CULrides カルライズ

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ライトゲーム戦績 ブイシーなSea

物事にはリズム、あるいは「流れ」と言うものがある。


ある事柄について、周期的に同じ事が続いたりする時や、勢いで何度も繰り返し行う場合などで、こんな風に表現するシーンが多い。

それはまるで、海にも寄せ波と引き波がある様に、あるいは長潮と大潮で干満差が大きく違う様に、物事にも同じ原理が働いていると考えても良いのかも知れません。


何の話かと言えば、また釣りをしてみた話です。


近年は殆ど釣りをしていないのも、また流れ。
かつて過去にも数年間、同様の時期が続いた事もあるだけに、最近は地味に再開モードの流れが来ていたと言えましょうか。


しかし、今回も先に結論から言えば、あまり冴えた釣果を得られてはいない。
時として、流れと成績が伴わない事が続くのも、また流れの一つなのです。

まぁ、いつも通り無闇に長いウンチク話が中心となりますので、お時間の許す範囲でお付き合い下さればと。



さて、訪れましたのは、前回の河口と隣接地となる中規模な漁港。
実は、その前回の最後に短時間だけランガンした場所でもある。


地理的に、河口はワンドの様に奥まっているが、この漁港は比較的外洋に面した構造をしていて、ほぼ同じエリアながら環境は全く異なる。

港内は全体的に水深があり、平均値で足下から一気に3~5m、フルキャストすれば8m以上はあろうかと言う深いゾーンが多い。
常に新鮮な潮流が注ぐ事から、これまで青物の「当り年」にはソーダガツオ、カンパチ、サバを始めとした回遊魚は勿論、その同じ年にメッキが大挙して寄って来た事もある。

ただし、これ程の好環境でありながら、個人的な経験では何故かイマイチ釣果が伴わずにいた場所でもある。
また、年による当たり外れのムラが大きい印象も手伝ってか、ここ数年ほどは全く訪れていなかった。

実際、あまり際立った情報が出ない傾向が強く、また前回の最後に訪れた時も、周辺では釣果を確認出来なかった。
故に、外海に近いからと言って、必ずしも好調に恵まれる場所とは言えないのが正直な所。


それでも、ここを選んだのは、前回の河口部が浅かった事を踏まえるに、水温の安定性を求めて深場を選んだ次第。
何れにせよ、この場で「釣っている人」が存在するのは確認済みですからね。

こんな、人によって相性の良い場所とイマイチな場所が分かれるのも、釣りあるあるの一つ。
久しぶりに、これも「フィッシング七不思議」の4つ目に加えておこう。
※フィッシング七不思議とは、過去の記事で触れて来た釣りに纏わるジンクスみたいなシリーズです。いずれまた振り返ってみたい所。


久しぶりに竿を出すにあたり、この場所は比較的範囲が広く、ポイントは分散していたりする。
現在時刻が日の高いド日中である事を考慮すると、オープンエリアでは人影が目立ち過ぎてプレッシャーとなる事が予想された。


そこで、始めるにあたり先ずは、港内の日陰になりそうな場所をチェック。
この様に、日を遮る位置の岸壁とボトムの際を狙い、ルアーを通してみる。

イメージ 1


一先ず海中を覗くと、細かなネンブツダイの群れが見える程度と、まあ魚が居るには違いない具合。
これ以上はキャストしない事には判らないので、先発は最近、定番化しているポッパーを投入してみる。


が、定番の無反応。

ただ、足下の岸壁からアナハゼが興味ありげに接近して来る事から、魚種は複数いると確認できた。

次にシンキングを投入するが、やはり遠い位置でウミタナゴらしき魚影がチェイスするも、バイトには至らず見切られている。
更にミディアムダイバーを投入すると、やはり同様の反応があるのみだ。

思いの外かなり渋く、普段は迷わず飛び付いてくる足下のアナハゼすらスレている様子。
またしても厳しい状況である。


これ以上ハードルアーで叩き過ぎても仕方無いので、早くも頼みの綱であるワームを投入。
向こうの見切りが早いなら、こちらも手早く戦略を変えるのみであります。


ここの堤防は、底の基礎部分がフラット面となっていて幅があり、その先に捨て石が敷き詰めてあるボトム構成となっている。
壁ぎわをタイトに攻めれば根掛かりしないので、ズル引き気味に探ってみると途中で「ズムッ」と、ゴミを引っ掛けた様な手応え。

竿を立てて聞いてみると、ボヨンボヨンと何かが引いている。

もしやイカ


そう思い上げてみれば、チビッ子マダコ氏のご登場。

イメージ 2


エギングでは何度も釣っているけど、ワームでは初めてかも。
確か以前にも、この付近で大きいタコが海底を動いている所を目撃しているので、いつか専門で狙ってみようかな。


