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食べ蒔き作物プロジェクト報告書 11月中旬~下旬の様子

釣りの話題を幾つか挟みまして、再び「食べ蒔き作物シリーズ」の経過報告をお送り致します。


さて、11月に入っても比較的暖かい日々が続いていたが、この中旬から後半に入り急に寒波が下りてくると、一気に冷え込みが増す様に。

前回とは打って変わった様な寒空に、そろそろ季節も冬の到来を感じさせる。


そんな当プロジェクトですが、これまでの作物で唯一生き残り、季節を乗り越え、いまだ頑張っているのがトマト達となります。

そして前回は、いよいよ色付き始め、成熟が近い様子を見せていました。

11月上旬~中旬の様子

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その後どうなっているのか、早速記して参りましょう。



🌑11月中旬~下旬🌑

🌑トマト🌑

秋のシーズンへ入る前の時期にて、脇芽を挿し木(株分け)した「クローン株」を幾つか定植。
当時の様子を以下に記しました。

8月中旬~下旬頃の様子

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それらクローントマトを中心に、9月から10月にかけて開花と着果を確認し、単発ながら収穫にも成功。
そして手作業による小マメな人工受粉が功を奏してか、11月に入る頃には大量に結実するに相成りました。

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その後も果実は成熟を続け、日毎に赤みを増して行く。

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11月の上旬までは青かった実も、続々と色付いて来ました。

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この成熟を待つ間、ある程度の数を纏めて収穫する為、暫く様子を見ながらベストタイミングを待っていた。

ただ、過去には「おいしい所」で野性動物の食害を受けていた事もあり、また食われてしまわないかハラハラものである。
特に真っ赤な果実は否応無しに目立つので、真っ先に狙われてしまうのだ。


そんな緊張感の中、無事に日数を重ねるにつれ、それぞれ色味が揃い始める。
そして、この11月下旬に入る頃合いにて、遂に収穫を実施。

先ず収穫出来たのは、計7個。
それぞれ3本の株から採れた果実となる。

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内訳としては、画像の右側5個が同じ株。
そして左上の1個、左下の1個がそれぞれ別々の株と続く。

もう少し詳しく見てみよう。


この画像では見分けが難しいが、この5個の内、上段3個は真っ赤なミニトマト風。
下段の2つはオレンジ色で、小さい普通のトマトといった姿をしている。

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これらは全て同じ株から収穫したと述べたが、実はそれぞれ違う枝(脇芽)から育っている。
その出来の違いを挙げると、主枝の方が大きく赤見が強い傾向が見られた。

この株は当プロジェクト内で最も樹勢が強く、枝葉の数も果実もケタ違いに多い。
更に結果として、同じ株から微妙に違うルックスの果実が誕生したのだ。


この要因が何故かを推察するに、いわゆる先祖返りの課程において「両親」の特徴が両方とも発現した。
あるいは、何かしら「実験的」な変化があった様に思える。

言い換えれば、単一な形の果実では無く、微妙に違う形を発生させる事で、種の生存率を高めようとしたのではないか。
あるいは、株自体が元気だからこそ、それぞれの果房(枝、脇芽)が「独立」を始めたとも考えられる。


そして、下の画像にある左右の果実は別々の株に生っていた物となるが、やはり微妙に色と形に違いがある。

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何故か、これらの株では着果数そのものが極端に少なく、単発でしか成熟していない。
強いて特徴を言うなら、株自体に元気が無い訳では無いが、上の大量な株と比較すれば細かったりするのは確かだ。


これらの違いが何によって発生したかは判然としない。
ただ、これまでの観察記録と照らし合わせて推察するに、恐らく「脇芽が元々保持していた性質」が反映されていたのでは無いかと考えられる。

要するに、強い脇芽から株分けした個体は着果数が多くなり、弱い脇芽は少ないと言った個体差による違いが発現。
更に、その脇芽の性質次第で、果実の形状にも差異が発生する事となる。

そして、この仮説に倣えば、先述の元気な株が枝(果房)ごとに微妙に違う形の実を付けた事にも、ひとつ整合性が取れてくる。


僕はそれらを、「脇芽の優先順位」として仮説を記したのだけど、詳しくは下記を参照して下さればと。

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ちなみに、今回の記事に登場する株は、全て剪定した脇芽から育てた「クローン株」となる。
これらクローンは、もはや「親」より遥かに樹勢が強く、そして現在の収穫へと至りながら、まだまだ元気な様子である。

それとは逆に、親となる株の殆どが満身創痍に近く、結実していても株自体はボロボロだったり。
あるいは、台風や害虫の被害大き過ぎて、いまだ枝葉の回復途中だったりと、ニッチもサッチも行かない状態。

その為、現時点では辛うじて結実していたとしても、現状を維持するのが精一杯で、仮に収穫出来ても「先」がありそうには無いのが正直な所である。


この事から、春蒔きでトマトを栽培した場合。

「親」は夏までに収穫のピークを迎えると同時に、暑さに耐えながら成熟に注力した事で、やがて体力の限界もピークになる。
その為、秋に合わせて収穫するならば、予め「元気な脇芽のクローン」を栽培しておいた方が、安定した生育を維持出来るのではないかと考えられます。

