CULrides カルライズ

発見と探究そして文化。そんな諸々の話。

食べ蒔き番外編 実生のアボカド

さて、前回は実生の果樹についての概要と、実際に生えてきた品種の一例を披露致しました。
culrides.hatenablog.com


そんな今回は実践編として、どの様な手順で発芽させたのか。


比較的に容易な成功率だったアボカドを例に、これまでに実践した一連のフローを記して参ります。


では、いざ。


🌑アボカドの発芽手順🌑

ハッキリ言って、アボカドの発芽は超簡単。

もはや単純に、「タネを埋めておけば3ヶ月~半年以内には生える」ものと考えて良いくらいです。
f:id:culrides:20191214114925j:plain

他に強いて言えば、南米の様に暑い環境で生きている植物なので、春から秋までに発芽させる事を意識すれば、より成功率が高まるでしょう。

また、仮に秋や冬にタネを埋めたとしても、翌年の春頃から発芽する確率が高いので、諦めず管理を維持し続けるのが吉です。



では、当プロジェクト内での具体例を、時系列で記してみよう。



先ず、タネは「食べた次の日」くらいの期間で、取り出してから直ぐに埋めている。
大きさに関しては、丸くボリュームのある物の方が発芽率が高く、また成長率も高い傾向にあった。
f:id:culrides:20191214114943j:plain

正直、品種名などは全く把握しておらず、一般的なスーパーで何処にでもある様な物をランダムに使用していたが、その発芽率に大した違いは無い様である。

逆に、極度にショボめな小さいタネのアボカドでは全く生えて来ないか、生えても貧弱な傾向にあった。
やはり、ここでも「イケてるタネ」のセオリーに従う方が成功率も高まる事になるのでしょう。



ちなみにタネの扱いに関して、世評では「表面に付着している果肉をキレイに洗い落としてから埋める」との解説が主流である。

ただ、当プロジェクトに限った話で言えば、殆ど洗わず果肉から取り出した姿のまんま埋めても普通に生える様子を確認しているので、あまり神経質に扱わなくても大丈夫な印象です。


この理由としては微生物の分解能力が絡んでいて、埋める場所の環境しだいで差があるものと考えられる。
もっとも、確かに土壌によっては逆に腐敗や病害虫が発生する要因ともなるので、洗った方が無難とは言えます。



でもって、準備出来たらプランター(鉢)の土に埋めておくだけ。
f:id:culrides:20191214115000j:plain

いや、やる事と言えば本当にこれだけなのだが、もう少し補足しておくと、どちらかと言えばポットの様な狭い空間よりも「大きいプランター」か「直播き」にした方が、発芽率や成長率が高まる印象であった。


この要因として、植物は生えた場所のスペースに合わせて成長率が決まる傾向にあるので、「狭い場所では小さく」、「広い場所では大きく」となるのは当然の成り行きである。

それにプラスして、直播きの様に「より自然に近く微生物の多様性がある環境」に置かれるほど、それら生物の出す酵素などの働きによって、発芽のスイッチが入りやすくなる為だと考えられる。
そしてこれは果樹のみならず、全ての作物の発芽において共通していた法則でもあります。


先述した「洗わなくても大丈夫」との話は、直播きの方が多様な微生物により果肉が分解されやすいからでもある訳ですな。



ちなみに、この様に直播きで生えている場合は、発芽したら出来るだけ早い段階でプランターへ移し替える必要があります。
f:id:culrides:20191214115048j:plain

何故なら、あまり長期間放置すると根を張って掘り出すのに難儀するだけでなく、思った以上に深くメリ込んでいる場合があるからです。


当然ながら、根を張るほど移植が困難になってしまいます。
また、移し替えの際は根をキズ付けない様、ゆっくり慎重に行おう。



さて、上記のタネ蒔きは今年の春、4月上旬に行われたものである。

そこから暫し、気が付いた時に水をやる程度に世話をしつつ、約二ヶ月半が経過した6月下旬になり、変化が顕れ始めます。



パッと見、この画像では何ら変化が無い様に思えるが、実はプランター中央に「兆し」が顔を出している。
f:id:culrides:20191214115125j:plain


これを近接撮影してみると、小さくピンク色の芽らしきものがヒョッコリはん。
そう、発芽していたんですねぇ。
f:id:culrides:20191214115141j:plain