この時、ジグヘッドが脚にしっかりフッキングしていて、ワームはボロボロにされていた。
この状態からするに、タコテンヤにワームをセットしてもアリな気がする。
と言うか、市販のテンヤにもカニのソフトベイトがセットされているのだし、理に適っているはず。

そう言えば昔の話、キロクラスのタコが海底を這っている場面に遭遇した時、試しにジェット天秤の赤いオモリ部分を目の前でズル引きしてみたら、迷わず飛び付いて来た事もあった。
その時は、上げる途中に「空中バラシ」で落としてしまったけど、それまでテンビンをガッチリ掴んでいたので、海底で動く目立つ物体には条件反射で反応する習性があるらしい。

反面、もう一度同じタコの目の前でジェット天秤を動かしても無視されてしまったので、好奇心が旺盛と同時に、学習能力も高いと言う事なんでしょうな。


そんなタコに纏わるアレコレに想いを馳せつつ、リリース。
ワームとジグヘッドを交換し、再び同じコースをリトリーブしていると、今度は足下で魚のアタリ。

ピンピン細かな引きで上りましたのは、ガンヒーのグーフー。
つまりヒガンフグa.k.a.アカメフグ。

イメージ 3


何気に初めて釣るが、当日はクサフグより若干サイズの大きい彼らがチェイスして来るシーンがチラホラ。
先日の河口部とは地理的に隣接しているが、こうした些細な環境の違いでフグの「生息域」も変わるのは興味深い。

ちなみに、このヒガンフグは一応食用とされるが、東北の一部地域では食用禁止との事でもあるので、「場所」によって個体差を生じる様だ。


ここで一つ気になるのだけど、クサフグとヒガンフグは生息域が近いにも関わらず、双方で毒の強度と部位に違いがあるのだが、これも場所ごとの環境的要因が絡んでいる様に思える。

ここからは主観的になるが、それらの理由が何故かを考えると以下の様な状況が推測される。


クサフグは内蔵の強毒だけでなく、実は筋肉にも弱毒があるなど全身に毒を有していると言われる。
また、身の毒と併せて、そもそも小さ過ぎる為か市場に流通する事はまず無い。
(※一応、免許があればクサフグは食用可とされているものの、多量に食べた場合や個体差などで下手すると致死量に達する恐れがある。個人的にはお勧めしない)

片や、ヒガンフグは皮や内蔵に毒があるので筋肉のみが可食部位となるが、一部地域では完全に禁止になってしまう。

基本的に魚類は、食べた餌に含まれる毒素を蓄積する事で毒性を獲得しているとされている。

そのルートとして、例えば植物性プランクトンの毒素→動物性プランクトン→魚類の順に食物連鎖で濃縮される。
あるいは、イソギンチャクやクラゲを食べている場合でも、胞子に含まれる毒素を取り込む事になるが、これらも基本的にプランクトンを主食としている為、日光が届く浅場に多く見られる。


この事から、沿岸の河川から流れ込む養分の影響力が高い地域や、植物性プランクトンが活性化しやすい浅い海域ほど、フグの毒性と部位が強化される傾向にあるのではなかろうか?

つまり今回のシチュエーションから推察すると、河口部に多いクサフグは影響力をモロに受けるので全身に毒が回りやすい。
そして、そこから若干離れた場所に住むヒガンフグは、離れた分だけ影響が低くなるが、河川の水(養分)が滞留しやすい湾内などでは毒性が強化されてしまう。

その意味では恐らく、外洋性で水深のある海域に住むフグほど毒性が低まるのでは無いかとも考えられる訳です。


無論、これはあくまで仮説に過ぎないのですが、少なくとも、基本的に無毒な魚種でも住む海域によってシガテラ毒を蓄積してしまう場合があるだけに、可能性としては有り得る線かなと。

従って、いくら食用に出来るからとは言え、釣った場所の環境次第では充分な配慮が必要となるでしょう。

長々話して何だろ、このオチ。


などと、ヒガンフグ一匹で何やら学術的な考察を巡らせておりますが、狙いのターゲットには遠い。

即座にリリースし同じコースを流してみると、これでスレてしまったのか、急にウンともスンとも返って来なくなってしまう。


結局、以降は何の反応も得られないので、位置を移動。
次は港外側のオープンエリアに回る。

イメージ 4


こちら側は外海に面しており、この場におけるメインポイントとなる。
水深は更に深く、海中を覗くとコッパメジナスズメダイの群れ、はたまたハコフグが岩壁際でフィードしている様子が見えるなど、港内とは違った雰囲気を醸し出している。


ザッと一見するに、この場には餌釣りの先客が何人か竿を出しているのだけど、いずれも特に目立った釣果は無い様子。
前回と大して状況は変化しておらず、いまいち期待は薄そう。