それこそ、食べ蒔き(実生)のタネでは生育のバラツキが大きいぶん、複数のクローンを株分けした「物量作戦」で行くのが安パイとなるはず。
実際、当プロジェクトでは、親の株だけで栽培していたら全滅ギリギリだった訳で、下手すると今回の収穫も無かったかも知れませんからね。

脇芽を大量に挿し木した事が、今になり功を奏したのです。

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トマトの挿し木

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また、過去の記事をご覧頂けると判るのですが、これまでに定植してきた親株、そして脇芽のクローンごとの樹勢にバラつきはあれど、概ねどの株も開花から収穫に至るタイミングは同じであった。

即ち、生命を維持したり子孫を残したりする機能については、親とクローン、そして強い株と弱い株どちらも、同じ環境や生育条件が揃った段階で自動的に発現する様に出来ている。

これまでの観察結果からすると、そう考えて間違い無さそうである。


更に、この下旬に入る頃には寒さが一段と厳しくなり、それこそ夜間は冬の体感気温と言えるほど。
そんな中でも、しっかり成熟してくれるとは頼もしい限りである。

晩秋の野外(露地)でのトマト栽培は珍しい訳では無い様だけど、上手くやれば冬にも収穫が可能なのは当プロジェクトにおける発見の一つ。
この様子からして、春先の苗では夜間の寒さに注意が必要とされていたが、成長するにつれ耐寒性も大幅に増すのでしょう。

それこそ、栽培開始時の初代を含めて一番長く生き残っているのが唯一トマトだけである事実を鑑みれば、改めてタフな植物だと思う。


この収穫後も、まだまだ次の果実が成熟を控えている。
現状のペースであれば、12月でも十分な収穫が可能となりそうだ。


しかし、収穫に成功した一方で唯一の問題として挙がるのが、いまだウドン粉病の発生が続いており、治る気配が無い事。

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前回の記事にて患部の剪定を施した際、一時的に減少したかに見えたものの、暫く経つと再発。
再び全域に広まってしまい、結果的に効果が薄い様子である。

こうなると「自然派」での完治が難しく感じられるのが正直な話。
やはり何かしら効果的な手段を講じる必要性や、あるいは薬剤に頼らざるを得ないのかなとも思ってしまう。

目に見えた「被害」が確認されていない現状では、意地で見守りを継続しているが…。
結局、まるっきり無事なままと行かないのが、当プロジェクトにおけるトマトの現実なのである。


そんな中、ある怪しげな手法を唐突に思い付いたので、実験的に試してみた。


その手法とは、この「スポーツドリンク」を撒いてみる事。

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本当に何をイキナリと言う話ではあるのですが、もしやスポドリの成分が効果がある様な気がしただけで、ハッキリ言えば明確な根拠は有りません。
従って、これがどの様な結果をもたらすか未知数ですし、参考にならない可能性が高い事もお断りせねばなりません。


それでも撒いた理由としては、以前メディアにて「海水」を希釈した水を撒いてミネラル分ごと畑に撒いたり、あるいは海藻類を撒く農法を拝見した事にあります。
これと似た手法では、古くは乾し鰯の粉末、そしてカキ殻を粉砕した肥料などが知られる所。

また最近の話題としては、アラスカの森林にある樹木を分析した所、海が由来の栄養分が豊富に含まれている事が判明したと言う。
その理由も、海から遡上した鮭をクマが捕らえ、その残骸や糞に含まれる海の栄養分が土壌に還る事で、森全体が豊かになっていると推察されているとの事であった。


更に個人的な体験談としては、小学生の頃。

ハゼを大量に釣ったものの、一部は食べ切れずに仕方無く家の敷地の適当な場所へ、海水を含んだまま丸ごと埋めた事があった。

そこには同時期に、ビワとクヌギのタネが植えてあったのだが、ハゼを埋めてから十数年後、更に数十年を経て徐々に巨大化。
結果的に二本とも立派な木々へと成長し、現在でも青々と繁っているのだ。

つまり、上記の全ては「海の栄養分」で共通していると言えるはずです。


ならばとばかりに、スポドリに含まれるカリウムやカルシウム、マグネシウム等のミネラル分も海水と同様に、作物の生育を補助してくれる、いわば「サプリメント」の役割りを担えるのではないかと推測するに至ります。

更に言えば、人間が体力を大量に消耗した際に、ブドウ糖やナトリウムを摂取する事で素早い回復を促せるのと同じ様に、実は植物も生命の維持や回復に必須なのでは無いか。
まして土壌に足りていないと、なおさら病弱になり易くなるとも考えられる訳です。


無論、スポドリはナトリウムを多く含むので、濃度が高いと塩害の様に逆効果となりかねず、そのまま撒く事は出来ません。
土壌に含まれる養分にせよ、植物が吸収しきれる量としてはごく微量なはずです。

なので、今回は試しに約10倍以上に希釈した水様液を、それぞれの株に対し50~100ml前後ほど投与。
いっぺんに撒かず少量づつ、更に雨水で薄まりながら徐々に吸収される様なイメージです。

謂わば、上記の海洋ミネラルによる「カンフル剤」的な効能を応用したつもりなのですが、果たしてどうなるかは今後も観察を継続して行きたい所である。

これでウドン粉病を克服したら大発見なんだけども…。


その後の経過は、次回以降に続きます。



では、また、CUL。