CULrides カルライズ

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食べ蒔き作物プロジェクト報告書 9月上旬の様子後編 スイカの症例とゴーヤの環境

さて、ボリュームの都合上、三部構成となっている9月上旬の様子。


前編はトマトと、遂に収穫したカボチャの話題。

前編

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中編は、三度目の収穫となるメロン。

中編 

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そして後編は、残るスイカとゴーヤの話題となります。


しかし、今回は少し勝手が違いまして、最初に言うと収穫物は御座いません。

実は、スイカが何やら妖しげな症状に見舞われてしまった為、その症例について調べた結果などを考察したり、あるいは事例の一つを記しただけの内容となっています。
なので、大したオチは無かったりします。


また、ゴーヤについては、これまでの観察で導き出した仮説が中心。

そして、その生態について、「本当に生育に適した環境とは何なのか」に迫るべく検証した結果を記してみました。
これについては、かなり核心的な結論を導き出せたのではないかと思います。


いずれもシリアスな話が中心となりますが、これら症例や仮説が、栽培時のご参考になれればと。
そんな想いで綴っておりますので、宜しければ最後までお付き合い下さると幸いです。


では、いざ。



🌑スイカ🌑

カボチャ、メロンの株が大分枯れているのと平行し、前回に収穫が完了した株も完全に終了モードへ。

イメージ 7


もはや画像だけ見ても何が何やらである。


ただ、それでもまだ幾分か元気がある株が幾つか残されていた。

イメージ 1


勿論、枯れは進行しているし、全盛期に比べたら遥かに色味が薄まり、成長も止まってはいるのだが、それでもポツリポツリ開花していたりする。

イメージ 2


とは言え、ほぼ全力を出し切ったと言える現状から着果するなど有り得ないし、あっても正常に結実するはずもない。


基本的には、前回で全てのスイカを収穫し終えた形ではあるが、実はまだ一つだけ、一番最後に結実した果実が残っていた。
※上の画像右端に写ってるヤツね。

それが何処まで成長するか見守っていたが、しかし。


暫くして確認したら、おもくそ腐ってしもーとりました。

イメージ 3


これは当然、食べられ無いので即、埋め戻しへ。


と、その前に少し気になったので、試しに中身だけ開けてみる。

イメージ 4


うーん、ザ・ミジュク。


所々、黒っぽいタネはあるけど、まだ収穫に程遠かったのは間違いない。
初回といい、スイカの果実って発展途上でのダメージに弱いのだろうか。


で、この当初、腐った原因については不明であったが、後々に調べてみると、どうやら「スイカ褐色腐敗病」なる症状とよく似ているのを発見。


詳細は各々にてググって頂くとして、端的に言えば細菌の感染症で、土中にある病原菌が雨によって弾かれて、果実に飛び移る事で罹患してしまう。

要するに、大雨が続く様な天候や、水捌けの悪い場所では、厳重な注意が必要となる様なのだ。


確かに、この8月末~9月は雨の日が多く、また今回のスイカを確認する前にも多量の雨が降っていたので、シチュエーションは整っていた。

それで、この防除にはマルチ等で地表を覆い、雨が跳ね返らぬ様にするのが効果的だと言う。
つまり、「お立ち台」だけでは雨の「跳弾」を防ぎ切れないのだ。

参考記事
果実のお立ち台

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また、感染した果実と株は「適切に処分」すべきとの事で、これは要するに「燃えるゴミ」として処分するのが適切と言う意味と捉えられるが、病原菌を殺す意味では間違いなく効果的となろう。


しかし、上で「埋め戻した」と言った通り、調べた時には後の祭り。
そう、もう埋めちゃってるのだ。

正直、何となく株の体力が落ちていたせいで免疫力が足りず、キズが入ったり虫が噛ったりした箇所が修復出来ずに腐ったのだと思っていたので、これは思わぬ誤算である。
こんな病気があるなんて知らなかったよ…。


所で疑問なのだが、コレって自然界でも蔓延するものなのかな?