この時点で、ハードルアーでの勝負は望み薄と判断し、即座にソフトルアーでヘチ釣りを開始。
現場に回遊魚が居ないと判明している今、ここは手堅く行きたい所。

個人的にはこの「変り身」の早さこそ、ライトゲームの真骨頂だと思っております。


とは言え、厳しい状況には変わらず、やはり反応が殆ど無いばかり。
たまにベラらしき魚影がチェイスする姿を見るも、バイトには至ら無いので全体として相当に活性が低いらしい。


それでも細かくキワを探っていると、今度は堤防の根元に位置する角にて、フォール直後に何かがヒット。

一瞬、キワのエグレに突っ込む様な抵抗を見せて上がって来ましたるは、ターキーのラーマク。
要するにキタマクラでありました。

イメージ 5


よくよく見ると、顔面からヒレ周りに青いラインが張り巡らさされた、デーハーなメイクアップ。
モンガラハギとかもそうだけど、この手の魚は本来、暖海の属性なのだと感じさせる。


しかしながら、ヒガンフグといいキタマクラといい、なんつー不穏な取り合せなのだ。
昔の人の名付けセンス、ブルータル過ぎるよ。

しかも、この近くにはネンブツダイの群れまでいた訳で、さながら海中ダーク・フューネラル(fromスウェーデン)状態。
いっそ君らにヒョウモンダコも混ぜて、デスメタルとかブラックメタルバンド組めるんじゃないかと言いたくなる。

ついでに、関連?した話題。

メリケン道中記 Summer Slaughter Tour2014

culrides.hatenablog.com



Summer Slaughter Tour番外編

culrides.hatenablog.com




だが、ネット界隈には更なるツワモノが居るもので、こうしたキタマクラみたいな食用が忌避されているフグ類を食べる人も珍しくない。

まさに死をも恐れぬ体当たり行為だけども、案外、古代ではこうした積み重ねによって食の道を切り開いてきたのだろうなぁとも思う。
ある意味では、人類史の追体験みたいな。

勿論、アタクシはそこまでの勇気は無いので、即刻リリースするのみである。


続けて近辺を集中的に攻めるが、またしてもスレたのか反応が止まってしまう。
端から端まで歩みを進めてキワ戦略を行うが、これまたカスリもしない。
冒頭で触れた話に倣えば、やはり釣果を出し難い場所となろうし、完全にパターンにハマッてしまっている。

かと言って全く魚が居ない訳では無く、このヘチ際ではタカノハダイらしき魚、チビアオリ、そしてメバルもストラクチャー周りに溜まっていたりと、生命感は存分にある。
更に歩いている途中、やや離れた海面ぎわでイワシらしき小魚が大群をなして泳ぐ姿も発見。

つまり、先述した魚種を含めて鑑みれば、水温は高めに安定しているはずだし、かなり魚影は濃い状態と言えるのだ。


それでいて餌釣りでは釣果が見られないし、フィッシュ・イーターの影も無いとは、一体何故なのだろう。
こんな状況ならば、本来もっとイージーで良いはずなのに、全く読めない。

無論、常に人が入ってスレているのは確かだし、見えている魚が釣り難いのも事実。
また、現状のタックルで使っているラインは、ライトゲームにしては太目にしているので、何かしら違和感を与えている可能性はなきにしもあらず。

だが、今までこれで成立していた事を振り返るに、決定的なデメリットとは断定し難い。
これら状況証拠をかき集めて唯一判っているのは、「何かが足りない」と言う曖昧な解答だけ。

魚が居るからには、何か些細な要因で急に食い気が上がるはず。
だが、それが掴めない限り、この場で釣果を得るのは相当に難しいと言わざるを得ないだろう。


さっぱり決め手を欠くまま時間は過ぎ、早くも日は傾き始め夕刻を告げようとしている。
手数を出し尽くした中で何をするか考えた挙げ句、最後はエギングをしてみる事に。

この理由と言うほどの事は無いが、実は堤防上には幾つかの墨跡があり、当日は数名のエギンガーも居た。
ただ、その墨跡も些か古く、数週間から一ヶ月は前のと見られる物ばかり。
確かに先程チビアオリの姿を確認してはいるが、この時期にしては小さ過ぎて期待するには怪しくもあった。


そして結局、この読みは当たり、一時間ほどエギングするも反応を得られずじまい。
完全に日が落ちた頃合にて、これ以上粘る必要も無かろうとスッパリ諦め納竿としたのだった。


うーむ、再開したは良いが、難しい流れが続く。
パーフェクトズーボーじゃないだけマシとは言え無くもないけど、ここらで冴えた釣果を得たいのも正直な話。

そろそろ時期的に厳しくなろうし、この際もう少し探ってみようかなぁ。


🌑使用道具一覧🌑

ロッド:アブ シーサイドスティック SS702改
リール:シマノ アルテグラアドバンス C3000HG
ライン:デュエル Xワイヤー 0.8号
リーダー:サンライン スーパートルネード 3号
ルアー:エコギア グラスミノーS グローピンク、グローパール



では、また、CUL。