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X-GAMES14のプログラムから見る、アレコレの話 パート3

地味にシリーズでお届けしている、X-GAMES14のプログラムに纏わるアレコレ。

パート1

culrides.hatenablog.com


パート2

culrides.hatenablog.com



このパート3では、引き続きプログラムの1つ1つに触れながら、そこから見えるX-GAMESを取り巻く環境について、コラム形式に纏めてみたいと思います。


何故なら、舞台は本場アメリカ。
そこには、最後まで意外な発見が隠れている事も。

故に、日本との比較対象としてこれ程に適した材料は無く、思わずご紹介せずにいられなくなってしまうのです。


では、続きを見て行きましょう。



これは見ての通り、X-GAMESのアパレルや用品の宣伝。
日本でも、たまーに見かける。

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右下のロゴは、「J.C.Penney」と言う、日本で言う高島屋あたりの百貨店に該当する大型デパート。
「女子中学生ペニー」などと一瞬でも考えた貴方は、この世界に毒されている(お前もな)。

アメリカのデパートと言えばメイシーズが有名だけど、こちらもあらゆる都市のあらゆる場所にある超大手。
実際、ハート・アンド・ハンティントンなど、その手のアパレルをかなり豊富に取り扱っている。

つまり、ここに行けば売ってるよ、と言う広告ですな。


こちらは、「FLO TV」なる、アメリカの大手通信会社のVerizonが提供する、携帯電話向け動画サービス。

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ベライゾンと契約して、月額25ドルの追加料金で見れるらしい。
この年代辺りから、ネットや携帯でも見れる動画チャンネルのサービスが活発化してきましたね。


お腹が空いたら、スニッ…https://youtu.be/NLDcCSRB5tQ

では無く、「PowerBar」を貴方に。

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アメリカは、この手のチョコバー、現地で言う「ミール・バー」が異常な程の種類で存在する。

どの食料品店でも猫も杓子もミールバーだらけでして、本当に似たパッケージが多く、見分けが難しい位。
それはもう、店員さんが棚卸しの度にブチ切れんばかりの多品種、多量に及びます。
しかも、大抵プロテインが10g位配合されていて、まさに「どこでもきんに君」と言う状態である。

ただ正直、食べ比べが結構面白くて、小腹が空いた時に重宝したのはここだけの話である。

ちなみに、僕はクライミングを全く知らない。
一応、広告の内容だけ要約すると、「山登りの準備は抜かるな、パワーバー持ってけ」と言う事らしい。
人物については、Tommy Caldwellと言う方とだけ記しておきます。


プレイステーションの広告。

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良く見ると、テーピングの形がプレステのボタンになっている。
パッと見で流してしまいそうな所に、隠し味を入れるのがクリエイティブ。

いや、こんな細かい広告にも拘るのかと、素直に関心してしまう。


これは、nowwhatと言う会社の、何だか良く分からない広告。

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ウェブサイトを見るとどうやら、広告代理店と言うか、コンサル的な業務をしている会社らしい。
企業の疑問に新しい答えを出すのが、どうやら理念の様です。


最後は、スポンサー各位。

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そのスポンサー各位が会場内で催しているのが、表記のX-FEST。

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前々回のマップ画像を見て貰えると判るのですが、会場内には企業ブースを一ヶ所に纏めた区画がある。
それを例えるなら文字通り、「お祭りの屋台」が軒を連ねる光景にも似ています。

取り合えずこれら企業が、スケボーやBMXのコンペをバックアップしている様です。
つまり、企業ブースも見てよと言う事なのでしょう。


そしてこれは、それら企業ブースで提供されるイベント内容の案内。

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サイン会やゲームに懸賞、エアブラシタトゥーなど結構色々やっていた様です。

でも唯一、記憶にあるのは、海兵隊の筋肉番付みたいなイベント位。
まったく記憶の頼りない事。

あと、この画像で記されているゴールド・スポンサーが、一体どんな意味かまでは不明。
X-GAMESではなく、あくまでHome Depot Centerのメインスポンサーと言う事なのかな。
その横の関連企業を見ても、そんな風に見えるけど。


だがそれより、上のスポンサーのリストを見て、何か気にならないだろうか。

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・・・ん?

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NASA!?