存在してたとしても、自然のサイクルの中では一気に破壊的な被害が出るほど生息域が広がる様には思えないんだけども。
何処かしらの範囲で留まっていないと、現在までにウリ科の植物が生き残ってこれない訳で。

逆に言えば、この菌が好む環境、つまりウリ科の植物の近くに生息しがちとも考えられる。
一度定着すれば、そこを中心に生息域を拡大出来て好都合であろう。


だが、その場合も、全てのウリが感染する訳では無いだろうし、どこかしらで「歯止め」がかかっているはずだ。

例えば体内で免疫力を強化したり、何かしら遺伝子のスイッチを入れたり変異させたりで、自らの身を守ろうとしたり。
あるいは、この菌が絶対に生きられない領域で生活を始めるとか。

つまり、自然界では両者のバランスが保たれているはずで、そこに本質的な防除のヒントが隠れている様に思えてならないのだ。


また、この菌が普段はどんな環境の、他にどのタイプの植物に寄生するのかも気になる。

農園ならいざ知らず、まさか毎度ウリに寄生出来る訳ではあるまい。
仮にウリが絶滅したら、そこで長期冬眠状態になるのかもしれないが、どうすればその場から居なくなるのかも謎だ。

その辺が判明してくれば、これらを総合する形で効果的な防ぎ方や、薬剤以外の方法などが導き出せるかも知れないし。


尤も、完全にこの病気と断定した訳では無いし(可能性は大だが)、埋めたのは畑から距離を置いた「欄外」。
次に栽培するかは全く未定なので、仮に再挑戦したとして影響が如何になるかは未知数である。

いや、実際は水を通して土中に浸透してしまうらしく、リスクは高いのが現実。
結局は、根本的な排除(もしくは殺菌)が必要ではあるらしい。
従って、栽培するとしても本来は何かしら対策を打つべきなのだろう。


正直、ここまで書いておいて解決策を見出だした訳でも無いし、オチらしいオチも無いのだけど、とにかく皆様もご参考までに覚えておくと良いかも知れません。


そんな新たな脅威の存在を知った所で、今プロジェクトにおけるスイカの収穫は終了。

一応、まだ生えている現状においては、このままミツバチ等の誘引になればいいかな程度に、今後も暫くは生やしてみる方向。
何か問題が発見され次第、抜き取る事に。


以後の経過は、次回以降に。



🌑ゴーヤ🌑
※画像は前回の素材を流用。殆ど同じ経過だったので…。

さて、前回までの大胆な回復処置により、見事にツルと葉が再生。
更に相乗作用か、以前よりも成長率が高まるまでにパワーアップ。
予想を超えた効果を発揮していました。


今回もその途上にあり、ツルは着実に伸び続け、次々と開花をしている。
むしろ株の勢いと比例して、以前より花の数は増えている様だ。

イメージ 5


まだ完全な結実には至っていないが、マイクロ・ゴーヤがチラホラ着果しているので、順調に行けば再び正常な果実が実る可能性は十分にありそう。

イメージ 6



それで、ここに至り仮説と言うか、ある確信めいた感想が一つ。


ゴーヤの栽培には「大量の肥料と水分」が必要とされている事は、よく言われるセオリーであり、これまでも触れて来た通り。

故に、しっかりマメに与え続けねばならず、これら養分が足りないと、葉の色艷が薄まったり、このプロジェクトと同様の枯れが発生したり、最悪は全て枯れ果ててしまうリスクさえあると言います。


それで今回、同じウリ科であるカボチャやメロンは半自動的に立派な株へと成長したのに対して、ほぼ同じ土壌、同じ肥料の環境で、より手間を使い育てたゴーヤがずっと貧弱であったのは何故なのか。

勿論、元々のタネが貧弱であった可能性も大いに有り得るのだけど、それとて初期は貧弱気味であったスイカは、気温の高まりと共に特に何をせずとも見違える程に成長してくれていた。

