしたのでは読者の方に示しがつかない。
ここは一つ、前回の記事に対して補足的な説明が必要であろうと思い至る。
そこで今回は、剥がれた原因の考察と、施した補修の一例を記して参りましょう。
さて先ず、この剥離の原因として考えられたのが「接着剤の相性」である。
前回で使った接着剤は、「ボンドGクリヤー」と「セメダイン スーパーX」の二種類。
それぞれの使用量抑制とコスト削減の目的で、これらを部位ごとに使い分けていた。
それで今回の剥離箇所なのだが、もともと指先の表面にはスーパーXをコーティングしてあり、補強材(当て布のスエード)の方にはGクリヤーを使用していた。
つまり、この指先と補強材では別々の接着剤が使われていて、その相性が合わず強度低下を招いていたらしいのだ。
確かに、その接着面は「層」の様に綺麗に剥離していたので、いくら樹脂系の接着剤どうしと言えど単純に溶着してくれる訳では無いのかも知れない。
ちなみに、以前にもスニーカーの修理における記事について、後々に今回と似た様な反省点を追記した事が。
culrides.hatenablog.com
ここで不思議なのが、Gクリヤーの接着面をプラスチックなどに放置していると化学反応?で溶着してしまうのに、なぜ同じ様な樹脂系の接着剤などには溶着しなかったのか。
溶ける素材と溶けない素材とで、何か微妙な違いでもあるんだろうか?
とは言え、また同じ轍を踏んだ事になるんだけども…。
従いまして、今回は潔くスーパーXのみを使用。
前途した曲がりや水分にも強いので、補修におけるメイン接着剤となる。
ただし一つ懸念があるとすれば、今回の補修は「既に乾燥した接着面に、また接着剤を塗った」だけであり、やはり再度剥離するリスクは残るものと考えられる。
本来であれば、グローブの表面も補強材もまっさらな状態で塗布した方が強度が高いはず。
何故なら、革の表面に凸凹がある方が浸透し易いし、接着材の流動性が高い状態で双方を貼り合わせた方が一体化させ易いですからね。
とどのつまり、「材料費をケチらず最初から全てスーパーXで補強すれば良かったのかも知れない」と言うお話なのでした。
ほんで、その補修方法は単純に、
①補強材に残ったGクリヤーの残骸を出来るだけ剥がす。
※今回の様なケースの場合、出来れば補強材もグローブの指先も、接着面を軽く紙ヤスリで削った方が強度が高まると思います。
②改めて補強材にスーパーXを塗布し、指先に張り付ける。
この時、スーパーXが多少ハミ出す程度に塗布して、接着面の端っこもキッチリ塞ぐ様に塗れば強度が高まるでしょう。
この端っこが塞がれていないと、その部分が引っかかってペロッと剥がれたり、隙間からホコリが入ってしまいます。
③接着したら、すかさず下敷きの様な板や雑誌(コーティングされた表紙側)で上下からグローブを挟み、更に上に重しを沢山乗せてプレスしミッチリ圧着させる。
プレスする時間は長くとった方が効果的。
④指先の端など部分的なプレスが必要な場合は、クリップや洗濯挟みを使いピンポイントで挟む。
この状態で、また乾燥するまで置いておく。
と言った具合いで仕上げてみた。
で、完成品がコチラ。
この機会だったので、他の端っこが剥がれかけていた箇所も補修している。
ちなみに、こういった端っこの部分は、全面的に圧着プレスさたつもりでもチラホラ隙間が空いてしまう事もある。
そんな時は、上記工程④で記した方法で細かく手直しして行けば、より隙間なく仕上がるかと思います。
どれだけ強度が満たされているかは、今後の使用で明らかとなるだろう。
もうちょい長持ちしてくれるといいんだけどねー。
とまぁ、色々とフォローを加えたものの、毎度ゴタクばかりでイマイチ結果が伴ってくれないのが、このブログの悲しいところ。
これもまた参考事例の一つとして、「こういう風にやってるヤツもいる」と言った話に留めて下さればと。
きっと更に強度を得られる素材や方法が存在するはずなので、色々な組み合わせで試してみては如何かなぁと思う次第であります。
では、また、CUL。