(和田ラジヲ「アブドーラ・ザ・和田ラジヲ」より)


イオニアやオークリーは分かるとして、何故ナサが。
まさか、宇宙でもX-GAMESなのか。

日本なら「JAXA協賛」と言う事になるのだろうけど、もはや意外過ぎて何の繋りかも解らん。

軽く調べた限りでは、どうにも「NASA EDGE」なるTV企画が存在するらしく、その一環としてX-GAMESのアスリートにインタビューしたり、現場の取材をしていた模様。

参考として、この様な動画を発見。
https://youtu.be/Vts-5olZbls

何を意図して関わっていたのか判然としないけど、結局の所、単純に「中の人」が興味あっただけなのかな。

いやはや、奥深すぎる。



以上、如何でしょうか。


このオフィシャル・プログラムから見えるのは、とにもかくにもスポンサーの層が分厚く、そして時に脈略が無い事。
そして、民間も公営も含め、ほぼ地域ぐるみの規模で開催されている点ではないかと思う。

ある意味では、それだけこのアクションスポーツの類いが、幅広い層で市民権を得ているとも言える。
あるいは、「中の人」も好きで関わっている人が多い。
そう捉える事も出来るでしょう。

とどのつまり、これら企業にとり、X-GAMESは1つの市場を形成した重要なマーケティングの場であり、尚且つそれが結果として選手側をサポートする事に繋がっている。

その一連のサイクルが見て判る訳です。


ただし、その反面。

ひと昔前に名声を築いたスケーターのチャド・マスカの様に、このX-GAMESの運営方針やスポンサーの縛り、その為に「良くわかってない連中」まで近付いてくる事について異を唱える人々も多数存在する訳だけど、それもまた一面として否定は出来ない。

謂わば、単なるマーケティングの為だけのスポンサー活動である場合もあろうし、それこそ、必ずしも「現場の事」を理解している人ばかりでは無いだろう。

実際、これらスポンサー企業の中には、果たして何故居るのか謎であったり、どこか場違い感のある団体すらも名を列ねているのは見ての通り。

乱暴な言い方をすれば、全ては「利用価値」や「宣伝効果」があってこそ、と言う事でもあるのでしょう。


更に根本的な事を言えば、このアクションスポーツの「芯」にはD.I.Y.精神や、ある種の先鋭性な反骨心が内包されている。

故に、パンクやメタル、ヒップホップやレゲエ等の音楽(レベル・ミュージック)と相性が良く、そのスタイルが「極端」であるからこそ、「エクストリーム」だと形容されるのです。

その意味では本質的に、多数派的な規範や、社会性を重んじる業界とは相容れない部分が大きくて当然とも言える。


尤も、そのしがらみを避ける様に、あくまで己を貫く「ハードコア」な連中は、純粋な意味でカルチャーの本質に忠実なだけの話。
例えば、映画「Lords of Dogtown」に見る、故ジェイ・アダムス然り。
あるいは、ジェイソン・ジェシーなども、同様の信念を貫いている人物として挙げられるだろう。

「メインストリーム」に合わせると言う事は、それに「従う」事でもある。
彼らは、その流れから距離を置く事で、本来あるべきスタンス(スタイル)を保っているだけの事。
それ以上でもそれ以下でも無いのだ。

無論、それは「本物の天才肌」の人間のみが許されるスタンスであって、誰でも真似出来る行動では無い。
ハッキリと言えば、ワガママと紙一重の部分さえあるので、それはそれで文字通りハードな人生となってしまう。

結局は、本質を貫くのも大変な苦労なのだ。


とは言え、傍目には明らかに不器用で気難しかろうと、彼らがこのシーンにおける紛れもない立役者であり、リスペクトを受ける存在であるのも皆さんご承知の通り。
別に「表舞台」を否定したからと言って、シーンを形成している1人である事には変わりない。

そして何より、それも一つのスタイルである事は、このシーンを嗜んでいる人々にとっての共通認識でもある。
何故なら、お互い同じカルチャーを共有している同類。
故に、「己」と「現実」とで相反する、その複雑な気持ちを理解する事も出来るからだ。


従って、ここではスポンサードの何が良いか悪いか、どちらが正しいか間違っているかの話は置いておこう。

結果的に、シーンの底上げと言う意味では切り離せない相互関係である。
現実として、それが選手の生活を支えているのは紛れもない事実。

何より、その流れがあるからこそ、一人の観客である僕や誰かが楽しめる様な、こうした大会やイベントへと姿を変えるのだから。


とどのつまり、簡単に纏めてしまえば、少なくともこのX-GAMESと海外市場においては、これらスポンサーやメディア側としても「アクションスポーツの性質」に対してある程度の理解があり、同時にその「現場」に打って出る体勢が揃っている。

そして、これらアクションスポーツのダイナミズムを包括的に、限界まで「パッケージング」したからこそ、ここまで成功するに至った。

そこが最も大きな特徴として挙げられるかも知れません。



さて、次回は最終章。


これらX-GAMESの一連から見た、日本の現状について触れてみたいと思っています。

例の如く、無駄に長いコラム的な体裁となりそうなので、ご興味のある方にご覧頂ければなと。



では、また、CUL。