そう、元を辿れば、苗の頃までスイカとゴーヤは同じウリ科の「モヤシ同士」だったのに、成長の仕方が全く違うのだ。


この成長を補う要素として挙げられるのが、「葉」の光合成によって栄養分を賄う能力である。


実際、カボチャは大きな葉から栄養を作り出す力が高いそうで、割合と貧相な土地でも栽培が可能とされている。
逆に肥料の与え過ぎは栄養バランスが崩れ、ツルだけが伸び続け着果が遅れたりする場合さえあると言う。

恐らく、「地這い系」のウリ科作物は概ね、この葉に依存する傾向が強いと見られる。
それはカボチャ、メロン、スイカの順に「葉の表面積」が一回りづつ狭くなるのと比例して、全体的な成長率(茎の太さ、ツルの長さなど)も低まる様子からしても明らかであった。


要するに、これらウリ科の葉は、太陽光発電の「ソーラーパネル」みたいな役割りをしていて、その面積が増えるごとに、比例曲線を描く様にエネルギーの吸収率が高まる。

その葉から自動的に栄養分を賄えるからこそ、スイカも急成長を遂げたのだと合点が行きます。

まぁ、この辺りは当たり前の原理ではあるので、殊更に強調する話では無いでしょう。


一方のゴーヤは、それらに比べれば葉の面積が狭く、また葉が増えてもなかなか成長率が上がらずにいました。

しかしながら、最初こそ貧弱だとしても、葉が増えればスイカみたいに光合成で成長を補えて良いはずだ。
ましてや、根本的な性質としてゴーヤの茎が細くて葉が小さいのなら、そもそも殊更に養分が必要になるとも考え難い。

でも、多量に肥料が必要なのだ。


この違いを判りやすく分類するに、カボチャ、メロン、スイカなどは「葉が栄養源」なのに対して、ゴーヤは「根が栄養源」と言えるのかも知れない。

つまり何が言いたいかと言えば、ゴーヤとは本来、森林や草原など「保湿力の高い非常に肥沃な環境」で生息していて、いわば栄養過多な土壌で育つのが大前提にある植物ではないのかと推察する訳です。


これらバックボーンは、産地である沖縄の高温多湿な森林地帯こそ、まさにイメージと合致する。


そこでは地表に葉を広げられない為、ツルで周囲の樹木などに絡み付く事でスペースを確保する。

しかし、樹上も無限では無く、それら植生との兼合いで葉の面積や数も限定される。
なので必然的に細身に成らざるを得ず、成長には主に土壌の栄養分が頼りの綱。

それには単純に肥料だけでなく、腐葉土など有機物や微生物が多量に含まれた、保水力の高い土がベースとして重要な必須要素となる。
勿論、そこに生息する多様な生物達の糞や死骸などは格好の肥料となり、更に養分を強化してくれる。

これらの分解や循環の効果は、「常に土壌が活性化している」からこそ、最大限に発揮される。
かくして長年に渡り「堆積」した豊富な養分により、土地は更に豊潤となれるのだ。

だからこそ、その環境に「近いシチュエーション」の方が生育に圧倒的有利となるのではなかろうか。


言い換えると、「最初から豊かな土壌」で栽培するのが正解であり、「栽培する為に整える」のでは遅いし足りないし間に合わないしで、順序が逆なのだ。


そう考えると、よく玄関先などでグリーンカーテンとして育てられているゴーヤの葉が薄かったり、果実が小さくなりがちなシーンにも納得が行くのですが、如何でしょうか。


長くなりましたが、結果的に前回の処置は様々な効能を発揮している事から、現状でも「枯れた葉の剪定」、「生ゴミ肥料」と「雑草マルチ」の投与を週一回ほどのペースで実施。

より本来の環境へ近付け、出来る限り生育が長続きする様、これらを継続して行く事に。


それからの経過は、次回以降に。



では、また、CUL。