試しにプランターを裏返すと、既に根が地中まで到達していた。
f:id:culrides:20191214115154j:plain

これ以上伸びると、抜き取る時に根が折れてしまう事に繋がるので、そうなる前に一旦取り出しておく。
と言うか実は、この撮影時点で軽く先端がポッキリ折れたと言う…。


重ねて言いますが、こういった苗木の根は柔らかく簡単に折れてしまうので、取り扱いには要注意です。



取り出すと、タネはパックリと割れ、この短期間で意外なほど成長していた事が解る。
f:id:culrides:20191214115225j:plain


まだ芽は頼りないが、順当に行けば、このまま苗へと成長してくれる事だろう。
f:id:culrides:20191214115240j:plain

冒頭でも記した様に、アボカドは発芽率のほか、実生で生やす果樹の中では割りと成長率も生命力も高い傾向にある様で、これまで生えた苗は基本的に全て生存してくれている。

その意味では、実生での栽培における練習台として最適な樹木と言えるかも知れません。



一通り状態を確認したら、改めてプランターに戻す。
移し替えるプランターは一回り大きいサイズを選ぶのがセオリーだが、無ければ今までと同じもので間に合わせても大丈夫でしょう。
f:id:culrides:20191214115306j:plain

その際、根が折れない程度に曲げてやり、プランター内側に収まる様にしておくのも一手。
こうする事で、底から根が飛び出るのを予防する効果もあります。

ただし、これでも地面に置いた場合、いずれ底の水抜き穴を通して地中深く張ってしまい、やがて移動させられない状態となるので注意が必要。


まぁ、本来なら大きいプランターに替えるか「地植え」にすべきなのだけど、現代の住宅事情ではスペース的な問題も起こりがち。
応急措置ではあれ、こうしておけば一先ずの生育は維持出来ます。



でもって、そこから更に時が進んで、今年の11月上旬頃には以下の姿へと変貌を遂げる。


はい、今では立派な苗木と評せるサイズまでに成長。
f:id:culrides:20191214115356j:plain


根も更に発達し、地表から飛び出ている箇所もチラホラ。
f:id:culrides:20191214115412j:plain


一連をご覧の通り、4月上旬のタネ蒔きから約半年で、急速に伸びた事が分かるはず。
ここまで成長してくれれば、後は安定した生育を維持出来るものと考えられます。



さて、上記までが発芽フローとなる。


現段階までに行った管理手法としては、プランターの土が乾いた時に水を与えただけ。
それこそ、殆ど放置プレイで自動的に生育を維持していたほど。

なので、地植えの場合は雨水だけで生育を賄えるものと考えられ、実際このプランター以外の地植えした苗も問題なく生存している姿を確認済みである。


また、実際の発芽率においては「直播き」、即ち地植えの方に分がある事は先述した通りで、そちらで生えた個体の方がプランターに移し換えて以降の成長率も高い傾向にありました。

この現象から、やはりプランターでは狭い分だけ伸び率に限界があるだけでなく、自然由来の有機物など諸々の養分が不足するなど、成長する為の要素が決定的に足らなくなってしまう事は間違いないのでしょう。


従って、もし植えるスペースに余裕のある環境なのであれば、そちらで育てた方がよりベターな生育を維持出来るのではないかと思います。



そんな訳でして、やるだけなら超イージー

みんなも試しにやってみよう、Let'sアボカ道!




おまけシリーズ。



今回、幾つか生えたアボカドの中で、奇跡の復活を遂げた一本。
f:id:culrides:20191214115509j:plain

実の所この苗は、地植えからポットに移し替えようと土から抜き取る際に、根っ子をボッキリ折るアクシデントに見舞われた個体である。


当初、メインとなる一番太い根が殆ど失われてしまった為、もはや生存は絶望的かと思われた。

一応、ダメ元でポットへ植えておき様子を伺っていたが、当然の如く以降は急激に枯れと衰弱が進み、結果として全体が落葉する事態に。


その姿は単なる「棒」が立っているだけの絵面であり、完全な丸裸も同然。
普通に考えれば、廃棄も検討されるほどだった。



それ以降は何も起こらず、暫くの間は放置したまま気が向いた程度に水を与えていただけなのだが、やがて数ヵ月が経とうという頃になり変化が顕れる。


それが、この「脇芽」から再生している姿だったのだ。
f:id:culrides:20191214115552j:plain

これには自分でも驚きの展開。
てっきり枯れたとばかり思っていたけど、諦めずに世話を続けてみるものだなぁと思ったものです。


この要因は恐らく、「メイン」となる根は失われたものの「予備」となる脇芽の根は生きていたからこそ、この様な形で復活したのかも知れない。


従って、もし皆様の中で「もう枯れた」と思い込むほどの樹木があるとしたら、出来る限り世話を継続してみるのをオススメしておきたい所。

環境や手法を変えるだけで、もしかしたらイキナリ復活する事があるかも知れませんよ。



そんな訳で、次回は梅の発芽について触れてみます。



では、また、CUL。